ゴールデン・ステイト・キラー逮捕から色々と考えが及びました

スペイン・コルドバ

3年前に大病してからは、めっきり怖いものが苦手になりました。

ホラー映画なんかとんでもない。遊園地のお化け屋敷やジェットコースターなんて、何でお金を出して、長い列を並んで乗らなければならないのか、神経が知れたもんじゃない、と思うようになりました。殺人事件を扱ったミステリーも絶対読みません。

昔は、結構、好き好んで、見てたり、乗ったりしたもんですから、人間、変わるものです。

テレビもまずは、怖いものは見ませんが、一昨日、たまたま、つけていた民放テレビで米国で40年前に起きた未解決の連続殺人事件の犯人が、今年4月になって、40年ぶりに逮捕されたという番組をやっていて、思わず、長い長いCMの合間をぬって最後まで見てしまいました。

これは、私は全く知りませんでしたが、「ゴールデン・ステイト・キラー」事件と呼ばれ(ゴールデン・ステイトとは、1849年に金鉱が発見されてゴールドラッシュとなった米カリフォルニア州の別名)、1974年から86年にかけて、そのカリフォルニア州で起きた連続暴行強盗殺人事件のことです。13人が殺害され、50人が強姦され、120件の強盗が遭ったと言われながら、犯人は捕まらず、迷宮入りしておりました。

犯人は、他に色んな名称で呼ばれていて、ロサンゼルス出身のH君は「あ、East Area Rapist(東部の強姦魔)なら知っている。彼は捕まったんですかぁ」と驚いてました。

番組では、この事件に興味を持った一人の捜査官が定年間際になるまで執念で20年以上も追いかけ、最後は、実に革命的な捜査方法で、犯人を逮捕するという一部始終を再現ドラマ仕立てでやっておりました。

スペイン・コルドバ

犯人は、Joseph James DeAngelo ジョゼフ・ジェームス・デアンジェロ、72歳。何と、捜査当時は身内の警察官で、事件後もカリフォルニア州に住み続けておりました。それなのに、彼は、警察官の特権を利用して、無実の人間を犯人として偽装したり、自分自身はうまく立ち回ったりしたので、一度も容疑者として浮上していなかったのです。

革命的捜査方法とは、DNA鑑定です。まず、最初に「GEDマッチ」という、自分のDNAがどんな人と一致するのかが分かる米国では有名になったウエッブサイトに、犯人が現場に残したDNAを匿名で投稿します。すると、東海岸に住むある女性が見つかりました。

その女性を手掛かりにして、「家系図」の専門家を動員して、1800年も遡って(本当かなあ?)、何万、何十万という人間の家系図を作り、一人一人に犯人のDNAを一致させます。そんな気の遠くなるような作業を経て、やっと、たった一人、一致する者が見つかったのです。

それがデアンジェロでした。彼は、逮捕前は魚釣りに出かけるほど元気に歩き回っていたのに、裁判になると、急に車椅子に乗って、老年性の認知症を装って罪から逃れようとしておりました。(まだ、判決前なので、確かに、彼はまだ容疑者の段階ですが)。

ただ、一方で、その革命的DNA鑑定捜査については、「プライバシーの侵害」ということで大反対する市民もおりました。

この革命的DNA鑑定捜査で、他に迷宮入りしていた連続殺人事件の犯人が次々と逮捕されていったので、画期的手法だと感心したのですが、何でも、物事には二面性がありますね。確かに、このままでは、プライバシーはなくなってしまいます。

現に、日本では、今ではあらゆる所で、監視カメラが設置されていて、犯人逮捕に大活躍してますが、当然ながら、無辜の民でも、いつでも、当局から監視されているということになりますよね?

国民総背番号(ナンバー)制度の導入によって、個人資産も全て当局に筒抜けになってしまいました。

もう、後戻りできないでしょうね。皆さんも、この事態についてどう思われますか?

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