「ZAITEN」は最後の反権力雑誌?

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

「今のメディアは駄目ですね。すっかり大政翼賛会化してしまい、権力者のご機嫌ばかり伺って批判さえしない。実に嘆かわしい」と憤慨しているのが、名古屋にお住まいの篠田先生です。

 「どこのテレビも新聞も週刊誌も安倍首相を全く批判しないで、外国ばかり批判している。まるで大本営発表ですね。せめて『反権力』を貫いているのは、『ZAITEN(ザイテン)』ぐらいですよ。今月発売の9月号では学者政商『竹中平蔵』を批判する記事を掲載しています。書かれた本人は屁とも思わないでしょうけどね」

 「『ザイテン』って何ですか?」と私。

「昔は『財界展望』と言ってましたがね。2006年10月号からリニューアルしたようです。1956年創刊の老舗経済誌です。まあ、最初は総会屋的な雑誌でしたが、『噂の真相』がなくなった今では唯一といっていいくらい、大手企業の経営者や政治家、官僚らを批判しているメディアですよ」

 「いやあ、ビジネス誌なら、『東洋経済』や『ダイヤモンド』などの週刊誌はたまに買いますが、月刊誌は、どうも経営者のヨイショ・インタビュー記事ばかり載っているイメージがあるんですよね。買ったことはないし、昔、ゴルフ場のラウンジでザッと見たぐらいですよ」

「月刊経済誌の老舗中の老舗は、三鬼陽之助が1953年に創刊した『財界』(隔週発行)でしょうなあ。三鬼陽之助(1907~2002年)はもともと、ダイヤモンドと東洋経済で記者、編集長などを歴任した人です。『財界四天王』の造語をつくるなど経営評論家として名を成しました。もう一つは、『経済界』(同)です。佐藤正忠(1928~2013)が1964年に創刊しました。佐藤正忠は、リコーの市村清社長の私設秘書を務め、あの銀座4丁目の三愛ビルの用地確保のために、最後の酒屋の敷地を買収することに成功した人です。こんなことブログに書いちゃ駄目ですよ」

「へー」(と曖昧な返事)

 ということで、初めて「ZAITEN」なる経済誌を買ってみました。1080円。

 確かに、「まだいた!学者政商 『竹中平蔵』の新世界」を読むとよく取材されています。感想は「酷い人だなあ」の一言です。

 小泉政権の下で、経済財政政策担当大臣などを歴任し、非正規雇用をドカスカ増やして格差社会をつくった元凶としてますね。しかも御本人は、江戸時代に「人買い人足」と呼ばれた派遣業界の会長に就任して、雇用の規制緩和をしているわけですから、胴元が賭場で、自分が作ったルールで好きなように儲けているようなものです。

 こういう人を国民は国会議員として選出し、今でも、安倍政権の「民間議員」として森林ビジネスに暗躍し、大手マスコミは「識者」として採用しているわけですかぁ…。(肩書は東洋大学教授ながら、「本職」のビジネス稼業が忙しいので、ほとんどキャンパスに現れず、学生らから「いかがなものか」とツイッターや立看板などで抗議が出ているそうな)

 他に「三菱重工が辿る『東芝の来た道』」「ヤマト運輸 休みは増えたが減らない仕事、現場は昼飯を食う暇もなし」といった硬派記事もあれば、経営者の私生活や近況などを暴き、「あの人の自宅」というタイトルで写真付きで紹介するちょっと趣味の悪い連載記事などもあります。

 一体どういう人がこの雑誌を定期購読されているんでしょうか?少しだけ興味があります。

「山口メンバー」には違和感

人気アイドルグループTOKIOの山口達也メンバーが25日、強制わいせつの容疑で書類送検され、ファンの間では「信じられない」との声が広がってます。

このニュースについて、特に興味を持ったわけではありませんが、何となく違和感を覚えました。

新聞でも天下のNHKも、山口容疑者のことを「山口メンバー」「山口メンバー」と表記したり、叫んだりしているからです。

警察がそう発表したのか、強大な権力を持つ有名芸能事務所がマスコミにそう呼ばせたのか、真相は分かりませんが、何か水で薄めて緩和している感じです。

ズバリ、「財界」「官界」「芸能界」のゴールデントライアングルの構図が浮き彫りになります。

まず、資本主義社会ですから、企業は物やサービスを買ってもらわなければなりません。でも、庶民は賢いのでそう易々とは買ってくれません(笑)。

そのため、「財界」はタレントを起用してコマーシャルします。消費者は、親の言うことは聞かなくても、好きな芸能人が出ている製品なら飛びついて買います。

「官界」=行政は、タレントを「1日警察署長」や「1日税務署長」に起用して、交通安全や納税を大衆を啓蒙します。山口メンバーのように、「スペシャル・アンバサダー」でもいいですね(笑)。

これらと「芸能界」を取り持って狂言回しの役割をするのがマスコミ媒体です。特に、宣伝と直結する広告代理店は、芸能人のスキャンダルにはいつも厳しい目で監視して、いざという時は、その対応に追われます。

テレビにとって、芸能人は、番組作りに欠かせません(ただし、番組は商品を売るための拡販材料)。新聞・雑誌も売るためには、タレントを起用して華やかにしなけりゃなりません。

持ちつ持たれつの関係です。

まあ、社会の構図がこうなっているのですから、第三者がとやかく言っても始まらず、いつも隔靴掻痒で終わるわけなのです。

【追記】

意外にも、東京発行の全国・ブロック紙「都内最終版」を見ると、読売新聞だけが、「山口容疑者」の表記だったのです!あと朝日、毎日、日経、東京、産経は全て「山口メンバー」でした。

テレビはいわずもがなでしょう。

ただ、まだ書類送検の状態で処分が出ていないため、各社の判断になっているようです。