緊張事態宣言の効果に疑問

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 昨日は、ついに日本の国家の最高責任者である安倍首相が「緊急事態宣言」を発令しました。午後7時からの記者会見は、天下のNHKも民放もどこもかしこも同時生中継でした。私も長く生きていますが、こんな宣言は生まれて初めてです。我々は凄い時代に生きていますね。

 どれくらい凄い宣言なのか、私も固唾を飲んで聞いていましたが、以前と変わらない自粛要請のみで、都市封鎖もなし。厳しい外出禁止令を施行している欧米なんかは、違反すれば10万円とか30万円とか高額な罰金を取り、フィリピンの大統領は、違反者は射殺するとまで言ってるというのに、そんな制裁も何もなし。拍子抜けしてしまいました。緊急事態宣言は、5月6日までの期限付きで、7都府県で実施。感染者の多い愛知県が含まれなかったのは、トヨタがあるせいでしょうか。勘ぐりたくなります。

 事前にマスコミ辞令では閉鎖が発表されていた理髪店に行ってもいいし、安倍首相は「散歩やジョギングをしても構わない」とまで言う始末。果たしてこの宣言がどこまで効果があるのか疑問を持ちました。

 安倍首相といえば、ゴリゴリの強権主義者で、大胆無敵なイメージがありましたが、意外にも、結構ナイーブで、慎重、控えめな人だったんですね。英字紙では、緊急事態宣言を「State of emergency」としてましたが、同じ言葉でも、諸外国に当てはめて訳すと、「非常事態宣言」になります。「緊急」と「非常」の違いなんでしょうか?

 でも、日本の場合は、あくまでも単なるお願いですからね。緊急事態が宣言される前の3月下旬ですが、慶応大学病院の若い研修医たち40人もが、小池都知事の自粛要請を無視して、というか、小馬鹿にして、「3密」で楽し気な懇親会を深夜遅く3次会まで開き、18人以上が新型コロナウイルスに感染していたことが判明しました。医療従事者がこの体たらくですからね。罰金刑にしたいぐらいです。

 何でこんなこと言うのかといいますと、緊急経済対策など椀飯振舞いした後の財源が心配だからです。甚大な影響を受けた中小企業や個人事業主らに対しては納税も1年間猶予する方針らしいですから、赤字国債を発行するのか、いずれにせよ、国民の税金に跳ね返ってくることは素人でも分かります。

東京・銀座

 一方、お上が「店を閉めろ」と言ってるだけで、休業補償なしでは生活が成り立たないという商店主や夜の接待業者らの訴えもよく理解できます。

 減収世帯の賃金補償も、厳しい複雑な基準があって、月収20万円の世帯が11万円になっても補償なしなんですよね。半額以下の10万円ならいいようですが、何じゃらほいです。

 そんなこんなで怒りに駆られながら、先程、椅子から立ち上がろうとしたら、右脚がギクッとして、力が入らず、暫く歩けなくなりました。ギックリ腰はやったことがありますが、ギックリ脚は生まれて初めてです(苦笑)。

 生まれて初めて、尽くしです。

志村けんさん逝く

 コメディアンの志村けんさんが29日深夜に新型コロナウイルス肺炎で亡くなりました。今朝のニュースで聞いて、「えっ!」と衝撃を受けました。でも、一番驚いているのは本人自身かもしれません。まだ、70歳ですから、これからまだやりたいこともあり、やるつもりだったことでしょう。

 何か、中途で終わったような気がしましたが、ここ数年の、彼のテレビ出演を見ていると、「ファミリーヒストリー」で過去のルーツを探ったり、民放のバラエティーで、一度は結婚を決意した女性アイドル歌手との仲を初めて告白したり、どこか、自分の過去を総括するような番組が多かった気がします。

 厳格な学校教師の息子ですから、根は真面目でかなりの勉強家だったようです。

 私自身は、ドリフターズ時代から何十年も見てきて、大いに笑わせてもらいましたので、本当に惜しい人を亡くしました。とても悲しいですが、 選ばれたような時代を象徴する病気で亡くなり、志村けんらしい劇的な最期でした。語り継がれることでしょう。

 昼休みに銀座を歩いていたら、志村さん死去のニュースが影響したのか、街を歩く人の10人中9人はマスクをしていました。慣れたとはいえ異様な光景でした。

土浦城

 さて、3月5日から3週間ほど、このブログがフェイスブックやツイッターなどのSNSと同期していなかったのですが、別にブランクなどなく、普通にほぼ毎日ブログは更新してきました。

 それが長年愛読して頂いているM氏から、「ブログ再開おめでとうございます。しばらく更新がなかったので心配してました」とのメールが今朝届きました。「えっ!?」です。失礼ながら、M氏は、フェイスブックやツイッターを通してこのブログを閲覧されるような方ではないと思っていたからです。

 私自身、正直、このままSNSと同期しなければ、あまり好きでないフェイスブックをやめるつもりでした。これまで、フェイスブックのことを「他人のプライバシーを切り売りする吸血鬼」とか「メディアにかこつけた宣撫諜報部隊」なぞと散々悪口ばかり書いてきましたからね。

 そしたら、本当に最近になって急に、卒業以来一度も会っていない大学時代の旧友と40年ぶりにフェイスブックを通して繋がったのです。学生時代に参加していた音楽倶楽部の人たちでした。

どうせ全ての情報は抜き取られているんでしょうが、やるじゃん、フェイスブック!と感心しました。

新型コロナ騒動が収束して落ち着いてから、いつか皆で再会しましょう、という話にまでなりました。楽しみですね。

以上、あくまでも個人的な感想でした。

【単なるお知らせ】SNSと同期できました!

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 今年3月4日以来、この《渓流斎日乗》ブログと、SNSのフェイスブックとツイッターとの同期が、テクニカルな問題のため、途切れていましたが、本日から再開することができるようになりました。

 ここ3週間以上、途切れていましたので、「もしかして、新型コロナウイルスに感染しているのではないか」と思われた方は、一人もいませんでしたが、たったお一人、SNSのブラウザを通して愛読して頂いている西日本にお住まいのAさんから「最近、更新されていませんが、どうかなさいましたか?」と、途切れて1週間ぐらい経ってから心配メールを頂きました。有難いことです。

 それでも、フェイスブックなどでは途切れたとはいえ、普通のサイトでは、ほぼ毎日更新しておりました。今さら、過去の記事を遡ってお読み頂くような殊勝な方はいらっしゃいませんでしょうが、お伝えだけはさせて頂きます(笑)。

 また、フェイスブックもツイッターもなさらない皆さまは、何の話かさっぱり分からないことでしょうから、この話はどうか御放念賜りたく存じます。

 SNSとの同期が途切れたのはテクニカルな問題が生じたためでしたが、その復旧作業のために日々、獅子奮迅して頂いた情報通信技術の松長技師長様には御礼申し上げます。

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 おかげさまで、この《渓流斎日乗》ブログも、先週の3月15日で、丁度、満15周年の節目を迎えることができました。2005年に、当時住んでいた北海道の帯広で始めたのですが、山あり谷ありの出来事があり、一番脂がのっていた頃の2008年8月から2015年10月までの7年間の記事は消滅してしまいました。

 そんなことに怯むことなく、今後も、ほぼ毎日のペースでブログを更新して参りますので、宜しくお願い申し上げます。

「仙人秘水」の釜石鉱山からの贈り物

いやはや、最近は新型コロナウイルス一色で、このブログも感染して、新型コロナウイルスに染まってしまいました。

 あまりネガティブな情報ばかり挙げても精神衛生に良くないので、本日は、個人的ながら良い知らせをご報告させて頂きます。皆さまご案内の通り、小生は、親譲りの無鉄砲で、子どもの時分から損ばかりしてきたので、まず大きな抽選や博打に当たったためしがありません。

 それが当たったのです。

 NHKの「ブラタモリ」は、日本全国の地質や列島の成り立ちが分かり、いつも興味深く拝見しているのですが、先月は三陸海岸地方を取り上げていました。その中で、製鉄の街として知られる釜石市を特集していましたが、今は、鉱山は廃坑となり、その代わり、その鉱山で自然に湧き出る水を製品として販売したら爆発的に売れるようになったという逸話をやってました。

 「仙人秘水」というのですが、あれ?どこかで聞いたことがあるなあ、と手元の本を調べてみたら、私も何冊か著書を愛読している免疫学者の藤田紘一郎先生が、全国の天然水の中で、身体に良いものの一つとして、この「仙人秘水」を取り上げていたのでした。

 私は、そうやたらと宣伝には動かない人間なのですが(笑)、モノは試しということで、500ミリリットル24本入りのケースをネット販売で買ってみることにしました。送料等込みで3600円でしたから、1本150円という計算。庶民としてはちょっと高めでしたが、ま、いっか、ということで買い求めました。

  その際、実はほとんど覚えていないのですが、(駄目じゃん!)サイトで、何か、応募抽選をクリックしたらしく、昨日になって、上の写真のような「岩手三陸の特産品詰合わせ」が当選したということで送ってきたのです。

 吃驚ですよ!

 ホタテの干し貝柱なんて、高そう(笑)。何か、お水代の元が取れてしまったようで、申し訳ない気分になってしまいました。

 ということで、3月11日は、東日本大震災から今年で9年。新型コロナウイルス騒動で、十分な追悼式が行われなかったこともあり、もう一度、東北三陸を応援したくなりました。

 釜石鉱山株式会社さま、どうも有難う御座いました。御礼申し上げます。

 

特措法改正の緊急事態宣言は危ないのではないか?

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 まだ3月で、気が早いですが、今年2020年の流行語大賞は、「東京オリンピック」ではなくて、「新型コロナウイルス」で決まりですね。京都・清水寺の漢字一文字も、感染の「染」辺りじゃないでしょうか(苦笑)。

ということで、最近のニュースは、どこもかしこも、閉口するほと「新型コロナウイルス」の話ばかりです。「濃厚接触」だの「クラスター」だの耳慣れない「新語」もすっかり慣れてしまいました。この言葉は、20年後の未来の人が、意味が分からなかったり、違う意味に取ったりしてくれることを願いたいものです。

 個人的ながら、楽しみにしていた来週の高校の同窓会も結局、延期になってしまいました。「同調圧力」に屈したくなく、ギリギリまで開催を模索していたのですが、周囲の状況が許さなくなってしまいました。一番気になっていたのは、わざわざ遠方から参加してくれる友人たちです。1週間前という直前だったので、キャンセル料が発生するからです。幸い、その中の一人のK君の場合は、新型コロナウイルスによる中止延期の場合、新幹線料金のキャンセル料は免除してくれたそうです。まあ、「自粛要請」は国家的規模ですから、一企業としても配慮せざるを得なかったのでしょう。

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 政府は、海外からの渡航者のうち、中国と韓国からは、入国後、二週間は、日本人なら自宅で、外国人ならホテルなどの施設で謹慎してもらう検疫上の措置を取ることになりました。二週間のホテル滞在費は、「自前」ということにしたそうなので、これでは来日、訪日する中国人、韓国人は激減するはずです。まるで「鎖国」ですね(苦笑)。我々今、歴史的な変革期に生きている感じがします。

 この緊急措置に対して、早速、中国政府は「概ね妥当」だとしましたが、韓国外務省は猛烈な抗議をして同じような対抗措置を取ることを発表しました。でも、これは致し方ないんじゃないでしょうか。自然の猛威というか、ウイルスの猛威ですから、人智の及ばない所があるからです。

 それどころか、安倍政権は、日本国民に対しては、来週14日にも、「緊急事態宣言」を施行する構えです。多くの人は甘く考えているようですが、こんな宣言が出されたら、外出禁止令だの集会禁止令だの大幅な私権が制限されることが予想され、国民を不安に陥れます。安倍首相は、新型コロナウイルスにかこつけて、「閣議決定」だけで何でもやりかねませんからね。

 今のメディアは御用新聞化してチェック機能が疎かになっているので、気が付いた時は「いつか来た道」を歩いているかもしれません。

【後記】

 一部のメディアしか報道していませんが、2012年成立の新型インフルエンザ対策特別措置法が改正されて、緊急事態宣言が施行されると、市民の外出や集会を制限できるほか、所有者の同意を得ずに土地・建物の収用なども可能になるといいます。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030401247&g=pol ☜ 時事通信

大丈夫かなあ?

 

銀座さとうの「丸メンチカツバーガー」は花丸=「渓流斎日乗15周年記念会」は中止が決定

 何ですかねえ。 新型肺炎の感染拡大を理由 に「今年の東京オリンピックは中止」なんて、ガサネタやデマを流す不逞の輩がいるかと思っていたら、19日にロンドン市長選の主要2候補が、東京大会中止を見込んでロンドンでの代替開催の誘致に名乗りを上げたというんですからね。 「ロンドンでは五輪を2012年にやっていて、施設も残ってるから大丈夫」というわけですが、火事場泥棒的利権の臭いがプンプンしてきます。

 それにしても、ここにきて、マラソンやゴルフなどのスポーツや音楽公演や講習会などのイベントの中止や延期のニュースがボンボン出てきています。一気に自粛ムードが広がり、この期に及んで開催を強行しようものなら、「非国民」扱いされかねません。

 このブログ《渓流斎日乗》を開始したのは2005年3月15日ですが、来月、ちょうど15周年の記念日を迎えます。西方浄土方面から「都内の一流ホテルを貸し切って、何か記念会をやったらどうですか?人が集まらなかったら赤字が出るでしょうが、100万円か200万円程度で済みますから大丈夫ですよ」なぞと他人事のように(笑)薦める方もおられました。

 でも、この御時勢ではねえ。感染拡大に協力したくはないし、「渓流斎ブログ15周年記念会」は、中止せざるを得ませんね。延期ではなく、中止に決めました。

 さて、また当たり障りのないグルメの話。

 東京・吉祥寺の本店では長い長い行列が出来るという国産黒毛和牛専門店「さとう」。お肉だけでなく、コロッケやメンチカツやステーキやカレーなども店で食べられたり販売されたりしています。その2号店が銀座1丁目にあるというので、銀座は私の庭ですから、昼休みに行って来ました。

 お目当ては、銀座店しか売っていないという「丸メンチカツバーガー」。400円と、まあまあの値段ですが、会社の同僚が美味そうに、しかも自慢気に、一つ一つ講釈しながら一人で食べていたので、私も買ってきました。

 まあ何と言いましょうか。確かに旨い。優しい味、といいますか、丁寧に作られた心がこもった味といいましょうか。舶来のチェーン店のハンバーガーのビッグ何とか(390円)より少し高いですが、これなら三つぐらい食べられそうです(笑)。他に、ヒレカツバーガー(500円)、ビーフカツバーガー(600円)などもあります。→「銀座さとう

 つまらない政治家や官僚の醜聞で腹を立てるより、美味いモンを食べて腹を満たした方が、健康にも精神衛生にも良いということであります。

渓流斎、チンピラに襲われる

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 あまり書きたくなかったのですが、先日夜10時過ぎ、私の自宅近くで酔っ払いのチンピラに襲われました。「舌打ちしただろ!」と叫びながら、持っていたバッグで背中を小突かれました。

 何のこと???です。さっぱり分かりません。チンピラは酔って錯乱し、勘違いしただけでした。私自身は舌打ちしたわけでもないし(歯牙にもかけず)、仮に他の人がしたとしても、その人も殴られる筋合いはないでしょう。まあ、民度が非常に低い所に住んでいるので致し方ありません。40代の男に見えたので、団塊ジュニアで非正規雇用者かもしれないし、職場で嫌なことがあったかもしれないし、女に振られてヤケになっていたのかもしれませんが、今はこんな自己中心的で自己愛が強すぎる勘違いした奴らが多過ぎます。

 理不尽なチンピラに自宅近くで絡まれたのは、これでもう3回目です。持ってるなあ~(笑)。

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 社会の出来事、事故、犯罪など「マクロ」は新聞に掲載されます。しかし、新聞に載らない「ミクロ」も、こうして結構頻発しているものです。

 先週金曜日は、通勤の行きも、帰りも、人身事故に巻き込まれました。20分程度の遅れで済んだせいか、そんな記事はどこにも載りませんでした。

 昨晩もまた、横浜市内の駅で人身事故がありましたが、私は間一髪でした。1本次の電車に乗っていたら巻き込まれていたかもしれませんが…。一方、横浜に住んでいる会社の後輩となると、自分が乗る1本前はスムーズに発車したのに、わずか1分ほど遅れただけで、新橋駅で1時間も立ちっぱなしで待たされたんだそうです。

 いやはや、その前の電車に乗れたかどうかが、運命の分かれ目でした。駅で1時間、電車内等で1時間近く立ちぱなっしだったので、今朝になっても疲れが取れない、と言ってました。

 世間の「マクロ」ニュースは、相変わらず「新型コロナウイルス」関連ばかりです。2月5日の時点で、死者の数が491人といいますから、500人を超えるのは時間の問題でしょう。

 巷では、どこもかしこもマスクが売り切れているそうですね。1970年代の石油ショックでは、トイレットペーパーが売り切れましたが、パニックにならず、もっと冷静に行動してほしいものです。チンピラじゃないんですから!

 そのためには、信頼の出来る公的機関が正確な情報を小まめに発信してほしいものです。宜しくお願い致します。

 ついでながら、チンピラや悪党や性根の腐った人間には、極楽浄土に来てほしくないです。京都の御住職さまには宜しくお願い申し上げます。

調理師M氏と15年ぶりの再会

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 昨晩は、小生が北海道の帯広に赴任していた頃に知り合ったM氏と実に15年ぶりに再会しました。M氏は、カレー屋さんの御主人でした。昭和というより明治時代に近い旧い古物商を、飲食店用に炊事場を設置するなど改築した雰囲気のある店でした。当時住んでいた自宅から近かったので、多い時には毎週のように通いました。

 仕事が終わって、夜8時ぐらいになることが多く、お客さんはほとんどいなかったので、次第に世間話をするようになり、一人暮らしだった私も彼と会話をするのが楽しみで通った感じでした。特に彼は、ブルースが大好きで、店内ではいつもブルースを掛けていました。私は、ブルースといえば、B.Bキングとマディ・ウォーターズぐらいしか知りませんでしたが、ライトニング・ホプキンスやアルバート・キングら通好みのプレーヤーを彼からたくさん教えてもらいました。

 で、15年ぶりの再会です。帯広から離れた後は、年賀状をやり取りする程度で、お互いのプライバシーまでは話すことはなかったのですが、今回は色んな話ができました。彼も随分苦労していたことが分かりました。まず、私が帯広を離れた翌年に、お店がつぶれてしまい、奥さんともうまくいかなくなり、別れてしまったというのです。でも、帯広市内のホテルの調理場での職を得て、その頃に知り合った美しい女性と再婚することができ、住まいも北海道から関東に移したというのです。

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 彼は調理師ですから、包丁一本さらしに巻いていれば、どこでも働くことができるらしく、関東に来て約10年経つ中、もう10回ぐらい転職したそうです。ほとんどホテルの調理場ですが、長くても2年、短いと数カ月といったところでしょうか。苦労したんですね。

 彼からは「調理師の世界」を色々と伺いました。彼が料理を勉強したのは、あの有名な大阪の辻調理師専門学校で、設立者の辻静雄(1933~93)は、もともと読売新聞の記者だったんですね。知る人ぞ知る話ですが、私は初めて知りました。辻は、欧米に料理修行に出かけ、特にパリの高級レストラン「ピラミッド」の経営者ポワン夫人に可愛がられたおかげで、同僚になった若き頃のあの著名なポール・ボキューズとも親交を結ぶことができたそうです。その際の逸話もありますが、ここでは書きません。まだ東洋人に対する偏見が強い中、辻静雄も相当苦労したようでした。

 最近、パリ在住の日本人シェフの小林圭さん(42)が ミシュランの三つ星を獲得して大きな話題になりましたが、M氏は「確かに立派ですが、その前に、日本人として初めてミシュランの一つ星を獲得した中村勝宏シェフのことを覚えておかなければいけませんね。彼は70歳を超えていますが、今でも飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで働いていると思います。北海道洞爺湖サミットの際に総料理長を務めた人です」。あ、そうか、そう言われれば、名前だけは聞いたことがありました。

 このほか、1964年の東京五輪の選手村の料理長に抜擢された帝国ホテルの村上信夫シェフには、高橋さんという有能なライバルがいたにも関わらず選ばれたといった話や、盛んにテレビなどに出て名前を売って有名になったシェフや料理人は、かなり政治力を発揮している話なども聞きました。確かに、私も、名前につられてそうしたレストランや料理店に行ったことがありますが、高いだけで大して美味いとは言えませんでしたからね。

 あと、調理師は国家資格ですが、てっきり、中華、和食、洋食と別れているかと思っていたら、「いやジャンル別はないのです。免状があれば何でもできるんです。逆に言うと、日本で最も『甘い国家資格』とも言われてます。地方の田舎の高校教師なんか、箸にも棒にも掛からぬ生徒には『自衛隊に行け、さもなくば調理師になれ』と言うぐらいですよ」と、微妙なことまで発言してました。

 M氏は現在、関東のホテルの調理場で勤務していますが、本当はカレー屋さんを続けたかったらしいのです。しかし、帯広はカレーの激戦区で、あの有名な「coco壱番屋」も数年で撤退したそうです。

 M氏が作るカレーを食べながらブルースを聴いていた、いや、ブルースを聴きながらカレーを食べていたあの頃が本当に懐かしくなりました。

「いきなり!ステーキ」はひど過ぎる!

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 最近、仏教の勉強をしているというのに、根本的に人間ができていないせいなのか、毎日、怒ってばかりいます。

 ニュースを見聞しては怒り、うるさい観光客には怒り、電車内でマナーを守らない人間には怒り、といった調子です。

 また、仏教の四苦八苦の一つである怨憎会苦にも悩まされています。会いたくもないのに、顔を合わせてしまうという地獄のような苦しみです。職場では、人の恩を仇で返す人間les hommes ingratsに会ってしまう巡り合わせに怒り、集合住宅で、挨拶をしないで顔をそむける人間と、会いたくもないのに、出くわしてしまうことに怒ったりしてしまいます。ほんの十秒でも時間差があれば会わずに済むんですが、不思議なことに、会ってしまいます。

 でも、そんな怒りは連鎖するんですね。

 昨年、日本を代表する経済紙に、「いきなり!ステーキ」の売り上げが落ちて大変だ、という記事を読み、「かわいそうに」と思い、本日、会社の近くの東京・銀座四丁目店にランチで行ってみました。実に2年ぶりぐらいでした。

 以前は、ステーキなのに立ち食いでしたが、入ってみると、座りの席に改装されていて超満員。「よかったじゃないか」と同情したところ、店のおばさんが、ツカツカと寄ってきて、「今、満員ですので、少しお待ち頂きますが…」と言いながら、店の外に連れ出して、「ここでお待ちください」というではありませんか!

 店内で待っていても、場所的に余裕があるのに、1月の寒風が吹きすさぶ戸外で待てというのか!!「ここで」と大人を捕まえて幼稚園児扱いするので、キレてしまい、「冗談じゃねえぞ」と、怒りにまかせた暴言を小声で吐いて、立ち去りました。

 誠に、ひどい店ですね。客扱いが全くなっていない。客商売じゃありませんよ。これで、 「いきなり!ステーキ」 の業績が悪くなったことがよーく分かりました。同情して損しましたよ。

 この後、行くあてもなく、ランチの店を物色したところ、以前、よく行ったことがあるフランス料理店が潰れて、他の店に代わっていました。

 入ってみると、店員の感じがとてもよく、ランチの値段も銀座にしては、上の写真の通り、手頃な価格。

 しかも、この価格でドリンクバー付きで、スープやジュースやウーロン茶やコーヒーが飲み放題。そりゃあ、お値段なりで、味は超美味とまではいきませんが、安さ抜群です。

 この店なら、もう一度行ってみようかと思っています。

古着は着てても心は錦=非正規労働者と年金生活者のための強い味方

どうも人混みが嫌いなもんで、正月休みは、初詣も買い物もほとんど近場で済ましてしまいました。

 たった1日だけ行った都心は、日暮里でした。なあんだ、そんな所か、と仰らず、まあ、先を聞いてくださいな。

 日暮里駅前に建つ太田道灌像

 日暮里に行ったのも訳がありました。

 冬の寒い日用に、新しいセーターを買おうか、と思ったわけです。ちょっと気になったのが、英国製のフィッシャーマンズセーター。チャンネル・ジャンパー社のオルダニーセーターが2万0350円でした。また、英国王室御用達で、あのスティーブ・ジョブズも愛着したというジョン・スメドレー。そのケーブル編みセーターが4万5980円もしました。うーん、ちょっと高いなあ…と二の足を踏んでいたところ、思わぬ噂が耳に飛び込んできました。

 「日暮里に行けば、2~3万円のセーターでも、4~5千円で買えますよ。ただし、古着ですけど」

 古着?いいじゃないですか。自慢じゃないですが、私は、京都・北野天満宮の「終い天神」の市場で、高級英国製ジャケットの古着を格別の安さで購入したことがあるのです。

黒岩一郎商店

 で、紹介されたのは、日暮里中央通りの布専門店街の北の端にある「黒岩一郎商店」でした。JR山手線・京浜東北線の日暮里駅か鶯谷駅、または常磐線の三河島駅が一番近いようです。

 古着専門店ですが、商店の看板もなく、店構えも一見、大正か昭和時代のレトロです。畳10畳あるかないか、といった程度の敷地でした。上の写真のように、ガラスが割れても修理する余裕がないようです。でも、お宝がザックザックでした。店内全てを見なかったのですが、紳士専門店でした。

 70歳代後半と思われる店主に、「セーターありますか?」と尋ねたところ、店先に無造作にセーターが山積みになっていました。25着ぐらいあったでしょうか。直ぐ、良さそうなものが見つかりました。5000円以内ならすぐ買おうと思って、店主に値段を聞いたところ、「みんな600円ですよ」と言うではありませんか。一桁、間違っているかと思いました。

 ということで、適当に見繕って、自分が着ることができる大きさと柄だけをみて、3着も買ってしまいました。

 これで、合計、たったの1800円。

 えっ!?ですよ。まさに、クリーニング代で3着も買えてしまったのです。これなら、非正規労働者でも、2000万円の貯金がない年金生活者でも、凍死することなく冬を越せそうです。

 セーターを買うために、この店に寄ったのですが、ほかに、ダウンジャケット風のジャンパーなどがあり、これらはどれも1200円で販売されていました。原価はどう見ても1万円、いや2〜3万円しそうな代物でした。

 好きな彼氏のためのプレゼントでもいいじゃありませんか。まさか、本命の彼氏も破格の値段に気が付くわけありませんよ(笑)。私もまた、いつか日を改めて、ダウンジャケットでも買いに行こうかと思っています。

 人聞きの悪い言い方ですが、この店は、あまり儲かっていそうに見えなかったので、宣伝も込めてこの店を紹介することにしました。御主人にお金を払う際に、「採算取れているんですか?」と念を押したら、御本人は苦笑いしてましたけどね。