翻訳家なんかになるもんじゃない?

 一昨日まで、江戸時代の仙台藩士のことを書いていたかと思えば、昨日は、フランスのマルセル・プルートの話となり、関連性もまとまりもなく、読者の皆様もこのブログに付いていくのが大変だと拝察申し上げます。

 私自身は、毎月30冊読破していた若い頃の仕事の延長線みたいな感じでブログを書き続けていますが、さすがに御老体となり、日常生活にも差し触り、「誰か止めてくれ~」と叫びたくなるほどです(笑)。

 とは言いながら、またまた、ずばぬけて面白い本を読んでしまったので、このブログで御紹介せざるを得ません。宮崎伸治著「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」(フォレスト出版、2020年12月1日初版)です。内容は、タイトルになっているそのものズバリです。出版業界の、特に翻訳家の皆さんが、これほどまでに「天国」と「地獄」を味わうものなのか、全く知らず、まさに手に汗を握る推理小説(実際は過酷なドキュメントなんですが)を読んでいる感じで、一気に読んでしまいました。

 著者の宮崎氏は、本の略歴等を引用させて頂きますと、1963年広島県生まれ。青学大卒後、英シェフィールド大学大学院で修士号を取得し、大学職員、英会話講師を経て、翻訳家になった人です。30代の10年間で50冊もの翻訳書を出版するものの、出版社と裁判訴訟になるほど数々のトラブルに見舞われます。最後は裁判で勝訴しますが、精神的トラウマや燃え尽き症候群などで2012年に出版業界から足を洗い、現在は警備員をされている方です。(ご本人は、裁判中に受ける精神的苦痛や、出版中止などのリスクを負うくらいなら、警備員の方が何倍もいいという結論になる、とあとがきで書いています)

 本書の中では、「裁判記録の非公開」を条件に和解した案件もあるので、出てくる出版社や翻訳書の書名等はイニシャルなどになっているので推測するしかありませんが、大手出版社と思われる有名出版社も、随分、えげつないことをやっているなあ、という記述が散見します。

 勿論、著者が翻訳した本がベストセラーになり、かなりの印税も入って、「天国」を見ることもありますが、ほとんどは「地獄」の話です。私も、作家の印税は10%だということは知っていましたが、翻訳者の印税について不勉強で知りませんでした。最高に近いのが8%で、宮崎氏の場合、最初は「6%」と提示されていても、「出版不況」だの何だのと色々と理由を並べられて、「4%」に大幅ダウンさせられる暴挙を突き付けられ、涙を飲んで忍ぶ場面が数々出てきます。

 翻訳家にとって、最も痛手となるのが出版中止です。7年がかりで訳した1650ページに及ぶ翻訳書が出版中止されて、「死を考えることすらあった」という翻訳家(宮崎氏ではないが、裁判所でその陳述書を読んで、「胸が張り裂けそうになった」と書いています)の話も出てきます。

 とにかく、編集者との会話や電話やメールとのやり取りを宮崎氏は本当によく覚えているものだと感心しました(恐らく日記を付けていたのでしょう)。編集者は依頼するとき、「大急ぎで、1カ月で翻訳してください」と注文し、宮崎氏は不眠不休の仕事でしっかり締め切りを守ったというのに、原稿を送っても、数週間、梨のつぶてで、1カ月待たされ、2カ月待たされ、半年、1年…と放置され、イライラのし通しです。その間は、無収入ですから、フリーの翻訳者となると生活も大変です(宮崎氏は、軌道に乗るまでアルバイトをすることを勧めていますが)

 まず、翻訳家になること自体が大変です。宮崎氏も最初は何十社もの出版社に原稿を送ったり、訪問したり、電話やメールをしたりしてアプローチしますが、最初は、翻訳者の名前すらも出て来ない「ゴースト翻訳者」扱いです。

 面白かったのは、ある翻訳書を出版する際、B書院の女性編集者から、本を売るために「監修者に渡部昇一先生の名前を出してほしい」と言われたことです。宮崎氏は「一方がビッグネームだったら、私の名前はかすんでしまう。そうなるともう、その本は実質的には渡部昇一の本になってしまう。私が何カ月もかけて翻訳したというのに、たった1日か2日だけ仕事しただけでカバーに名前を載せるんですか。それっておかしくないですか」と抵抗すると、その女性編集者は「だって、宮崎さんって、何でもない人じゃないですか」と言われたといいます。「その悔しさはその後も消え去ることはなかった」と宮崎氏は書いていますが、渡部昇一氏(ペンネーム大島淳一)に関しては、大変面白い後日談があり、それは本書をお読みください(笑)。出版界の裏が分かります。

 私もこの本を読んで、色々考えさせられました。私自身は、もう「終わった人」だからいいものの、少なくとも、「業界の実態を知らずに出版翻訳家にならなくてよかった」と胸をなでおろしています。

 

花の名前が瞬時に分かるアプリ=AIさんも悩みます

コデマリ Copyright par Keiryusai

 文章は難しい。

 書いた本人が全く意図しなかったことを、曲解する人がいたりして心を痛めています。

 先日は大の親友が急死し、その追悼文めいたことをこのブログに書いたのですが、ある人から「お前は自己中で、亡くなったK君のことを一つも慮っていない。思いやりがない。その性格は永遠に治らない」などと非難してきたのです。あまりにも心外で、問い質してみると、私自身が全く思いもつかない「悪行」を並べ立てられました。指摘してきた人は、匿名の知らない人ではなく、一緒に彼の追悼会をやろうと呼び掛けた親友の一人でもあったのですが、非難するだけでなく、その追悼会参加も取りやめると宣言するぐらいですから茫然自失です。

 かといえば、5月4日に書いた「花の美しさはない=雲の波間に消え去った彼」という記事の中で、「毒された欲望資本主義には異議を唱えたい。」と書くべきところを、変換ミスで、「毒された欲望資本主義には意義を唱えたい。」と書いてしまい、「ネット界の小舅」との異名を持つある人から、「超キモチイー」と鬼の首を取ったように指摘されました。こちらの間違いですから、反省しなければならないのですが、ちゃんと「間違いの御指摘有難う御座いました」と返信したにも関わらず、「誰にも知られないように、そっと訂正するとは、どこかのマスコミみたいだ」と輪をかけて批判する始末。

 文章だけでなく、人間関係も難しい。

Copyright par Keiryusai

 というわけで、すっかりミザントロープになってしまい、散歩がてら、路傍に咲いている花々を愛でて、心を癒しています。

 でも、残念ながら、花の名前が分からない! そしたら、偶然、ラジオを聴いていたら、スマホをかざすだけで、花の名前が分かるアプリがあるというので、早速試してみました。

 花の名前が分かるアプリは、どうやら何十種類もあることが分かったのですが、逆に何を選んだらいいのか分からなくなってしまいました。その中で、取り敢えず、千葉工業大学が開発した人工知能(AI)「ハナノナ」をインストールしてみました。

 それが上の写真の「ロベリア」です。まだ、使い方はよく分かりませんが、花にスマホのアプリの撮影モードでかざすと、花の名前の候補が何種類か出てきて、例えば、「ロベリア95%」などと表示されるので、撮影者は「決定」ボタンを選択して保存すると、上の写真のように花の名前まで印字されるわけです。

ジャガイモ Copyright par Keiryusai

 それが、100%と決定的に分かる花だったら良いのですが、AIさんでも迷うことがあります(笑)。

 例えば、上の写真の花は、花卉も栽培している農地で咲いていたので、何となくジャガイモの花のような気がしたのですが、このアプリをかざすと、「クリンザクラ45%」「サクラソウ属35%」「ワルナスビ50%」「サトイモ科65%」…と目まぐるしく変わり、「一体、何の花なんじゃい」とAIに声を掛けたくなりました。

カラー Copyright par Keiryusai

 こちらの上の写真もそうです。

 どっかで見たことがあるので、直ぐ答えが出てくるかと思ったら、「カラーリリー75%」「アルム65%」「サトイモ科70%」「ギボウシ40%」「ミズバショウ45%」…とこちらも目まぐるしく変わります。ちなみに、この確率の%も変化します。カラーリリーでも30%になったり、80%になったり、瞬時に変わるのです。

 でも、とっても面白いアプリなので、散歩がてら遊んでいます。皆さんも御自分に合ったアプリを見つけてインストールしてみたら如何ですか? 心優しいミザントロープさんにはお薦めです。

 嗚呼、でも、この文章を読んで、また曲解する人がいるかもしれないと思うと、夜も眠れないですねえ。。。

高校時代からの親友神林康君が急死=ショックで立ち直れない

東京・銀座 「すが家」

 海城高校時代からの親友が急死したと聞いて、落ち込んでいます。

 今朝、急にテリー君から「康さん 御冥福をお祈りします。」とメールがあり、「えっ?何のこと? 高校の先輩で国際暗黒プロデューサーとして著名の康芳夫氏に御不幸があったのかしら?」と思ったら御健在で、後で、親友の神林康君のことだと分かり吃驚仰天。しかも、亡くなったのは4月27日(火)だったということで、10日も前のこと。病院に行く前に心筋梗塞で倒れ、そのまま、帰らぬ人になったというのです。行年64歳。今の御時世、若過ぎる。

 彼は一人っ子の独身で、都内で独り暮らしだったので、伝えようがありません。彼とは月に数回は連絡を取り合っていて、亡くなる数日前にテレビ電話で私の孫と一緒に話したばかりだったので、余計にショックでした。

 彼とは高校時代からのバンド仲間でした。彼の急死がどうして分かったかと言いますと、同じバンド仲間の幸信君が神林君とは中学、高校とも同窓で、中学時代のグループが、最近、神林君から連絡がないと不審に思い、連絡を取ったら、神林君の従兄弟が出てきて訃報を知らせてくれたというのです。

東京・銀座 「すが家」 広島産鯛茶漬け定食 抹茶付き 1600円

 それにしてもショックです。彼と初めて会ったのは高校1年の時で、私が無謀にも東京・池袋の東武百貨店内の楽器店で開催された素人バンド演奏会に申し込み、あまりにも下手くそだったので、観客として来ていた幸信君の中学時代からの友人だった神林君が堪りかねて飛び入り参加してくれたのでした。ギターとボーカルが私、ギターが幸信君、ドラムが黒川君、キーボードが武藤君、ベースが福沢君だったと思いますが、記憶は曖昧。皆、1年5組でした。神林君は1年8組でベーシストで、他の人とバンドを組んでいました。

 高校2年になると、彼とは同じクラスになり、ギター幸信君、ドラムス黒川君、ベース神林君との4人で、ビートルズのコピーバンドを結成しました。大学時代まで続き、名前は「ザ・ツオンズ」(雑音のこと)とか、「ドクター・ペッパーズ・ハッピー・メンタル・バンド」とか「ザ・パーハップス」(神林君と幸信君の「まあな」という口癖から)とか変遷しました。神林君はベースの他に、ギターもプロ並みにうまく、彼の日野の自宅に週末は泊りがけで遊びに行き、コードの抑え方など色々と教えてもらい、私の師匠のような存在でした。彼は楽譜は読めず、レコードを聴いただけで、音をとってしまうのです。耳が抜群に良いのです。何で?と聞いたら、彼の御尊父がピアノの調律師だったらしく、彼にも絶対音感があり、「遺伝かなあ」と打ち明けていました。

銀座 「すが家」 抹茶

 半世紀近い付き合いだったので、私の若い頃の華麗なる遍歴まで、彼は色々知っています。私が学生時代に失恋した時とか、仕事で失敗した時などは酔いつぶれて、彼には随分一方的に迷惑を掛けたものです。これから、もっとあの頃の恩返しをしたいと思っていたので残念無念です。

 社会人になってからお互い忙しくなりましたが、40歳過ぎてバンドを復活させて、幸信君の会社の同僚で、声量抜群のテリー君にヴォーカル参加してもらったりして、バンド遊びを続けてきました。でも、病気がちの彼は、急に体調を悪くしてドタキャンが続き、もう10年以上はバンド遊びができませんでした。それでも、連絡する度に「今度、またバンドやろうね」と約束してくれました。その約束を反故にするなんて…。

 確かに、神林君は社会的に何かをやり遂げたわけでもなく、市井の無名人であり、ブログに書くのもどうかなと思いましたが、私にとっては大切な親友です。もしかして、人類の中で最も、心の奥底まで何でも打ち明けることができる、かけがえのない友人でした。何と言っても、このブログを書いている本人が全く無名の凡夫なのですから、有名だからと言って、ナンボのもんじゃいですよ(苦笑)。

 もしかして、神林康君の急死をこのブログで初めて知る人もいるかもしれません。皆さんと一緒に彼のことを思い出して、冥福をお祈りしたいと思っています。それにしても、悲し過ぎる。

人生に上下も勝ち負けもない、という発想=老荘思想

所沢航空公園 大正天皇御駐輦(ちゅうれん)碑 Copyright par Keiryusai

 大型連休期間中は、「不要不急の外出は控えよ」「自粛せよ」「酒は店で呑むな」といった政府の法令に圧倒されて、結局、遠出はできませんでした。よゐこなもんで(笑)。

 不良になって、ちょっと近場のお城巡りでもしたかったんですけど、それも控えました。天気のせいもありましたが(苦笑)。ただ唯一例外として出掛けたのは、お墓参りといいますが、お墓のお掃除と草むしりでした。

 お墓は、埼玉県所沢市の航空公園駅からバスで5分ぐらいの所にあります。亡き父親が購入しましたが、結構広大です。同じ霊園に、お笑いの三波伸介さんのお墓もありますが、ウチはその3倍以上の敷地面積はありました。草むしりも大変でした(苦笑)。

 何故、九州出身の父親がここを最期の地として選んだのかといいますと、御縁があったからでした。もともと、航空公園は明治44年(1911年)、日本で最初に開設された飛行場でした。戦時中には陸軍航空整備学校なども開校し、陸軍に志願して入隊した父は、最初は飛行士を目指すものの、色覚異常のため、飛行機の整備員に回され、この所沢にも配属されたことがあったと聞きます。他に青森県の三沢基地にも配属されたらしく、生前にもっと詳しく話を聞いておけばよかったのですが、整備した飛行機の中に、確か「飛燕」があったと記憶しています。

紫蘭(Y氏から御教授賜りました) 所沢航空公園 Copyright par Keiryusai

 戦後になって、父は運輸省(現国土交通省)の航空管制官になり、長らく東京交通管制部に勤務しましたが、その本部が1963年から77年まで東京都東久留米市、77年以降に所沢市に移転したので、他にも成田や釧路など色々と転勤しましたが、東久留米と所沢での勤務が一番長かったのでした。

 そういうわけで、父と所沢とは不思議な縁でつながっていたわけです。

 私は、自宅から所沢の航空公園駅まで電車とバスで行きましたが、車内でずっと読んでいたのが、この野村総一郎著「人生に、上下も勝ち負けもありません」(文響社、2019年4月初版)という本でした。著者の野村氏は、読売新聞の「人生案内」の回答者としても有名な精神科医です。

 内容はタイトル通りで、それで終わってしまいますが、著者は、「上り坂の儒家、下り坂の老荘」という言葉を引用して、元気な時は、「論語」の孔子の思想が良いかもしれないが、いまいち元気がなく、行き詰っている時は、無為自然に任せて気楽に生きろという老子の方がいいんじゃないか、と提案しているのです。

 確かに、先日、このブログでも、今最も注目されている渋沢栄一の「論語と算盤」を御紹介しましたが、500もの企業を起業したイケイケドンドンのいつも「人生上り坂」の渋沢栄一なら、そのブレーキ役のような孔子の「論語」が必要とされるかもしれませんが、何をやってもうまくいかず、いつも劣等感に苛まれているような人(私もその典型かなあ~~)にとっては、老荘思想の方が心の薬になるかもしれません。

 45年間、延べ10万人以上の患者さんと向き合ってきたという野村氏によると、ヒトの悩みや不安の根本的な原因は、他人と比較するからだといいます。そこで、人と比較したり、判定したりするような、つまり、ジャッジすることを意識的にやめることを勧めています。

 また、精神科医野村氏によると、心の問題を抱える人の傾向には4種類あるといいます。それは、(1)自分は駄目な人間だという「劣等意識」(2)自分は損ばかりして、やられてばかりいるという「被害者意識」(3)自分は完璧でなければいけないのに、それができないとう「完璧主義」(4)自分のペースに拘る「執着主義」

 これらを乗り越えるために、どうしたらいいのかー。やはり、考え方や、思考傾向を変える必要があり、それには老荘思想が役に立ち、タイトルの通り、「人生に、上下も勝ち負けもない」ことを悟るべきだと著者は言うのです。本書では老子の言葉を易しく「意訳」ではなく「医訳」してくれます。例えば、老子の「人に勝つものは力あり。自ら勝つものは強し」は「人に勝つ人というのは力(権力、経済力、腕力)がある。しかし、本当に強いのは『自分の弱さに勝つ人』だ」と医訳しています。

散歩途中で見かける花の名前が分からず困っていたので、植物の名前が瞬時に分かるアプリを発見して導入しました。このアプリは千葉工業大学が開発したAI「ハナノナ」です

 もう一つ、私が好きな老子の言葉「恨みに報ゆるに徳をもってす」は、「酷い扱いを受けても、まるで恩を受けたように、そっと優しく返してあげるのが徳というものだ」などと医訳しています。

 どなたも、気分が落ち込んだ時、この本を読めば、少しは、気持ちが楽になるかもしれません。

花の美しさはない=雲の波間に消え去った彼

Cloud  Copyright par Keiryusai

 雲をつかむような話です。

 遠く異国に棲む旧友であり、都会の賢人でもあるT君が夢枕に立ち、「美しい花がある。花の美しさというようなものは無い」と急に言い出しました。

 急に何のことなのだろうか、と訝しがっていると、彼はこう続けました。

 一匹の猿が山桜を眺めていたとしましょう。果たしてこの猿は、山桜の美しさを愛でていたのでしょうか? 恐らくそうではあるまい。花や葉に隠れて、何か食べられる実でもなっているのかどうか、確かめていたに違いないのです。同じように、川面に立つシロサギが一心不乱に川の流れを見つめています。果たして、このシロサギは光が屈折して反射する美しい川の流れを我を忘れて眺めていたのでしょうか? そうではなく、生きる糧である小魚でも探していたに違いないのです。

 つまり、美しい山桜があるが、山桜の美しさというものはない、のです。

 美しい川はあるが、川の美しさというものはない、のです。

 翻って、ヒトは何故、桜を愛でたりするのでしょうか? 美しい桜はあるが、桜の美しさはないというのに…。

うーむ、そう言われてみると、そうなのかもしれません。

 彼はさらに続けます。

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「欲望の資本主義」が最期に行き着く所は、貧富格差の膨大な拡大と人類の破滅です。現代の経済学は、数理化、数値化し、金融工学として発展し、人間一人ひとりの感情を置いてきぼりにして、疎外していきました。

 今一番、見直さなければならないのは、宇沢弘文(1928〜2014年)が唱えた社会的共通資本です。地球環境も、医療も教育も人類が持つ社会的共通資本です。これらが、金融工学のような功利主義や儲け主義と合うわけがありません。そもそも、環境保護も医療も教育も投下資本に見合った見返りがあるわけがなく、最初から採算が合わないものなのです。

 僕も、毒された欲望資本主義には異議を唱えたい。

 冷静に考えれば、文学も美術も音楽も芸術など表象(シーニュ)に過ぎないのです。ブランドに過ぎないのです。何?ベートーヴェン? 交響曲7番? サントリーホールで、クラウディオ・アバド指揮のベルリン・フィル? そりゃあ何万円しようが、チケットは手に入れなければー。といった調子で、人々はシーニュに踊らされているだけなのです。それが貴方の人生なのですか?と言いたい。

Cloud  Copyright par Keiryusai

 僕はね、そんな毒された欲望資本主義には背を向けて、この世に生まれて来たからには、何でも自分でやろうとしてきたんだよ。ピアノとギターを独習して、何十曲も自分で作詞作曲してきたし、下手なりに油絵も水墨画にも挑戦してきた。

 料理も自分なりに工夫して作ってきた。食べられるキノコや雑草まで散々調べたし、美味い野菜を作るために土壌の勉強までしてきた。これもそれも、オーダーメードの、ありきたりの、お膳立てされたものばかりでは飽きたらなかったからなのです。味噌も作ったし、漬物もパンもお手製で作ってきた。

それが人生ってもんじゃないのかい?親や教師や上司がお膳立てした道を歩めば、そりゃ楽だろう。でも、そんな他人が決めた人生をなぞって何が面白いのだろう?

僕はもう若くないし、後戻りはできないけど、自分なりに苦労して切り開いてきた道に関しては、一点の曇りもないほど後悔はしていませんよ。功成り名遂げたわけではないけれど、少なくとも自分は強欲ではなかったし、常に謙虚であることを心掛け、他人を利用したり、踏台にしようとしたことなど一度もありませんでしたから。

そう言うと、彼は、雲の波間に吸い込まれるように消えていきました。

あの人が手ぐすねを引いて返り咲きを狙っているらしい

2021年4月30日 緊急事態宣言下の東京・銀座

 4月29日は、3度目の緊急事態宣言が発令された東京都内で新たな新型コロナ感染者が1027人に上りました。1日の感染者が1000人を突破したのは3カ月ぶりですが、我々はこれから一体、何処に行くのでしょうか?

 とはいっても、昨年4月に初めて緊急事態宣言が発令された時と比べて、緊張感がありませんね。4月28日まで、「越境呑み」なるものが流行ったらしいのです。緊急事態宣言が発令された東京では、居酒屋でさえお酒の提供が自粛されたので、東京人が川を越境して隣りの県の居酒屋に流れ込んだというのです。「せんべろ」(千円呑んでベロベロ)で有名な東京・北区の赤羽で飲めなくなった東京人は、荒川を渡って、縁もゆかりもない隣りの埼玉県川口市へ。東京南部にお住まいの東京人は多摩川を渡って、お隣りの神奈川県川崎市や横浜にまで遠征。東部の東京人は江戸川を渡って、千葉県の船橋市や浦安市や松戸市へなだれ込んで、「お酒を求めて三千里」の旅です。

 こうなれば、各紙も報道しているように、度重なる宣言で「緊張が緩んだ」というより、もう「我慢の限界」てなところでしょうか。(28日以降は、東京近県の都市もお酒提供が自粛になりました)

 私が住む街も民度が高いとはいえず、緊急事態宣言が発令されたわけではないので、駅近くの立ち飲みが多い居酒屋街ではどこの店も満員です。扉を開放しているので、外からでも中が丸見えです。マスクなしで至近距離で大声で話しながら、つばきを飛ばしながら、密集して呑んでいるので、大丈夫かなあ、と思ってしまいます。

 まあ、余計なお世話なんでしょうが、変異ウイルスはかなり強烈で、見くびれないということを肝に銘じておくべきだと思います。インドでは、変異ウイルスで28日に1日の感染者が35万人を超え、死者も3000人を超えたというではありませんか。

銀座 長寿庵 かつ丼1100円 朝、自宅近くで通勤途中、狭い歩道を、自転車で道路交通法違反の右通行で突進して来た女に轢かれそうになりました。民度の低い街です。

 恐ろしいのは、一度新型コロナに罹れば、免疫ができて、一安心かと思っていたら、後遺症がかなり長期にわたり、しかも激しいらしいですね。4月23日付の「日経サイエンス」によると、発症から半年後も6割以上の人が倦怠感と筋力の衰えを感じているといいます。新型コロナによる死亡率は65歳以上の高齢者が圧倒的に多いのですが、後遺症に関しては、軽症と思われていた20代、30代の若年層の方が多いといいます。

 後遺症の症状は、倦怠感の他に、睡眠障害、脱毛、臭覚障害、動悸、関節痛、記憶障害、集中力の低下などです。これではまるで精神疾患と同じです。倦怠感などは外見では分からないので、酷いケースでは、単に「こいつは怠けている」とみなされて、家族からも、会社からも理解されることなく、仕事をクビになる人もいたといいます。

◇我々は何処へ行くのか?

 さて、最初の難問に戻って、我々、この先、何処へ連れていかれるのでしょうか?

 私は占い師でも予言者でもないので、先のことは分かりませんが、最悪のシナリオは、このまま感染が拡大して収束しなければ、東京五輪開催は中止。強引に強行したとしても「無観客試合」で、入場料収入が見込めない大会組織委員会は、大幅な赤字を抱え、国民の皆さま(その前に開催地の都民の皆さま)に赤字補填の御願い。当然、国民の支持を失った菅内閣は総辞職し、あの健康回復した安倍さんが「意欲満々」を取り戻して、再々出馬し、総理大臣に返り咲き。もう勘弁してくれよ~と叫びたくなります。

【追記】

 東京都内は映画館、劇場も閉鎖されてしまったことから、東京にお住まいの会社の同僚は、川崎まで越境して、アカデミー賞作品賞・監督賞受賞の「ノマドランド」を見に行ったらしいです。この作品、私は早めに公開日に見てしまいましたからね。アカデミー賞まで取るとは思いませんでしたが。

映画字幕で楽しく英語のお勉強

富士山 Copyright par Duc de Matsuoqua

  昨日のこのブログで「予想が裏切られた時、深い情報処理が起こる=『英語独習法』」のタイトルで、映画の字幕を活用した英語独習を紹介(というか引用)させて頂きました。

 自分では易しく、つまり分かりやすく書いたつもりだったのですが、皆さま御存知の釈正道老師から早速反応がありまして、「私には難解です。貴兄の原稿は、素人にはチンプンカンプンでした。」とのコメントを頂きました。

 あれえ~?私には大した学も教養もないので、小生のようなレベルの文章は朝飯前のはずです。しかも、釈正道老師は現役時代、誰でも知っている大手マスコミのエリート幹部としてブイブイ言わせた御仁です。難解、なんて言ったら御卒業された福沢先生が泣きますよ。

 その一方で、フェイスブックで繋がっているK氏から「我が意を得たり!」と同感して頂きました。私の嫌いなフェイスブックのサイトでこのブログをお読みの方は10人ぐらいでしょうから、敢て「本文」に再録させて頂きます(笑)。ちなみに、K氏は謙遜されておられますが、東京外国語大学英米語学科を卒業された「英語の達人」です。

(すみません、勝手ながら、引用文は少し加筆、改変してます)

築地「ふじむら」 カキフライとなかおちのハーフ定食1100円

 …「英語独習法」の著者今井むつみ氏の提唱される「映画熟見」は、まさに僕が貧弱な英語力を落とさないよう細々と続けているメソッドとよく似ており、一番効果的と感じるものの一つです❗️何たって、楽しみながら謎解き気分で熱中できるところがいいですね。コロナ禍で、NHK BS や Amazon Prime の名画を楽しむ機会も格段に増えましたが、まさに目からウロコの連続です。

 予期せぬ副産物もあります。例えば、「カサブランカ」のボギーの名セリフとされる「君の瞳に乾杯」Here’s looking at you, kid.は、続けて観た「旅情」では、キャサリン・ヘプバーンが宿屋の女主人、つまり同性から言われており、男女のロマンとは関係ないことが分かりました。(ちなみに、「君に乾杯」は、Here’s to you, とも言うらしい。おお、サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」の出だしに出てきますね!=この項、渓流斎)

 また、「マイ・フェア・レディ」でオードリー・ヘプバーンが使うコックニー(英労働者階級が使うとされる英語)には、女性が普通使わない表現や、文法上おかしい表現が混じっていることを発見したりして、とてもここには書き切れません。(中略)貴兄のおかげで、英語へのアプローチで同じような楽しみ方をなさっている方がいるのがよく分かりました。…

 いやはや、勝手に引用されて、K氏も怒っておられるかもしれません。こうして、私もブログで何人もの大切な友人を失って来ました…。「日乗」と銘打っている関係上、ほぼ毎日更新しているため、どうかお許しを。

集団主義と個人主義の日仏異文化論=東京外語仏友会にオンライン参加

イチハツ 一初 Copyright par Keiryusai

 昨日は、大学の同窓会「仏友会」にオンラインZOOMで参加しました。仏友会というのは、「仏教を愛する会」というのではなく、東京外国語大学でフランス語を専攻した卒業生の親睦会です。正式には東京外語仏友会なのですが、戦前の昭和初期に作られたようです。

 私の学生時代は外国語学部だけでしたが、現在は3学部制になっていて、言語文化学部と国際社会学部の中にフランス語専攻があるようです。私の学生時代のフランス語科は60人でしたが、現在でも仏語専攻は60人ぐらいのようです。(半数の30人は必ず留学するそうです)

 東京外大のHPによると、大学の起源は幕末の1857年に開校された「蕃書調所」(西洋の書籍を解読して海外事情を調査)にまで遡ることができます。(東京・九段下に「蕃書調所跡」=竹本図書頭拝領屋敷上地=の碑がありますので、ご興味のある方は是非訪れてみてください。)

 過去の仏語出身者の中には、無政府主義者の大杉栄(1905年中退)、仏文学者でアンドレ・ジッド「狭き門」などの翻訳で知られる山内義雄(1915年卒)、無頼派作家の石川淳(1920年卒)、無頼派詩人の中原中也(1933年選科卒)、詩人でポール・ヴァレリー翻訳家の菱山修三(1909~67年)らがいます。

 私が学生時代に講義を受けた哲学のM教授(東京大学卒)は「外大フランス語の出身者というのは大杉栄とか中原中也ぐらいしかいないだろう?反逆者ばかりで主流派はいねえなあ」と言い放ったことが印象に残っています。確かにそうかもしれませんけど、主流派なんて言っても単なる体制派のことでしょう?人間生まれてきたからには「反抗精神」がなきゃつまらないじゃありませんか(笑)。

エニシダ Copyright par Keiryusai

 ということで、仏友会は変わり者の集まりと見られては困りますし、そんなこと言ったら藤倉会長から怒られますが、一癖ある個性派集団で、今でも大変優秀な人材を社会に輩出しております。上から言われたことを唯々諾々と従うことを良としない人が多いと言えるかもしれません。それなのに、仏友会は(途中戦争等で中断したこともありますが、)100年近くも続いていることは奇跡です。何故なら、同じ大学でも、英米語やロシア語専攻の出身者には同窓会がない、と聞いたことがあるからです。仏語専攻は恵まれています。個人主義ながら、結構、結束が固いのです。

 昨日の仏友会の講演会のゲスト講師は、東京外国語大学のジェローム・ルボワ准教授で、演題は「日仏文化の差異を考える」でした。非常に面白い話でしたが、時間が足りなくて、尻切れトンボのような感じだったので、もっと聴きたかったでした。まさに、今書いてきた個人主義に関する話だったからです。

 話を単純化すると、地理的に、歴史的に、文化的に、日本人は集団主義(ルボワ氏は集団性と表現していましたが)、フランス人は個人主義(同じく個人性)という大きな違いがあるというお話でした。(道理で、フランス語を専攻する日本人は個人主義になってしまうのか、もしくは、集団主義に馴染めず個人主義的傾向が強い日本人だからフランス語を専攻したのか、ということがはっきりしましたよ=笑)

 異文化論として、日本とフランスを比較すると、日本の国土は約37万平方キロメートルで、仏は約57万平方キロメートル。つまり、仏は日本の1.5倍の国土を持つ。それなのに、日本の人口は1億2800万人で、フランス(6500万人)の2倍もある。しかも、日本の国土の3分の2は人が住みにくい山地なので、仏と比べて遥かに人口密度が高い。そして、農耕時代から灌漑や農作業などで集団で「和」重んじて協働しなければならないので、地理的、歴史的、文化的に日本人は集団主義にならざるを得なくなった。一方のフランスは、早いうちから自律を求められることから、個人主義が芽生えていく。そんな話をルボワ准教授は展開していきました。

タチアオイ Copyright par Keiryusai

 ルボワ准教授は、17世紀後半にルイ14世の財務総監だったコルベールによってフランス外交の威信を高めるための外国語学校として創立された超難関校・国立東洋言語学院(INALCO=Institut national des langues et civilisations orientales)で博士号(「古代日本における皇室の女性」)を取得したということで、日本語はペラペラで、自らホワイトボードにスラスラと漢字を書きながら説明しておりました。

 日本とフランスを比較して、どちらが良くてどちらが悪いという話ではないことをルボワ准教授は強調しておりました。何しろ、個人主義のフランスには、同窓会もなければ、運動会も校内クラブ活動も、〇〇式も存在しないし、七五三もなければ、お祭りもないといいます。(ニースのカーニヴァルなどがあるが、あれは神事ではないし、日本のようなお祭りではないとか)

 「仏友会がある皆さんはうらやましい」とルボワ准教授は、しみじみと言いました。

 大変面白かったのは、講演後の質疑応答で、「仏男性と日本人女性が結婚するカップルが多いのに、日本人男性と仏女性の結婚が少ないのは何故だと思いますか」という質問でした。ルボワ准教授は「謎です」と言って、それには直接答えることはできませんでしたが、仏女性が結婚相手に最も重視するの「信頼」、二位が「気遣い」、三位が「ユーモア」。仏男性が結婚相手に最も重視するのは「見た目」(ここで会場から爆笑)、二位が「信頼」、三位「賢さ」という内訳を明らかにしてくれました。

 さらに、フランス語の la famille と日本語の「家族」というのは、別物であることを図示してくれました。日本の場合、両親と子どもがいるのが普通の家族なのですが、フランスの場合、結婚適齢期の半分は未婚で、半分の既婚者のうちその半分は離婚しているといいます。その離婚した者同士が子連れで結婚して、また、離婚したりするケースも多いので日本ほど「家族」は単純ではない、というのです。その典型的な例として、S氏が登場していましたが、このS氏とは、恐らくサルコジ元大統領のことではないか、とZOOMのチャット上で話題になりました(笑)。

【追記】

思い出しました!大学1年生の時、フランス人のデルモン先生から「何故フランス語を専攻したのですか?」と質問され、「フランス人女性と結婚するためです」と答えたことを思い出しました。

勿論、実現しませんでしたけど(笑)。

 

菅政権の政策は後手後手に回っているのでは=3回目の緊急事態宣言を考える

 銀座・熊本館

 本日4月25日(日)から東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で3回目の緊急事態宣言a state of emergency が発令されました。

 解せないのは5月11日までのわずか17日間だということです。昨日4月24日の時点で、大阪の感染者数は1097人、東京は876人。ちなみに…

第1回緊急事態宣言 2020年4月7日から5月25日までの49日間(発令日の東京の感染者数は87人だった!)

第2回緊急事態宣言 2021年1月8日から3月21日までの73日間(1月7日の東京の感染者数は2447人!)

 過去2回の緊急事態宣言と比べて、異様に短いことが分かります。変異ウイルスが大量に増えてきたというのに、です。

 今回、わずか17日間というのは、5月17日に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日するので、それまで何としてでも解除しておきたいという政治的忖度が働いたためではないかと噂されていますが、市民の生活よりも、経済との両立よりも、新型コロナ撲滅よりも、「オリンピックを優先させたい」という菅政権の思惑がチラつきます。

銀座・熊本館 1階は物産店ですが、2階には簡単な食堂がありました

 今回の緊急事態宣言でチグハグなことは、東京のよみうりランドや大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンは閉鎖させるというのに、東京ディスニーランド・シーの営業はオッケーよ、という政治的配慮です。ディスニーランド・シーは、普段は頭に「東京」を付けて観光客を煙に巻いておきながら、実際は千葉県浦安市にあることから、「緊急事態宣言地域じゃないもんね」ということで、御注進でもあったのかしら?今、総務省や厚生労働省などではタダ酒接待が流行っていますからね(笑)。遊園地関係の監督官庁は国土交通省なのかしら?(報道では、千葉県からの要請らしいですが)

銀座・熊本館 「天草 海鮮丼」(真鯛漬け丼)1000円

 もう一つは、対象地域の居酒屋では、時短営業どころか、酒類提供を禁止させることです。「お酒のない居酒屋なんて」とコマーシャルに使えそうです。それでいて、コンビニ等では酒類販売はオッケーということで、戸外の公園や路上だけでなく、夜の通勤電車の中で、堂々とビールや酎ハイなどを飲んでいる乗客が多いと聞きます。

 まさに政治家による恣意的、感情的、意図的政策があからさまに見え隠れします。

 個人的には、都内の映画館や劇場や美術館などが休館させられてしまい、ゴールデンウイークなのに行く所がなくなった難民化して、「あんりまあ、どうしてくれるんだよお」てな感じで嘆いているぐらいです。

2020年4月 第1回緊急事態宣言下の東京・銀座

 しかも、連休には、久しぶりに遠出して、鎌倉の寺社仏閣散策を再開して、今回は、建長寺、円覚寺などの禅宗寺巡りでもしようかなと思っていたら、神奈川県の黒岩知事は「神奈川県には遊びに来ないでください!」と、東京都の小池知事の「東京には来ないでください」の真似するぐらいですからね。

 せっかく、神奈川県のために、神奈川県の地で、大量のお金を散財しようかと思ったのに、残念なことでした。

 SNSで写真が投稿されていましたが、緊急事態宣言が発令されていない比較的感染者が少ない県のレストランの中には「他県からのお客様はお断り」の張り紙まで出す始末。「自分の県さえよければそれで良い」という実に分かりやすい日本人的行動ではあ~りませんか。

◇ワクチンの副作用で何人亡くなったのか?

 メディアでは、盛んにワクチン、ワクチンと騒いでいますが、「副反応」と分かりにくい用語を使って目くらませして、副作用で何人の死者が出たかについては積極的に報道してくれません。その前に、国民全員にPCR検査をして感染者を隔離する方が先、の話なのに、今の菅政権の政策は後手後手に回っています。

 まあ、今年のゴールデンウイークも読書三昧で、こうして「嘆き節」を唄ってお終いになりそうです。

 

「仙台藩士幕末世界一周」とhontoのこと

亀戸天神 藤棚 Copyright par Priest Syakushodou

本日は、人様のふんどしをお借りして相撲を取る所存。つまり、写真も文章も勝手ながら、大変優秀な皆様方から引用させていただくことに致します(笑)。

 写真は、最近、悪の道から離れて改心された釈正道老師。大変お忙しい中、上野山の東照宮の牡丹祭と亀戸天神の藤棚の写真を撮影して「寄進」してくださいました。

 文章は、最近、「ドライビング・ヒストリック・アメリカ」(同時代社)を上梓された松岡將氏。以下は、同氏から小生宛の私信メールで、個人情報もありますが、なるべく「素材」を生かして進めていきたいと存じます。(新聞協会の用語集に準拠して漢字に改めた箇所などあります)

上野・東照宮 牡丹祭 Copyright par Priest Syakushodou

 渓流斎様

(前・中略)

 ところで、「ドライビング・ヒストリック・アメリカ」(同時代社)の謹呈先の一人に、生粋の仙台っ子で、小生の東北学院中・高在学時の6年間一緒で、いつも仲良くトップを争そっていた三浦信なる人物(東北大工学部電気通信科から郵政省入りし、ジュネーブ在の国際電波割当委員会=当時=の事務局長などを歴任)がいるのですが、その彼から連絡があって、彼の五代前の祖先、仙台藩士玉蟲左大夫誼茂が、(「ドライビング・ヒストリック・アメリカ」第Ⅵ話にでてくる)ポーハタン号に乗艦してアメリカに行ったということを思い出して電話で教えてくれたのでした(不覚にも小生は寡聞にしてそれまで不存知)。

  早速、調べて見ると、玉蟲左大夫というのは仙台伊達藩の家臣で、その筆力を買われて仙台伊達藩の随員としてポーハタン号に乗って世界一周し、鋭い観察眼による「航米日録」なる長大な日誌を残していました。その後、戊辰戦役の際、奥羽越列藩同盟にあって、主要な役割を果たしたため、明治2年、戊辰戦役敗戦後捕縛され、仙台藩牢中で切腹した人物でした。明治維新後も勝海舟や榎本武揚の如くに存命であったなら、さぞかし“男を上げていたろうに”と思うと、まことに残念であるとともに、仙台藩の戊辰戦役敗戦処理が、明治大正昭和期に至るまで東北地方にもたらしたマイナスに、改めて想いを馳せつつ、ネット上で「うつつなく太守のブログ」玉虫左大夫のこと〜「仙台藩の坂本龍馬」と呼ばれた男の惜しむべき最期」という記事を発見して、彼の墓の所在を突き止め、そのネット上でのお墓参りもやったのでした。

 その後の旧友三浦君との電話連絡や小生の更なる調査で、岩波書店に「航米日録」が所収出版されていることのほか、玉蟲左大夫の残された三人の孫娘が、それぞれ山本、三浦、玉蟲姓を名乗り(明治22年の憲法発布時に玉蟲家のお家再興が許され、その際未婚だった三番目が婿取りをした――その孫が、有名な玉蟲文一)、その山本家の(小生と同じ年代の)玄孫、山本三郎氏が、2010年に、在仙台の「荒蝦夷」社から、「仙台藩士幕末世界一周」なる、玉蟲左大夫の「航米日録」のいわば現代語訳を出版していることを知りました。

 そんなこんなで、三浦君が早速、手持ちの「仙台藩士幕末世界一周」を送ってくれ、現在、手許でパラ見していますが、500ページにも及ぶ立派な本であり、玉蟲左大夫の玄孫である著者の山本三郎氏の心意気を、改めて感じています。なお、数年前に亡くなられた彼は、小生の二期下の東北大法学部卒で東北放送の出身。どうやら、最晩年をもっぱら仙台で、「仙台藩士幕末世界一周」の執筆、出版、普及に充てたようです。

 小生にあっては、たまたま、ポカホンタスとの関連から、ポーハタン号に言及していたのだが、それが、今回のような“出逢い”となって、三浦信君ともども「お互い長生きした結果だ」と喜び合っています。

 そんな次第であるので、もし貴兄が、山本三郎著「仙台藩士幕末世界一周」(2010年、荒蝦夷)を未読であれば、(2300円+税という安価でもあり)騙されたと思って是非ご購入の上、あちこちチラ見して、「たった一世紀半前の日本とアメリカ」とに、想いを馳せて下さい。

敬具

亀戸天神 藤棚 Copyright par Priest Syakushodou

 如何ですか?このようなメールを頂けば、「仙台藩士幕末世界一周」を購入したくなりますよね。もう10年以上昔の本ですから、本屋さんにあるかどうか…。手始めに、いつも私が利用している楽天の通販で検索してみました。

 残念ながらヒットしませんでした。

 仕方がないので、アマゾンで検索してみました。(仕方ない、というのは、別にベゾスさんとお友達でもないし、会ったこともないからです)すると、3389円+送料257円でした。あれっ?松岡氏の話では、2300円+税という話じゃなかったでしたっけ?

 よく見たら、中古本でした。それが一番安く、一番高いものは1万円以上もしました。新品も一番安くて6640円です。あれ?話が違う。。。稀覯本になってしまったのか?ちょっと、手が出ませんね。

 諦めかけていたところ、hontoという本専門の通販サイトが見つかりました(後で分かったのは、これは大日本印刷が運営するオンライン書店でした!)ここでは「仙台藩士幕末世界一周」は税込み2310円(他に送料等440円)で売っておりました。

 これなら話が合うので、早速、会員登録して購入することにしました。このhontoというサイトはなかなか優れもので、色々検索すると、欲しい本の在庫がある全国の書店まで紹介してくれます。hontoから宣伝費を貰っているわけではありませんが(笑)、もし、御存知でなかった方にはお勧めです。