ケインズ「雇用・利子および貨幣の一般理論」をついに読破=漫画ですが…

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1929年の大恐慌や、ナチスの台頭につながる第1次大戦後のドイツの賠償問題などを勉強していると、どうしても外せないのが、ジョン・メイナード・ケインズの経済理論です。

 いつぞやの話、国際金融アナリストの元山氏に、ケインズの代表作「一般理論」は難しい?と聞いたところ、彼は「君には無理だね。アインシュタインの『一般相対性理論』と同じぐらい難しいんじゃないかい」と断定するので、さすがに、心の中で「ムッ」としましたが、彼の忠告には従っておりました。

 あれから半年。彼から「君にふさわしい本があったから貸してあげるよ」と貸してくれたのが、漫画でした。

 ケインズの原作を漫画化した「雇用・利子および貨幣の一般理論」(イースト・プレス)でした。

 私は、漫画は中学生の頃までは熱中しましたが、それ以降はご無沙汰です。「えっ?漫画かい?」と思いましたが、これがなかなかよく出来ていて、原作を読む前の「取っ掛かり」というか、予備知識になることは確かでした。

 私自身、経済を専門的に学んだわけではなく、大学の教養課程の単位として「経済原論」を取った程度の知識しかありませんが、この原作の漫画化の中には、「有効需要」だの「限界消費性向」「流動性選好理論」だの、昔学んだ懐かしい用語がたくさん出てきて、易しく解説してくれます。ばかにできませんね(苦笑)。大変失礼致しました。

例えば、「債券の利率が購入時より下がれば、実質価格は上がり(この時この債権を売れば得)、逆に、利率が上がれば、債券の価値が下がる」といったややこしい文章も、数式と漫画で描いてくれるので、すっと頭に入りやすい。

 また、私なんかよく間違える「ブル(牛)とベア(熊)」理論も、漫画に出てくるということは、ケインズの「一般理論」の中に出てくる話だったんですね。牛と熊を闘わせたら、熊の方が強いから、ベアが強気、ブルが弱気と私なんか勘違いしてしまうのですが、ブル(牛)は下から上に攻撃することから、債券価格が上昇するということで「強気」。ベア(熊)は、上から下に攻撃することから、債券価格が下落するということで「弱気」と命名されたことが漫画で描かれ、この箇所を読んで分かり、これからは間違えることはないだろうな、と思った次第です(笑)。

 確かに、最初から無謀にも原作に挑戦して、途中で白旗をあげるよりも、無理をしないで漫画から入ったことは大成功でした。漫画とはいっても、内容は難しいことは難しいですからね。この漫画を貸してくれた元山氏には感謝申し上げます。

政府と吉本興業との関係は如何に

与太郎 ご隠居さま、御無沙汰しちまってます。

ご隠居 お、与太か、ま、こっちに入(へえ)んな。何かあったんかい?

与太郎 いえ、ね、最近の巷で騒ぎになってるお笑い芸人と芸能事務所とのいざこざ、何で、世間はそんなに騒ぐのか、ちっとも分かんねえもんで…。

ご隠居 吉本興業の話かえ? そりやあ、あったぼうよ。他人事じゃねえからよ。俺たちの懐も痛む話だってえことよ。

与太郎 えっ? それは一体、どういうこって?

ご隠居 まったく、お前さんも、相変わらずおめでたいねえ。安倍政権が2013年につくった官民ファンド「クールジャパン機構」を聞いたことないかい?政府、つまり元を正せば我々の税金がこの機構に約586億円出資されいるんじゃが、2014年と18年には吉本興業が関わる事業に計22億円を投入されちょるんだよ。今年は、吉本興業がNTTと組んだ教育と称する事業に対して、段階的に最大100億円を出資することまで決まっちょる。教育ったって、 何やら、吉本は、沖縄にアミューズメント施設を作って、お笑い芸人を出演させるらしいよ。

与太郎 へー、そうだったんすか。

ご隠居 安倍首相が吉本新喜劇の連中を官邸に呼んで、選挙前の人気取りに利用したりしたのを、お前さんは知らなかったのかい?

与太郎 あら、そう言えば、時の最高権力者の吉本への接近ぶりは異常でしたよね。

ご隠居 そう、つまり、吉本興業は、単なる一(いち)民間のお笑い芸能事務所というわけじゃないんだよ。それは支那事変(日中戦争)勃発後の昭和13年(1938年)に、国家事業として中国大陸に派遣した戦地慰問演芸団 「わらわし隊」のように、政府との結びつきは吉本の伝統でもあるわなあ。

与太郎 さすが、ご隠居、よく御存知で。

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ご隠居 知らないのはお前さんぐらいだよ。それより、今の政権ほど、文化事業に介入している与党政権はないんじゃないか。道徳教育と国家主義を標榜する右翼雑誌にも政府資金が流れているという噂じゃないか。

与太郎 ほんとですか?

ご隠居 単なる噂だけど、政治家指導による国民の税金の使い道は、納税者である国民自身がしっかり見届ける義務があるんじゃないかい?

与太郎 そう言えば、こないだ7月の参院選投票率はたったの48・80%で、24年ぶりに50%割ったらしいじゃないですか。日本人の政治意識の貧困さが表れているんじゃないすか?

ご隠居 おや、お前さんにしてはよく知ってるね。見上げたもんだよ。

与太郎 えへへへ、瓦版にそう書いておりやんした。受けおりっすよ(笑)。

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アンダークラスが国を滅ぼす?

 世間の皆様は、職場や喫茶店や居酒屋などでどんなお話をされているのか、見当もつきませんが、私の周囲は、私に似て(笑)真面目な人が多いせいなのか、政治や経済、社会問題についてばかり話題にします。例えばー。

 「参院選の焦点は、憲法改正ではなく、非正規雇用や年金問題でしょう」

 「今注目されているMMT(現代貨幣理論)は、昭和の高橋是清財政と共通点があるのではないか?」

 「毎日、日替わりメニューのように、高齢ドライバーによる死亡事故と幼児虐待のニュースが続いているなあ」

 といった感じです。馬鹿馬鹿しい、浮いた話はありません(笑)。

 A型日本人のインテリの典型なのか、非情にペシミスティック(悲観的)で、聞いている私も暗い気持ちになってしまいます。

 例えば、今、「アンダークラス」という階層が、社会問題になっていて、将来も経済財政問題に発展するだろうという悲観的予測です。

 アンダークラスというのは、現在30代後半から40代にかけての団塊ジュニアと呼ばれる世代に多く、彼らは「超就職氷河期」でなかなか正社員になれなかった世代です。いわゆる非正規雇用ですから、年金積み立てを払うのも苦しい。つまり、年金を支える世代なのに、納められないとなると、年金制度そのものが破綻する恐れがあるというのです。しかも、非正規雇用者が高齢になると、収入がなくなり、年金も貰えないので生活保護の対象となり、国家財政の負担も莫大になるというのです。

 今は、大企業が、非正規雇用者を安い賃金で使って、内部留保を溜め込んでも、将来は社会全体が機能しなくなるという悲観的予想です。

 彼は、社会全体の問題なら、政治問題にしなければならず、例えば、非正規雇用者が余裕を持って年金積み立てが支払えるように正社員にするべきではないかというのです。

 もう一人は、災害問題です。今はまだ動けるのでいいが、これから30年以内に関東大震災クラスの大地震が必ずやってくる。そんな時、80代を過ぎていて、身体が動けなかったりしたらどうしたらいいものか、東京から引っ越すべきか、心配で夜も眠れないというのです。

 いやあ、確かにその通りですが、それを聞いて私なんか「杞憂」という言葉が浮かんできました。メディアでは「人生100年時代」と、何とかの一つ覚えのように囃し立てておりますが、誰もが80代まで長生きできるとは限りませんからね。

 その方は、最近、人口知能(AI)にも凝っていて、将来、AIによって、今の50%仕事が25年以内になくなるという予想を信じ込んでおり、仕事を追われて、職業がない、社会に役立たない連中は「不要階級」と呼ばれるんだよ、と目をキラキラさせて開陳するのです。

 ハラリの「ホモ・デウス」からの引用らしいですが、人間を役立たずの不要階級に分類するなんて、あんまりですよね?

 インテリさんと話をしていても気分が暗くなってしまうし、面白くないなあ(苦笑)。

 だから、賢い世間の皆様は、政治や社会に関心がなく、参院選にも行かず、行っても、「他の党より良さそうだから」という気分で選んだり、芸能人のスキャンダルに喜んだり、電車の中でスマホゲームに熱中したり、原宿の人気店のタピオカを並んで買ったりしているんですね。

 そりゃあ、暗い気持ちになれるはずがない。。。

 

童話「オズの魔法使い」は経済書だった?

 最近、いろんな本を読んでいると、これまで長く生きていながら、知らなかったことばかり見つけます。

 例えば、万有引力の発見で知られる英国のアイザック・ニュートン。彼は、科学者だとばかり思っていたら、実は経済とも関係があり、英国造幣局の長官を務め、1717年に金と銀の価値比率 を1:15.21とする「ニュートン比価」を定めた人だったんですね。(ただし、ニュートンは市場の銀の金に対する相対価値を見誤ったようで、その後、英国を金本位制に移行する要因にもなったとも言われています)

 もう一つは、世界中の子どもたちが一度は読んだことがある童話「オズの魔法使い」です。1939年に、ジュディー・ガーランド主演で映画化され、知らない人がいないほどの作品です。

 それが、実は、子ども向けの童話ではなく、様々なことが隠喩、暗喩された経済書として読めるというお話なのです。何しろ、オズOZとは、金の重量の単位オンスと同じですからね。知らなかった人はビックリ。御存知の方にとっては「何で今さら?」というお話です。

  著者は、米国人児童文学作家ライマン・フランク・ボーム(1856~1919年、享年62)。この本は、1900年秋の大統領選挙前の5月に出版されました。大統領選は、共和党マッキンレーと民主党ブライアンとの闘いで、1896年に次ぎ、二度目です。 ボームが支持していたブライアンは、金銀複本位制の復活を主張しますが、またも敗れて、マッキンレーが再選します。

 この大統領選挙戦の最中に執筆された「オズの魔法使い」は、19世紀の米国経済が如実に反映されているというのです。

  経済史家らによると、カンザス州の自宅が竜巻でオズの王国に吹き飛ばれた主人公の少女ドロシーは、米国の伝統的価値観を代表し、子犬のトトは、米国禁酒党(Teetotalers)を象徴しているといいます。

 旅の途中でドロシーが出会ったカカシは、黄色のレンガの道で何度も転ぶことから、カカシは、金本位制(黄色のレンガ道)によってデフレに苦しんだ農民の象徴。ハートがないブリキの木こりは、工業労働者を意味し、臆病なライオンは、民主党大統領候補のブライアンのことだといいます。

 このほか、東の悪い魔女は、農民を圧迫するウォール街の金融や工業界を象徴し、第25、27代クリーブランド大統領を示唆し、 西の悪い魔女は、西部の鉄道王、石油王を象徴し、第28、29代マッキンリー大統領を示唆しているそうです。

 さらに、オズ王国には東西南北の4カ国があり、米国に類似しているといいます。それぞれ色によって分類され、東部は工業地帯のブルーカラーから青、南部は赤土から赤、西部はカリフォルニア州で金鉱が発見されたことから黄色。エメラルドの都となる北部ワシントンD.C.はドル紙幣の色から緑で表現されるといいます。

 最後に、ドロシーは、銀の靴の魔力でカンザスへ帰ることができますが、途中で靴をなくして「二度と見つからなかった」。これは、ボームが支持していた金銀複本位制が次第に衰えていく様子を暗示したといいます。

 誠にうまくできた話ですが、児童文学研究者のほとんどは、「ボーム自身はそこまで言っていたわけではない」と否定的な意見も多いようです。

 1973年に大ヒットしたエルトン・ジョンの「 グッドバイ・イエロー・ブリック・ロード」は、「オズの魔法使い」に出てくるあの「黄色のレンガ道」から採られたといわれてます。…もう一度、聴いてみますか。

タモリに学ぶ人生の過ごし方

 人間の悩みの90%は、人間関係だと言われています。親と子、先生と生徒、上司と部下、男女のもつれ、夫婦関係、友人関係、親戚関係、嫁姑…、昨今、通り魔事件も多いですから赤の他人との関係も悩みの種ですね。

 私も人間ですから、嫌になる日が多々あります。思うに、毎日、政治や経済や社会など人間の問題のことばかりについて考えているからなのでしょう。他人は、正義心と自己主張の固まりですから梃子でも動きません。どうにもならないことで悩んでいるわけです。

 そんな時は、宇宙のことを考えます。今から、138億年前に突然「ビッグバン」が起きて、何もなかった所に、急に時間と空間と重力とエネルギーが生まれて宇宙が出現した、なぞという話を聞かされても、俄かに信じがたいのですが、眩暈で気絶したくなるほどです。

 地球が誕生したのは46億年前で、宇宙の歴史を1年のカレンダーにすると、8月30日に当たるそうです。(ビッグバンを1月1日とする)

生命(タンパク質や核酸の生成)の誕生が40億年前(9月15日)。

 少し飛ばして、恐竜の誕生が3億年前(12月23日)

 その恐竜の絶滅が6500万年前。(12月29日)

 やっと、我々の御先祖さまとつながる新人類ホモ・サピエンスが誕生するのが20万年前。(12月31日午後11時37分)

 農耕牧畜の始まりが1万年前(12月31日午後11時58分)

 となると、宇宙から見れば、人間の歴史などたかだか一瞬に過ぎないんですね。それに比べて恐竜さんは、実際、地球上で2億年近くも繁栄していたのですから、大したものです。

 「誰それがどうした」「誰それがあれした」などと、人間に拘っているから、毎日、鬱屈してしまうんですね。

築地「C」 おまかせ丼 1000円

 私はあまりテレビは見ませんが、NHKの「ブラタモリ」はよく見ます。この番組では、その土地の地殻変動や噴火した溶岩や堆積岩など地学、地質学の話がよく出てきます。それが10万年前の話だったり、100万年前の話だったりすることはザラで、中には人類が誕生するはるか大昔の何億年も前の話だったりするのです。

 人間が出て来ず、主人公でもなかったりするのです。番組進行のタモリさんは、学者並みに、異様に地質や地学に詳しいのですが、珍しい岩石に出合ったりすると、人に会った以上に感動したり興奮したりするのです。

 御本人に会ったことがないので断定できませんが、この方は、どうも人間関係はサバサバしていて、恐らく人間関係で悩んだことがない性格に見受けられます。まず、深い意味で、人類自体に興味を持っていない。結晶片岩や蛇紋岩の方がはるかに興味があると思われます。

 となると、人類の歴史の1万年のスパンというより、何千万年、何億年のスパンで物事を洞察しているんじゃないのかと思ったわけです。

 勿論、タモリさんにも悩み事はあるでしょうが、あまり人間だけに捉われていない。彼の目先に拘らない、長い年月のスパンでの物の見方も、見習いたいものだと思いました。

安保ただ乗り論は本当なのか?

  トランプ米大統領が日米安全保障条約の破棄を何度も示唆しているので、日本政府関係者は慌てふためいているかと思えば、極めて冷静です。「大統領選のキャンペーンのためのポーズ」と忖度しているようです。

 FOXビジネスニュースの電話インタビューで、トランプ大統領は「日本が攻撃された時、アメリカは第3次世界大戦を戦い、猛烈な犠牲を払うことになるが、アメリカが攻撃されて救援が必要なとき、日本はソニーのテレビで見物するだけだ」と、本人の持論である日本の「安保ただ乗り」を展開しています。イマドキ、家電界が韓国、台湾、中国製に席捲された日本で、ソニーのテレビを見ている日本人は少ないでしょうけど。

 それにしても、本当に日本は、米軍の「核の傘」の下で、安穏と、ただ乗りしているんでしょうか?

 調べてみると、日本政府が2018年度予算に計上した「在日米軍関係経費」は4年連続過去最大の8022億円。日本に駐留する米軍兵士・軍属は約6万1300人で1人当たりの経費は約1300万円だったということが分かりました。その内訳はー。

▼「米軍再編関係経費」2161億円

▼「沖縄に関する特別行動委員会関係経費」51億円

▼「在日米軍駐留経費」(いわゆる「思いやり予算」)1968億円

▼基地周辺対策費、米軍用地借り上げ料、漁業補償費、提供普通財産(国有地)借り上げ試算など3842億円

合計=8022億円

 この金額で、台頭する周辺覇権国に対する防衛費が賄えれば安いもんじゃないか、と言う人もいるかもしれません。でも、このとてつもない金額は、政治家が払うのではなく、日本人の庶民の血税から支払われていることを忘れてはいけませんね。

 そして、トランプさんが主張するような「ただ乗り」どころではない金額であることは誰でも分かります。それに加えて、金額に表れない騒音問題や日米地位協定による領空権、領海支配や治外法権などもあります。

 何よりも、2004年とちょっと古いですが、米国防総省が発表した米軍駐留各国の経費負担割合です。日本は74.5%と最大で突出しています。韓国は40%、ドイツは32.6%ですからね。

 同じ第2次世界大戦の敗戦国である日本が米軍駐留費の4分の3近くも負担しているのに、ドイツはわずか3割ちょっとで済んでしまっていますからね。同じ敗戦占領国でも、ドイツ人は、トランプさんの祖先を遡れば行き着くらしく、日本人は単なる黄色人種だから、見下されているようにみえます。

 トランプさんは米国の最高権力者ですから、このデータを知らないわけがありません。それどころか、「日本は米軍駐留費の100%負担しろ」と発言もしていますから、あまり人が良い人には見えませんね。

 そもそも、日本人は米国人に対して、一方的に甘い期待ばかり寄せているんじゃないでしょうか。

 敗戦国日本は、戦後復興のために、米国からガリオア資金(占領地域統治救済資金)とエロア資金(占領地域経済復興資金 )などによって救済されました。ということを歴史の教科書で習いました。そのお蔭で、われわれ戦後間もない日本人の子どもたちは、給食の脱脂粉乳で育ち、飢えを免れました。

 戦後教育によって、米国は「白衣の天使」のような存在と崇められましたが、ガリオア資金などは無償貸与ではなく、後から返還要求され、1972年までに完済したというではありませんか。また、脱脂粉乳は、豚のえさにもならず、余っていたので日本に輸出したらしく、この話は真実かどうか別にしてひどく驚いたものです。

 このように、安保条約は敗戦国日本にとっては不平等条約です。ですから、戦勝国が一方的に破棄するわけがありません。こんなことを書いても、なあんの足しにもなりませんが、大手メディアが報道してくれないもので…。

トヨタに5000億円減税、小池都知事が五輪用地を9割引で売却

 「夏に参院選がありますが、自民党の天下は変わらないでしょうね。大企業が自民党に献金してるんですからね。今の政権は財界が支えてますよ。トヨタなんか、その見返りで5000億円も減税されてるんです。誰も知らないでしょう。新聞もテレビもどこも報道しないんですからねえ」 

 物識りの篠田先生が、そっと耳打ちしてくれました。

 えーーー、本当ですか? 5000億円とは・・・!? 知らなかった。。。本来なら国家予算に組み込まれるべき大金ではありませんか。そこで、吉本君に聞いてみました。「トヨタが5000億円もの減税の恩恵を受けていること、君、知らないだろう?」

 すると、彼は「知っているよ。そんなの常識じゃん」と主張するではありませんか。

「えっ? 何で? そんなニュース、聞いたこともないし、読んだこともないはずだよ。どこも報道してないんだから」

「報道してるよ」と吉本君。

 「えっ?どこで?」

「赤旗だよ。2019年3月20日付で、『トヨタに5000億円減税 大門議員 政府税調提案に逆行』とのタイトルで出てたよ。 日本共産党の大門議員 が、参院財政金融委員会で、『トヨタは安倍政権の5年間で約5000億円の減税だ。なぜ利益が2兆円以上の企業にこれだけの減税が必要なのか』と批判したことが書かれてるよ」

「えっ!?そうだったの?」

「小池都知事が、来年開催される東京五輪の選手村用地(約13.4ヘクタール)を、三井、住友、東急、野村、三菱など大手不動産開発会社11社に、近隣地価の何と9割引で売却契約したことも、大手マスコミは、テレビも新聞もどこも報道していなかったのに、赤旗は一昨年からボンボン報道しているよ。選手村整備を受託した不動産会社のうち、7社に都の幹部12人が天下りしている(同紙2017年3月14日付)というから、最初からデキ・レースだったことが分かる。「週刊金曜日」も2018年12月21日号から19年3月29日号にかけて不定期に7回にわたって「晴海『選手村』開発疑惑」を連載してますよ」

「あらま、そんなことあったなんて、ちーとも知らなかった」

「アメリカ経済のユダヤ・パワー」で納得しました

 先日、国際金融関係の本を読んでいたら、ゴールドマン・サックスなどウォール街での金融ビジネスで、上位に君臨しているほとんどがユダヤ系だというので、「どうしてなのかな?」と素朴な疑問を友人の榊原君に話したら、彼は、佐藤唯行著「アメリカ経済のユダヤ・パワー」(ダイヤモンド社)という本を貸してくれました。

 この本は、2001年10月4日初版とかなり古い本なので、情報も古いのですが(何しろ、フェイスブックのザッカーバーグもネットフリックスも出てきません!)、何故、ユダヤ系の人たちが米国経済界の上位に躍進したのか少し分かりました。

 最初にお断りすると、この本の著者(獨協大学教授)と同様に、私自身も「ユダヤ人陰謀説」には与しません。150年ほど前から米国に来たユダヤ人のほとんどが東欧やロシアなどで迫害されてやむ得ず移民した者が多く、ほとんど無一文の状態から、血の出るような努力を重ねて「アメリカン・ドリーム」を実現した者が多かったからです。そして、恐らく、この本に書かれている成功したユダヤ人とは違い、彼らの大半は成功せずに貧困のうちに生涯を終えていたと思われるからです。

 何よりも、ユダヤ人ということで最初から差別され、1970年代までまともに企業に就職できなかったといいます。(米国の基幹産業である石油産業はユダヤ系だと思っていたら、WASP=プロテスタントのアングロサクソン系白人=が独占していたことをこの本で知りました)となると、自分たちで起業しなければなりません。この本では、最初は廃品回収業に近い職種から大成功を収めたユダヤ人も出てきます。

 ユダヤ系といえば、金融業のほか、新聞(ニューヨーク・タイムズなど)やテレビ(ABCなど)などのメディア(この本では、メディア王ルパート・マードックはユダヤ人ではない、と書いてありました)、ハリウッド映画(スピルバーグ監督らと映画製作会社ドリームワークスを共同創業したデヴィッド・ゲフィンは、レコード会社の経営者で、ジョン・レノンの最後のアルバム「ダブル・ファンタジー」を出したゲフィン・レーベルだったとは!彼も勿論ユダヤ人です)、俳優らのほとんどがそうだということは知っておりましたが、それ以外にも、化粧品(エスティー・ローダー、マックス・ファクター、レブロンなど)、服飾ファッション(カルバン・クライン、ラルフ・ローレンなど)、玩具(トイザらス、バービー人形など)も創業者がユダヤ系だったことをこの本で初めて知りました。

 では、なぜ、これほどまでユダヤ人が優秀なのか? 著者の佐藤教授は、その秘訣は、ユダヤ人の教育にあると見ています。佐藤氏はこう書きます。

 幼い子どもを対象とするユダヤ教古典学習の根幹は、徹底した暗記教育である。これを毎日繰り返すうちに、脳の中に大きな記憶回路が作り出されるといわれる。敬虔なユダヤ教徒の家庭で生育した若者たちの中から、天性の記憶力の持ち主が生まれることは偶然ではないのである。

 なるほど。旧約聖書をはじめ、ユダヤ教の聖典タルムード(6編・63項目からなる口伝律法ミシュナとその注解ゲマラから成る)を丸暗記させられるのでしょう。頭脳が鍛えられるはずです。

 そして、佐藤教授によると、ユダヤ人がビジネスの面で成功するのは、キリスト教や仏教などでは「清貧」を重んじるのに対して、ユダヤ教は、富を求める衝動は人間の幸福に不可欠なものと容認しているからではないか、と分析しています。これも、なるほど、です。

 ユダヤ人は相互扶助の形で、起業する若者たちに低金利で融資したりしていることもビジネス面で役立っていることは確かです。就職差別により、隙間産業を探したり、起業せざるを得なかったことが逆に彼らにビジネスチャンスを与えた格好になりました。

 いい本を貸してもらいました。

審議会委員に選ばれるマスコミ

 どうでも良い話かもしれませんが、私自身は、若き頃、マスコミの仕事を選んだのは、世の中の仕組みがどうなっているのか、知りたかったからというのが一つの理由でした。政治にしろ、経済にしろ、誰が世の中を動かしているのか知りたかったのです。

 有難いことに、マスコミに入ったお蔭で、色んな著名人と会うことができ、おまけに裏社会のことも知ることができ、ある程度のことは分かるようになりました。ただ、仕事が担当にならなかったせいか、霞ケ関の官僚の皆さんとは深く親密になることができず、結局、その「仕組み」を知らずに終わってしまいました。

 特に分からなかったのが、どこの省庁にもある審議会です。誰が選ばれて、何のために、そして何をやっているのか、時折、不思議に感じておりました。実際問題、法案のたたき台になることでしょうし、政策にかなり影響を及ぼしているはずです。それなのに、新聞もテレビもほとんど報道しません。

 特に、ニュースで脚光を浴びるとしたら、内閣府の税制調査会ぐらいでしょうか。これは、内閣府本府組織令第33条によると、「内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議する」会議のことで、その委員は30人以内です。

 その委員は、専門の大学教授をはじめ、いわゆるシンクタンクのエコノミスト、地方自治体の首長さんらもおりますが、今年4月1日現在、読売新聞の取締役や産経新聞の論説委員の方まで選ばれているのです。どういう経緯で、どなたが選出されたのか、皆目見当もつきませんが、マスコミといえば、普通一般の民衆の感覚では、時の為政者の不正をチェックし、「社会の木鐸」とか、「弱きを助け、強きを挫く」ようなイメージがあります。それが、実態は、政府の中に入り込んで、インサイダーとして社会を動かしていることが分かります。これでは政権批判はしないはずです。

 たまたま、税調の委員が政権寄りの産経と読売の方が入っておられるので、分かりやすいといえば、分かりやすい。まさか、反政権報道を繰り返している東京新聞では無理かな、と邪推してしまいます。読売新聞さんの場合、その論説委員や編集委員らが、税調だけでなく、法務省の法制審議会委員やスポーツ庁のスポーツ審議会委員にまで数多(あまた)食い込んでおります。

 しかし、一方では、政府内部に入り込んでいるせいなのか、読売新聞の記事解説が大手紙の中では一番分かりやすく、報道は細かいところまで目が行き届いています。その逆に、為政者に弱く、その半面べったりなのに、反政権的ポーズだけは取ってみせている朝日新聞は、審議会にスパイ、おっと失礼、あまり委員を送り込んでいないせいなのか、記事の内容が薄く無残といえば無残です。

銀座SIXの屋上

例えば、朝日は、「未来投資会議」についてはほとんど目立つように報道しません。これは、アベノミクスの第3の矢として「民間投資を喚起する成長戦略」を実現するために鳴り物入りで創設されたものですが、彼らが何を審議して、どんなことを政府に提案していたのか、読者に知らせてくれません。以前、このブログでも書きましたが、この未来投資会議の「民間議員」である竹中平蔵氏が率先して提言したおかげで、いつの間にか、公共水道水が売られ、国有林が売られるようになったというのに、朝日は、ほとんどそれらの事実を報道しないんですからね。

 メディアは何を報道したか、よりも、何を(故意に)報道しなかったのか、の方が重要だと思いませんか?

 また、安倍政権による過去最大の101兆円を超える予算を支えるために、黒田日銀総裁は、国債を買いまくる禁じ手である「財政ファイナンス」を続けていて、将来的に財政破綻の恐れがあるというのに、どこも解説どころか、事実関係を報道すらしてくれません。それが、最近では、メリケン帰りの「MMT」=Modern Monetary Theory とやらが、日本のシンクタンクや霞ケ関などでも闊歩するようになり、「財政破綻はありえない」という理論も優勢になっているらしいですね。

 まあ、いきなり話が飛んでしまいましたが、ボーと生きていたら、世の中から置いてきぼりにされてしまいますね。クワバラ、クワバラ。

 

国有林が売られる=キーパースンの竹中平蔵氏を何故報道しないのか?

 改正国有林野管理経営法なるものが、6月5日の参院本会議で、自民、公明の与党と国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。

  これは「全国の国有林を最長50年間、大規模に伐採し、販売する権利を民間業者に与える」という法律ですが、ほとんどの国民は知らないでしょう。大手マスコミで大きく報道していたのは、毎日新聞ぐらいです。あとは無視。私も知りませんでした。昨日の朝のTBSラジオを聴いていて初めて知りました。

 「販売する権利を民間業者に与える」というのは、いわゆるコンセッション方式といわれるもので、それは外資でもあり得ます。このブログの2018年12月4日付の「国民の無知につけこんで『日本が売られる』」にも書きましたが、「日本が売られる」の著者の堤未果さんは、この中で、 国民の資産である水の運営権を巧みにフランスの世界最大の水企業ヴェオリア社(の日本法人)に少しずつ売り渡していた事実を暴露していましたね。覚えていますか?

 また、この本の中では、水道だけでなく、国有財産である森林や材木までもが「民営化」の美名の下に売られることも少し書かれておりましたが、私自身はすっかり忘れておりました。

 6月6日付の毎日新聞朝刊「改正国有林法成立 外資進出警戒も」の記事では、九州・五島列島の町に2011年ごろ、大陸から中国系の企業が、地元の民有林を狙って突然進出して来て、町民を驚かせたという話から始まっています。

 水道の民営化に続いて、国有林の民営化も音頭を取って法制化を推進した人物は、安倍首相が議長を務める未来投資会議で、「民間議員」を務める竹中平蔵東洋大教授だということを毎日新聞は書いておりますが、極めて上品な書き方です。

 一方、ニュースに敏感なネットの住人の中には、「国有林払い下げでぼろ儲けを企む竹中平蔵氏」「国の財産、国有林を金融商品化し民間業者に売り払う」「売国の先兵たる竹中平蔵氏がまた絡んだ事案」といった過激であまり上品ではない文章が並んでおります。

 とは言っても、一連の悪名高い規制緩和のキーパースンは、竹中平蔵氏であることは間違いありません。が、毎日新聞以外の大手マスコミは、テレビも新聞もそれすら目立って報道しません。

 報道しないということは、国民に公にしたくはなく、隠したいのでしょうが、TBSラジオで、森本毅郎キャスターは、はっきりと「竹中平蔵東洋大教授はおかしい」と批判しておりました。