ミャンマーのサイクロンも中国の地震も人災だ

 

ミャンマーのサイクロン災害と中国の四川大地震には、共通した点があります。

 

救援活動が遅々として進まないということです。国連などの試算では、ミャンマーでは10万人の死者、四川でもそのうち明らかになるでしょうが、恐らく数万人の死者の大惨事になることでしょう。

 

天災とはいえ、2次災害、つまり人災によって亡くなる方の方が多いのではないでしょうか。

ミャンマーも中国も国際社会から善意の人的救援隊を受け入れないのは、国内の政権攪乱を狙うエージェントが入る込んで来る可能性があるのではないかと警戒しているからだ、と、もっともな指摘をする識者もおりました。その人は、1923年の関東大震災の際に、「救援隊」にかこつけて、かなり多くのアメリカのエージェントが日本の国内に偵察にやってきた、と断言しておりましたが。

「陰謀史観」が好きな人は、すぐ飛びつくでしょうが、当時は、宇宙衛星などがなく、地上で人間が地を這い蹲って偵察するしかなかったので、「火事場泥棒」のように暗躍したことは十分考えられます。

ミャンマー軍事独裁政権にしろ、中国共産党独裁政権にしろ、権力を握っている人間が何が一番怖いかといえば、国家転覆を謀る不逞分子です。そのためには、国内の庶民を少しばかり犠牲にしても仕方ない、と踏んでいる嫌いがあります。

それにしても、ひどすぎやしませんか。為政者としての責任感を感じないのでしょうか。人間として憐憫の情というものがないのでしょうか。

被災した庶民の写真を見るたびに胸を痛めています。

柏崎地震その後

 京都・祇園「小森」

 

大地震の被害に遭った柏崎の加納さんから電話を戴きました。まさに、報道の通りの大惨事で、水道はやっと通じたものの、ガスはまだで、おかげで火が使えず、いまだに柏崎小学校で避難生活が続いているということでした。火が使えないということは、食事(料理)とお風呂に困るということです。

 

加納さんは、柏崎の駅前通りの商店街で、古書店を営んでいます。五年前にご主人を亡くされましたが、ご主人は、非常に真面目で慎重な方だったので、家は鉄骨に建て替えておりました。おかげで、震度6強の激震に辛うじて耐えることができましたが、商品である本が滅茶苦茶になってしまいました。

 

加納さんによると、宮城県からボランティアの方が来てくださって、乱雑になった本を片付けるのを手伝ってくれたそうです。加納さんは、本当に有り難い、と話していました。

 

加納さんのご主人は、いわゆる地元の郷土史家で、生田万(いくた・よろず)の研究家でした。上州館林藩士だった生田万(1801-37)は、平田篤胤門下の国学者で、天保の飢饉の際、大坂の大塩平八郎の乱に刺激されて、柏崎で、乱を起こして死んだ人です。そう言えば、大塩平八郎の乱を平定したのは、渡辺崋山の友人、鷹見泉石でしたね。世に言う「生田万の乱」については、私も詳細は知りません。もっと加納さんのご主人というより、私から見れば、友人だった加納君のお父さんに話しを聞いておけばよかったなあと思っています。

 

ほとんど柏崎に暮らしていた加納さんは、70歳代だと思いますが、「こんな大きな地震は初めて」と話していました。よっぽど、ひどかったのだと思います。まずは、無事であったことに一安心しましたが、色々とこれからも大変だと思いますので、事あるごとに連絡を取っていこうと思っています。

新潟中越沖地震

新潟地震の被害状況がだんだん明らかになってきました。震度6強。マグニチュード6・8.想像を絶する程、甚大だったので、今更ながら驚いています。私の柏崎入りが一日早かったら、災害に巻き込まれていたでしょう。

 

報道によると、今のところ9人が亡くなり、千人以上が怪我をされました。柏崎駅構内で、電車が脱線していました。柏崎刈羽原発では放射能を含んだ水が海に流出しました。三百棟以上の家屋が全壊し、1万人以上が避難し、まだ余震が続いています。大惨事と言っていいでしょう。

 

「天災は忘れた頃にやってくる」と、寺田寅彦の有名な言葉がありますが、新潟では2004年10月に中越地震があったばかりです。1964年6月の新潟地震を覚えている人も多くいたはずです。私も、団地が倒壊した当時の写真を今でも思い出すことができます。

 

北海道でも地震が多かったのですが、不謹慎な言い方ですが、人口が密集していないため、人的被害がそれほど多くなかったでした。これが、過密な大都会に起きたら、どんなに被害が大きいか、想像するだに恐ろしい感じです。

 

関東大震災から84年。もうそろそろ、「忘れた頃」に入るでしょう。

唖然、呆然、怒髪天を衝く

ローマ

個人的なことを書きます。

先週の金曜日に私の住むマンションの隣家で小火(ボヤ)騒ぎがありました。

不幸中の幸いでした。

正確に言うと、隣りの隣りの部屋の504号室で、隣家の501号室のKさんが異常に気がついて、消防署に電話して「早期発見」のおかげで、ボヤで済んだのでした。

私が、その部屋に入った時には、火は鎮火していたものの、煙が充満していて、息子さんが部屋で倒れていました。動かそうと思っても、恐らく身長は185センチくらい、体重も90キロ以上あり、とても、動かせませんでした。少し煙を吸い込んでしまったの苦しくなり、外に出て、再度、挑戦しようとしたときに、消防員が駆けつけてきてくれて、すべて、解決しました。消防車は3台、消防員は30人以上来たのではないでしょうか。

私も煙を吸い込んでしまったので、その日は半日、気分は冴えませんでした。

これだけの大騒ぎになったのに、504号室の住人は、その後、Kさん宅にも私宅にも何の挨拶もありませんでした。

別に「貸し折り」を持って来いと言っているわけではありません。ただ一言、「先日はご迷惑をお掛けしました」と言ってくだされば、「これからは気をつけてくださいね。我々も協力しますから」で終わる話なのです。

そんなコミュニケーションさえありません。

背中がそら寒い恐怖さえ感じました。

実は、504号室の住人は、昨年末、ひっそりと引越してきて、近隣に何の挨拶もありませんでした。ですから、家族構成も名前すら知らなかったのです。

それが、今回、判明したことは、どうやら、お父さんと息子の二人暮らしで、母親は事情があって、いませんでした。その息子さんも知的障害のある人でした。30歳くらいにみえたのですが、16歳でした。

そういう複雑な事情があって、引っ越してきても周囲に挨拶をせずに「ひっそりと」暮らしたいという気持ちは分からないでもありません。しかし、とはいえねえ…

お父さんが仕事に出ていて、息子さんが一人きりになった時、また、火の不始末で、再度、こういう事態が起きない可能性はありません。消防も、詳しい、出火原因を詳らかにしなかったので、ますます、疑念と不安が深まります。

それにしても、このお父さんという人の頭の神経がどういう構造をしているのか分かりません。

常識に欠けた人が世の中にいるものだと注意しながら生きるしかないのかもしれません。

ないない大事典

ポンペイ

 

フジテレビ系で先々週放送された「発掘!あるある大事典Ⅱ」で、納豆のダイエット効果が紹介され、納豆が売り切れる店が続出して社会的事件になりました。ところが、因果関係を裏付けるデータが捏造されていたことが昨日、発覚しました。

 

全くお粗末な話ですね。私は、この有名な番組を見たことがありませんが、テレビ局幹部と製作者の責任感のなさに本当に呆れてしまいました。

 

「あるある大事典」は、関係業界では必見の番組だそうです。特に「ダイエット効果あり」と喧伝された商品は、すぐ売り切れてしまうので、コンビニやスーパーなどでは、「『あるある大事典』で放送。在庫注意」といった伝令が各セクションに回ってくるのだそうです。

 

これだけ影響力を持っているというのに、製作者は日々の仕事に追われ、結果的に「ヤラセ」のような番組しか作れないのです。でも、これは、冷静になって考えれば、当たり前の話でしょう。世の中というのは、そう大して大それた事が起きることはなく、殆どの人の個人の一生など、退屈と単調な繰り返しのはずです。現代人はその境遇に耐えられないので、気晴らしのために手頃で安価なテレビに飛びつくのです。

 

しかし、テレビに登場するものの大半は、製作者が関わっている限り、役者さんであり、やらせであり、商品を売るための策略なのです。私がテレビドラマをなどを見ないのも、いくら役者が美人で格好よかったとしても、本物の医者や指揮者や大奥のお局さんに見えてこないからです。

 

紺屋の白袴という諺があります。テレビ局の幹部も、驚くほどテレビを見ていないのですよ。それは、煙草会社の幹部がタバコを吸わなかったり、清涼飲料水の会社幹部が自社製品のドリンクを飲まなかったり、ファストフードの会社幹部が決してファストフードを口にしたがらないのと同じ論理です。

ア・デイ・イン・ザ・ライフ

かつて、中東のパリと呼ばれたレバノンの首都ベイルート。

ついにイスラエル陸軍の地上部隊がレバノン南部に侵攻しました。

イスラエル兵の拉致をきっかけに始まったこの紛争は、12日にイスラエル軍による空爆が開始され、8日たった19日現在、レバノンでは約300人の死者が出ているそうです。このほか1000人が負傷し、50万人が家を失ったそうです。拉致の張本人と目されたヒズボラに対する攻撃という題目ながら、死者のほとんどが民間人。

ヒズボラもイスラエル領内にロケット弾を撃ち込み、イスラエルの死者は29人。その半数の15人が民間人。ヒズボラはイランの支援を受けているらしく、イスラエル首相は「イランの国連による核査察の目をそらすため」と非難しています。

イスラエル軍は、同時進行でパレスチナ自治区ガザも攻撃し、これまで100人近いパレスチナ人が死亡しているそうです。

サンクトペテルブルク・サミット。昼食会の席で、オフレコだと思われたブッシュ米大統領とブレア英首相の会話がマイクで拾われました。ブッシュ大統領は、「ヒズボラのくそったれ攻撃を早くやめさせなければ」とブレア首相に訴えました。

地上戦が始まれば、ますます戦死者が増えることでしょう。

日本人の殆どは関心がないようですが。

チェルノブイリ汚染大地20年

朝日新聞一面で昨日から連載されている「チェルノブイリ汚染大地20年」には大変考えさせられます。

 

第1回の昨日は、金髪の美しい少女のようなあどけなさの残る女性たちの写真。キャプションには「子どもの時に甲状腺の摘出手術を受け、医師を目指す学生たち」とある。よく見ると、全員タートルネックなど首筋が隠れる服を着ています。手術跡はほとんど残っていないらしいですが、傷ついた乙女心が見え隠れするようです。

 

原発事故は1986年4月26日に起きました。放射線の被曝で約50人が死亡し、約4000人の子供が甲状腺がんを発病し、がんによる将来の死亡者は約9000人と推定される大事故なのに、20年前に横浜に住んでいた私は、事故が起きた当日は、それほど大規模な事故だったと認識していませんでした。事故が起きて2週間とか、1ヶ月とか随分時間が経ってからニュースが伝わってきたような記憶があります。

 

当時はソビエト連邦という秘密のヴェールに包まれた国家が支配していたせいかもしれません。情報管制がひかれたのでしょうか。

 

原発事故は1年や2年で解決しないという恐ろしさがあります。今日の紙面によると、事故後に応急で原子炉に覆った鉄板とコンクリートでできた「石棺」は耐用年数が過ぎつつあり、第二の石棺の建設を4年後に完成を目指しているそうです。石棺から約250㍍離れた場所でも、放射線量は東京の100倍。セシウムの放射能が千分の一になるのに、300年かかるそうです。

 

300年ですよ!

 

「第二の石棺」の耐用年数は約100年だそうです。

 

人類は本当に恐ろしい文明の利器を作ってしまったものです。

パキスタン地震 

8日のパキスタン北東部地震の被害状況がようやく伝わってきました。当初発表されたマグニチュード(M)7.6ではなくて、M7.7。死者も3万人を超えるという情報もあります。

長男輝(ひかる)ちゃん(2歳)とともに、邦人の被害者となった国際協力機構(JICA)派遣専門家の楢原覚(さとる)さん(36)は、10年前の阪神・淡路大震災(1995年1月17日、M7.3。死者約6400人)にも遭遇し、人生観が変わって、勤務先の神戸製鋼を辞めて、「国際貢献」の仕事に転職した人だったという話を読んで、思わず、もらい泣きしてしまいました。

昨年12月26日のインドネシア・スマトラ島沖地震はM9.0で、津波被害とあわせ、死者・行方不明者約30万人。最近、米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」「リタ」の死者・行方不明者は約2000人。「天災は忘れた頃にやって来る」(寺田寅彦)どころか、天災は忘れた頃ではなくても、やってきます。

1923年の関東大震災からもう82年も経ち、誰もが「もうそろそろ」と感じているのに、皆「自分だけは死なないで、助かる」とでも思っているのかしら。大都会の消費者は、夜間も煌煌とライトを付けて、欲望を満たすために、エネルギーを無駄遣いしています。私なんか、そんな東京にはもう住みたくないなあ、と考えてしまいます。

こう災害が度重なると「地球が怒っている」と思わざるをえません。楢原さんの訃報に接して、「この世に神も仏もないのではないか」と疑ってしまいました。それとも、地球は怒っているのではなく、無知で傲慢な人間に対して、悲しんでいるのかもしれません。

リタ

ハリケーン「リタ」が、米大陸に接近し、ルイジアナ州、テキサス州などに甚大な被害を催すことが予想されています。「カトリーナ」の惨事の全体の被害状況がまだ把握されていないというのに、またまた、ハリケーンがやってくるなんて、本当に弱り目に祟り目です。

「リタ」と聞いて、すぐ、ビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に収録されている「ラブリー・リタ」を思い出しました。今回は、とても、ラブリーではないでしょうね。テレビなら、ニュースのBGMにこの曲をかける放送局があるのかしら、と思いましたが、そんな不謹慎なテレビ局はないようでした。

何しろ人命がかかっています。ブッシュ政権も、さすがに非難を浴びました。まあ、当然でしょう。被害の遭った三日後にやっと対策本部が動き始めたのですから。今回の最大の被害層は、黒人の貧民層でした。テレビで援助を求めていた人々も、スーパードームに駆け込んだ人々のほとんどが黒人でした。まるで、棄民扱いでした。老人ホームでも何十人もの人が亡くなりましたが、恐らく、職員はわれ先に逃げたのでしょう。

それにしても、ここ数年と比べても、台風やハリケーンによる被害は甚大です。ある説によれば、日本近海の太平洋とメキシコ湾の海温が、地球温暖化の影響で29度と異様に上昇して台風やハリケーンが発生しやすくなっているようです。

結局、人間が蒔いた種ということでしょうか。それなのに、米ブッシュ政権は、京都議定書に署名することを拒否しています。この議定書の要旨は、温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量を、1990年比、日本は6%、アメリカ7%、EU8%削減するというものです。

地球という自然が人類に警告を与えているとしたら、素直に、その警告に耳を傾けるべきではないでしょうか。世界の超大国アメリカが、意外にも脆弱で、被害を受けていることに関して「自業自得」という人もいますが、冗談ではなく、このままではアメリカ大国は、自然の報復によって崩壊しかねません。

せめて、効率優先、自由資本主義経済優先、といった意識を少しだけ変えれば、生き残る道があるはずです。具体的にいえば、地球温暖化に直結する二酸化炭素の排出を減らすー自動車などの使用を控える。私はそう思いますが、「車社会」のアメリカではそれは不可能なのでしょうか。

リタのことを書いていたら、アメリカのテキサス州の某都市に住む親友から、メールが来ました。まさに、現地でしか分からない生の最新情報なので、ここに載せたいと思います。なお、彼には許可を得ておりません。少しだけ、変えております。無断拝借、怒らないでね!

ハリケーン「リタ」は、昨日「カテゴリー5」から「4」に格下げとなり一時程の脅威は減ったが、現在でも風速135マイル(瞬間強風は161マイル)と強大で強力な状態でテキサスとルイジアナ州境近くに上陸する見込みだ。
新宿の朝と同じ臭いがしたジャズの街ニューオリンズではまたもや低地部分への浸水が起こっている。テキサス州の最大都市ヒューストン東部の湾側住民に退去命令が出され、ダラスやサンアントニオを目指して百数十万人もの人々が避難している。

ニュースによれば、避難途中の介護の必要な老人ホームのバスで火災と爆発が発生して20人程度の死者が出たとか。通常ならヒューストンからダラスまで車で4時間強なのに、24時間以上ドライブしても未着という渋滞。車中泊で食事もままならずガソリンの浪費ばかりが嵩み、人々は疲労困憊の状況だ。

当地への「リタ」の来襲は明日か明後日になり、威力も「カテゴリー1」に弱まるだろうと予測されているので、強風によるダメージと停電を心配する程度かなと思っている。今から氷と 水を買いに行くつもりだ。

カトリーナ

三日連続、米ハリケーン「カトリーナ」の話。

被害の死亡者は58人どころではなく、数百人どころではなく、数千人になるそうで、これだけの惨事は、1900年にテキサス州を襲って、6千人から1万2千人が死亡したハリケーン以来だそうです。まさに、百年に一度の大惨事です。

驚いたことに、街の8割が冠水したニューオーリンズでは、武装した略奪者が横行し、警察と銃撃戦になり、「イラクの戦場よりひどい」と地元警察官が話しています。市中心部の治安維持を一時断念した、という情報もあります。これが、世界一の先進国の実態なのでしょうか?イラクでフセイン政権が崩壊した時、大統領府や美術館で略奪者が横行し、アメリカ人はイラク人の醜態を笑っていたのではなかったのでしょうか?

今回、被害の大きかった米国南部のルイジアナ、ミシシッピ州には、石油のパイプラインが集積し、穀物の世界的な中継基地として、貿易港が集中しているそうです。当然、石油、穀物の価格高騰に繋がるのです。石油が上がれば、ガソリンや灯油も高騰し、これから冬を迎える北海道民にとっては、たまったものではありません。燃料費の高騰で、飛行機代の値上も検討されています。

まさに他人事ではありません。今年の10大ニュースの上位になることは間違いなし。