ホットドッグ屋から国防次官ポストを目指す野心家=ワグネル創設者プリゴジンとは?

本日(6月25日)の朝刊各紙は、ロシアの民間軍事組織「ワグネル」が、あわやモスクワに進軍するのではないか、ということでプーチン大統領が、反乱軍として投降を呼びかける演説をしたことが1面になっていました。その後、ワグネルはモスクワに侵攻することなく、ベラルーシ方面に向かったという続報が出たので、内戦まで発展せず、万事休すです。

 それにしても、よくテレビで、強面の顔でロシア国防軍を厳しい表情で常に非難して登場するこのワグネルの創設者プリゴジンさんとやら、一体、どんな経歴の持ち主なのか? 日本の新聞では、単なる「実業家」だの「プーチン大統領に近い人物」程度の情報しか書いておらず、いかなる人物なのか、さっぱり分からなかったのですが、たまたま読んだ英高級紙ガーディアンにプリゴジン氏の人となりについて、かなり詳細に報道されていました。

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 そのガーディアンの6月24日付の長文記事(電子版)は「エフゲニー・プリゴジン Yevgeny Prigozhin ホットドッグ売りからプーチンの戦争マシーンのトップに躍り出た男」(意訳)というタイトルでした。

 それによると、プリゴジンは1961年、旧ソ連時代のレニングラード生まれ。父親を幼くして亡くし、病院勤務の母親に育てられたといいます。スポーツ学校でスキーのクロスカントリーなどに励みましたが、プロのスポーツ選手になることはなく卒業。しかし、悪友3人と路上強盗を何度も働いて逮捕され、1980年3月の18歳の時に懲役13年の実刑判決を受けたといいます。ブレジネフ書記長の死もゴルバチョフのペレストロイカも知らないまま、10年後の1990年に出所したプリゴジンは、レニングラードからサンクトペテルブルクと名前を変えた地元でホットドッグ屋を始めます。これが月に1000ドルも売り上げるほど大ヒットし、野心のあるプリゴジンは、スーパーマーケットの株を買って大儲けし、これを元にレストランを開業します。「オールド・カスタムズ・ハウス」と名付けた店で、パートナーは、ロンドンのサヴォイ・ホテル出身で、サンクトペテルブルクの高級ホテルで働いていたトニー・ギアという男でした。このギアの才覚で、ストリッパーが出演する風俗レストランから高級食材を使った超高級レストランに転換すると、グルメのポップスターやビジネスマンらに大評判の人気店となり、ついに、サンクトペテルブルクのアナトリー・ソブチャク市長が副市長に起用したプーチンをこの店に連れてくるようになりました。

 プーチン元中佐は当時、KGBを退職して政治活動を始めたばかりで、勿論、首相にも大統領にもなる前です。ですが、プリゴジンは、将来の大統領候補の胃袋をつかんだことになります。プリゴジンはプーチンだけでなく、サンクトペテルブルク在住の世界的なチェリスト、ロストロポーヴィチとまで親密になり、彼が2001年、自宅にスペインの女王を招待した際に、プリゴジンに食事のケイタリングを任せたほどでした。

 そして、プーチンが首相、大統領に昇り詰めると、世界の首脳らと私的食事会をサンクトペテルブルクで開いた際、利用したのが、このプリゴジンの超高級レストランでした。この中にはブッシュ米大統領やチャールズ英皇太子(当時)らも含まれ、これら要人とプリゴジンも一緒に写真に収まっています。これらの写真は、野心家によって大いに利用されたことでしょう。

 プリゴジンは、プーチンを通して、政府関係のケイタリング・ビジネスに食い込んだだけでなく、その後、シリアで内戦が起きると、食事関係だけでなく、軍装備調達まで手掛けるようになります。2014年にはワグネルを創設して、ついに民間軍事会社として、クリミア半島の占領戦争にも参加したりするわけです。

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 半グレの少年強盗あがりから、社会の大混乱を利用して、一介のホットドッグ屋から叩き上げで高級レストランのオーナーとなり、「先物買い」で著名人との人脈を利用して、のし上がってきた男だということが分かります。プリゴジン氏がロシアのショイグ国防相を非難しても、プーチン大統領だけは批判しないのは、プリゴジン氏にとって、プーチンは大恩人だからだということなのでしょう。勿論、プーチン大統領もプリゴジンを安価な傭兵として利用し、これからも利用し続けることでしょう。

 彼は、日本史でいえば、野心家の成り上がりの羽柴秀吉に近いのかもしれません。今後のプリゴジン氏の動きには目が離せません。一体、この先どうなるのか、誰も予想できませんが、結構、彼がウクライナ戦争の勝敗の鍵を握っているのかもしれません。

【追記】2023.6.30

 約1週間も遅れて、日本の主要新聞各紙もプリゴジンの経歴と人となりを、やっと掲載するようになりました。特に、6月30日付日経朝刊では、かなり詳しく報じていました。プリゴジンの企業グループには、軍事会社ワグネルや飲食業、不動産のほか、「トロール工場」と呼ばれるSNSなどによる世論操作会社もありました。2016年の米大統領選挙に介入し、米国はプリゴジンに制裁を科したといいます。

 ベラルーシに亡命したプリゴジン氏は、目下、同国内に軍事拠点基地を建設中らしく、これからも一波乱ありそうです。

彼or 彼女は「人間関係リセット症候群」なのかも?=世の中は不条理に出来ています

  医学関係の記事を読んでいたら、「人間関係リセット症候群」なる病気が最近増えていることを知りました。若者だけでなく、いわゆる老若男女問わず、です。

 正式な病名ではありませんが、これは、FacebookやツイッターやLINEなどのSNSから突然、アカウントを削除したり、連絡先も削除したりする行為を指します。原因は、失恋や離婚や裏切りなど人間関係でトラブルがあって、疲れてしまったり、人との付き合いにうんざりしてしまったりしたことなどが挙げられます。

 そういう私も、Facebookを突然やめてしまった「前歴」があります。いや、突然、ではありませんね。ちゃんと、ブログで事前に、Facebookの弊害などを列挙して、「やめます」と通告させて頂きました。それに、削除まではしておりません。Facebookは、退会のやり方が実に、実に煩雑なためで、そのまま放置しているだけです。同じようにツイッターも、ほとんどチェックせず、削除もしないでそのまま放置している、といった具合です。

 ですから、自分自身は、「人間関係リセット症候群」ではない、と思っているのですが、Facebookなどをやめたのは、確かに「毎日、毎日、何回もチェックして、一喜一憂するのに疲れてしまった」ことが理由です。そんなもんに時間が取られてしまっては、人生が勿体ないと悟ったわけです。

銀座

 その逆に、「人間関係リセット症候群」らしき病気に罹った人?から、突然、何の通告もなく、私も切られた経験があります。メールを送っても返信がない、といった程度です。でも、そりゃあ、気になりますよね? 自分が何か悪いことをしたのか? 相手に気に障ることをしたのか? 何か変なことをブログに書いてしまったのか? 色々なことが、頭の中を駆け巡り、結局、自分ばかり責めてしまう羽目に陥ってしまいました。

 でも、それが、相手がいくら親友だろうと、相手の御都合であり、結局は自分自身の力が及ばないことを早く悟るべきでした。相手は、それこそ、「人間関係リセット症候群」で、人付き合いに疲れてしまったのかもしれないからです。

 この「人間関係リセット症候群」の存在を知る前は、自分自身を責めたり、その反対に、「相手を大切にしない人には、自らその人を大切にする必要はない」という本の宣伝文句に気を紛らわせていたりしてました(笑)。本当は、「お前なんか、どうでもいい。興味なんかないし、どうなろうと俺の知ったことではない」というのが真相かもしれませんが、今回、「人間関係リセット症候群」の存在を知って、ほんの少し気が楽になりました。

銀座「ジンホア」小籠包と焼売

 話は全く変わりますが、本日は、どうもタイミングが悪い日でした。

 朝の混んだ通勤電車で、私は最寄り駅から10駅目で、やっと座ることが出来たのですが、後から右隣りに割り込んで入って来た男は、何と、私よりも先に、自分が乗ったその次の駅で座ることが出来たのです。何という不条理(笑)。

 そして、本日、ランチに行ったお店で、「すぐお席を御用意します」と言われたので待っていたら、私自身は15分ほど待たされたのですが、後から来たお姐さんは、1分も待たずに直ぐ着席出来て、料理も私とほぼ同時に運ばれてきたのです。何という不条理(笑)。

 これも、世の中、不条理に出来ていると悟れば、何の問題もありません。ロシアから侵略されて殺されたウクライナの人々のことを思えば、この程度のことは不条理でも何でもないですね。

 

日本史を書き換える新発見=NHKスペシャル「新・幕末史」

 10月16日(日)と23日(日)に放送されたNHKスペシャル「新・幕末史」はかなり見応えがありました。16日は 「第1集 幕府vs列強 全面戦争の危機」、23日は 「第2集 戊辰戦争 狙われた日本」というタイトルでした。2年前にも同様のシリーズで、戦国時代を取り上げて、日本史に留まらず、世界史的視野で、その同時代のスペインなどの列強国や宣教師たちがいかにして日本の植民地化を企んだりしていた事実がバチカンなどの資料から発見され、その斬新的な番組制作の手法に圧倒されました。

 今回も、英国国立公文書館のほか、当時のロシアやプロシア(ドイツ)などの列強の極秘文書が初めて公開され、幕末の戊辰戦争などが、単なる日本国内の内戦ではなく、英、仏、蘭、米、露、プロシアの列強諸国による分割植民地統治に発展しかねない事態まであったとは驚くばかりでした。

 私も、市井の幕末史好きですから、ある程度のことは知っておりました。徳川幕府方にはフランス(ロッシュ公使)、反幕の薩長方には英国(パークス公使)がついて、互いに武器と軍事顧問団を派遣して、英仏の代理戦争のようになっていたこと。大量殺戮が可能になった新兵器のガトリング砲などは米国の南北戦争で使用された「余りもの」だったこと…などは知っておりましたが、ロシアとプロシアの動向については盲点でした。

 ロシアは1853年のクリミア戦争で英国などに敗退すると、極東侵略政策に転換し、日本を植民地化しようと図ります。そのいい例が、対馬です。1861年にロシア海軍の拠点のような要塞を対馬につくり、半年間も駐在していたのです。それを外国奉行だった小栗忠順の粘り強い交渉と、英国の進出で辛うじて難を切り抜けたりしていたのです。明治になって、新政府は徳川幕府の弊害や無能論ばかり教育で教え込んできましたが、実際は、小栗上野介ら有能な幕閣がいたわけです。(21世紀になって、ロシアはウクライナに侵攻しましたが、「他国侵略」というロシア人気質は19世紀から全く変わらず、連綿と続いてきたことが分かります。)

◇プロシアは北海道植民地化を計画

 プロシア(ビスマルク首相)は、戊辰戦争の際、奥羽越列藩同盟の会津藩と庄内藩に食い込み、新潟港に武器を調達する代わりに、北海道を植民地化しようと企てていたことが、残された極秘文書で明らかになりました。そんな史実は、どこの教科書にも載っていなかったことですし、全く知らなかったので驚いてしまいました。

 番組では特に英国の公使パークスの動向に注目していました。1866年の長州征伐の際、幕府がフランスから武器を調達するために、ロンドン銀行から融資を申請したところ、パークスはロンドン銀行に対してその融資を止めさせています。逆に、商社ジャーディン・マセソン(長崎のグラバーが有名)を通して、長州に武器を調達しています。また、戊辰戦争の際には、パークスは、フランス、オランダ、プロシアなど列強6カ国の代表者を徴集して、内乱終結まで武器援助などをしない不関与の「局外中立」を認めさせたりしていました。そのお陰で、フランスは徳川幕府の軍事顧問団を引き上げざるを得なくなり、結果的に幕府方が不利になりました。(でも、箱館戦争では榎本武揚率いる幕府軍にフランスの軍事顧問団が付き添っていたはずで、その辺り、番組では詳しく検証してませんでした)

 こうして見ていくと、特に英仏など列強諸国が干渉していなければ、佐幕派が勝っていたのかもしれませんし、日本の歴史も変わっていたのかもしれません。戊辰戦争を世界史の中で見ていくと様相が変わるぐらいですから、海外の歴史学者が日本の幕末史に注目するのもよく分かりました。

 (番組の再放送やオンデマンド放送などもあるようです)

何度も戦場になったウクライナの悲劇=山崎雅弘著「第二次世界大戦秘史」を読んで

 もう半年近く、山崎雅弘著「第二次世界大戦秘史」(朝日新聞出版)を少しずつ読んでいます。正直、一気にバーと読めないのです。書かれている内容があまりにも重すぎて前に進めなくなったりするからです。戦死者やシベリア流刑者らの数字だけはボンボン出て来ますが、そんな数字でも、れっきとした生身の人間で、理不尽な死に方をされた人ばかりですから、彼らの怨嗟と怨霊が見え隠れして、やり切れなくなります。

 副題に「周辺国から解く独ソ英仏の知られざる暗躍」とあります。我々は、第二次世界大戦について、歴史の教科書に載ってはいても、授業はそこまで進まず終わってしまいます。となると、自分で勉強するしかありません。それでも、大抵の第二次世界大戦史は、独、ソ、英、仏、米が中心で主役の書き方になっていて、彼らによって苦しめられたポーランド(犠牲者520万人)やチェコ、ハンガリーやフィンランドやノルウエー、バルト三国などについて詳述された歴史書は多くはありません。その点、この本は、画期的な本として学ぶべきことが沢山あります。

 初版は2022年2月28日になっていますから、著者は、当然のことながら、同年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻については知らずに出版しました。それでも、まるで「予言」するかのように、本書ではウクライナの悲劇の歴史にも触れています。

  私自身の個人的な大胆な感想ではありますが、ヨーロッパは地続きですから、欧州諸国は、絶えず戦争をして領地を獲得し、戦争の度に国境が変わってきた歴史だったと言えます。弱肉強食で強力な国家しか生き残れないという歴史です。21世紀にもなって、何でロシアがウクライナに侵攻したのか理解できませんでしたが、プーチン大統領は、過去の歴史の顰に倣っただけで、彼は、戦争で勝てばいくらでも領地は分捕ることが出来て、国境なんかすぐ変更できると思っているのではないでしょうか。

 ウクライナは、大雑把に言えば、12世紀から14世紀にかけて栄えたキエフ公国に遡ることができます。ウクライナは20世紀になってソ連邦に組み込まれ、ロシアとの結びつきだけが強いイメージがありますが、一時は、後から出来たモスクワ公国より勢力が大きかった時期もありました。それが弱体化して、外国勢力に組み込まれます。14~15世紀は、リトアニア大公国の領土となります。リトアニアといえば、ソ連邦に組み込まれたバルト三国の一つで、小国のイメージがありましたが、その当時は、同じカトリック教徒が多いポーランド王国と結びついて領土拡大し、今のベラルーシやロシア西部まで勢力圏に含んでいたといいます。

五島列島 Copyright par Tamano Y

 リトアニアで驚いていたら、第二次世界大戦中は、一時期、ウクライナ南部はルーマニアの領土になっていたこともあったのです。ナチス・ドイツと結びついたルーマニア軍は1941年7月1日にウクライナ領などに侵攻し、10月にはオデーサ(オデッサ)が陥落。ルーマニア政府はヒトラーの承認を得て、オデーサをアントネスク市に改名するのです。親ナチ派のイオン・アントネスク大将の名前から取ったものです。ルーマニアは、同市を含むウクライナ南西一帯を「トランスニストリア」と称して自国領に編入します。

 1941年6月22日、ドイツはソ連との不可侵条約を一方的に破棄して、ソ連への軍事侵攻を開始します(バルバロッサ作戦)。この時、ソ連領であるウクライナも戦場になりました。キーウ(キエフ)もハルキウ(ハリコフ)も被害を受けます。語弊を恐れずに言えば、ウクライナが戦場になったのは、ロシア軍による侵攻という今に始まったわけではなかったんですね。先の大戦でも、中世でも多くの血が流されていたということです。

 ウクライナは肥沃な穀倉地帯ですから、敵国としては戦略として欠かせない領土だったのでしょう。

 繰り返すようですが、欧州は陸続きで、色んな民族が群雄割拠していますから、戦争によって、領土を拡大し、国境を変更していくことは特別ではなく、日常茶飯事だったことがこの本を読んで分かりました。

 歴史は学ばなければいけませんね。

ウクライナ戦争は長期戦か?=ロシアの大義とは?

 2月24日に始まったウクライナ戦争は「長期戦」となるというのが目下、世界の専門家の一致した見解のようです。フランスの歴史学者エマニュエル・トッド氏のように、「第3次世界大戦」と呼ぶ人も現れました。

 ロシアとウクライナの二国間の戦争ではなく、武器を貸与している欧米諸国と、ロシアを支援する中国も含まれているからだといいます。

 何と言っても、侵略戦争を起こしたロシアのプーチン大統領による民間人殺戮などの戦争責任が問われることが先決ではありますが、米国際政治学者ジョン・ミアシャイマー氏のように「ウクライナ戦争を起こした責任はアメリカにある!」と主張する人もいます。同氏は、ウクライナ戦争をロシアと米国の代理戦争とみなし、米国はウクライナの被害をそれほど重視しておらず、むしろ、ロシアの大義の方が米国より上回るので、この戦争はロシアの勝利で終わると予測しています。

 ミアシャイマー氏(74)は、米空軍元将校で、現在、シカゴ大学教授ですが、敵国の肩を持つ発言と捉えられかねないのに、敢えて冷静に、現代史と国際情勢から分析した勇気のある発言だと言えるでしょう。米国も、湾岸戦争では、ロシアがウクライナでしているのと同じように、イラクの都市を徹底的に破壊し、太平洋戦争では、日本の都市を爆撃して、無辜の民間人を虐殺したというのです。(米国の元軍人が、日本への無差別爆撃のことを触れるとは驚きです。そんな人がいるとは!)

 そう言えば、ドローンによる撮影で、ウクライナの都市で破壊された建造物が毎日のように、テレビで映し出されますが、湾岸戦争では、ドローンもなく、イラクも国力がないので破壊された戦地はそれほど国際社会に公開されませんでした。

 ウクライナ戦争が始まって、アフリカ諸国からそれほどロシアに対する非難や批判が巻き起こらないのは不思議でした。よく考えてみれば、アフリカ諸国は18世紀から20世紀にかけて、特に英国、フランス、イタリア、ドイツ、オランダ、ベルギー、スペイン、ポルトガルなどの植民地となり、徹底的に搾取され、奴隷のように抑圧された歴史があったわけです。それなのに、ロシアは「大国」だったはずなのに、英仏等と比べるほどの植民地はありません。そのせいで、ロシアに対するアレルギーが少ないのかもしれません。

 アフリカ諸国としては、欧州列強に対して、「お前たちが過去にやったことを思い出してみろ。ロシアを非難する資格があるのか?」とでも言いたいのでしょうか。

 私は、国際法を無視して戦争犯罪をし続けるロシアを非難する側に立ちます。それでも、原因をプーチン大統領の狂気とだけ決めつけて思考停止するつもりはありません。ロシアの大義を知ったとしても、非難の度合いは変わりませんが、知ることは需要だと思っています。

 ロシア史研究の第一人者塩川伸明東大名誉教授によると、スラブ系でウクライナ正教徒の多いウクライナは一時期、カトリック教徒が多いポーランドに支配され、単一の行政区域が存在しなかったといいます。それなのに、ソ連時代に「ウクライナ共和国」が誕生したため、今のロシアの指導部には、ウクライナとはソ連が人為的に作ったという認識があるといいます。(毎日新聞6月3日付夕刊)

 つまり、ウクライナが出来たのは、ロシアのお蔭だというわけです。それなのに、NATOの東方拡大か何か知らないが、ウクライナは、西側にすり寄って、親分のロシアに歯向かとは何事だというのが、ロシアの大義なのでしょう。

 ヨーロッパの歴史は、地続きですから、戦争に明け暮れ、国境も複雑です。「21世紀にもなって、何で戦争?」と私は思いましたが、「欧州の火薬庫」とは、バルカン半島だけでなく、至る所にあるということなのでしょう。

ホモ・サピエンスが繁栄したのは「集団脳」のお蔭=ネアンデルタール人は何故滅亡したのか?

 2月24日のロシア軍による残虐で想像を超えた凄惨なウクライナ侵攻以来、人類の歴史に関してはすっかり興醒めしてしまいましたが、それではいけませんね。逆にもっと人類に関して勉強して知識を増やさなければいけません。

 そんな時、タイムリーな番組が放送されました。NHKスペシャル「ヒューマン・エイジ 人間の時代 プロローグ さらなる繁栄か破滅か」です。再放送も予定され、今後数年間に渡ってシリーズ化されるようです。「火星進出まで実現する技術を生み出す一方、戦争や環境破壊で地球の未来をも危うくしている人間。その先にあるのはさらなる繁栄か?破滅か? MC鈴木亮平と壮大な謎に迫る!」といった内容です。俳優の鈴木さんは、東京外語大英米語科卒で英語はペラペラ。インテリ俳優さんです。司会進行もしっかりしていました。

 今回、私が注目したのは、同じヒト属でありながら、現生人類であるホモ・サピエンスは生き残って繁栄したのに、何故、ネアンデルタール人は滅亡したのか?ということでした。30万年前に誕生したホモ・サピエンスは今や、火星移住まで目指す技術革新を遂げています。その一方で、ネアンデルタール人は4万年前に滅亡してしまいます。

 これについて、米ハーバード大学人類進化生物学のジョセフ・ヘンリック教授が「集団脳がヒトを動物より賢くさせた」という説を唱え、非常に納得しました。ヘンリック教授は世界各国の狩猟、漁猟民族を訪ねて、その集団の大きさ(人口)を観察し、人が多ければ多いほど、狩猟や漁労の道具が増えていることに注目します。

 ネアンデルタール人は数人の家族という小規模な集団で生活していました。一方のホモ・サピエンスは150人ぐらいの集団で暮らしていたといいます。小集団のネアンデルタール人は、道具も親から子、そして孫に伝わる過程でほとんど改良せず、同じ道具のままなのに、ホモ・サピエンスの場合は、「集団脳」が働き、技術革新され、さまざまな道具が生み出されてきたというのです。

 ヘンリック教授は「個人が賢いわけでもなく、一握りの偉大な天才のお蔭でもない。何世代にも渡って技術が累積するから高度な技術革新が生まれる。そのためには大きな集団が不可欠。大きな集団によってコミュニケーション技術も発達し、集団脳も働く」といった趣旨の発言をしていました。天才でもない煩悩凡夫の私は特に納得してしまったわけです。

 火星に行くロケットも、1980年代に発明された3Dプリンターがインターネット時代になってパテントが解禁され、世界各国からの「集団脳」が集積して飛躍的に技術的に進歩し、それによって、火星ロケットに相応しい軽量で部品が少ないエンジンが開発されていったというのです。

 番組では、人類の歴史上、過去250以上の文明が滅亡したので、その原因の分析と解明をするプロジェクトを進めていくとしています。滅亡した文明の中には、世界最古のシュメール(文字や戦車を発明)文明やローマ帝国、マヤ、アステカ文明などが含まれます。あれだけの栄華を誇った文明も必ず滅びるとしたら、現代の欧米やウクライナ侵攻しているロシアもいずれ滅亡するということなのかもしれません。

 自己中で強欲傲慢な人間嫌いになっても、結局、人類への関心は捨てられません。

プーチンの敗退を「予言」=「サピエンス全史」のハラリ氏ー英ガーディアン紙で

 相変わらず、ユヴァル・ノア・ハラリ Yuval Noah Harari 著「サピエンス全史」(河出書房新社)を読んでいます。今は、下巻の75ページ辺りです。

 彼の著作は、これ以外では、まだ「21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考」しか読んでいませんし、彼が主張することは全て正しい、とまでは思っていません。が、恐ろしいほどよく当たっています。未来への予知力があるのではないか、と思ってしまうほどです。

 彼は、人類歴史学者ですから、あらゆる万巻の関連書籍を読破していて、しかも、それら全てが頭の中にインプットされているようですから、人類が起こした過去の出来事や所作が分かっているだけではなく、これからの人類が仕出かす所業まで推測ができるようなのです。まるで、そこには(歴史的)法則があるかのように思えるので、「当たらずといいえども遠からず」と言った方が正しいかもしれませんが。

 彼は1976年生まれのイスラエル人ですが、頭脳明晰で大変優秀なユダヤ人の優越性を説くわけではなく、時にはユダヤ教を批判したり、イスラム教や仏教に対しても寛容な態度を示したりして(「21 Lessons」)、要するに学者としての中立性を担保しているところが私自身の彼に対する信頼度を高めています。

 となると、現在進行中のロシアによるウクライナ侵攻について、彼がどんな見解を持っているのか気になりました。

ミモザ

 2月28日付と、ほんの少し古いですが、彼が英有力紙「ガーディアン」に寄稿した記事が見つかりました。ロシア軍が侵攻してまだ4日も経っていない時に書かれたものです。タイトルは「なぜ、既にプーチンはこの戦争に負けたのか」Why Vladimir Putin has already lost this war と、かなり過激です。戦争が始まって3日しか経っていないのに、プーチンの敗退を「予言」しているからです。

 ハラリ氏は言います。「プーチンのロシア軍は全ての戦場で勝利を収めるかもしれない。しかし、戦争で勝利を収めることはない。…他国を征服できたとしても、占領し続けることは難しいー。この教訓は、米国がイラクで、ソ連がアフガニスタンで学んだことだ。…ロシア軍の攻撃でウクライナ人の死者が出る度に、ウクライナ人の侵略者に対する憎しみが深まっていく。この憎悪は心の奥底に刻まれ、何世代にも渡る抵抗運動につながっていく」と。

 そして、「残念なことだが、この戦争は長期戦になるかもしれない。色んな形を取りながら、何年も続くかもしれない。…とはいえ、ウクライナの人々は、新たにロシア帝国の傘下で生きることは望んでいない。このメッセージがクレムリン宮殿の厚い壁を貫いて届くにはどれくらいの時間がかかるのだろうか」と結んでいます。(私訳、意訳も含む)

アヤメ?

 昨日は、ロシア国営の「第1チャンネル」午後9時の看板ニュース番組「ブレーミャ」で、キャスターの後ろで、命懸けで、手書きの「反戦」ポスターを掲げた女性職員がいたことが世界中のニュースになりました。「ロシア軍に対する虚偽のニュースを流した」として禁錮15年の刑になりかねない行為だっため、大変勇気ある行動だったと思います。今、平和な日本ですが、NHKの職員がここまで時の政権に対して反旗を翻す人はいないでしょう。

 でも、先ほどの記事(ロシアによるウクライナ侵攻4日目)の中で、ハラリ氏は「ロシア市民の中で、あえてこの無意味な戦争に反対を表明する人もあり得る」Russian citizens can dare to demonstrate their opposition to this senseless war.と予言している箇所を見つけ、「あ、やっぱり、彼は予知能力がある人だなあ」と驚いてしまったわけです。

 【参考】

 The Guadian : “Why Vladimir Putin has already lost this war”

在日ウクライナ大使館に寄付しました

 これは書くべきかどうか迷ったのですが、先日、戦禍のウクライナ国民のために寄付しました。毎日、ロシアによる卑劣な空爆と攻撃で生命を落とし、隣国へ逃避しなければならないウクライナの人々が気の毒でたまらなくなったからです。

 とはいえ、三木谷さんのように自分のポケットマネーから10億円も寄付するわけにはいきません。無名の庶民ですから、そんな甲斐性がありません(残念ながら)。ほんのわずかな金額です。でも、大海の一滴かもしれませんが、「気持ち」として、寄付することにしたのです。

 さて、何処に寄付したらいいのか?

 最初、名のある国際機関にしようかと思いました。しかし、こういう国際機関に限って、一部幹部連中が甘い汁を吸って、私なんか見たこともないような年俸を獲得しているといいますから、私のわずかな寄付金でも奴らの懐に入ったらたまりません。他に民間団体も寄付活動をしていますが、悪いですが、どこまで明瞭会計で真摯に取り組んで頂けるのか、信用に値する根拠がありません。

 ということで、結局、在日ウクライナ大使館にすることにしました。ここなら、確実に母国に送金してくれることでしょう。同大使館は銀行口座番号を公表しております。

 要するに「気持ち」の問題です。もし日本が他国から侵略されたら、ウクライナの人から支援があるかもしれない、なんて卑しい根性はさらさらありませんからね。

 でも、正直、日本人はこのような寄付行為が苦手です。一番の理由は、組織や団体が信じられないからだと思います。逆に、信じる方がおかしいでしょう?

 ただ、ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」によると、現生人類は、7万年前から3万年前にかけて、「虚構」「社会的構成概念」「想像上の現実」を共有することによって「認知革命」が起き、生物界の頂点に君臨することができるようになったといいます。ハラリ氏はこう言います。

 百万長者の大半はお金や有限責任会社の存在を信じ、人権擁護運動家の大多数が人権の存在を本当に信じている。…人権も、すべて私たちの豊かな想像力の産物に過ぎないのだが。

 これは皮肉でも何でもなく、真実ですね。

 人類は、独裁政権を信じているから、独裁者を産んで、勝手し放題させているとも言えます。

 「プーチン大統領、貴方は間違っている。これ以上の殺戮行為はやめなさい」と、もしこの世に神が存在するなら、説諭してもらいたい。嗚呼、しかし、神も人類の豊かな想像力の産物に過ぎないとしたら…。身も蓋もない話になってしまいましたが、生きている限り、希望を棄てるわけにはいきません。

ウクライナの国旗かと思ったら…。駐車場のマークでした Higashi-Kurume City

【追記】2022年3月15日(火)

 希望的観測ですが、遅かれ早かれ、いずれプーチン政権は崩壊することでしょう。

 そんな政治的問題以上に、一番懸念されるのは、ロシアによる非人道的爆撃で、ウクライナ人の生命だけだなく、文化財まで喪失してしまうことです。黒海北部に当たるこの地は、紀元前8世紀から前3世紀にかけてスキタイ文化が花開いた所で、多くの遺跡物が博物館等で収蔵されています。

 これらは、ウクライナだけでなく、まさに世界の人類の遺産です。これらが損傷してしまっては取り返しがつきません。

 ロシア人が、アフガニスタンのタリバンが石仏を破壊したような同じ行為を断行とするとしたら、人類としてとても許せません。

生き延びるための楽観主義のすすめ=北条早雲、藤堂高虎にみる

 ロシアによるウクライナ軍事進攻は2週間以上経ってもいまだに続いています。平気で民間のアパートや病院、保育園などにもミサイルを撃ち込み、子どもや女性ら多くの社会的弱者が犠牲になっています。チェルノブイリ原発などまで占拠しています。狂気の沙汰です。

 まさに、民間人への殺戮であり、戦争犯罪です。それなのに、たった一人の誇大妄想の犯罪者を誰も止められません。 2022年2月24日を期して世界は一変しました。無力感に苛まれ、悲観的になってしまう人も多いと思います。

 そんな時こそ、逆に、あまり落ち込まない方がいいですね。

築地・寿司「きたろう」おまかせランチ握り1580円

 今の時代より遥かに生きるのが厳しく苛酷だった戦国時代に思いを馳せると、意外にも楽観主義者の方が長生きしています。その代表が北条早雲(1432~1519年)と藤堂高虎(1556~1630年)です。早雲は数えで88歳、高虎は75歳まで生きました。「人生50年」と言われた時代です。しかも、戦闘有事の乱世の時代です。当時としては、相当長生きだったことでしょう。

 小田原城主北条早雲は、後北条氏五代100年の礎を築いた人です。戦国時代で最初に下剋上で這いあがった武将とも言われます。謎の多い人物で、88歳ではなく、60代で亡くなったという説もあります。本人は生前、北条早雲と名乗ったことがなく、伊勢宗瑞、もしくは伊勢新九郎の署名が残っています。

 伊勢氏は室町幕府の足利将軍の申次衆(仲介役)を務める家柄で、早雲(と、します)も1483年、52歳で第九代将軍足利義尚(よしひさ)の申次衆を務めます。それが、守護の今川氏の後継者争いが起きたことから、急遽、遠江に下り、姉の北川殿(夫は八代今川義忠)が産んだ龍王丸(後の九代今川氏親、桶狭間の戦いで敗れた今川義元の父)を擁立し、暫定的に守護職に就いていた小鹿範満(のりみつ=今川義忠の従兄弟)を討ち取ります。小鹿範満の背後にいた扇ガ谷上杉家の家宰太田道灌が暗殺されていなくなった隙をついたといわれます。そっかあー、北条早雲と太田道灌は同時代人だったんですね。

 この功績で早雲は1487年、56歳にして興国寺城(静岡県沼津市)の城主となります。これから権謀術数を弄して、まずは93年(62歳)に堀越公方を追放して伊豆を支配し、95年には64歳にして、ついに小田原城主となります。そして、仕上げは1516年、85歳にして相模を平定して、平安末期から続く有力大名である三浦氏を追放するのです。

 早雲はまさに大器晩成だったんですね。長寿の秘訣は、修善寺温泉などでの温泉療法と朝4時に起き、夜8時には寝る規則正しい生活。そして粗食(梅干しを好んだ)のようです。歴史家の加来耕三氏は、早雲の来歴を見て、「何事も気楽に考え、ストレスを溜めない。健康に留意し、重々しく考えず、切羽詰まらない生き方が良かったのではないか」と評しておりました。

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 もう一人の藤堂高虎も実に楽観主義者です。「築城の名人」として、宇和島城、今治城、伊賀上野城、津城(32万石)など20の城を手掛けたと言われるので、城好きの私としては、大ファンです。(是非とも行ってみたい!)

 しかし、高虎は、「世渡り上手」だの「薄情者」だのといった悪評に付きまとわされていました。主君を何度も何度も代えたからでした。でも、よく見ると、それは致し方なかった面があります。最初の主君浅井長政は織田信長に滅ぼされますし、300石の家臣として召し抱えてくれた羽柴秀長(秀吉の弟で、天下統一の立役者)は病死してしまいます。秀吉の家臣になりますが、関ヶ原の戦いでは東軍につきます。これは裏切り行為かもしまれませんが、徳川家康に懸けたということなのでしょう。(ただし、幕末の藤堂家は、恩顧ある徳川家を見限って、薩長主体の官軍に寝返り、「さすが高虎の子孫」と揶揄されたそうな)

 この功績で、藤堂高虎が家康から江戸に与えられた最初の屋敷の地名は、伊賀上野にちなんで上野と付けられたという説が有力です。つまり、東京・上野の本家本元は三重県の伊賀上野市ということになります。

 藤堂高虎は、近江の小土豪の次男として生まれましたから、家督は相続できず、自分の力で這いあがっていかなければなりません。嫌な仕事でも腐らず、最初は無給でも手柄を立てながらのし上がっていかなければなりません。高虎が築城の名人になれたのも、底辺から城づくりの基礎を学んでいったからだといいます。信長の安土城の築城にも参加し、この時、石垣づくりでは定評の石工集団「穴太衆」(あのうしゅう)との交流を深め、今後の城づくりには欠かせなくなりました。これも、嫌な仕事でも前向きに受け入れていったお蔭だったようです。

 これまた、歴史家の加来耕三氏は「藤堂高虎は、190センチ、113キロという体格に恵まれ、明るい性格でした。良い方へ良い方へと楽天的に考える。そうすることによって、物事が良い方向に向かう。高虎は、苦手なことをこなせば、自分の『伸びしろ』になると考えていたのではないか」と想像していました。

 北条早雲と藤堂高虎という歴史に残る人物の共通点は、やはり、楽観主義にあったようです。

※BS11「偉人・素顔の履歴書」の「第19回  主君を7度も変えて出世した戦国武将・藤堂高虎 編」と「第20回  戦国大名の先駆け・北条早雲 編」を参照しました。

※諸説ありますが、藤堂高虎の主君は、7人ではなく、「「浅井長政⇒阿閉貞征(あつじ・さだひろ=長政重臣)⇒磯野員昌(かずまさ=長政重臣)⇒織田信澄(信長の甥)⇒羽柴秀長(秀吉の弟)⇒秀保(秀長婿養子)⇒豊臣秀吉⇒秀頼⇒徳川家康⇒秀忠⇒家光」の11人が有力です。

ウクライナ Ukraine  意外な人物

 ロシアによるウクライナ侵略で、目下、2000人以上のウクライナ市民が犠牲になっている、とウクライナ当局が3月2日に発表しています。国際社会は、国際法違反のこの蛮行を黙って見過ごすわけにはいきません。単なる殺戮です。

 日本にとって、ウクライナは遠い異国の地ですが、意外と馴染み深い人がいらっしゃったりします。

 まず、昭和のスポーツ史に名を残す大相撲の横綱大鵬は、白系ロシア人の血を引く、と聞いたことがありましたが、大鵬の父親はウクライナ第2の都市ハリコフの出身だといいます。(ハリコフ市の州の政庁舎など中心部が爆撃され、多数の死傷者を出しているという情報も)

 個人的には、ウクライナといえば、ビートルズの「バック・イン・ザ USSR」という曲です。1968年に発表された「ホワイトアルバム」の最初に収録されたノリが良いロックで、この中で、「ウクライナの女の子には、マジ、悩殺されるよ。the Ukraine girls really knock me out.」とポールは唄っています。特に、ウクライナは美男美女が多いので、英国人でも一目置いていたのでしょう(笑)。

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 歴史的には、9世紀後半から栄えたキエフ公国がルーツになります。10世紀にウラジーミル大公がギリシャ正教を国教にしたことから、いわゆるロシア正教の総本山となりますが、13世紀から始まるモンゴル族の侵攻で壊滅します。その代わりに、辺境の小国に過ぎなかったモスクワ公国が台頭し、ウクライナに代わりロシア正教の総本山となり、宗教的国家的盟主となるわけです。

 もともと兄弟みたいな国でしたが、ソ連時代は、モスクワのクレムリン政権は、ウクライナを「豊かな穀倉地帯」として搾取しました。特にスターリンは、ウクライナ人を強制移住させて、後に「ホロドモール」と呼ばれる人工的に発生させた飢饉によって1932~33年、400万人以上を死亡させたと言われます。

 この「ウクライナ大飢饉」を映像化したのが、「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(ポーランドのアグニェシカ・ホランド監督作品)という映画で、私も一昨年の夏に観て、渓流斎ブログ2020年8月15日付「『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は★★★★★」で感想を書いております。

 「兄弟国」と言いながら、ロシア人はウクラナ人を見下しているのでしょうか? そうでなければ、今回の侵略もそうですが、こんな酷いことを出来ないはずです。

有名人に多いウクライナ系ユダヤ人

 また、19世紀から20世紀にかけて、「ポグロム」(破壊させる、という意味)と呼ばれた虐殺により、ウクライナに住む何万人とも言われるユダヤ人が殺害されました。

 となると、多くのユダヤ人がディアスポラ(移民)を余儀なくされます。米国では、100万人近いウクライナ系ユダヤ人が住んでいると言われます。作曲家・指揮者のレナード・バースンスタイン、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のダスティン・ホフマン、カーク・ダグラス、マイケル・ダグラス親子、それに、意外にもシルベスター・スタローン(母の旧姓はラビノヴィッチ)や「ウエストサイド物語」「理由なき反抗」のナタリー・ウッド(本名ナタリア・ザカレンコ)もウクライナ系ユダヤ人だといいます。知らなかった。

 「へー」と思って、調べてみると色々出てきます(笑)。ウクライナ系ユダヤ人の中には、ヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフ、ピアニストのレオ・シロタとウラジーミル・ホロヴィッツ、作曲家のセルゲイ・プロコフィエフとクラシック音楽界の巨匠を輩出したほか、何と、メキシコで暗殺された革命家レフ・トロツキーもウクライナ系ユダヤ人だったというんですからね。ユダヤ人だったことは知っていましたが、ウクライナ系だったとは!

 何よりも、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ユダヤ系ウクライナ人だといいます。

 日本では、ウクライナ系の有名人として、現在、モデル・タレントとしてテレビで活躍中の滝沢カレンの父親がウクライナ人(生まれる前に既に離婚)だという情報もあります。

 日本に住むウクライナ人は2020年12月現在、1876人(うち女性1404人)で、北方領土に住む全人口の4割程度がウクライナ人だと言われています。ソ連時代、ロシア人によって、ウクライナ人が強制移民させられたのではないか、と勘繰ってしまいますが、単なる個人的妄想で、公式データではありません。

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 本日、久しぶりに文春砲を購入しましたが、この中のトップ記事「プーチン『殺戮の履歴書』」を読みたかったからでした。1953年生まれのプーチンが、KGBに入ったのも、リヒャルト・ゾルゲに憧れていたからだったとは!…。彼の公式自叙伝では、父親は工場労働者で、20平方メートルのトイレもバスも共有だったネズミが出る狭いアパートで苦労して育った「立身出世」の人に描かれています。しかし、プーチンさん自身は認めていない非公式評伝では、父親は工場技師で、副業として秘密警察の工作員をやっていたので、普通の家庭には普及していなかったテレビを持つなどかなり裕福で、郊外に別荘まで持っていたといいます。

 自分の履歴書を嘘でかためて塗り替える有名人は古今東西、数多おりますが、プーチンさんもその一人ではないか、と疑わざるを得ません。

 ※ウクライナの歴史は、3月1日付読売新聞国際面の三浦清美早大教授の記事、「加藤哲郎ネチズンカレッジ」などを、ウクライナ系ユダヤ人に関しては、週刊文春に掲載された町山智浩氏の「言霊USA」などを参照しました。

【追記】2022.3.4

 反戦歌「風に吹かれて」を唄ったボブ・ディランもウクライナ系ユダヤ人でした。