フェイスブック、やめるべきか、続けるべきか

使わせてもらっておいて文句を言うのは、またまた気が引けますが、大量の個人情報が流出した米フェイスブックの会社としての対応には、全く誠意を感じられませんね。

私はこの《渓流斎日乗》を全世界に(笑)に発信するためだけに、仕方なくフェイスブックを使っております。そのお蔭で、高校時代の友人に何十年ぶりかでコンタクトできるようになったり、これまで知らなかった「友達の友達」と知り合うことができたりして、多大なる恩恵を蒙ることができました。

しかし、情報漏洩になると話は別です。(私はせっせと投稿して、フェイスブックに個人情報を提供してますからね)

スペイン南部ミハス

フェイスブックは全世界で22億人ものユーザーがいるといいます。特に東南アジアでの普及率は最近目覚ましいものがあり、例えばベトナムは、2017年7月の月間利用者が6400万人で同年1月と比べて39%増加。ベトナムの人口は約9400万人ですから、普及率が人口の68%です。タイになると、同年同月の利用者は5700万人。タイの人口は約6700万人ですから、何と普及率は84%にもなるのです。誰もが使っているインフラみたいなものと言っていいでしょう。

それが、今春、最大8700万人分の連絡先や投稿内容が流出したことが発覚し、続けて、9月下旬には2900万人の氏名や電話番号などが流出したことが分かりました。

アカウントが流出するとどうなるかといいますと、脅迫メールが頻繁にきたり、本人になりすまして投稿されたり(勘弁してほしい)、最悪の場合、匿名性の高い闇サイトで取引され、サイバー犯罪集団に渡る恐れがあるといいます。犯罪集団は、銀行口座番号やパスワード、クレジットカード番号などを盗み取るために、巧妙なフィッシングメールを仕掛けるといいます。

ペイン南部ミハス

これに対して、フェイスブック側が、攻撃者や被害の詳細については「調査中」と言うだけで、それ以上の情報開示をしていません。

私は、以前に、フェイスブックのことを多くの人が、善意のボランティアで公開しているプラットフォームだと誤解しているだけで、「実態は広告会社だ」と書いたことがありますが、やはり、10月18日付の日経新聞は、フェイスブックの収益の約98%が広告収入だ、とはっきり書いておりました。

知らないうちに、身に覚えがあるような「ターゲット広告」が襲来するのは、フェイスブックが、どこかの代理店に個人情報を販売しているのではないかと疑いたくなります。

欧州では、個人情報保護のために、「一般データ保護規則(GDPR)」を施行して、閲覧履歴データを自由に使えなくしました。

日本もやっと重い腰を上げて、公正取引委員会が「プラットフォーマー」と呼ばれるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大IT企業を、独占禁止法40条に基づく強制調査を検討し始めました。(どういうわけか、読売新聞だけが積極的に報道してます)

それだけ、ネットのプラットフォームが、道路や水道、電気、ガス並みに現代人に欠かせないインフラになったということでしょう。

せっかく、フェイスブックで色んな方と知り合ったり、コメントを戴いたりしているので、今すぐ、解約することは躊躇しておりますが、サイバー攻撃を受ければ、解約は真剣に考えます。

アマゾンは消費税分を払っていない?

スペイン・グラナダ

昨晩は、東京・南麻布の日本料理店「有栖川清水」に行きたいと思いつつ、先立つものがないため、日暮里の安居酒屋「やじろう」で我慢して、久しぶりに増本君と懇談しました。

増本君は出版社の経営者ですが、実態は、社員一人の零細出版社のたこ社長です(笑)。それでも、トーハン、日販という大手取次ぎ店と契約できている数少ない出版社の経営者です。それは、全国で1000社ほどしかないそうです。

誰でも簡単に出版社をつくることができますが、大手取次ぎと契約するには、それなりの準備金とか支度金のほか、厳しい出版計画や口座管理などが必要とされ、なかなか許可が下りないそうです。大手取次ぎと契約できれば、出版した本は全国の書店に梱包して流通してもらえるのです。(昨晩は「口座貸し」という業界用語を初めて知りました)

でも、1000社のうちの大半は、社員数人から十人程度の零細企業が多いということでした。

その増本君が怒りをぶちまけていたのが、世界一の通販アマゾンです。「あいつら消費税払わないんだからなあ…」というわけです。

「えっ!?」。私は耳を疑いました。

スペイン・アルハンブラ宮殿

増本君によると、日本の出版社がアマゾンと電子書籍で契約すると、アマゾンの日本法人ではなく、米国かどこかタックスヘイブン国の本社と契約させられるため、日本の消費税は曖昧になるというか、結局払わず仕舞いだというのです。

しかも、無謀にも、アマゾンは出版社からの卸値を定価の60%にまでダンピングを要求するというのです。

ここで、本の価格の仕組みを簡単に説明しますと、定価1000円の本があったとしますと、そのうちの20%が小売店、つまり本屋さんに入るようになっています。本屋さんはこの20%で従業員に給料を払ったり、光熱費、家賃を払ったりするわけです。

流通卸のトーハンや日販には定価の67%で引き取ってもらいます。しかし、新刊は、5%の歩戻しが取られ、実質62%でしか引き取ってもらえないこともあるようです。

そこに割り込んできたのが通販最大手のアマゾンです。通常60%のところ、2年前に期間限定で66%にするキャンペーンを張り、KADOKAWAなどの大手出版社が契約を結びました。

が、内部機密契約ですから、正確な実態は分かりません。

出版不況と言われて久しく、街の本屋さんが次々と閉店に追い込まれる中、通販だけは元気です。小売りの書店はいらないので、ネット環境と倉庫と物流さえ抑えておけば、1冊に付き、執筆も製本もしないのに、定価のまるまる40%もの売上高を確保することができるからでしょう。

しかし、アマゾンは、電子書籍とはいえ、日本語の本を扱っておきながら、そして、購買者から消費税を取っておきながら、消費税分を申告しないというのは、もし、それが事実なら如何なものか、ですよね?

国税庁の佐川長官、あ、お辞めになりましたか、今は藤井長官ですか、いずれにせよ、長官直々に陣頭指揮を執って調べてもらいたいものです。来年は消費税10%に増税されますからね。

今日、東銀座で500円ランチ!20分は並びましたが、並び甲斐ありました

【追記】

タイムリーにも、2018年10月12日(金)付読売新聞朝刊は、公正取引委員会が「プラットフォーマー」と呼ばれるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など巨大IT企業を、独占禁止法40条に基づく強制調査を検討している、と報じておりました。

アプリを販売する条件として、売り上げの30%という高い手数料を取るケースもあるらしいのです。

吉報ではないでしょうか。

落合陽一博士の「結果として中国が正しかった」説には同感

テレビを見ると、どこもかしこも、2世、3世の政治家、俳優、タレント、料理研究家、財界人だらけです。日本の因襲、襲名制度健在なり。ご同慶の至りで御座いまする。

そう言えば、小生が影響を受けた敬愛するジョン・レノンと小野洋子さんの息子ショーンは、幾つになったのかな、と気になって調べたところ、彼は1975年10月9日生まれ。何と、今年43歳。ジョンが暗殺されたのが40歳ですから、そろそろ親父の年齢に近づいたのかな、と思ったら、もうとっくに越えてしまっていたんですね!

私も年取るはずてす。

◇◇◇

そんなこんなで、今、若者のカリスマ落合陽一博士(筑波大学長補佐)の「日本再興戦略」(幻冬社、2018年1月18日初版)を読んでます。

彼は1987年生まれ、といいますから、私より一世代若い。著名作家落合信彦氏の御子息ということで、反発されるでしょうが、こちらも「落合二世」といった感じでしょうか。

世界的な科学雑誌の「別冊」の表紙を飾ったことがあるらしく、まさに現代の若者たちのカリスマと言われてますが、大変失礼ながら、もう少し、我々のような旧世代をコテンパンに圧倒するような瞠目すべき見解が、この本では展開されているのかと思いましたが、期待外れでした。

大和朝廷や出雲のことなども書かれていますが、やはり、専門家の倉本一宏氏らの著書と比べると全くといっていいくらい浅薄ですね。

ただ、御専門のデジタルメディア論に関しては、真っ当なことを仰っておりました。

日本のIT業界は、ホリエモンこと堀江貴文さんの逮捕で、変革の流れは止まってしまった、というのです。

米国のフェイスブックやツイッターが存在感を発揮する一方、「国産」のミクシィは死んでしまった、というのです。

今や、日本のネットユーザーの間では、米国のアマゾンやグーグルなしでは生活できないことでしょう。落合さんは、もう少し、日本が頑張ってたら、アマゾンが日本に進出した時に、せめて、例えば、楽天などと提携せざるを得なかったのではないかというのです。

「僕らは日本をIT鎖国できなかったせいで、中国のようにアリババやテンセントやバイドゥを生むことができませんでした。2000年代の日本は、IT鎖国した中国をバカにしていてグレートファイアウォールと揶揄していましたが、結果として中国が正しかったのです」と落合氏は結論付けます。

私も賛成ですね。

2000年代の日本は、大蔵省の不祥事などを受けて大規模な省庁改革が断行され、結局、大蔵省も通産省も解体され、いわゆる国家主導の「護送船団方式」も終焉してしまいました。

デジタルの世界は、「1」と「0」の世界ですから、一位にならなければ全く無意味です。二位も最下位も同じなのです。つまり、「オール」or「ナッシング」の世界です。

今のFAANG(フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグル)といわれる米資本に制覇されてしまった日本の現状を見るにつけ、「結果として中国が正しかった」という落合説には同感してしまいます。