先日の忘年会で久し振りにお会いしたインテリ紳士の大杉さん。かつては、リベラルなアナーキストとして進歩的意見の塊の人かと思っていたら、すっかり思想信条が変わっていたので、驚いてしまいました。
大杉さんが利用する都心と隣県を結ぶ私鉄線。最近、各駅の案内掲示板に中国語や韓国語の併記が目立つようになり、「ほかの国はそんなことやっていないのに、おかしい。行き過ぎじゃないか」と言うのです。
確かに、一理ありますね。私は芸術鑑賞が好きなので、よく博物館や展覧会場に行きますが、今年から急に、英語だけでなく、中国語と韓国語の併記が増えたと感じるようになりました。
東京一の高級繁華街・銀座のショップも中国語や韓国語の表示が目立つようになりました。特に、中国系のクレジットカードが使えるという告知なんか、一番目立ちます。「何だ、君たちはもう日本人は捨てて、中国人相手だけに商売やっているのかい?」と思ってしまいます。うーん、我ながら、何か、極右反動的ですね。今のマスコミ用語を使えば、差別主義でしょうか(笑)。
大杉さんは、旅行好きで、よく海外に行くそうですが、昔と違って、現地の人から最初に言われるのが、「中国人か?」なんだそうで、彼は慌てて否定するそうです。確かに国粋主義者でなくても、間違えられるのは、あまり気持ちが良い話ではないかもしれません。
こういうことを書きますと、批判の嵐が飛び交うことでしょうが、続けます。
日産のゴーン前会長の逮捕・勾留について、「グローバル・スタンダード(国際基準)に合っていない。早く保釈するべきだ」と主張する日本人のコメンテーターがいます。レバノン人か、ブラジル人か、フランス人が言うのなら、そして、特にゴーン氏との利害関係者なら分かりますが、その日本人は、自分は進歩的で、グローバル・スタンダードを遵守する上流階級の人間だから、知恵遅れの下々どもは俺の言うことを聞けとでも言いたいのでしょうか。
片腹痛しですね。
日本は法治国家です。強欲ゴーン氏の件については、ちゃんと刑事訴訟法に則って、法的手続きを踏んで、粛々と進めています。
ゴーン氏が逮捕された時、あの有力米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが「共産党が支配する中国の話だろうか。いや、資本主義の日本で起きたことだ」と、「異端審問」扱いする大キャンペーンを張り巡らしました。以前、お会いした著名な日本人経済アナリストが「日本の日経新聞は全く読むに値しない。やはり、ウォール・ストリート・ジャーナルを読まなくては」と強調されておりましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルといっても、この程度の新聞なんですからね。
つまり、どこに視座があるかということです。富裕層優遇の市場原理主義、新自由主義の思想に立脚しており、国際金融資本家の機関紙であり、紙面化、デジタル化された時点では、その情報は古く、黄色人種の庶民にはそのおこぼれにも預かれないという深層と真相を、賢明なる人はそろそろ見破るべきなのです。
はっきり言いますが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、あなた方、日本人の庶民は全く相手にしておりませんよ。せめて、10億円以上の資産(ゴーンさんと比較すると、何とみみっちいくらい少ないことか!)がある人でなければお話にならないのです。
だから、日本のメディアは、海外の反応など、金科玉条の如く、神棚に飾るが如く、垂れ流しする必要はないのです。淡々と報道すればいいのです。日本人は海外の目を気にし過ぎる民族です。ウォール・ストリート・ジャーナルは、日本人の庶民の意見など馬耳東風、全く気にしてませんから、取り上げることは皆無です。
話を少し元に戻しますと、海外で事故や災害などが遭った時、かつて著名なリベラル評論家が「日本のマスコミは、すぐ『日本人の被害者はなかった模様です』と報道しますが、遅れています。国際基準に合っていません。現地の人のことも報道すべきです」といったような趣旨で、日本のメディアを弾劾しておりましたが、どこの海外メディアが自国以外の被害状況を率先して報道しているのでしょうか?
オリンピックだって、自国の選手がどれだけ金メダルを獲ったか、躍起になって報道するだけです。
大杉さんにしろ、最近の日本人の思想信条の軸が少しずれてきたかもしれません。これだけ、世界各国で「自国第一主義」が蔓延れば、何処の国でも影響を受けることでしょう。日本も特別ではありません。訪日外国人観光客が3000万人を突破したからといって、喜ぶのは政治家と高級官僚と商人と財界人と市場原理主義者ぐらいです。
大杉さんの結論は、そろそろ、外国のことを気遣うことだけを「進歩的」だの、「おもてなし」だのと誤解することはもうやめにしませんかねえ?グローバリズムの弊害について、日本人はもっともっと、気付くべきです、ということでした。
小生も同感ですね。何しろ、グローバリズムでこの世の春を謳歌しているのは、高給取りの国際機関職員や国際金融資本家らごくわずかですから。