ゲストハウスとレストボックス

ミラノにて

T君が、イタリア旅行から帰って来て、郷里に帰らずに、そのまま東京に居着いた場所が、ゲストハウスと呼ばれる所でした。私は、それまで、このゲストハウスについては全く知らなかったのですが、もともと、外国人旅行者が長期滞在するために利用していたものが、ビジネスとして発展したらしいのです。都内だけでなく、全国かしこにあるようです。

2段ベッドがざっと10架か20架くらい並んでいて、共用スペースにシャワーがあったり、食事用の簡単なテーブルや電子レンジがあったりします。1泊1200円とか2000円くらいで、月額3万6千円から、個室用の9万円とかあったりします。インターネットで検索するとたくさん出てきます。

T君が居着いたゲストハウスにはフランス人のパリジェンヌ(変な言い方ですね)が居て、半年近く、日本に滞在していて、ここを拠点に日本全国を旅歩いていたそうです。そういえば、私も昔、ヨーロッパを旅行した時、こういう感じの宿に泊まったことがありました。アムステルダムの「YMCA」です。そこは、男子専用でしたが、少し、男色趣味のある黒光りしたアンちゃんがジロジロ物色していたので、気持ち悪かった思い出があります。

ゲストハウスは、男女兼用で、かのパリジェンヌもタオル一枚を体に巻いて、平気でシャワールームから出てきたりしたそうです。

ミラノ

そして、ゲストハウスに似た宿として、今「レストボックス」というのが注目されています。ここも、一泊1200円とか2000円とかの低料金、長期滞在型で、若者のフリーターがよく利用するそうです。もともと、建築会社の請負会社が始めたそうなので、「建築現場」などの仕事も斡旋してくれる所があります。ここで、半年ぐらい仕事をしながら生活していて、「お金をためて、将来、お店を出したい」という青年が、テレビの取材に答えていました。この青年は親との折り合いが悪く、22歳にもなったので、親と同居するのもいかがなものか、と家を出たらしいのですが、ちゃんと、そんな親にも仕送りしている、というのですから、本当に感心してしまいました。

ゲストハウスにしろ、レストボックスにしろ、若者や外国人だけでなく、最近、サラリーマンや、わけありの中高年の人も利用する人が増えてきたそうです。あるゲストハウスのオーナーが「外国旅行から帰ってきて、そのままボストンバッグ一つで来られる方もいます」と話していたのを聞いて、「なんだ、T君のことじゃないか」と噴出してしまいました。