オランダ人家族に久しぶりの観光ガイドをしてきました

昨日は、実に数年ぶりに海外からの観光客向けガイドを、病気で中断しておりましたが復活し、仕事として行いました。一応、こんな私でも通訳案内士の国家資格を持っています。(でも、安倍政権は、資格がなくても誰でも、報酬を得てガイドできるよう法律を改悪しました)

クライアントさんは、オランダの画家レンブラントで有名なライデン近郊の小さな町からやってきた4人家族で、お父さんは、何と旅行会社の創業者兼社長さんでした。15歳の娘さんと13歳の男の子がおります。2カ月近く前にお母さんからオランダから直接、日本にいる私の携帯に「7月20日に東京でガイドをしてほしい。あなたに任せます」と依頼があったのです。(私の名前と携帯番号などは観光庁のネットにも登録しているもので)

「お任せ」っていうの、一番困るんですよね(苦笑)。相手が興味もない所に案内するわけにはいきませんから、ある程度の趣味や興味を聞かなければなりません。でも、子どもと大人の興味はまるで違いますし、時間は限られ、最大公約数を選ばなければなりません。

まあ、正直、下準備が大変でした。オランダ語も少し勉強し、事前に行く場所、ランチする店なども確かめに行きました。結局、それやこれやで事前の準備通りには行かず、観光ガイドの仕事って、そうワリに合う仕事じゃありませんね(笑)。

大変失礼ながら、オランダ人にはマイペースといいますか、少し気まぐれなところがありまして、こちらが質問のメールをしても、返事が遅く、あまり正確に答えてくれることが少ないのです。しかも、最近、ヨーロッパでは個人情報保護が急に厳しくなりましたから、どこまでプライバシーに触れていいのか分からなくなってしまったのです。例のGDPR(General Data Protection Regulation 一般データ保護規則)とか呼ばれるやつです。

銀座

で、結局、準備不足のまんま、本番に臨みました。

結果は「50点」ぐらいの自己採点ですかね。赤点です。何しろ、言葉が出てこないのです(苦笑)。何気ない会話なんですが、「花火」が出てこないので、浅草近くの隅田川花火の話題に進めることができず、富士山の「裾野」という言葉が出てこずに、うまく説明できませんでした。ダメですねえ、全く。

しかし、オランダ人家族はとても寛大でした。とても満足そうな表情で帰っていただいたので、私自身は救われましたね。

15歳の娘さんは、とても可愛らしく、恥ずかしがり屋さんでした。名前は、日本語で「月」という意味でした。思春期特有のヒネたりしてません。純粋で、とてもまっすぐな感じでした。オランダと日本との交流で、私は事前にiPodで資料をつくって彼らにお見せして、長崎の出島の写真を見せたら、「あっ!これ教科書で見たことある」と彼女は言ってくれたので、嬉しくなりました。オランダでも、蘭日交流史を少しは教えているんですね。

13歳の坊やは、自分のスマホのゲームばかりやってました。名前は、日本語で「熊さん」という意味でした。13歳は日本で言えば、中学1,2年生ですが、何か小学校5,6年生に見えました。自分もこんな幼かったのかなあ、と思ってしまいました。でも、愛嬌があり、可愛いので連れて行こうかと思ったぐらいです。冗談ですよ。

お父さんは、あのシーボルトのことまで知っていて、ライデンのシーボルト博物館に行った話をしてくれました。なかなかのインテリです。

秋葉原に行ったら、お母さんが急に「猫カフェに連れて行ってくれい」と言い出すのです。こちらも「そんなの聞いてない。もっと早く言ってくれい。事前に場所を調べたのに!」と心の中で思いつつ、スマホで一生懸命に検索して、手頃な店を見つけました。しかし、電話で場所を教えてもらったら、とても下手くそで、埒が明かず、少し時間を取らせてしまったことが失敗でした。

そこは、なかなか厳しい店で、「猫は触るだけで抱っこしちゃいけない」とか、「荷物はロッカーにいれろ」とか「入室する前に消毒しろ」とか規則規則のオンパレードでした。猫カフェは、生まれて初めて行きましたが、日本でブームになるのが分かりましたね。スコティッシュとかアメリカンショートヘアとか、あまり見たことがない高級猫を見ることができました。ちなみに、1時間近くいたら、一人1550円でした。

東京は、36度の猛暑で、マスコミで「熱中症に気をつけろ」と連呼するので、どこも日本人の姿が少なく、外国人観光客だらけでした。日本の着物姿も外国人でした。浅草の地下鉄の中を見回したら、ほとんど中国人と韓国人と台湾人とタイ人とインドネシア人ばかりで、日本人は私自身しか見当たらなかったので、お母さんに、その旨を伝えたら、「向こうに座っている女性2人は日本人じゃないかしら」と言うので、よく見たら日本人でした。

「どうして分かるんですか」と尋ねたら、お母さんは「やはり、服装や髪型が違うし、顔つきも少し違う」というのです。

私はオランダ人とドイツ人とフランス人の区別はつきませんけどねえ。恐れ入りました。

欧州個人情報保護法で、彼らの写真をここに掲載できないのが残念です。とても素晴らしい家族でした。