ミラノ・スフォルツァ城
映画「ハドソン川の奇跡」を千葉県で見てきました。クリント・イーストウッド監督作品だからです。
2009年1月15日に実際に起きたUSエアウエイズの鳥激突による両エンジン停止でNYのハドソン川に不時着陸して、155人の乗員乗客の生命を救ったサリー機長(トム・ハンクス)とジェフ副操縦士(アーロン・エッカート)の物語です。
当初、英雄として迎えられた機長らも、事故調査委員会の調査で一転して「容疑者」となります。
どうなるのか、は見てのお楽しみです。
全編、緊張感があり、映像に少し無駄がありましたが、トッド・コマーニキの脚本が無駄がなくていいです。1時間50分という時間もちょうどいい長さです。
ミラノ・スフォルツァ城
以下は、私がこの映画のどこに着目したか書きます。未見の方は、この先はお読みにならない方がいいと思います。
て、ゆーか、映画を観ないと、読んでも分からないと思います(笑)。
私がまず、「オー」と思ったのは、主役のサリー機長演じるトム・ハンクスらの着ているものが、何から何まで超高級品に見えたことです。
さりげなく着ていた薄いセーターも恐らくカシミア製でしょうし、上下のスーツはかなり高級なイタリアン・スーツ、ジョルジュ・アルマーニあたりかと思わせましたが、恐らく、ケネディ大統領も愛用した米国のブルックス・ブラザースでしょう。
映画の中で、飛行機がハドソン川に不時着して、着替えも何もかも置いて避難し、ホテルに落ち着いた時に、サリー機長らは、着替えとして安物のスーパーの服を航空会社の同僚から渡されます。
この時、不服そうな表情を浮かべたサリー機長らに対して、その同僚は「えっ?ブッルクス・ブラザースの服が欲しかったのかい?勘弁してくれよ。今、夜の10時なんだから、開いているのはKマートぐらいだよ」
と言い返します。
この台詞で、彼らはパイロットですから恵まれた階級であることが分かります(笑)。
ミラノ・スフォルツァ城
映画に登場した、事故に見舞われた乗客・乗員155人のほとんどが、コーカサス系で、アフリカ系、アジア系、それにヒスパニック系がほとんどいなく、勿論、台詞はなし。実話に基づいて、想定したのかもしれませんが、何か、意図するところがあったのか、勘ぐってしまいました。
もう一つ、サリー機長を全面的に善人としてではなく、どこか胡散臭い面があったことも、さりげなく描いていたことには感心しました。
それは、台詞の中だけにしか出てきませんが、機長は一人で、別会社をつくって不動産関係の投資をやっていたことなどです。もちろん、法に違反するとかそういう話ではありませんが、通り一遍な善人として描くより、迫真性が増して、この映画は反反知性主義者が観ても納得させる要素を持っている遠因になっています。