公開日時: 2005年7月2日
ピアニストのフジ子・ヘミング。正直、7,8年ほど前に彼女が一世風靡した時、どうも好きになれず「食わず嫌い」でした。
しかし、帯広に来て、ある人から熱心に薦められて、聴いているうちに、つい、のめり込んでしまいました。
4,5冊、彼女に関する本が出てますが、特に『運命の力』(TBSブリタニカ)がいいです。音楽家として致命的ともいわれる聴覚を失っても、希望を失わずに艱難辛苦と闘って、ピアニストとして成功を収める姿が本人のイラストと写真付きで克明に描かれています。
「人生はうまく行かない方が当たり前」「運命はいつか必ずやってくる」-。彼女の言葉に重みがあります。そのせいか、彼女の弾くピアノにも普通のエリートの天才ピアニストとは違った重みが感じられます。 すっかり有名になった「ラ・カンパネラ」にしろ、偶然の産物ではなく、リストの魂が彼女の頭上に舞い降りたかのような必然性すら感じるのです。