マスコミの世界で仕事をした経験のある人なら誰でも知っていますが、原稿の名前や住所などを校正する際に、間違いがないかチェックし、最後は2人1組になって、「読み合わせ」をします。
この時に、漢字の場合、例えば、「伊藤俊行」なら、「イタリアの伊、下がり藤、俊敏の俊、行進する行く」といった感じです。カタカナの場合、例えば「バビロニア」なら、「葉書のハに濁点、広島のヒに濁点、ロシアのロ、ニンジンのニ、アメリカのア」といった具合です。こういうのを業界用語で、「字解」と読んでいます。
日本だけかと思ったら、欧米にもあるんですね。特に有名なのが、「フォネティックコード」です。この中でも北太西洋条約機構(NATO)が定めた通話表が、世界中の航空業界や無線・通信業界で広く使われているようです。
大雑把に言いますと、
A=Alpha B=Bravo C= Charlie D=Delta E=Echo F= Foxtrot G=Golf H=Hotel I=India
J=Juliett
K=Kilo
L=Lima
M=Mike
N=November
O=Oscar
P=Papa
Q=Quebec
R=Romeo
S=Sierra
T=Tango
U=Uniform
V=Victor
W=Whiskey
X=X-ray
Y=Yankee
Z=Zulu
ほとんど、人名か地名か、中学生ぐらいの英単語なので、分かりやすいでしょう。日本人が引っかかるとしたら、S=SierraとZ=Zulu あたりでしょうか。Sierra は、「のこぎり状の山脈」のほか、19世紀後半から20世紀にかけて活躍したメキシコ人の教育者・歴史家、または、フォード自動車の車種名にも使われていました。Zulu は、南アフリカのズールー族や俗語で「黒人」の意味もあるようです。欧米人としては常識なんでしょうね。
国際民間航空機関(ICAO)は、世界各国の航空機に「国際民間機登録記号」を定めています。例えば、日本はJA、米国はN、パラグアイはZPです。ある空港にパラグアイの民間機が発着する時、パイロットと管制官との間で、ZPだけでは聞き取りにくいので、「Zulu Papa ×○△」などと無線でやり取りするわけです。
私は業界人ではないので知りませんでしたが、大変勉強になりました。