無料雑誌の落とし穴

公開日時: 2006年1月24日 @ 20:49

最近の若い連中は、と言い始めたら、もうお仕舞いなんだそうですが、それはともかく、彼らは「情報はタダ」だと思っているらしいのですね。私のように情報収集産業の片隅に生息している輩にとっては、聞き捨てならぬ台詞なのですが、言われてみれば、現実問題、彼らはニュースはインターネットでタダで収集して、おまけに新聞や雑誌は買うことなく、新聞はいわゆるフリーペーパー、雑誌も駅構内や街角で無料雑誌を入手して、それで、済ましているらしいのですから、情報はタダだと思っているどころか、タダの情報に接しているのが実態だったのですね。

地方に住んでいても、フリーペーパーや無料雑誌にはお目にかかります。大抵は、レストランやブティックや不動産などを紹介したまさしく宣伝誌なのですが、クーポン券なども付いていて、結構、重宝します。

一説では、現在、無料紙誌は年間64億部も出版されているそうです。「HOT PEPPER」という雑誌は550万部も出ているそうです。

大手出版社のリクルートが発行する「R25」という雑誌(60万部)は、20代から30代初め向けの雑誌だそうですが、政治・経済からパレスチナ問題など難い国際問題まで取り上げ、すべて800字というコンパクトにまとめて、人気を博しているそうです。(私は現物を見たことはありませんが)

しかし、無料雑誌といえども、決して制作費がタダでなくても、すべて広告費で賄っていることを彼らは知っているのでしょうか。要するに、広告主の商品を宣伝する提灯記事が並ぶことになります。映画や演劇の批評も、辛口な批判的な評は載らず、「よかった」「すごかった」「面白かった」という記事しか載らないわけです。

無料雑誌の究極の対極に位置するのは「暮らしの手帖」でしょう。歯に衣を着せぬ商品の製品テストで知られるこの雑誌は、スポンサーからの圧力に屈しないためにも、一切広告を掲載しないことでそのバランスをとっています。その半面、経営が大変でしょうが…。

民放テレビも、自動車メーカーがスポンサーのドラマでは、自動車事故のシーンが原作にあった場合、カットするという話を聞いたことがあります。

「タダほど怖いものはない」という真実を肝に銘じて、無料雑誌と付き合っていきたいものです。と、PTAの役員の発言みたいな言葉で締めくくりたくないので、やめます。

若者よ、ケチケチしないで、お金を払って、新聞や雑誌や書物を買いなさい!