プーチン=金正恩会談の内容は推測しやすい

 飛行機嫌いの北朝鮮・金正恩総書記が専用列車に乗ってロシアに入り、13日にも極東アムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領と会談する可能性があるというニュースが流れました。

 一体何を話し合うんでしょうか?

 この記事は9月12日正午すぎの昼休みの時点で書いていますから、もしそれ以降にこの記事を読まれている方があるとしたら、既に会談の内容は明らかになっていることでしょう。とはいえ、この記事を書いている時点では何も分からないので推測して書いてみます。何故かと言いますと、大変推測しやすいからです(笑)。北朝鮮はいまだに古代奴隷独裁国家の域を出ていませんから、人民が餓死しようが、軍備増強だけに邁進しています。しかし、国際社会からの経済制裁で人民は疲弊していますから、ロシアからは食糧を含む経済援助と軍事衛星技術を求めることでしょう。その見返りに、金総書記は、ウクライナ戦争で消耗しているロシアのプーチン大統領に対して武器・弾薬を供与するといった約束を取り付けのではないでしょうか。古代奴隷制国家ですから、肉体労働者も格安の値段でロシアに派遣するのではないでしょうか。

 中らずと雖も遠からず、といったところでしょう。どうせ、記者会見も行われず、2人の会談内容は極秘扱いで公表されず、マスコミや識者らが推測するだけだと思われますが。

 それにしても、他人の迷惑を顧みず、ミサイルを花火のようにボンボン打ち上げて喜んでいる金総書記は常軌を逸していますが、ウクライナに侵攻し、国際刑事裁判所から戦犯容疑で指名手配されているプーチン大統領も同じです。そんな2人が直接会って話し合うなんて、まさにブラックジョークです。

 プーチン氏は先日、「西側諸国は『ナチズム賛美』を隠蔽するために、ユダヤ人であるゼレンスキー氏をウクライナ大統領に据えた」と発言したニュースが流れました。(9月5日、ロイター電)ただし、その根拠は示さなかったようですが、この人、正常な思考をしているのか心配になりました。

 ロイター通信が伝えたところによりますと、プーチン大統領はロシアのジャーナリスト、パーベル・ザルビン氏とのテレビ・インタビューで「西側諸国は現代ウクライナのトップにユダヤ人の出自を持つ人物を据えた。西側諸国はこうして、現代ウクライナ国家の根底にある反人間的な本質を隠ぺいしようとしているように見える」と発言したことになっています。

 この発言を聞く限り、プーチン氏は反ユダヤ主義者のように見えます。でも、そうなると、矛盾してしまいます。プーチン氏は自らの後継者としてドミートリ―・メドヴェージェフ氏を大統領や首相に据えたりしましたが、このメドヴェージェフ氏もユダヤ系だと言われているからです(ロシア問題専門家の中澤孝之氏)

 そもそも、ロシア革命を指導したレーニンもユダヤ系ロシア人と言われ、彼が信奉した共産主義を生んだカール・マルクスはユダヤ人です。

 もう一度、繰り返しになりますが、プーチン大統領が「西側諸国は『ナチズム賛美』を隠蔽するために、ユダヤ人であるゼレンスキー氏をウクライナ大統領に据えた」と発言したことは、やはりおかしい。

 パレスチナ人を殺害して領土拡大を狙うイスラエル人は好きになれませんが、私は反ユダヤ主義者ではありません。むしろ、人類は大いにユダヤ人の知性の恩恵を受けていると思っています。国際金融の拠点、ウォールス街もそうですし、ハリウッド映画もそうです。メンデルスゾーンやマーラーに陶酔し、ボブ・ディラン、サイモンとガーファンクル、ニール・ヤング、ビリー・ジョエル、バート・バカラックらの曲にも楽しんでいます。何と言っても、物理学の最大理論の一つ「相対性理論」を「発見」したアインシュタインはユダヤ人です。

 ユダヤ人が何故、これほどまで聡明なのか?ーそれについては、ユダヤ人は子どもの頃に、ユダヤ教の聖典「タルムード」(6部63編)を全て暗記させられるから、と聞いたことがありますが、それも一つの要因なのでしょう。子どもの時の暗記によって、脳細胞が肥大するのではないでしょうか。

 あれっ? プーチン=金正恩会談の話から、思わぬ方向に展開してしまいました(苦笑)。

ホットドッグ屋から国防次官ポストを目指す野心家=ワグネル創設者プリゴジンとは?

本日(6月25日)の朝刊各紙は、ロシアの民間軍事組織「ワグネル」が、あわやモスクワに進軍するのではないか、ということでプーチン大統領が、反乱軍として投降を呼びかける演説をしたことが1面になっていました。その後、ワグネルはモスクワに侵攻することなく、ベラルーシ方面に向かったという続報が出たので、内戦まで発展せず、万事休すです。

 それにしても、よくテレビで、強面の顔でロシア国防軍を厳しい表情で常に非難して登場するこのワグネルの創設者プリゴジンさんとやら、一体、どんな経歴の持ち主なのか? 日本の新聞では、単なる「実業家」だの「プーチン大統領に近い人物」程度の情報しか書いておらず、いかなる人物なのか、さっぱり分からなかったのですが、たまたま読んだ英高級紙ガーディアンにプリゴジン氏の人となりについて、かなり詳細に報道されていました。

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 そのガーディアンの6月24日付の長文記事(電子版)は「エフゲニー・プリゴジン Yevgeny Prigozhin ホットドッグ売りからプーチンの戦争マシーンのトップに躍り出た男」(意訳)というタイトルでした。

 それによると、プリゴジンは1961年、旧ソ連時代のレニングラード生まれ。父親を幼くして亡くし、病院勤務の母親に育てられたといいます。スポーツ学校でスキーのクロスカントリーなどに励みましたが、プロのスポーツ選手になることはなく卒業。しかし、悪友3人と路上強盗を何度も働いて逮捕され、1980年3月の18歳の時に懲役13年の実刑判決を受けたといいます。ブレジネフ書記長の死もゴルバチョフのペレストロイカも知らないまま、10年後の1990年に出所したプリゴジンは、レニングラードからサンクトペテルブルクと名前を変えた地元でホットドッグ屋を始めます。これが月に1000ドルも売り上げるほど大ヒットし、野心のあるプリゴジンは、スーパーマーケットの株を買って大儲けし、これを元にレストランを開業します。「オールド・カスタムズ・ハウス」と名付けた店で、パートナーは、ロンドンのサヴォイ・ホテル出身で、サンクトペテルブルクの高級ホテルで働いていたトニー・ギアという男でした。このギアの才覚で、ストリッパーが出演する風俗レストランから高級食材を使った超高級レストランに転換すると、グルメのポップスターやビジネスマンらに大評判の人気店となり、ついに、サンクトペテルブルクのアナトリー・ソブチャク市長が副市長に起用したプーチンをこの店に連れてくるようになりました。

 プーチン元中佐は当時、KGBを退職して政治活動を始めたばかりで、勿論、首相にも大統領にもなる前です。ですが、プリゴジンは、将来の大統領候補の胃袋をつかんだことになります。プリゴジンはプーチンだけでなく、サンクトペテルブルク在住の世界的なチェリスト、ロストロポーヴィチとまで親密になり、彼が2001年、自宅にスペインの女王を招待した際に、プリゴジンに食事のケイタリングを任せたほどでした。

 そして、プーチンが首相、大統領に昇り詰めると、世界の首脳らと私的食事会をサンクトペテルブルクで開いた際、利用したのが、このプリゴジンの超高級レストランでした。この中にはブッシュ米大統領やチャールズ英皇太子(当時)らも含まれ、これら要人とプリゴジンも一緒に写真に収まっています。これらの写真は、野心家によって大いに利用されたことでしょう。

 プリゴジンは、プーチンを通して、政府関係のケイタリング・ビジネスに食い込んだだけでなく、その後、シリアで内戦が起きると、食事関係だけでなく、軍装備調達まで手掛けるようになります。2014年にはワグネルを創設して、ついに民間軍事会社として、クリミア半島の占領戦争にも参加したりするわけです。

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 半グレの少年強盗あがりから、社会の大混乱を利用して、一介のホットドッグ屋から叩き上げで高級レストランのオーナーとなり、「先物買い」で著名人との人脈を利用して、のし上がってきた男だということが分かります。プリゴジン氏がロシアのショイグ国防相を非難しても、プーチン大統領だけは批判しないのは、プリゴジン氏にとって、プーチンは大恩人だからだということなのでしょう。勿論、プーチン大統領もプリゴジンを安価な傭兵として利用し、これからも利用し続けることでしょう。

 彼は、日本史でいえば、野心家の成り上がりの羽柴秀吉に近いのかもしれません。今後のプリゴジン氏の動きには目が離せません。一体、この先どうなるのか、誰も予想できませんが、結構、彼がウクライナ戦争の勝敗の鍵を握っているのかもしれません。

【追記】2023.6.30

 約1週間も遅れて、日本の主要新聞各紙もプリゴジンの経歴と人となりを、やっと掲載するようになりました。特に、6月30日付日経朝刊では、かなり詳しく報じていました。プリゴジンの企業グループには、軍事会社ワグネルや飲食業、不動産のほか、「トロール工場」と呼ばれるSNSなどによる世論操作会社もありました。2016年の米大統領選挙に介入し、米国はプリゴジンに制裁を科したといいます。

 ベラルーシに亡命したプリゴジン氏は、目下、同国内に軍事拠点基地を建設中らしく、これからも一波乱ありそうです。

ゾルゲは今でも生きている?=「尾崎=ゾルゲ研究会設立第一回研究会」に参加して来ました

 11月7日(月)は、戦前の上海と東京で大掛かりな諜報活動を行ったソ連軍参謀本部情報総局(GRU)所属の大物スパイ、リヒアルト・ゾルゲとその協力者の元朝日新聞記者で近衛内閣嘱託だった尾崎秀実が国防保安法違反などで処刑されて78周年の日でした。この日に合わせて、「尾崎=ゾルゲ研究会設立第一回研究会」が東京・霞ヶ関の愛知大学東京霞ヶ関オフィスで開催されるというので、仕事をサボタージュする顰蹙を買いながらも、参加してきました。

尾崎=ゾルゲ研究会設立第1回研究会での名越健郎氏

 なぜ、参加したのかと言いますと、10月に刊行されたゾルゲ研究家のアンドレイ・フェシュン・モスクワ国立大学准教授編の「ゾルゲ・ファイル 赤軍情報本部機密文書 1941~45年」(みすず書房、7040円)を翻訳した名越健郎拓殖大学教授が、小生の大学と会社の先輩に当たる周知の人だったからです。

 それに、小生は、かつて元朝日新聞記者の白井久也氏と社会運動研究家の渡部富哉氏が創設したゾルゲ研究会の「日露歴史研究センター」(現在解散)の幹事会員として活動し、途中で不愉快なトラブルがあって辞めましたが、ゾルゲ事件に関する書籍は50冊は読破し、ある程度の基礎知識があったからでした。

 「尾崎=ゾルゲ研究会」は、前述の日露歴史研究センターの解散を受け、私もお世話になった加藤哲郎一橋大・早大名誉教授が代表、鈴木規夫愛知大学教授が事務局長を務めて新たに発足したものです。加藤氏は今年に入って大病を患い、入退院を繰り返しておられたので、大層心配しましたが、今回、一応元気そうなお姿で登壇されたので少し安心しました。

 最近の日本でのゾルゲ事件研究者は年々減少傾向にあり、「何故、今更、ゾルゲ事件なの?」という人が多いのですが、ロシアでは反比例するかのように、最近は異様なゾルゲ・ブームで、国内で数十冊の本が刊行されたり、ゾルゲを主人公にしたドラマが放送されたり、モスクワ市内にゾルゲ駅が出来たり、ロシア国内でゾルゲ通りや、50個以上ものゾルゲの銅像が建てられたりしたというのです。

 先述したフェシュン・モスクワ国立大学准教授編の「ゾルゲ・ファイル」も、フェシュン氏が、GRUがやっと公開した1930~45年に掛けてのゾルゲの650通の電報などを「新発見」として出版したものです(今回、名越氏らが邦訳したのは1941~45年分のみで、1930~40年分は未邦訳。皆さんのお力で本が売れたら未邦訳分は改めて出版されるようです)。日本でも、ゾルゲ事件の捜査に関わった司法省の思想検事太田耐造の「ゾルゲ事件史料集成 太田耐造関係文書」(加藤哲郎編・不二出版)が出版されるなど、本来なら新たなゾルゲ研究が日本でもブームになってもおかしくない状況なのです。

久しぶりに新橋「末げん」へ。かま定食1200円 、明治42年創業。原敬、六代目菊五郎、三島由紀夫らがこよなく愛した味と店

 さて、会場には、日露歴史研究センターの事務局長だった川田博史氏や理事だった今年御年92歳の渡部富哉氏(頗るお元気!)、それにインテリジェンス研究所理事長の山本武利氏まで参加されていたので、まるで同窓会のような雰囲気でした。

 ZOOMを使ったオンラインで、先述の「ゾルゲ・ファイル」の編著者で、モスクワ在住のフェシュン氏まで参加し(本来は東洋学者で、仏教思想が専門。日本語がペラペラでした)、大変実りの多い第1回研究会だったと思います。内容については、このブログでは書き切れないので、私が注目した2点だけこのブログに書きたいと思います。

 ◇ゾルゲ以外に東京でスパイがわんさか

 一つは、翻訳した名越氏によると、「ゾルゲ・ファイル」で今回初めて明らかになった新事実のトップが、東京にはゾルゲ諜報団以外に、ソ連による非合法のスパイが5人もいたというのです。コードネームだけ分かっていて、イスパリン、イバ、イリアダ、イーラ、マロンの5人です。いずれも正体不明で恐らく、誰にも気づかれず、成果を挙げて、各々、母国に帰国したと思われます。このうち、イリアダはドイツ大使館にいた女性だといいます。この他、ユダヤ系米国人カルメン(26歳、女性)も雇っていたというので驚きです。まあ、これこそが正真正銘のスパイなんでしょう。ゾルゲ事件のように、正体が解明されてしまったスパイ事件の方が、歴史上に非常に稀なのです。

 ところで、スターリンは猜疑心が非常に強く、周囲の誰も信用せず、粛清を繰り返していたと言われていましたが、何故、ゾルゲの貴重な超機密情報まで信じなかったのか、私自身、よく分からなかったのですが、今回、話を聞いて、考えられることは、スターリンは、ゾルゲ以外にこれだけのスパイを東京に放っていたので、ゾルゲ一人だけを信用する必要がなかったからかもしれません。

 もう一つ、スターリンがゾルゲを信用しなかった理由が、ゾルゲがコミンテルン(国際共産主義運動)の一員だったので、スターリンは、ゾルゲのことを権力闘争で敵対したトロツキー派とみなしたのではないかという名越氏らの説明には十分納得し、長年の疑問が氷解するようでした。スターリンは「一国社会主義」であり、「世界社会主義革命」のトロツキー派とは相容れないわけです。

 ゾルゲがソ連国内で名誉回復をしたのはフルシチョフ首相時代の1964年で、フルシチョフはスターリン批判をした反スターリン派だったということも整合性がつきます。そして、現在のロシア・プーチン大統領も「高校生の頃、ゾルゲのようなスパイになりたかった」(2020年10月7日の68歳の誕生日、タス通信)と発言したことがあり、大祖国戦争を勝ち抜いた英雄としてゾルゲを利用して国粋的な覇権主義を煽り、それが今のロシア国内でのゾルゲ・ブームにつながったのではないでしょうか。

 何と言っても、今年2月のロシアによるウクライナ侵攻です。いつまでたっても休戦しないのは、厄介なスパイ・ゾルゲの亡霊が今でも生きているような感じがします。

超人類プーチンとスマホ奴隷の私

きのうの続き)

  データ至上主義が進化し、電車の車掌も、医者も弁護士も新聞記者もいらなくなり、アルゴリズムやAIが取って代わっていくという事態は、SFの世界ではなく現実味を帯びてきたという話でした。

 例えば、精神科医。患者は生身の人間の医者に診断してもらうのではなく、人間味のない機械、つまり、アルゴリズムとAIを塔載したコンピューターに診断してもらった方を好む傾向が出てきたというのです。

 それはある程度理解できます。人間は時に間違います。それよりも、何十億人の患者のデータが保存され、それらの対処法や、いかなる薬物を投与したら良いかといった事例が網羅されていたら、人間より遥かに優秀です。しかも、患者としては、こっ恥ずかしい話を生身の人間に話さなくても済みます。(ただし、重症の場合は、人間のお医者さんを個人的にはお勧めします)

 昔だったら、告解を引き受けていた教会の神父や牧師が、精神科医の役目を果たしていました。その代わり、免罪符を発行してもらうための大金を納めなくてはなりませんでした(ルターは免罪符を糾弾しましたが)。

 ユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモ・デウス」(河出書房新社)では、シンギュラリティSingularity(人工知能AIが人類の知能を超える転換点)がいつ頃になるか、までは書いていませんでしたが、人類の仕事がAIに奪われ、一部の特権階級のみが生き残り、大半は「不要階級」(私の造語)として淘汰されるという夢物語の実現性はゼロではない、と思われます。

  また、神や仏や霊魂を信じている日本人は、寺社(寺院と神社)にお布施や初穂料等を納めますが、もし、宗教が、人類が思いついた妄想で、下等庶民を支配するツールかイデオロギーに過ぎないとしたら、寺社の存在意義すらなくなっていきます。

 生化学者に言わせれば、種としての人類の存在意義も生きる意味も目的もないということですから、これからの大半の人類は、何のために生きるべきなのでしょうか? 

銀座「とんかつ 不二」ミックス定食(13時以降、限定15食)

 ところで、2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻で、すっかり私の人生観、世界観が変わってしまったことはこのブログで何度も書いております。

 ウクライナ戦争というより、ウクライナ大虐殺が日々繰り返されている現状を見ると、とても、映画館や博物館に行く気になれません。人間の空想や妄想がつくったフィクションも駄目です。現実が虚構を超えてしまっているからです。

 ロシアのプーチン大統領が起こした蛮行は、19世紀的、20世紀的でアナクロニズムの極致かと思っていましたが、人間、いつになっても戦争をして殺戮と強姦と略奪を好む動物(けだもの)に過ぎず、もしかして、プーチンはその最先端の人類なのかもしれません。

 彼は、夜はゆっくり眠っていることでしょう。恐らく、良心の呵責も後悔も自責の念も全くないことでしょう。むしろ、正義の使者として自分の行為に正当性があり、アレキサンドロス大王やナポレオンと並ぶ英雄だと思っていることでしょう。80%のロシア国民の支持を得ていますから。

 それこそ、ハラリ氏が思い描くような「超人」の考え方があります。知性や記憶等の分野はアルゴリズムやAIに負けても、人間には、「最後の砦」として情念や意識や感情が残っています。しかし、変わった超人類ともなると、そんな情念や同情やら、惻隠の情やら、憐憫の情やら…難しい言葉を使いましたが、要するに他人に対して、気の毒だとか、可哀想だ、などと思う気持ちが欠けているというか、超越してしまっているのでしょう。

 プーチンは、強姦されたり、後ろ手に縛られて拷問されたりして虐殺されたウクライナ首都キーウ近郊のブチャの市民を気の毒だとか可哀想だとか思わないのでしょう。もし、そう思うのだとしたら、即座に戦争をやめるはずです。むしろ、虐殺したロシア軍兵士の勇気を讃えて勲章を授与し、夜は満足そうに寝入ることでしょう。プーチンとは、憐憫の情などの思考回路がなくなった21世紀最先端の人類だとみなせば、この訳の分からない戦争の本質を理解できます。(「虐殺はなかった。フェイクニュースだ」と嘘を付き続けるラブロフ外相やロシアのネベンジャ国連大使らも同罪で同様の思考回路なのでしょう。)

 独裁者としては、人間的感情などというものは無駄で邪魔なのでしょう。そう言えば、プーチンはスマホは持たない、という未確認情報があります。彼は、KGBで鍛えられて人間を信用せず、データも信じない、まさに最先端の超人ということになりますね。

 毎分毎秒、ニュースやメールをチェックしたり、アプリを更新したりして、「スマホ奴隷」(私の造語)になりさがった旧人類の私とはえらい違いです。

失望しても絶望はしない!=86年ぶりに新関脇優勝した若隆景と毛利元就3兄弟

 3月末は毎年忙しいです。

 3月末といえば年度末です。そう、大量の人事異動の季節でもあります。となると、私は、これでも、まだ仕事をしているので、霞ヶ関の人事異動情報が殺到して、とても忙しくなり、ブログなんか書いている暇がありません(笑)。

 おまけにお花見の季節です。ウイル・スミスに平手打ちされても、桜見だけは欠かせません。

 とはいえ、このブログは私の「安否確認」サイトにもなっているので、暫く間が空くと皆様に御心配をお掛けすることになりますので、本日はお茶を濁すことに致します。

 何と言っても、2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻で、すっかり人生観、世界観が変わってしまいました。皆さんも同じでしょう。プーチンの戦争は、19世紀的、帝国主義的、領土拡大主義です。人間なんて、誇大妄想だらけで、これっぽちも進歩していません。

 並行してユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」と「ホモ・デウス」の両書を読んでいましたから、余計にその思いを強くしました。自由も平等も人権も平和も神も宗教も、現生人類が考えた妄想か虚構、もしくは共同主観的ということになります。(ハラリ氏は「ホモ・デウス」の中で、「聖書」でさえ、「多くの虚構と神話と誤りに満ちた書物」=上巻215ページ=とまで言って糾弾しています。)

MInuma-tanbo 2022

 ところで、日曜日、大相撲の千秋楽で三つ巴になった優勝争いは、新関脇の若隆景が、大激戦を制して初優勝を遂げました。新関脇の優勝は、1場所11日制だった1936年5月場所のあの双葉山以来86年ぶりだということで、歴史的瞬間に立ち合ったような気分になりました。大袈裟ですけど、1936年といえば、「2.26事件」があった年ですからね。

 福島県出身の若隆景(27)は、祖父が元小結・若葉山。双葉山に弟子入り入門を許されて角界入りした力士でしたから何か縁を感じます。父が元幕下の若信夫。その息子たち、兄弟3人が、そろって角界入りを果たしました。長兄は幕下の若隆元(30)、次兄は前頭9枚目の若元春(28)、若隆景は三男になります。三世代かけて、そのDNAが受け継がれて、やっと幕内優勝を遂げたということになります。

 この3兄弟の四股名は、毛利元就の3兄弟から取ったといいます。つまり、あの「三本の矢」で有名な毛利隆元、吉川元春、小早川隆景です。戦国時代ファンとしてはたまらない、と言いますか、覚えやすいですね(笑)。

 ただ、小早川隆景の養子になった小早川秀秋(豊臣秀吉の正室ねねの甥)は、1600年の関ヶ原の戦いで、東軍の徳川家康方に寝返って、「裏切者」の汚名を歴史に残してしまいました。でも、大相撲とは全く関係ない話ですから、せめて若隆景はこれから大関、横綱と昇進して大活躍してもらいたいものです。

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 以上のことは相撲ファンにとっては常識の話でしたが、敢えて書くことにしました。知らない人は知らないでしょうから(笑)。

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◇ブログを書くという恥ずべき行為

 実は、私は、ここ数日、ブログを書いて、世間の皆様に公にするような行為が浅ましいと、思うようになっておりました。

 しかし、侵略主義というパンドラの箱を開けてしまったプーチンの蛮行のおかげで、北の若大将がミサイルを狂ったように撃ち始め、大陸の皇帝は、数年以内に南の小さな島を侵略しようと目論んでいるようです。いずれも、「ロシアがやったんだから、我々がやってもいいじゃないか」といった論理で。

 そんな「プーチン後の世界」となり、刹那的でも人生を謳歌するしかない、と思い直しするようになりました。いつ何時、何が起きるか、これから先、分かったためしがありません。相撲でも観戦して、沢山の本を読んで、ブログでも書いて、ピアノでも弾いて、大いに人生を楽しむしかないじゃありませんか。

 人間に対して失望しても、絶望してはいけないというのが私のスタンスです。たとえ、人間は妄想の中で生きている動物だとしても、生きている限り、希望はあるはずですから。

生き延びるための楽観主義のすすめ=北条早雲、藤堂高虎にみる

 ロシアによるウクライナ軍事進攻は2週間以上経ってもいまだに続いています。平気で民間のアパートや病院、保育園などにもミサイルを撃ち込み、子どもや女性ら多くの社会的弱者が犠牲になっています。チェルノブイリ原発などまで占拠しています。狂気の沙汰です。

 まさに、民間人への殺戮であり、戦争犯罪です。それなのに、たった一人の誇大妄想の犯罪者を誰も止められません。 2022年2月24日を期して世界は一変しました。無力感に苛まれ、悲観的になってしまう人も多いと思います。

 そんな時こそ、逆に、あまり落ち込まない方がいいですね。

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 今の時代より遥かに生きるのが厳しく苛酷だった戦国時代に思いを馳せると、意外にも楽観主義者の方が長生きしています。その代表が北条早雲(1432~1519年)と藤堂高虎(1556~1630年)です。早雲は数えで88歳、高虎は75歳まで生きました。「人生50年」と言われた時代です。しかも、戦闘有事の乱世の時代です。当時としては、相当長生きだったことでしょう。

 小田原城主北条早雲は、後北条氏五代100年の礎を築いた人です。戦国時代で最初に下剋上で這いあがった武将とも言われます。謎の多い人物で、88歳ではなく、60代で亡くなったという説もあります。本人は生前、北条早雲と名乗ったことがなく、伊勢宗瑞、もしくは伊勢新九郎の署名が残っています。

 伊勢氏は室町幕府の足利将軍の申次衆(仲介役)を務める家柄で、早雲(と、します)も1483年、52歳で第九代将軍足利義尚(よしひさ)の申次衆を務めます。それが、守護の今川氏の後継者争いが起きたことから、急遽、遠江に下り、姉の北川殿(夫は八代今川義忠)が産んだ龍王丸(後の九代今川氏親、桶狭間の戦いで敗れた今川義元の父)を擁立し、暫定的に守護職に就いていた小鹿範満(のりみつ=今川義忠の従兄弟)を討ち取ります。小鹿範満の背後にいた扇ガ谷上杉家の家宰太田道灌が暗殺されていなくなった隙をついたといわれます。そっかあー、北条早雲と太田道灌は同時代人だったんですね。

 この功績で早雲は1487年、56歳にして興国寺城(静岡県沼津市)の城主となります。これから権謀術数を弄して、まずは93年(62歳)に堀越公方を追放して伊豆を支配し、95年には64歳にして、ついに小田原城主となります。そして、仕上げは1516年、85歳にして相模を平定して、平安末期から続く有力大名である三浦氏を追放するのです。

 早雲はまさに大器晩成だったんですね。長寿の秘訣は、修善寺温泉などでの温泉療法と朝4時に起き、夜8時には寝る規則正しい生活。そして粗食(梅干しを好んだ)のようです。歴史家の加来耕三氏は、早雲の来歴を見て、「何事も気楽に考え、ストレスを溜めない。健康に留意し、重々しく考えず、切羽詰まらない生き方が良かったのではないか」と評しておりました。

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 もう一人の藤堂高虎も実に楽観主義者です。「築城の名人」として、宇和島城、今治城、伊賀上野城、津城(32万石)など20の城を手掛けたと言われるので、城好きの私としては、大ファンです。(是非とも行ってみたい!)

 しかし、高虎は、「世渡り上手」だの「薄情者」だのといった悪評に付きまとわされていました。主君を何度も何度も代えたからでした。でも、よく見ると、それは致し方なかった面があります。最初の主君浅井長政は織田信長に滅ぼされますし、300石の家臣として召し抱えてくれた羽柴秀長(秀吉の弟で、天下統一の立役者)は病死してしまいます。秀吉の家臣になりますが、関ヶ原の戦いでは東軍につきます。これは裏切り行為かもしまれませんが、徳川家康に懸けたということなのでしょう。(ただし、幕末の藤堂家は、恩顧ある徳川家を見限って、薩長主体の官軍に寝返り、「さすが高虎の子孫」と揶揄されたそうな)

 この功績で、藤堂高虎が家康から江戸に与えられた最初の屋敷の地名は、伊賀上野にちなんで上野と付けられたという説が有力です。つまり、東京・上野の本家本元は三重県の伊賀上野市ということになります。

 藤堂高虎は、近江の小土豪の次男として生まれましたから、家督は相続できず、自分の力で這いあがっていかなければなりません。嫌な仕事でも腐らず、最初は無給でも手柄を立てながらのし上がっていかなければなりません。高虎が築城の名人になれたのも、底辺から城づくりの基礎を学んでいったからだといいます。信長の安土城の築城にも参加し、この時、石垣づくりでは定評の石工集団「穴太衆」(あのうしゅう)との交流を深め、今後の城づくりには欠かせなくなりました。これも、嫌な仕事でも前向きに受け入れていったお蔭だったようです。

 これまた、歴史家の加来耕三氏は「藤堂高虎は、190センチ、113キロという体格に恵まれ、明るい性格でした。良い方へ良い方へと楽天的に考える。そうすることによって、物事が良い方向に向かう。高虎は、苦手なことをこなせば、自分の『伸びしろ』になると考えていたのではないか」と想像していました。

 北条早雲と藤堂高虎という歴史に残る人物の共通点は、やはり、楽観主義にあったようです。

※BS11「偉人・素顔の履歴書」の「第19回  主君を7度も変えて出世した戦国武将・藤堂高虎 編」と「第20回  戦国大名の先駆け・北条早雲 編」を参照しました。

※諸説ありますが、藤堂高虎の主君は、7人ではなく、「「浅井長政⇒阿閉貞征(あつじ・さだひろ=長政重臣)⇒磯野員昌(かずまさ=長政重臣)⇒織田信澄(信長の甥)⇒羽柴秀長(秀吉の弟)⇒秀保(秀長婿養子)⇒豊臣秀吉⇒秀頼⇒徳川家康⇒秀忠⇒家光」の11人が有力です。

ウクライナ Ukraine  意外な人物

 ロシアによるウクライナ侵略で、目下、2000人以上のウクライナ市民が犠牲になっている、とウクライナ当局が3月2日に発表しています。国際社会は、国際法違反のこの蛮行を黙って見過ごすわけにはいきません。単なる殺戮です。

 日本にとって、ウクライナは遠い異国の地ですが、意外と馴染み深い人がいらっしゃったりします。

 まず、昭和のスポーツ史に名を残す大相撲の横綱大鵬は、白系ロシア人の血を引く、と聞いたことがありましたが、大鵬の父親はウクライナ第2の都市ハリコフの出身だといいます。(ハリコフ市の州の政庁舎など中心部が爆撃され、多数の死傷者を出しているという情報も)

 個人的には、ウクライナといえば、ビートルズの「バック・イン・ザ USSR」という曲です。1968年に発表された「ホワイトアルバム」の最初に収録されたノリが良いロックで、この中で、「ウクライナの女の子には、マジ、悩殺されるよ。the Ukraine girls really knock me out.」とポールは唄っています。特に、ウクライナは美男美女が多いので、英国人でも一目置いていたのでしょう(笑)。

銀座・ベトナム料理「ニャーヴェトナム・プルミエ銀座 」バインミーランチ(バインミーサンドウィッチと海鮮フォー)1150円

 歴史的には、9世紀後半から栄えたキエフ公国がルーツになります。10世紀にウラジーミル大公がギリシャ正教を国教にしたことから、いわゆるロシア正教の総本山となりますが、13世紀から始まるモンゴル族の侵攻で壊滅します。その代わりに、辺境の小国に過ぎなかったモスクワ公国が台頭し、ウクライナに代わりロシア正教の総本山となり、宗教的国家的盟主となるわけです。

 もともと兄弟みたいな国でしたが、ソ連時代は、モスクワのクレムリン政権は、ウクライナを「豊かな穀倉地帯」として搾取しました。特にスターリンは、ウクライナ人を強制移住させて、後に「ホロドモール」と呼ばれる人工的に発生させた飢饉によって1932~33年、400万人以上を死亡させたと言われます。

 この「ウクライナ大飢饉」を映像化したのが、「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(ポーランドのアグニェシカ・ホランド監督作品)という映画で、私も一昨年の夏に観て、渓流斎ブログ2020年8月15日付「『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は★★★★★」で感想を書いております。

 「兄弟国」と言いながら、ロシア人はウクラナ人を見下しているのでしょうか? そうでなければ、今回の侵略もそうですが、こんな酷いことを出来ないはずです。

有名人に多いウクライナ系ユダヤ人

 また、19世紀から20世紀にかけて、「ポグロム」(破壊させる、という意味)と呼ばれた虐殺により、ウクライナに住む何万人とも言われるユダヤ人が殺害されました。

 となると、多くのユダヤ人がディアスポラ(移民)を余儀なくされます。米国では、100万人近いウクライナ系ユダヤ人が住んでいると言われます。作曲家・指揮者のレナード・バースンスタイン、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のダスティン・ホフマン、カーク・ダグラス、マイケル・ダグラス親子、それに、意外にもシルベスター・スタローン(母の旧姓はラビノヴィッチ)や「ウエストサイド物語」「理由なき反抗」のナタリー・ウッド(本名ナタリア・ザカレンコ)もウクライナ系ユダヤ人だといいます。知らなかった。

 「へー」と思って、調べてみると色々出てきます(笑)。ウクライナ系ユダヤ人の中には、ヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフ、ピアニストのレオ・シロタとウラジーミル・ホロヴィッツ、作曲家のセルゲイ・プロコフィエフとクラシック音楽界の巨匠を輩出したほか、何と、メキシコで暗殺された革命家レフ・トロツキーもウクライナ系ユダヤ人だったというんですからね。ユダヤ人だったことは知っていましたが、ウクライナ系だったとは!

 何よりも、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ユダヤ系ウクライナ人だといいます。

 日本では、ウクライナ系の有名人として、現在、モデル・タレントとしてテレビで活躍中の滝沢カレンの父親がウクライナ人(生まれる前に既に離婚)だという情報もあります。

 日本に住むウクライナ人は2020年12月現在、1876人(うち女性1404人)で、北方領土に住む全人口の4割程度がウクライナ人だと言われています。ソ連時代、ロシア人によって、ウクライナ人が強制移民させられたのではないか、と勘繰ってしまいますが、単なる個人的妄想で、公式データではありません。

銀座・蕎麦「笑笑庵」新ワカメ蕎麦980円

 本日、久しぶりに文春砲を購入しましたが、この中のトップ記事「プーチン『殺戮の履歴書』」を読みたかったからでした。1953年生まれのプーチンが、KGBに入ったのも、リヒャルト・ゾルゲに憧れていたからだったとは!…。彼の公式自叙伝では、父親は工場労働者で、20平方メートルのトイレもバスも共有だったネズミが出る狭いアパートで苦労して育った「立身出世」の人に描かれています。しかし、プーチンさん自身は認めていない非公式評伝では、父親は工場技師で、副業として秘密警察の工作員をやっていたので、普通の家庭には普及していなかったテレビを持つなどかなり裕福で、郊外に別荘まで持っていたといいます。

 自分の履歴書を嘘でかためて塗り替える有名人は古今東西、数多おりますが、プーチンさんもその一人ではないか、と疑わざるを得ません。

 ※ウクライナの歴史は、3月1日付読売新聞国際面の三浦清美早大教授の記事、「加藤哲郎ネチズンカレッジ」などを、ウクライナ系ユダヤ人に関しては、週刊文春に掲載された町山智浩氏の「言霊USA」などを参照しました。

【追記】2022.3.4

 反戦歌「風に吹かれて」を唄ったボブ・ディランもウクライナ系ユダヤ人でした。

銀座でロシア料理店を発見=3丁目の「マトリ・キッチン」

 東京・銀座でもう一軒、ロシア料理店を偶然見つけました。(1軒は、5丁目メルサにある「ロゴスキー」です)

 上の写真の看板ですから目立たないわけがない(笑)。不二家のペコちゃんより大きく、KFCのカーネル・サンダースさんぐらいの大きさの「おじさんシェフ」がメニューを持って立っていますから、迷うことありません。メニューを見たら、ロシア料理だということが分かりました。

 「よし、今度行ってみよう」。そう決めたのは一昨日の水曜日のこと。そこで、早速、昨日の木曜日にまたその店に行ってみました。「あれっ?」探せど、探せど、あのおじさんシェフが見つかりません。

 「確か、この道だったはずだけどなあ…」。しかし、おじさんはいません。実は、私は大の方向音痴なので、銀座のような碁盤の目に近い道路配置でさえも迷ってしまうのです(笑)。「仕方ない」ということで、昨日のランチは、飛び込みで鮨屋「まる伊」という店に入ることにしました。

銀座「鮨処 まる伊」握り1・5人前1500円

 「まる伊」では握り1・5人前(1500円)を平らげましたが、悔しいので、何度も何度も同じ道を行き来しながら、また例の店を探してみました。

 「なあんだ」。その店は2階にあり、1階の間口はとても狭く、降りたシャッターに張り紙が貼ってありました。「木曜定休日」。勿論、シェフおじさんはそのシャッターの奥に隠れているので、おじさん目当てにお店を探していては、分かるわけありませんでした。

銀座「マトリ・キッチン」ストロガノフ・ランチ1100円のボルシチ

 そして、本日金曜日は開いておりました。その店は、ロシア・欧風料理「マトリ・キッチン」というお店です。後で分かった、というか、会計を済ます時にお店の人が教えてくれたのですが、昨年2020年10月に出来たばかりのお店でした。道理で、「銀座の顔」である私が知らないはずでした(爆笑)。

 ちょうど、コロナ禍での新規開店なので、大変苦労されたことでしょうが、お客さんは中年女性を中心に結構入っておりました。短期間で固定客をつかんだ感じでした。

銀座「マトリ・キッチン」ストロガノフ・ランチ1100円のストロガノフ

 ランチは数種類ありますが、私は「ストロガノフ・ランチ」1100円を注文しました。サラダ、ボルシチ、ストロガノフにデザートまたは飲み物まで付きます。こんな手頃な値段で、味は日本人向けにアレンジしている感じで、美味しくて気に入りました。ロシア人と思われる女性が給仕をしてくれ、小柄なシェフは日本人のようです(お客さんが多いとシェフも給仕してくれます)。隣りの席のおばさん連中の傍若無人なうるさいおしゃべりは気に障りましたが、お店の人の応対が凄く丁寧なので、また気に入りました。月に1~2回は利用しようかと思いました。3ポイントで150円引きのポイントカードも貰ってしまいました(笑)。

 あらあら、本日もまた話題がないので「銀座ランチ」の話になってしまいましたね。

銀座「マトリ・キッチン」ストロガノフ・ランチ1100円のデザート

 これで終わってしまっては、《渓流斎日乗》らしくないので、ロシアのプーチン大統領に一言。

 5月28日に北海道稚内市の沖合でロシアの警備当局によって拿捕(だほ)された日本漁船の乗組員と船体を早く解放してほしい。            ロシア料理を愛する日本人より