ベトナム人留学生のトゥクさんと話が弾む=焼鳥屋で

 新型コロナの蔓延で気が引けましたが、週末、自宅近くの居酒屋に行って来ました。自粛警察がウロウロしていましたが、今のところ味覚が分かり、平熱の私は、困っている飲食店を応援したくなったのです。

◇新型コロナと鳥インフルのWパンチの焼鳥屋を救え

 新型コロナウイルスに加え、全国で鳥インフルが吹き荒れて何百万羽もの鶏たちが処分されていることから、飲食店の中でも焼鳥屋さんを選んで行って来ました。

 それでも、この御時勢で、私自身、ある程度の常識と時代的識見を持ち合わせているつもりなので、人が混んでいないと予想される午後4時に出掛けました。

◇ベトナム人留学生との対話

 ネットで探してやっと見つけたお店は、チェーン展開している焼鳥屋さんなので、皆さんも一度は行ったことがあるかもしれませんが、私は初めて行きました。そしたら、そのお店のアルバイトがトゥクさんという大学3年生のベトナム人で、彼とは随分と話が弾んでしまいました。ビールや焼き鳥や鶏雑炊などを注文する度に、店主に気兼ねしながら話しかけました。

私 日本語うまいね。もう何年いるの?

トゥク 4年です。今は大学に通ってます。

 どこの大学?

トゥク K市のS大学です。今は、オンライン授業ですけど。

 ベトナムの何省の出身なのかなあ?

トゥク フエという所です。

 おお、フエですか。「ベトナムの京都」と言われている古都だね?

トゥク えーー、嬉しい。よく知ってますねえ。。。

 うん、ベトナムには仕事と観光で何度か行ってるからね。ハノイとかハイフォンとかホーチミンとかビンズオン省とか…フエには行ったことがないけど。

◇自分の首都に行ったことがないトゥクさん

トゥク よく知ってますね。僕はまだハノイに行ったことがありません。

 何?ベトナム人なのに首都に行ったことないの?

トゥク 行ったことないです。フエの大学を卒業して日本に来ましたから。それに、今はコロナでずっとベトナムに帰れないんです。

 残念だねえ。でも、フエは、19世紀から150年近く続いたグエン王朝の首都だったんでしょ?世界遺産にもなっているし…。

トゥク 嬉しいですね。本当によく知っていますね。

 僕は変なおじさんだからね。それより、グエン・スアン・フック首相(66)はお元気ですか?ベトナムでは1月25日から2月2日まで、5年に1度の共産党大会が開かれて、76歳のグエン・フー・チョン国家主席が、ベトナムの最高権力者である書記長を続投するかどうか注目されてるけど?

トゥク えーー、何で知っているんですか? ベトナム人でも知らないのに、こんな(日本)人、初めてですよ。

◇技能実習生の犯罪

 うん、おじさんは怪しい人だからね(笑)。それより、この新型コロナで、多くの外国人労働者が雇い止めされているけど、最近のベトナム人の技能実習生は、豚を盗んだり、梨や桃を盗んだり、日本の法律に違反した犯罪者が増えて、評判を落としているんじゃないかなあ?

トゥク ぼ、僕は違いますよ。そういう人がいることは知ってますけど…。僕は今、サービス経営学を専攻しているので、できたら、日本のホテルに就職したいと思っているんです。

 じゃあ、日本語と英語を習得しなければ駄目じゃん。

トゥク 漢字が難しいです。

◇戦争を知らない子供たち

 あれ? もともとベトナムは漢字を使っていたんだよ。今は、似非フランス語みたいな変なアルファベットを使っているけど。ベトナムは、「越南」と国境の南の辺境、つまり「南蛮」だと中国に蔑まされて1000年間支配されて、漢字が嫌になっちゃんたんだよね?それでも、中国の後に、フランスに100年間、日本に5年間、アメリカに30年間ぐらい支配されたわけだ。トゥクさんは、ベトナム戦争なんか知らないでしょ?1975年に終わっているから。もう、45年以上も昔だからね…。

トゥク 僕は今28歳ですから、知りませんけど、お祖母ちゃんの弟が戦死しています。フエも結構、激しい戦闘があったんです。

 嗚呼、古都フエでの「テト攻勢」は有名だね。フエのお坊さんが戦争に抗議して焼身自殺をしたフィルムを見たことあるよ。貴方は平和な時代に生まれてよかったね。いずれにせよ、今、そしてこれからの日本は、ベトナムなど東南アジアとの交流抜きでは考えられないから、どうぞ宜しく。

トゥク こちらこそお願いします。

新型コロナのおかげで「情報貧困社会」に

WST National Galllery Copyright par Duc de Matsuoqua

昨日の昼休み(ということはしっかり都心に命懸けで出勤しておりまする)、ある店舗に入る際に制止させられ、まずアルコール液で消毒するよう言われ、続いて、額にレーザー光線のようなものを当てられました。

 「ハハハア、よくテレビで見る例の体温計かな」と、初体験だったので、ワクワクしてしまいました(笑)。それで、何か言ってくれるのかと思ったら、何も言ってくれないので、お姐さんに「何度でしたか?」と確かめると、「35.7でした」との答え。今の人は「35度7分」と言えんかいなあ、と思いつつ、「えっ!?35度?」と我ながら吃驚してしまいました。自分の平温は36度5分ぐらいだと思っていたからです。ま、機械もいい加減かもしれませんが、いずれにせよ、熱がなくてよかった、と一安心。この御時勢ですからね。

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 ということで、昨日は、目下、世界で最も注目されているサイト、ジョンズ・ホプキンス大学の「世界の新型コロナウイルス感染マップ」を久しぶりに眺めていたら、刻一刻と感染者が増加しているので、怖くなりました。怖いもの見たさで、見続けていたら、一昨日まで感染者が140万人台だった米国の感染者が目の前で、あっという間に、150万人台の大台を突破。ちなみに、今日20日午前(日本時間)の時点で、米国の感染者は153万人になろうとしてます。このままでは、米国の死者も10万人を超えることでしょう。

 ニュースでは、ブラジルのボルソナロ大統領による強権的な経済優先の放任主義で、感染が急拡大して世界第3位(27万人以上)になったとか、フランスでの新型コロナによる死者が最も多いのは、貧困層が特に多いパリ北部近郊のセーヌ・サン・ドニ県だとか暗い話ばかりです。

 メディアも大衆も暗いネガティブ情報ばかり目を向けがちです。もっと明るい話はないもんですかね?

 例えば、先ほどのジョンズ・ホプキンス大学のマップによると、本日の時点で、ベトナムとカンボジアとラオスでは、新型コロナウイルスによる死者はゼロなのです。感染者は、それぞれ、324人、122人、19人といるものの、一人の死者も出していないのです。何が原因なのでしょうか? 一党独裁政権による強権的な封鎖が奏功したのではないか、という識者の意見もありますが、それだけじゃなさそうです。何しろ、同じ東南アジア諸国(ASEAN)では、インドネシア1221人、フィリピン837人、マレーシア114人、タイ56人、そしてシンガポールは22人の死者を出しています。ASEANの中では開発国と言われているCLV(カンボジア、ラオス、ベトナム)の「成功事例」を知りたいものです。

 そう言えば、北朝鮮は、死者どころか、感染者さえいないことになっていますが、世界中の人が信じていないのが可哀そうです。北朝鮮の成功例も知りたいものです。

 まあ、この御時勢では、記者や特派員が街に出て、「生の声」を拾うのも難しいでしょう。日本のテレビでは、コメンテーターと称する人たちが、現場を全く知らないのに、家に閉じこもって、したり顔で自分の意見を主張してばかり。これじゃあ、井戸端会議か居酒屋談義と何ら変わりやせん!(だから見ません)

 新型コロナのおかげで、「情報貧困社会」になったということでしょう。