「スポットライト」は★★★★★ sixth edition

大連・駅前裏通り  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

今年のアカデミー賞の作品賞と脚本賞をW受賞した「スポットライト 世紀のスクープ」を東京・TOHOシネマズ日劇で観てきました。(G)(またまた、本文と写真は関係ありましぇん。映画の写真は著作権があって使えましぇん)

昨日15日に公開したばっかりですので、恐らく混むだろうと予想して、朝一番の9時45分上映にしましたので、せっかくの休日なのに早起きしなければなりませんでした(苦笑)。

都心まで出かけるのは遠過ぎるので、本当は昼の時間帯で観たかったのですが、どういうわけか、次の上映時間は16時45分。映画が終わって、出入口付近で、沢山の人が集まっていたので、「おっかしいなあ…」と思ったら、家に帰ってパソコンを開いて、この映画の公式HPを観たら分かりました。「なーんだ」です(笑)。

 大連・駅前裏通り  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

何と、主役の一人で紅一点の記者サーシャ・ファイファーを演じたレイチェル・マクアダムスがお忍びで(?)来日し、舞台あいさつをしていたのです。それが、今日この昼間の時間帯の日劇の会場で、特別料金で普段の一般1800円より200円高い2000円で、「チケットぴあ」がネットで募集していたのです。会員優先で、一般の人は抽選だったようです。

これでも、私は普通の人より身銭を切って(笑)、映画を観ている方だと思いますが、今日初めて、「ぴあ」の人に捕まって、「映画は、何点でしたか」と質問されました。

私もたまに、映画を観に行く前に、ネットの「ぴあ映画生活」を見て、映画の点数を参考にして、面白そうな映画でも「ぴあ」の採点が低かったら、観るのをやめることもありました。こうして、「ぴあ」の人から取材されると、「本当に真面目に観客から聞いて、点数を付けていたんだ」ということが分かり、信頼度を高めました。

ちなみに、これは、いつぞやも何度か書いたと思いますが、私が最も参考にしているのが、日経金曜日夕刊最終面の映画採点なのです。

この「スポットライト」は五つ星でした。日経の採点は、五つ星が「今年有数の傑作」、四つ星が「見逃せない」、三つ星が「見応えあり」、二つ星が「それなりに楽しめる」、一つ星は「話題作だけど…」です。

実は、私の採点も黒星五つが最高で、たまに、おまけの白星もつけることがあります。(だから、真似したわけではありましぇーん)

 大連・駅前裏通り  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

前置きが随分長くなってしまいましたね(笑)。

でも、実は策略でして、あまり内容には触れたくなかったのです。皆さんには是非劇場に足を運んでご覧になってもらいたかったからです。

まるで、映画配給会社の宣伝部員みたいですが、それほど面白かったのです。(あ、これから先は、これから観る方は読まない方がいいかもしれませんよ。内容に触れます)

何と言いますか、スト-リーは、2001年から02年にかけて、米ボストン・グローブ紙が、長年に渡るカトリック神父による児童性的虐待の「世紀のスクープ」を追う姿をドキュメンタリータッチで描いたものです。

タイトルのスポットライトは、同紙の「調査報道」の特集欄の名前です。その編集部が、僅か4人だったとは驚きましたが。

グローブ紙は、地元読者に密着した紙面づくりで、読者は、カトリック信者が53%を占めていました。いわば、タブーの一つで、読者の中には、そして、メディアも含めて、これらのスキャンダルを知っていながら、「見て見ぬふり」を何年もの間してきた事案だったのです。この世紀のスクープもまかり間違えば、グローブ紙読者の不買運動につながり、会社がつぶれる恐れもありました。

それが、色んな偶然の要素もからんで、結局は大スクープは成功し、この連載記事が、世界中に波及して、神父による性的児童虐待とその隠蔽工作の事例が、米国内の他州だけではなく、フィリピンやタンザニアやニュージーランドなどでも暴かれ、各メディアで大きく取り上げられるようになったのです。

 大連・駅前裏通り  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

勿論、極東に住む私も当時、新聞などでこれらのスキャンダルを知り、熱心に読んだものでした。(えっ?もう14年も昔の話なの?)

そういった「結果」が分かっていても、観ていて、「この先、どうなってしまうのか」とハラハラドキドキ。

出演者は、役者ではなく、本物の新聞記者に見えたところが実によかったです。ポーランド系米人で突撃記者マイケル・レゼンデス役のマーク・ラファロもいい。デスクの長老ロビー役のマイケル・キートンも恰好よくて渋い。(彼のバットマン役を覚えていますが、1989年公開。27年も昔だったとは!)そして、前述のサーシャ記者役のレイチェル・マクアダムスも、新聞業界にはあまりあんな美人はいませんが(こら、怒られるぞー。逃げろー)、何か知的ではまり役。新しく、編集局長としてマイアミから赴任してきたバロン役のリーヴ・シュレイバーもどっしり落ち着いて、うまい。

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恐らく、この映画は、観る人によって感想は分かれると思います。

私の場合、ある意味で、共感してしまって、途中で感情を抑えきれなくなってしまった程です。

アカデミー賞の中でも最高の栄誉である作品賞を獲った作品でなくても、今年の傑作の一つでしょう。

さて、私が「ぴあ」の記者に何点と言ったか、そんなに気になるんですか?(笑)

はいはい。五つ星ですから、勿論、100点です。

【後日談】あら、吃驚
今朝の朝日新聞朝刊の土曜別冊「be」に、本物のボストン・グローブ紙の突撃記者レゼンデスさんと、美人のサーシャ記者の二人が登場していました。「本物は、こんな顔をしていたのか」と納得。俳優と似ているような、似ていないような。兎に角、シンクロニシティ。