「ハクソー・リッジ」は★★★★★

者ども、何と心得る!これが見えぬか?頭が高い!

昨日は、やっと映画「ハクソー・リッジ」(メル・ギブソン監督作品)を観てきました。

これまで、「プラトーン」「地獄の黙示録」「Dデイ」「ディア・ハンター」などかなり多くの戦争映画を観てきましたが、これほど戦死者をリアルに描いたものは初めてでした。あまりにもの惨たらさには途中で失神しそうになる程です。

以下は、これからこの映画をご覧になる方はネタバレになるのでお読みにならない方がいいかもしれません。

沖縄戦の前田高地(ハクソー=ノコギリ、リッジ=崖)の日米激戦区の話です。主人公は、自己の宗教心から武器を一切持たず、衛生兵として、75人もの負傷者を救出したデズモンド・ドスという実在の人物です。

彼がどうして、武器の使用を拒否して従軍したのか、幼い頃の彼の家庭環境などまで遡って描かれます。美しい看護師ドロシーとの出会いも、戦争の悲惨さと対比されてます。

大団円は、沖縄戦です。

メル・ギブソンは米国人か豪州人か知りませんが、やはり敵の日本人の描き方が、まるで、西部劇のインディアンです。日本軍は、訳の分からない言葉(馬鹿野郎など)をまくし立てて、戦略も知性も何もなく無謀に命を投げ捨てる自爆テロリストのような扱い方です。

一方の米軍は、統制が取れたカウボーイ軍団。正義の味方で、悪いジャップをやっつけるといった感じです。しかも圧倒的な戦力です。火炎放射器で日本軍兵士を焼き殺します。

しかし、彼らにはそれほどの大義があったんでしょうかねえ?

日本軍は、三八式歩兵銃で応戦していたのではないでしょうか。

推計の数字ですが、沖縄戦では、何と日本軍の戦力の10倍もあった米軍が55万人も押し寄せ、迎え討つ日本軍は、牛島満司令官、長諌参謀長以下10万人。犠牲者は、米国側は1万2520人。日本側はその15倍の18万8136人が亡くなったとみられています。このうち、沖縄県の一般の住民は9万4千人も亡くなっておりますが、映画では、住民の虐殺は一切出てきません。

映画は、「美談」の物語です。主人公が意地悪されたり、リンチされたりした仲間まで救ってしまうのですから、美談以外何物でもありません。

以上、最初から貶してばかりしておりましたが、この映画は、非常に考えさせる映画です。映像的に態とらしい表現が散見しましたが、素晴らしい出来栄えでした。実話でしたら、ストーリーをあまり脚色するわけにはいかないでしょう。映画史に残る、いや残さなければならない作品として私は押します。

ですから、最高点を付けます。

私も久しぶりに、大東亜共栄圏について非常に簡潔に書かれた文章があったので、次回はそのことを書きましょう。