ポール・ヴァーホーヴェン監督作品「ELLE エル」をやっと観に行って来ました。東京・日比谷のシャンテシネマにまで行ったのですが、今、この辺りに、どでかいビルが建設中で、東京宝塚歌劇辺りの道路まで工事現場だらけでした。
さて、ヴァーホーヴェン監督は「氷の微笑」や「ショーガール」など官能サスペンスで知られていますが、この「エル」も彼得意のジャンルのようです。
代表作に「ロボコック」などもあるオランダ人のヴァーホーヴェン監督(78)は当初、ハリウッドで映画化する予定でしたが、主役のミシェル役がなかなか見つからず、原作(フィリップ・ディジャン「ベティ・ブルー」原題”Oh…” 2012)も場所もフランスであり、イザベル・ユペールがミシェル役に名乗り上げてくれたことから、フランス・ドイツ・ベルギーの三カ国合作映画になったようです。
スリラーサスペンス映画なので、結末は書けませんが、ゲーム会社の社長を務めるミシェルが、自宅で覆面を被った男に暴行されるという衝撃的な場面で始まります。ミシェル自身は直ぐに警察に届けることなく、普段通りの不可解な生活を続けることから、彼女のその後の人生を決定づける過去の「事件」にまで遡ってストーリーが展開されます。
この映画では、恋愛好きのフランス人らしさが現れてます。いわば半径100メートル以内で男も女も関係を持ちたがり、何か、いくら作り物だとはいえ、「勘弁してほしいなあ」と呟いてしまいました(笑)。あまりにも人間的なドラマかもしれませんが。
異様に蠱惑的なミシェル役のユペールは1953年生まれですから、撮影時63歳ぐらいです。「えーー」と思ってしまいました。「人生100年時代」の到来が日本より先にフランスで始まってます(笑)。
脚本のダビド・ビルクの軽妙洒脱でエスプリの効いた科白は、恐らくハリウッド作品だったら実現できなかったかもしれません。フランス語の会話は、この私でも字幕を見ないで所々少し理解でき、2時間6分、パリで過ごせた気分でした(笑)。
俳優陣の肩肘を張らない、自然な振る舞いが、まるで演技をしていないかのように見えて良かったですね。
ほぼ全員、初めて見る俳優さんでしたが、隣人パトリック役ローラン・ラフィットと元夫リシャール役のシャルル・ベルランはフランスでは有名な俳優さんらしいですね。いつもヒステリー状態のミシェルの息子ヴァンサンの彼女ジョジー役のアリス・イサーズ(26)は、なかなかの美人さんで、この先伸びるんじゃないかなと思いました。彼女の出演作品のほとんどが日本では劇場未公開なので、恐らく日本ではあまり知られていないでしょうから、私が先鞭をつけておきます(笑)。