新型コロナの感染者がいまだ判明していない岩手県にお住まいの石川先生から昨晩、電話がありまして、急に「ではメモをしてください。銀座〇丁目の〇〇、電話番号〇〇…」えっ?何ですかあ? ですよね。
後期高齢者の石川先生は、若い頃の大半は東京暮らしで、定年退職後に郷里の盛岡市に戻ってきたのですが、東京生活が懐かしく、テレビで東京の名所や展覧会やグルメ情報等が流れると食い入るように見つめ、自分では行かれないので、このように、小生に身代わりに行くように勧めるのでした。
昔、テレビでやっていた米国ドラマの「スパイ大作戦」みたいですね。違うかあ(笑)。
今回、石川先生のお薦めは、どうもテレビの「酒場放浪記」みたいな番組で見たようで、昼は名物ランチをやっているらしいのです。「大分料理の『離亭 三ぶん』て店ですがね。銀座ですから、一応、高級居酒屋って感じでしょうか。昼は『りゅうきゅう丼』をやってます。ああたも暇ですから、一度食べに行ったら如何ですか?歌舞伎座の裏です。会社から近いでしょう」と仰るのです。
いやあ、暇じゃありませんよ。りゅうきゅう丼なら沖縄料理じゃないんですか?石川先生も人使いが荒いですね。
「ああたは、いつもつまらないブログばかり書いているから駄目なのです。だから話題を提供したまでですよ(笑)ああたみたいに、いつも安い、貧困層が食べるものばかり取り上げていては、腹の足しにもなりませんよ」
石川先生、そこまで言いますかね。わ、わ、分かりました。行きますから、行きますよ。
てなわけで、昼休みに早速行ってまいりました。
「りゅうきゅう丼御膳」。な、な、何と1200円。
店を出て分かったのですが、「魚の刺身を『ヅケ』に薬味とともにご飯に載せた丼。最後は出汁をかけてお茶漬けに」なる文面がお店の外の看板にありました。
3人ほど先客がおりましたが、ほどなく入れ替わりとなり私一人に。6人掛けのカウンターとテーブル2脚というこじんまりとして、小料理屋といった雰囲気でした。
年格好40歳前後の物静かなメガネをかけた御主人が「マグロとカツオの2種類がありますが、半分ずつにしますか?」と聞いてきたので、「じゃあ、それで」。
普通のランチだと、事前に用意していてすぐ出てくるものですが、この店は、高級店らしく、注文を聞いてから、刺身作り。結構、時間がかかりました。手持無沙汰なので、今の状況を聞くと、「ええ、夜もやってますよ。夜8時までのおっ達しですが、流れで9時半ぐらいまでやることもあります」とのお答え。
そうそう肝心の話を聞くのを忘れるところでした。最近、この店、テレビの取材が入ったんですか?
「去年か一昨年の話ですよ。その方、再放送でも見たんじゃないですか?」
銀行員にしてもおかしくない律儀そうな料理人でしたが、私も思わず、吹き出しそうになりました。ただ、その後、「どんぶりは3分の1ほど残しておいてください。お茶漬けにしますから」と言われて、何となく、中学校の生徒になった気分。
いわゆる一つの「鯛茶漬け」のような感じになりました。そして肝心のお味は?
美味いに決まってるじゃありませんか。上の写真で御想像あれ。