良心の呵責があっては妨げになるのか?=森友学園問題を巡る財務局元職員遺族訴訟の幕引き

 森友学園問題に関する財務省の決裁文書改竄を苦にして、2018年に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(50)が、国などに損害賠償を求めた訴訟は15日、急転直下、国が約1億円の賠償請求を受け入れることで幕引きを図りました。

 当然のことながら、遺族の雅子さんは「お金目的ではなく、真相を究明してもらいたいだけ。非公開の場で臭い物に蓋をするようなやり方は卑怯だ」と反発しました。

 私も大いに同調します。

 新聞もテレビも大きく報じましたが、一番分かりやすかったのが、16日付東京新聞朝刊です。見出し四段で「森友訴訟 急転幕引き」と取り、横見出しで「職員自殺 国が1億円賠償へ」となっています。

 確かに、お金の問題ではありませんが、1億円を賠償するこの「国」って何なんだ?とこの見出しを読むと大いなる疑問が浮かんで来ます。そして、冷静に考えると、結局、その賠償金は、税金から支払われることに気が付きます。つまり、誰が責任を取ったかというと、国でも財務省理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官でもなく、税金を負担している国民だったということが分かります。この許せない事実がこの見出しに込められているように私には思えました。

鎌倉・円覚寺

 妻の雅子さんの「夫は国にまた殺された」という叫びと非難は、非常に切実なものがあります。

 この改ざん問題は、安倍晋三首相に忖度し、自己の出世欲に目が眩んだ佐川理財局長が、強引に赤木さんに指示したのではないかという説が濃厚です。佐川氏に対する訴訟だけは継続される、と表向きでは言われていますが、大本の権力者が安泰である限り、裁判官の斟酌は半永久的に不滅でしょう。

 その大本権力者である安倍元首相は、有権者の票が欲しいので「桜を見る会」で地元民を優遇した人でもあります。しかも、その財源は国民の税金です。彼は、最高権力者のポストは降りても、キングメーカーとして院政を敷いて権力を護持する計画だといわれてますから、また国民がツケを支払わされるのではないかと危惧されています。

 どうも、人が亡くなったというのに、権力者というのは良心の呵責も、自己嫌悪も、反省もしないのでしょうか? それとも、良心の呵責も自己嫌悪も反省もしない人間が、権力者になるのでしょうか? 鶏が先か卵が先か、みたいな話でしょうが、それらの条件は、不即不離の関係にあることは間違いないと私は思っています。

鎌倉・円覚寺

 そもそも、これは世界的傾向ですが、罪悪感を覚えたり、良心の呵責に駆られたり、自己嫌悪に陥っていたりしては、為政者なんかやってられませんからね。

 私自身は、「蟷螂の斧」と分かっていながら、またこんなことを書いて、自己嫌悪に陥りそうです(苦笑)。

【追記】(12月17日)

 12月16日付東京朝日新聞夕刊一面の名物コラム「素粒子」に掲載されていた記事。

 「ふざけんな」。真相解明を税金で止めるなんて。森友訴訟、上司の証言ないまま。

   ×  ×

 この約1億円の賠償金支出は、納税者として許し難い。

 たった、わずか二行で、昨日書いた私の記事を表現している。逆に言えば、私の言いたいことなんぞ、ダラダラと書かなくても、二行で済む、てか?

日本はやはり官尊民卑なのか=佐川さんは今何をしているんでしょうか?

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 相変わらず、テレビでは 新型コロナウイルス感染拡大のニュースばかりやっています。そして、海外ではどうやら日本は中国に次ぐ「感染大国」とみなされているようです。 イタリアの高級ファッションブランド「プラダ」が18日付で、 日本で開催する予定だったファッションショーを延期すると発表したので、3月か4月の話かと思ったら、何と開催日は5月21日なんですってね。そこまで、終息していないという会社の判断なのでしょう。

 これが過剰反応なのか、至極真っ当な判断なのか、今は分かりませんが、海外ではかなり警戒されているという証左です。

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 さて、 19日にはいわゆる森友学園問題で、大阪地裁で判決がありました。詐欺罪などに問われた前理事長籠池泰典被告(67)に懲役5年 、妻諄子被告(63)に懲役3年、執行猶予5年というものでした。 刑の軽重について素人が口を挟むのはもってのほかかもしれませんが、そもそもこの事件の原点は、国家公務員が安倍首相に忖度したのが始まりなのです。それなのに 虚偽公文書作成容疑などで告発された佐川宣寿・財務省理財局長(当時)はじめ、幹部・職員38人は全員不起訴となっているんですからね。忖度した佐川さん(62)は功労が讃えられて第48代国税庁長官に栄進されましたが、一度も記者会見せず、逃げるように隠れるようにして2年前に退官されたことは今でも国民は忘れていません。籠池被告が「これは国策捜査だ」と叫ぶのは理解できます。

  また、 昨年4月に東京・池袋で乗用車が暴走し母子などが死傷した事故がありましたが、運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(88)は、高級官僚だったせいなのか、留置されることなく、書類送検で終わってます。これでは、何の落ち度もない亡くなった若い母親と幼子は浮かばれません。

 このように特権階級へのあからさまな情状酌量を見ていると、海外メディアから「日本の高級官僚は、犯罪を犯しても絶対に捕まらない」と批判されても、抗弁できませんね。

佐川国税庁長官への手紙再び

「知らぬ」「存ぜぬ」「資料はない」「捨てた」のたった四語で国家に忠誠を尽くしたとして、論功行賞で国税庁長官にまで昇り詰めた佐川君。福島県いわき市出身、花籠部屋?

いまや、確定申告たけなわの時期で、全国で「納税者一揆」の狼煙が上がって逆風が吹いているようです。

何と言っても、国税庁は、納税者には「領収書などの資料は五年間保存しろ」と命令しているのに、佐川長官は率先して資料を廃棄しているか、または、廃棄したことにしているわけですから矛盾してます。

それに、佐川君自身は後ろめたいのか、昨夏に国税庁長官に就任したのに記者会見を一度も開かぬ異例事態。歴史家に「卑怯者」の烙印まで押されてしまいました。

佐川君は、何故そこまで役職に汲々としがみついているのでしょうか。

文科省の前川喜平事務次官のことを「汲々と役職にしがみついている」と大批判した菅官房長官は、佐川長官については手の平を返したように「適材適所」と詭弁を弄しております。

では、あっさり事務次官を辞めた前川氏と、役職に汲々としがみついている佐川君との違いは何処から来るのでしょうか?

前川氏は、世界的な産業用冷凍機のトップメーカー前川製作所の創業者一族。銀のスプーンを咥えて生まれてきた大金持ちです。官僚の中でも、奇人変人が多い麻布出身(笑)。

一方の佐川君の実家は、それほどでもないようです。目立つ肩書きは、「いわき応援大使」ぐらい。最悪でも1年間の長官任期は全うしたいのでしょう。

しかし、この後の彼の天下り先がどうなるのか気になります。「引き受けろ」と打診される民間企業も、敬遠してしまうのではないでしょうか。(今季から、プロ野球界では敬遠は申告制となり、なくなってしまうそうな)