北朝鮮張成沢氏の粛清、「密告が原因」は妙に納得させられます

2月14日付の共同通信が、米国を拠点とする中国語情報サイト「博訊」などを引用して伝えた「北朝鮮の実力者だった張成沢元国防副委員長が2013年に『国家反逆罪』の汚名を着せられて粛清されたのは、中国側からの密告が原因だった」などといった報道は、大変驚くと同時に、何となく、疑問が氷解するような感じを受けました。

もっとも、中国外務省の耿爽副報道官は14日の記者会見で、即座に「全くのでたらめな話」と否定しましたけどね。

報道は今回が初めてでもないらしいのですが、北朝鮮ナンバー2だった張成沢氏は2012年に胡錦濤国家主席(当時)と会談し、故金正日総書記の後継として、金正恩朝鮮労働党委員長ではなく、異母兄の金正男氏を就任させたいとの意向を伝えたというのです。この内容を、中国の最高指導部メンバーだった周永康氏が金正恩氏側に伝えたことから、金正恩氏の怒りを買い、13年の張氏粛清につながったというものです。

ナンバー2の実力者の張氏が「国家反逆罪」として処刑された理由が、当時さっぱり分からなかったのですが、「この話」は辻褄が合います。しかも、最高権力者になろうともしなかった、ディズニーランドとエリック・クラプトンが大好きだった金正男氏が、なぜ、ちょうど1年前の昨年2017年2月にクアラルンプール国際空港で暗殺されなければならなかったのか、平仄が合う気がしました。

恐らく、私の勝手な想像ですが、張成沢氏は、金正恩氏より、金正男氏の方が、御しやすいというか、自分の権力を行使しやすいと考えたのかもしれません。

密告したとされる、当時の中国の最高指導部の一人、周永康氏は、最近、収賄罪などで無期懲役の判決を受けたばかり。これは怪しい。「池に落ちた犬はたたけ」なのか、「濡れ衣」なのか、真相は不明です。

中国当局は否定していますが、中国とのパイプ役だった張成沢氏処刑後、中国と北朝鮮の関係が悪化したと言われてますから、何らかの形で、件の話が金正恩氏の耳に入ったのではないか、と思われます。

ダーウィン的進化論主義者の皆さんなら、科学も歴史も常に進歩していくものだと考えがちですが、もし、話の内容が事実なら、異母兄を暗殺するような北朝鮮は、日本で言えば、いまだに戦国時代です。

14日には米フロリダ州の高校で、またまた銃乱射事件があり、17人が犠牲になりました。これでは、アメリカはいまだに、秀吉の刀狩り以前の国だと思われても仕方がないのではないでしょうか。

緊迫する朝鮮半島情勢

伊太利亜フィレンツェ

いやはや、本当に驚きました。腰を抜かすほど。まあ、朝鮮ウォチャーとしては、何年も前から予想していたことでしょうが、まさか、本当に実行するとは思いませんでした。

北朝鮮の最高指導者金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄金正男氏が13日、マレーシアのクアラルンプール空港で暗殺された事件のことです。

まるでスパイ映画のような出来事です。

韓国の大手紙朝鮮日報系のテレビ朝鮮のスクープらしいのですが、北朝鮮の工作員と見られる女2人が、金正男氏を空港内で毒針で刺して殺害し、そのままタクシーで逃走したというのです。
伊太利亜フィレンツェ

享年45。

45歳と言えば、まさに男盛りと言いますか、バリバリ仕事を成し遂げる年頃です。

独裁体制を固めたい金正恩委員長が、自分の存在を脅かされるのではないかと異母兄の暗殺を工作員に命じたものとみられています。

まるで戦国時代ですね。

金委員長の義理の叔父で北朝鮮ナンバー2に当たる張成沢氏が2013年に処刑されたときも、ビビりましたが、腹違いとはいえ、自分の実兄まで殺害するとは…。何しろ、金委員長は既に100人以上の高級幹部を「国家反逆罪」の容疑で処刑したという情報もあり、もう何千人もの人民が餓死していると言われています。

これが、民主主義人民共和国の実体だとしたら、恐ろしい限りで、こういう隣国とどう付き合ったらいいのか、世界の叡智を集めて考える段階ではなくなっているのかもしれません。

何しろ、北朝鮮は日米首脳会談の真っ最中を狙って中距離ミサイルを日本海にまで飛ばして威嚇するぐらいですからね。
伊太利亜フィレンツェ

とはいえ、さりながら、我が国としては、少し冷静にならなければなりませんね。

こういう事態だからこそ。

北朝鮮の後ろ盾になっている中国も、抑えが効かない、歯止めが効かない状態になっているのかもしれません。

1950年に始まった朝鮮戦争も、まだ終わったわけではなく、未だに休戦状態です。

こんな大事な時に、お隣韓国では、大統領が弾劾され政治的に不安定な状態が続いています。

こういう時期だからこそ、情勢収集と冷静な分析と対策が必要とされます。

拉致問題もいまだに解決されていません。

ただ今回の金正男氏暗殺で一つだけ分かったことは、北朝鮮はまだ戦国時代を生きており、本気だということです。

北朝鮮ミサイル発射について思うこと

北朝鮮がとうとうミサイルを7発も発射しました。(まだ、これからも発射する可能性あり!)偉い軍事評論家や国際政治学者のみなさんが武器の性能や6カ国協議の行き詰まりの果ての「瀬戸際外交」の結果、などと色々と解説してくださいますが、やはり、北朝鮮の意図が少しも分かりません。

まさか、ホントにやっちまうなんて…

まだ朝鮮戦争の余燼が燻って、いまだに「臨戦態勢」状態の国と、経済大国として発展して曲がりなりにも平和を謳歌している国との違いでしょうか。

ただ聞き捨てならないのは、独裁者・金正日が軍の暴走に歯止めを効かすことができなくなったからではないか、という観測です。国民を飢え死にさせても特権階級だけがこの世の春を謳歌している国ですから何をしでかすか分かりません。

「体制的には末期的症状なのに、この体制を温存したがっている思惑を持つ勢力があるのではないか」と睨んでいたのですが、やはり、国連安保理で、北朝鮮に対する制裁をあからさまに反対する国が出没しました。

中国とロシアです。

この両国はミサイル発射について事前に知らされていたのではないかと疑いたくなります。

それにしても、今回、せっかくの「模擬訓練」になったのに、情報の伝達が遅かったですね。

ミサイル発射が5日の午前3時半ころなのに、全国の自治体に国から情報伝達があったのが3時間後の午前6時半。あと数十キロ射程が延びていたら「上陸」していた北海道の高橋はるみ知事も「遅すぎる!」と憤慨していたようです。

それはそうですよおね。

まあ、国の対応など、いつも後手、後手に回るので、自分の身は自分で守るしかないということを、今回、改めて証明してくれたということでしょう。