🎬宮崎駿監督作品「君たちはどう生きるか」は★★★☆

 ブログを書く話題が欠乏してしまったので、命に関わる危険な暑さの中、有休を取って、久しぶりに映画館に行って来ました。

 今年3月に観た「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が、米アカデミー賞で主要部門の作品賞を含む7部門も受賞したというのに、あまりにもつまらなくて、生涯初めて途中で席を立って退場したことをこのブログに書いたことがありました。あれ以来、トラウマになってしまい、わざわざお金を出して、映画館に行くのが怖くなってしまったこともあります。

 ですから、事前に色々と調べたり、ネットで予告編も観て、この映画なら、時間とお金を掛けて観る価値があるな、と納得してから観るようにしたら、大して観るに値する映画がなかなか現れず、その機会が一段と減少してしまったわけです(失礼!)。

 それなのに、嗚呼、それなのに。今回は、ほとんど調べたりせず、ただ話題先行だけで、観ることにしました。第一、製作者側もこの映画の宣伝を全くと言っていいぐらいしないのです。内容公開どころか、予告編もありません。辛うじて、公表されたのは(上の写真の)ポスター一枚と、全国で公開されている映画館の案内ぐらいです。

 以前、映画関係者に聞いたことがあるのですが、映画は、製作費の半分は「宣伝費」につぎ込むんだそうです。全部の公開映画がそうではないかもしれませんが、それがほぼ常識になっているようです。しかし、この映画は、宣伝費がほぼなし、ですから、かなり画期的です。

新富町

 映画は、宮崎駿監督作品、スタジオジブリ製作の「君たちはどう生きるか」です。宮崎駿監督は、2013年公開の「風立ちぬ」を最後に長編アニメ映画の製作から引退を発表しておりましたが、それを撤回して、10年ぶりに新作を手掛けたというのですから、話題にならないはずがありません。つまり、「10年ぶりの新作」「宮崎駿」「スタジオジブリ」だけで、それ以外何の告知をしなくても、十分に何十万、何百万人もの観客を呼べるわけです。

 なんて、偉そうに書いている私ですが、私は宮崎駿作品は「となりのトトロ」や「もののけ姫」など数本、ビデオかテレビで観ただけで、明らかに不勉強です(苦笑)。お子様用だと思っていたからです。宮崎作品を映画館で観たのは、10年前の「風立ちぬ」で、それが生まれて初めてでした。

 今回の新作も「風立ちぬ」と同じ、先の大戦の時代を扱っているということで、文句なしに観ることにしたのです。

 それで、内容ですが、緘口令が敷かれているわけではないと思うので、ほんの少しだけ書きます。(内容を知りたくない方は、この先は読まないでください)。時代は日中戦争が始まった昭和12年から戦後にかけての話で、ポスターになっているアオサギが、物語の重要な役割を演じたりします。東京に住む主人公の眞人少年は、母親を亡くし、父親と一緒に田舎に疎開しますが、そこで、父親が再婚する母親の妹が住む大きな屋敷に住むことになります。父親は軍需企業の経営者のような感じで、飛行機の部品などが出てくるので、疎開した舞台の田舎というのは、どうも、戦闘機を製造していた中島飛行機の工場があった群馬県太田市をモデルにしているのではないか、と思ってしまいました。

 内容は、成長する少年の亡くなった母親と、行方不明になった新しい母親探しと同時に自分探しの物語になっていますが、十分、大人の鑑賞に耐えます。ただ、個人的にはちょっと長過ぎるかなあ、と思いました。荒唐無稽過ぎる場面も多々ありました。宮崎駿監督は1941年生まれで、今年82歳ですから、映画の主人公の眞人少年より14~15歳ぐらい若いですが、当時の時代の空気を「同時代人」として吸って、自分の戦争観や人生観を主人公に投影しているような感じでした。それらは、確かにアニメでしか表現できない世界観でもありました。