平松愛理

公開日時: 2005年5月3日

「売り物になるのなら買ってほしいくらいですよね…」。シンガーソングライターの平松愛理さんは悲しそうな表情を浮かべた。心無い人から「平松愛理は、病気を売り物にしている」と批判されて、それに答えたものだった。

平松さんは、このほど四年ぶりにアルバム「秋の虹」を発表して、見事「復活」を成し遂げた。相変わらず澄んだ透き通った歌声。「病気」のひとかけらも感じさせない前向きで、元気と勇気を与えてくれる歌詞。例えば、アトランダムに挙げてみると「自分で作る幸せだってある。だって想いは殺せない」(あなたのいた夏)、「明日は何度でもくる。自分を信じていきましょう」(哀しみは風に吹かれて)…といった感じなのだ。

平松さんは1964年、神戸市須磨区生まれ。お父さんは内科医。小さい頃からピアノを始め、学生時代からアマチュアバンドで活躍、92年には「部屋とYシャツと私」が100万枚の大ヒットとなり、「才色兼備」のシンガーソングライターとして一気に注目された。その後、結婚し、トントン拍子にいくかと思われたが、95年の阪神淡路大震災では神戸の生家が全壊。そして、数々の病魔に襲われ、子宮内膜症で子宮を摘出。2001年には乳がんの手術も受けた。

病気については、本人もライブの際に発表して休養宣言したり、自分のホームページでも公表したりしているが、それにしても、世の中にはひどいことを言う人がいるものだ。新潟中越地震では、多くの日本人がボランティアに駆けつけたり、義援金を送ったりしているというのに、「匿名」に隠れて平気で人を傷つけることを言う。その心根が全く理解できない。

平松さんは正直に語る。「前向きな詞を書くことで自分自身が癒され、痛みを忘れることができた」「詞の中の世界の私を現実の私と誤解してほしかった」―。どうですか?「平松愛理は病気を売り物にしている」と非難したアンポンタンに聞かせてやりたいですね。