従軍慰安婦問題について

ローマ

いわゆる従軍慰安婦問題が最近またニュースで度々取り上げられています。

アメリカの下院でマイク・ホンダ議員が決議案を提出したのがきっかけで、慰安婦制度は「その残忍さと規模において、輪姦、強制的中絶、屈辱的行為、性的暴力が含まれるもので二十世紀最大の人身売買事業の一つである」と断罪しています。

ホンダ下院議員は、名前から分かるように、カリフォルニア州選出の日系議員で、支持母体は、アジア系アメリカ人で、産経新聞などによると、ホンダ氏の多額献金者の中には、中国系の世界的な反日団体「世界抗日戦争史実維護連合会」会長のアイビー・リー氏らが含まれているそうです。ホンダ氏の支持者には反日プロパガンダの闘志らが多数いるということです。この決議案の提出は、何と6回目だということも、不明を恥じながら今回のニュースで初めて知りました。

今回、これほど大きなニュースになったのは、3月1日に安倍首相が「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった」と発言し、米国内で一斉に反発の声があがったためです。

国内では「従軍慰安婦は強制的だった」と発言すると、いまだに「左翼自虐史観だ」と糾弾される雰囲気があります。ですから、国民の大多数の支持を得ている自民党の総裁である安倍首相の発言は、極めて自然な思想信条から発言されたものでしょう。3月16日に閣議決定した政府答弁書でも「政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」としています。

私は戦後生まれで、粒さにこの問題を研究したわけではなく、新聞、雑誌等の報道などに接するのみなのですが、先日(4月1日付)、毎日新聞に掲載された作家の瀬戸内寂聴氏の寄稿文には、目を瞠らせられました。実は、この文章の最初の部分も氏の文から引用したものです。

瀬戸内氏は、これまで、4人の慰安婦に会ったことがあり、韓国人の3人は、日本軍により強制的に拉致されたということをはっきり書いています。そのうちの1人は友達と道を歩いていたら、走ってきた軍用トラックがいきなり止まり、兵隊が降りてきて、荷物のようにトラックに投げ入れられた、というのです。北朝鮮の拉致と何ら変わらないことを戦争中に日本軍は白昼堂々とやっていたわけです。

こういうことを書くと、また反日分子だの、左翼自虐史観の肩を持つのかと批判されそうですが、私は旗幟を鮮明にします。強制性を裏付ける資料が見あたらなかったとう政府見解があっても、そういう資料は破棄か焼却されたのではないでしょうか。瀬戸内氏も「私は彼女たちの話を造り話とは絶対思わなかった」と断言しています。

ですから、私は、従軍慰安婦に強制性があった、という立場を取ります。

ただし、私は反日分子でも左翼自虐史観の持ち主ではありません。米帝の覇権主義には辟易していますし、なぜ、ホンダ氏が、今、殊更に取り上げるのか、組織背景や動機などについても知りたいものです。