また輸入米に頼るのか?五輪後不況はやって来るのか?

 南太平洋のトンガ諸島で15日に起きた大規模な火山噴火は、通信が遮断されたため、被害状況が断続的にしか入って来ませんが、8万人の方々が被災したと言われています。お見舞い申し上げます。この噴火で、予想外にも日本にも津波が押し寄せ、南米チリなどにも同じように津波が襲来したということですから、グローバルな規模で影響が広がっています。

 この噴火で心配されるのは、噴煙が成層圏にまで到達してしまったため、太陽が遮られ、夏は冷害となって作物が育たなくなるのではないか、という懸念です。

銀座・昭和通り

 これで思い出すのが、1991年6月、フィリピン・ルソン島のピナトゥボ火山の大噴火です。やはり、噴煙が成層圏に達し、数年に渡って滞留し日射量が減少して、世界各地で異常気象が発生しました。1993年の日本の記録的な冷夏もこの噴火が一因とされ、米の不作で、タイなどからの輸出米に頼らざるを得なくなり、大騒ぎになったことをよく覚えています。

 歴史の教訓から学べば、来年辺り、我が国でも冷害が押し寄せ不作になるかもしれません。同時に「穀物地帯」でもある南米や豪州などが不作になれば、食料自給率が37%(2020年度)と極端に低く、穀物は輸入に頼っている日本は大きな痛手を蒙ることでしょう。

 輸入に頼る家畜の飼料が高騰すれば、物価にも響きます。

◇ 「昭和40年不況」

 歴史の教訓として、もう一つ忘れてはいけないことは、1964年の東京五輪閉会後の大不況です。「昭和40年不況」とも「証券不況」とも言われています。64年にサンウェーブと日本特殊鋼(現大同特殊鋼)、65年には山陽特殊製鋼が倒産し、山一證券の取り付け騒ぎなどがありました。私は子どもの頃でしたが、「サンウエーブの流し台 ♫♩」とラジオで盛んにコマーシャルを流していて、よく知っていたので、倒産のニュースには驚いたことをよく覚えています。

 オリンピックの後に不景気が襲ってくるのは、1976年のモントリオール五輪がよく知られ、大学生だった私もよく覚えています。当時「世界初」と謳われた開閉式屋根の巨大競技場の建設費が予算の6倍に跳ね上がり、五輪全体の赤字は約10億ドル(現在の約1兆円)に膨張し、返済するのに税金で30年も掛かったと言われています。当然、モントリオール市民は、窮屈で暗鬱な生活を強いられたわけです。

銀座「高級芋菓子しみず」

 さて、今回の2021年コロナ禍強行開催の東京五輪後はどうなることでしょうか?「今年は寅年、株式投資のチャンスです!」と踊らされている人も大勢いますが、大丈夫なんでしょうか? 歴史の教訓に学べば、今年は不況の年になることになります。でも、歴史は占いや予言ではないので、必ずそうなるという確証はありません。それに、この3年は、新型コロナ禍で、まさに前代未聞の出来事ばかりありました。歴史の教訓に学ぶとすれば、世界で約1億人の死者を出したと言われる100年前のスペイン風邪(1918~1920年)の影響も加味しなければならないことでしょう。

 私は予言者ではありませんが、これら歴史の教訓から推測すれば、新型コロナウイルスは3年目ということで、今年辺りに収束(終息ではない)するのではないかと思っています。日経平均は2万5000円に暴落するのではなく、3万2000円近く上昇し、乱高下して2万9000円ぐらいで「大納会」を迎えるのではないかと想像し、大手企業の倒産もあるのではないかと危惧しています。

 私の予想が外れることを願っていますし、当たるわけないとも思っています。自分の予想に自信があれば、とっくに経済評論家にでもなっていますよ(笑)。