騙すのが悪いのか、騙されるのが悪いのか

 昨日のブログで「私も、かつて多くのプロ野球選手を取材したことがありますが、超一流選手になればなるほど、記者泣かせの傲岸不遜の人が多かったものです。」書いたところ、友人のA君から個人メールで「その選手って誰ですか?是非知りたい」と言って来ました。

 ブログでは「口が裂けても選手名は言えない」と書いておきましたが、個人メールなら、そっと教えてあげました。そしたら、A君は「知らなかった。情報有難う」と直ぐ御礼の返信がありました。

 この時、思ったのは「あれっ?世間の人は実態を知らないんだ。テレビやマスコミを通した虚像しか知ることができないんだろうなあ」と再認識したことでした。

 例えば、超一流のX選手なんかは、ロッカールームで某通信社のK記者しか取材に応じないため、他社は、平身低頭、K記者を通してX選手の談話をもらって原稿を書かざるを得ませんでした。ですから、いくら後世に残る大記録を樹立しても、ほとんど全員の担当記者がX選手のことを嫌悪していたという話は、スポーツ記者ならほぼ全員が知っている常識でした。

 でも、マスコミの常識は世間の非常識ですから、普通の人が知らないのは当然なのかもしれません。

ヤブカンゾウ

 私も、マスコミの末席で録を食んできた人間なので、世間の普通の人が知らないことを沢山知ることができました。具体的な名前やスキャンダル(ほとんどお金か異性がらみ)は、ブログに書けませんし、書きたくもありませんが、若年層が、夢にまで見るほど、盲目的に憧れる芸能界やスポーツ界に対してはすっかり冷めて、「知らなければよかった」と思ったほどでした。と、正直に書いておきます。

 テレビやラジオに出演して偉そうに解説したりコメントしている人の中で、個人的に知っている人がいれば、いわゆる「お里が知れている」わけですから、当人が如何に傍若無人な傲慢な人間で、金銭に汚く、目立ちたがり屋の野心の塊であることまで知っているので、すぐさまチャンネルを変えることにしています。

 世間の人は何も知らないわけですから、テレビに出るから立派な人なんだと思っているだろうなあ、と考察しています。

 最近では、テレビ番組で、実はタレントの親族が経営している飲食店なのに、たまたま通りかかったかのように見せかけて、その店を宣伝する「ステルスマーケティング」(ステマ広告)が流行っているようです。

ヤブカンゾウ

 そして、驚くべきことに、「暗号通貨投資」だの「絶対損しないAI投資株」だのと甘い言葉に騙されて、今になっても詐欺商法に引っかかるインテリの皆様が後を絶ちません。豊田商事事件(2000億円)、安愚楽牧場事件(4200億円)などといった大型詐欺事件があって世間は大騒ぎしたというのに、人はすぐ忘れてしまうんですね。

 世間の人は、騙されても懲りないというか、騙されることが大好きなんだなあと思わざるを得ません。

 とは言いながらも、私は世間の皆様に訓示を垂れるような立派な人間ではありません。私が騙されたら大いに笑ってください。