ライスカレー1700円、一本勝負

東京・池袋の「服部珈琲舎」

江戸城に参内した後、母の日という商業主義者の戦略に引っかかって、カーネーションを届けに実家の母に届けに行きました。

途中で、西武池袋線に乗り換えるので、池袋駅で降りなければなりません。

池袋駅は乗り換えで通ったり、通過したことはありますが、駅の外に出るのは本当に久し振りでした。

10年ぶりぐらいでしょうか。

実は、池袋は、東京の中でも最も嫌いな街の一つなんです。 何故なら、駅構内はあらゆる方向からカオス状態で人混みが押し寄せてくるからです。

不愉快な街なのでできれば避けたい。しかし、何十年も西武池袋線沿線に住んでいたため、都心に出るときは池袋はどうしても通らなければならない。それが嫌で、長じてからは、池袋とは関係のない所を求めてわざわざ住んだぐらいでした。

そして、10年ぶりぐらいに降り立った池袋東口(西武百貨店側)。あまりにもの変わりように呆然としてしまいました。

毎週のように通っていた新栄堂書店が閉店し、その近くのキンカ堂という安価な洋服店とその地下にあったキンカ堂食堂も消えて無くなっていたのです。

唖然、呆然。浦島太郎さんか、リップ・ヴァン・ウィンクルの心境です。

街はすっかり綺麗になって、面影の片鱗もありません。池袋駅東口は昔、今パルコがある所は丸物(まるぶつ)というデパートでした。西口は焼跡闇市がかすかに残るバラック建ての商店も残り、街のあちこちでは、白い薄汚れた傷痍軍人服を着た片腕がなかったり、片脚がなかったりする元帝国兵隊さんたちが、アコーディオンを弾いて物乞いをしていました。東京オリンピックの前の昭和30年代でしたが…。今の若い人は知らないでしょうね。おっ!ついに私も歴史の証人になってしまったか!

さて、昼の1時を過ぎてお腹も減ってきたので、何処かないだろうかと彷徨いたところ、「ライスカレー」の看板が出ていた喫茶店にすかさず入ることにしました。

最近「カレーライス」店は多いのに、「ライスカレー」店が少なくなった、とあの著名なウマズイめんいく村の赤羽彦作村長さんがブログに書いていたので、「ライスカレー」の看板ですぐ反応してしまったのかもしれません(笑)。

そして、席に着いて、メニューを見たら吃驚仰天。珈琲が700円。ライスカレーセットが1700円もするのです。ま、席に着いてしまったので逃げるわけにもいかず、相手に焦った顔を見せることなく冷静に努め、写真にあるライスカレーを注文しました。味?それは、コメントを控えさせて頂きます。

ちょうど同じ時間。京都の京洛先生は、京阪電車に乗って大阪市都島区の藤田美術館にまで出掛け、日本に三つしかない曜変天目の一つを御覧になり、美術館のお隣の太閤園で、優雅にカリーライスを召し上がっておられました。

1700円だったそうですが、間近に綺麗な日本庭園と池袋ではなく池を御覧になられて充実した時間をお過ごしになったようです。

一方の私は、池袋の人混みを見ながら、「いかがなものか」と呟きながらのライスカレー。

どちらに軍配が上がったのか、言うまでもありませんねえ(笑)。

お濠