稲田姫、万事休す

東京・東銀座にてのひと時

週末の土曜日に都内で開催されるおつな会のお仲間、故片岡みい子さんのお別れ会には、何と、200人近い方々が、スウェーデンをはじめ、世界各国から駆け付けて、参集されるようです。

いやあ、大変な驚きです。

あたしなんか、どう考えても、たとえ生前葬をやったとしても、5人も来てくださればいい方ではないでしょうか。改めて、片岡さんの人徳の厚さと人望の深さを感じます。

片岡さんは生前、もしもの時に知らせてほしい、という連絡先の1人に私め渓流斎の名前もあったということを漏れ伺い、当日は、「世話人」として参加させて頂くことにしました。

世話人といっても、木偶(でく)の坊ですから、皆様の邪魔にならぬよう、世話を焼かせないよう気をつけるだけですが、粗相のないよう頑張って務めさせて頂く所存です。

◇稲田姫が危ない

さて、防人守(さきもりのかみ)大臣(おおおみ)稲田姫こと稲田朋美防衛相(58)が、森友学園の余波で窮地に立たされ、青息吐息のようです。

まあ、主権の最高国家機関である国会で嘘を言っちゃ信頼問題に発展してしまうという好例ですかね。

稲田防衛相は当初、森友学園の籠池泰典元理事長との関係について、国会で「籠池夫妻から何らかの法律相談を受けたことはない」「裁判を行ったこともない」などと答弁してきたのに、実は2004年12月に、森友学園が起こした民事訴訟の第1回口頭弁論に、原告側代理人弁護士として出廷した記録をマスコミから暴露されて、前言を撤回。虚偽答弁は否定したものの、「記憶違い」などを理由に謝罪するというとんだ失態を仕出かしてしまいました。

まるで三流の時代劇を見ているようです(笑)。

「知らぬ存ぜぬ」が、証文を突きつけられてからは一転して、謝るようでは、何か後ろめたいことがあったのではないかと、ヒトは勘繰りたくなりますね?

稲田防衛相の事務所には籠池夫妻から献金までされたというのに(しかも6000円ずつもの大金!)、稲田姫は「10年ほど前に籠池さんから大変失礼なことをされて関係を絶った」と、いきなり告白するんですからね。

えっ?な、な、なんですか?その失礼なこととは? とヒトはスキャンダルに飢えていますから、突っ込みたくなる心情もよく分かりますよ。

それにしても、こんなスキャンダルが告白されたりしている場所は、国会の予算委員会ですよ。日本国民よ、こんなことばかししていていいんですか?

本日、籠池元理事長が、外国人特派員協会で記者会見するようですから注目しましょう。

ついに「靖国」を観てきました!

ついに、話題の映画「靖国」を東京・渋谷で見てきました。先日、弁護士会の試写会は落選して、「もう観られないのか」と諦めかけていたのですが、やっと、市井の民にも公開してくれました。場所は渋谷のシネ・アミューズ。まずは、予想されていた様々な妨害にも屈せず、公開にこぎつけた全国の映画館に感謝の意を表明したいと思います。ご覧のように、映画館の外では、二人の巡査クラスの警察官が、万が一に備えて待機し、館内では、二人の私服が、最前列に陣取り、一人の民間警備員がスクリーンの右横に上映中もずっと座っている、という物々しい警備態勢でした。観客は平日の午前だったので、「前期高齢者」が多く見受けられました。

 

私はこれでも、長い間、随分沢山の映画を観てきましたが、これほど厳しい警備の中で映画を見たのは初めてでした。

で、肝腎の映画はどうだったのかー。

あえて、賛否両論の大論争になることを覚悟して、私の正直な感想を書いてみたいと思います。

この映画を見た右翼の人で、「思ったほど反日映画じゃなかった」と言った人があるという記事を読んだことがありますが、「そうかなあ」と私は思ってしまいました。「反日」とは決め付けられないかもしれませんが、決して「好日」的に描かれていない。やはり、中国人の李纓監督の目から見た靖国神社(映画の原タイトル)であり、「嫌日」映画と言ってもいいと思います。日本に対して決して愛情を持って描いていない。それが私の率直な感想でした。

確かに、ナレーションはなく、「両者」の言い分を取り上げて、「中立的」には描いてはおりました。しかし、それでも監督の立ち位置は隠し切れません。無口で、職人気質の愚直な刀匠が主人公になっていますが、軍刀が日本のミリタリズムのシンボルになっており、時々、サブリミナル効果のように差し挟まれる軍刀による処刑シーンの写真は、否が応でもそれが凶器としての役割を担っていることを観た者に印象付けます。

それにしても、靖国神社という場は不思議な空間です。私も何回か行ったことはありますが、普段の何ともない日だったので、人も少なく割合と静かでした。

しかし、8月15日となると、全く違う空間としてエネルギーを発散するんですね。映画はこの8月15日を中心に撮られています。普段は冷静な市井の民が、自分と思想信条を違える人間を見た途端に豹変して、罵詈雑言を浴びせたり、平気で暴力を振るったりするのです。映画ではこのあたりを執拗に追っています。

私は、最初に嫌日映画と書きました。ということは、一人の納税者として、「この映画に助成金を出さなくてもよかったのではないか、もっと他の日本人の作った映画に助成するべきだったのではないか」という感想がよぎりましたが、こういう嫌日映画でも助成する日本の国家の懐の広さを感じ、あっぱれだと思ったので、反対はしません。

この映画が、これほど大騒ぎになったのは、昨年12月に週刊新潮が「反日映画」と書き、稲田朋美代議士が助成金を問題視して、「事前検閲」したことがきっかけでした。この映画で、議員になる前の弁護士の稲田女史が映っているという記事を読んだことがありましたが、集会で演説していた女性のことでしょうか?

彼女のプロフィールをネットで見てみると、自由主義史観研究会会員で、「伝統と創造の会」の会員のようです。そして、尊敬する人物として西郷隆盛を挙げておられました。

靖国神社は、官軍の戦死者の鎮魂のために建てられた東京招魂社が始まりですから、西郷さんはいくら明治の元勲とはいえ、最期は西南の役を起こして、明治政府に刃を向けた反逆者なので、靖国神社には祭られていません。況や、薩長土肥の革命政権に反発した会津藩の人々や新撰組の人たちも、祭られていません。もちろん、徳川政権の人々も。

そういう神社が国家神道のシンボルになったのは、列強欧米による植民地化を阻止するために富国強兵策を国是とした明治維新政府の意向があります。

我々日本人が靖国問題から逃れられないのは、組織に組み込まれたメカニズムのような、ボルトかナットの役目を一人一人が担っているからだと思います。我々は、先の大戦の加害者であり、被害者でもあるので、どちらの言い分が正しくて、どちらの言い分が間違っているという問題でもないのです。

ですから、私はこの映画に出てくる右翼の人たちの意見に共感したり、同時に反発したりしました。靖国に合祀されている元軍人の遺族の中で、合祀を取り下げるように神社に押しかける住職や台湾の人たちが出てきましたが、彼らに同情すると同時に、どこか、共感できない自分を発見したりします。

それじゃあ、お前はどっちなんだ。靖国参拝は賛成か反対か?白黒はっきりさせろ!と言われれば、私は喜んで「どちらでもない」と答えるのです。賛成者に対しては「戦争被害者の身になって考えたことがありますか」と言い、反対者には「国家(というより明治政府を作った薩長土肥による革命藩閥政権)のために身を捧げた英霊を尊崇する心を妨げることはできないのはないですか」と反駁します。

「ずるい、一番始末に終えない」と言われれば、それまでですが。