韓国との間で領有権問題でもつれている竹島(韓国名・独島)が再び騒がしくなりました。
なぜ、今この時期になって、再燃したのかと思ったら、今年は約10年に一度の中学校の学習指導要領の改定の年だからなんですね。今回初めて、先生のアンチョコ本、いやいや学習指導要領解説書に「竹島は日本固有の領土」と間接的に明記されることになり、韓国では逸早く、恐らく普通の日本人以上に速くこのニュースをキャッチして、抗議運動や駐日韓国大使の召還などに踏み切りました。
間接的明記というのも変な日本語ですが、それは同島を実効支配している韓国に配慮したためなのだそうです。今回初めてということは、日本人はこれまで、教科書で「竹島は日本の固有領土」ということを習ってこなかった、と認めたことになります。
同解説書には「北方領土は我が国固有の領土」と明記してから「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である」と、恐る恐る書いています。「先生方の皆さん、教科書会社の皆さん、あとは任せたからよろしく」と読めないことはありません。
現在、竹島を取り上げている日本の教科書は、地理が6冊中1冊。公民が8冊中3冊。この解説書のおかげで、早くも来年度のすべての教科書に竹島のことを取り上げられるという報道もありました。韓国の教科書には既に何十年も昔から「独島は韓国の固有の領土」と明記されているので、韓国国民は、自明の理としています。
竹島は日比谷公園とほぼ同じ広さ(0・21平方キロメートル)の岩だらけの小さな島で、とても人間が住めないのですが、近辺には魚など天然資源が豊富で、面子とナショナリズムの問題もあり、まず、両国の間だけでの問題解決は不可能でしょうね。日本は国際司法裁判所(ICJ)に提訴に同意するよう韓国に求めても、拒否しているので、このまま睨み合いが続くことでしょう。そもそも、ICJに提訴しても、その判事の構成員によっては判決は怪しいものになります。
韓国国内では、日本の国旗を焼いたり、日本大使館に卵を投げつけたりして抗議運動は尋常ではありませんが、米国産牛肉輸入問題などで、支持率が大幅に低迷している李明博大統領による、国内の不満をそらすためのスケープゴートだという見方をする識者もいます。
私自身の意見は、日本人ですから、その立場で、「竹島は日本固有の領土」を教科書に盛り込むことは賛成です。
しかし、福田首相の「お互いの立場はある。しかし、立場は乗り越えて、理解も深めていくということは必要ではないか」いう発言は、日本語としてよく分かりませんね。政治的回避でしょうが。
14日に、丸谷才一氏が「本居宣長より偉い最高の日本語学者」と評価する大野晋氏が亡くなりました。大野氏だったら、どういう風に日本語で表現するか聞きたかったですね。