ダニエル・ピンク著「ハイ・コンセプト」

我々は今、大変な変化期に住んでいるようです。

 

今、アメリカでベストセラーになっているダニエル・ピンクの「ハイ・コンセプト」(大前研一訳、三笠書房)を読んでみました。

 

簡単に言えば、今、「第四の波」が押し寄せているというのです。

 

「第四の波」とは、二十五年ほど前に世界的ベストセラーになったアルビン・トフラーの「第三の波」を援用したものです。

 トフラーは、18世紀までの「第一の波」の農耕社会、19世紀の「第二の波」の産業社会、20世紀の「第三の波」の情報化社会という風に、歴史を枠組みで捉えました。

 

この「理論」を踏まえて、著者のダニエル・ピンクは、この情報化社会も最終期に入り、21世紀になって「第四の波」が押し寄せている、と指摘しているのです。この「第四の波」を「コンセプトの時代」と言っています。

 

 これまでの製造業のブルーカラーの仕事がより安い労働力を提供できる中国などに移ったように、医者、弁護士、コンピューター技師、会計士といった高額の所得が得られる知的労働も、インターネットの発達のおかげで、中国やインドといった安い賃金で働く知的労働者に取って代わるというのです。実際、先進国アメリカでは、その傾向が進んでいます。

 

さて、それでは、知的労働を奪われた先進国のホワイトカラー族たちはどうしたらいいのでしょうか。

 

著者の主張によりますと、これらの知的労働はほとんど左脳を使ったものです。計算などは人間はもうコンピューターに勝てないのです。いくら知識があるといっても、今では「百科辞書的知識」も1枚数百円のチップに収まってしまうのです。一部の特権階級的な学者や役人しか手に入らなかった情報もインターネットで簡単に手に入る時代になりました。

 

そうなると、今後は、右脳を使った労働にシフトせざるをえない。この右脳型労働とは、デザイナーや芸術家、発明家、カウンセラーといった仕事だというのです。

 ルネッサンスー。人間的な、あまりにも人間的な労働にシフトするしかないということでしょうか。

 

私は、あまりこのようなビジネス書は読まないのですが、驚くべきほどの示唆に富んだ本でした。竹村健一氏などは、すでに原文で読んでいて、先週の週刊誌で取り上げていました。翻訳が出る前から着目していたので、訳書については、出ていることすら知らない書き方でした。

 

当然、この変革期の波に乗って大儲けする人と、乗り遅れてしまう人との格差が今後ますます広がることでしょう。 

 

長くなるので、今日はこの辺でやめておきます。皆さんのコメントをお待ちしてます。