今日は斎藤君のお誕生日でしたが、猛暑の中、上野の東京国立博物館で開催中の「特別展 1万年の美の鼓動 縄文」を見に行って来ました。
暑かったので、戸外で並びたくなかったのですが、流石にこの暑さでは通常の週末にしては空いていました。
今は夏休みですから、子どもさんも多く訪れ、母親と小学校3年生ぐらいの男の子が仲良く見学していて、男の子は土偶を見ながら、「おちんちん付いているね」「おっぱいあるね」と感動してお母さんに大声で話しかけていました。将来が楽しみです(笑)。
大きくなってもこの感動を忘れないでほしいものです。私自身は、最近、日ごろの生きているだけでシンドイ、数々の、諸々の、生まれいずる悩みに振り回されていたことから、1万年前の日本人のご先祖さまたちが作った作品に癒しを求めにいったというのが正直なところでしょうか。
何しろ、5000年も1万年も前の大昔の人たちがつくった土器や土偶や飾りなどが目の前で見られるわけですから、たかだか、100年も生きられるか分からない人間の悩みなんて、ちっぽけに感じてしまうわけです。
フラッシュなしの撮影コーナーがありました
土器1点、土偶5点の「国宝コーナー」もありました。比較的新しい1992年ごろに指定されたようです。もっと早く認定されてもおかしくなかったことでしょう。今のところ、縄文作品の国宝は、この6点だけらしいのですが、それが、一堂に会して見られるのですからこんな贅沢な至福の時はありません。
国宝の「火焔型土器」(新潟県十日町市笹山遺跡出土)は意外と小さかったですね。でも、あの文様は誰が考案したんでしょうか。現代人やAIではとても作れませんね。果たして人間は進歩しているのかしら?
有名な土偶「仮面のビーナス」(長野県茅野市棚畑遺跡出土)や「縄文の女神」(山形県舟形町西ノ前遺跡出土)などは、まるで、宇宙人がつくったような造形でした。私が気に入った国宝は「合掌土偶」(青森県八戸市風張1遺跡出土)で、30センチもない本当に小さな土偶で、若い男性が這いつくばるようにして、蹲って手を前で合掌している姿をしていました。一度目にしただけで、ぐっと胸に迫ってくる感動がありました。
細かい技巧には圧倒されます。赤ちゃんを産んでいる母親の壺まであるんですよ。土偶などは祭祀に使われたのでしょう。縄文時代は、まだまだ未解明なところが多く、さらに研究が進んでほしい分野です。日本列島、南は九州から、北は函館まで、あちらこちらに縄文時代の遺跡が分散していたことには驚かされました。
せっかく、上野まで来ましたので、上野山の激戦地に建てられた彰義隊の墓をお参りして、国営放送の大河ドラマの主人公「西郷どん」の銅像にも会いに行ってきました。
やはり暑くて、とてもじっとしていられませんでした。
昼時を過ぎていたので、明治の文豪森鴎外もよく通っていたという「上野 蓮玉庵」に久しぶりに入り、かき揚げそば1000円とビール中700円を注文し、一人で縄文土器の感動に再び浸っておりました。
ご案内の通り、稲作の伝わった弥生時代の土器は、機能重視で、芸術性に欠けることは確かです。
縄文土器は、柳宗悦、河井寛次郎(文化勲章、人間国宝などは辞退)、濱田庄司といった民藝派をはじめ、「芸術は爆発だ」の岡本太郎らがこよなく愛し、多大な芸術的影響を受けたと言われています。
確かに見ているだけで、生きる勇気が湧いてきて、会場では思わず手を合わせて感謝してしまいました。
うまいめん食い村通信 ごちそうさまでした 2拍手