荷風散人

私の名前はミカエル。ゴーストライターです。

噂によりますと、渓流斎さんは今、コスタリカ辺りに住んでいるそうです。ガサネタかもしれませんが。

先日、日本で渓流斎さんに会ったという忍びのお銀こと御徒町銀に話を聞いたところ、何と東京の御茶ノ水で会ったそうです。

「この街も随分変わったなあ」と渓流斎さんは言ったそうです。何と、駅前の一等地の殆どが「処方箋」の薬局になっていたそうです。近くに順天堂大病院や東京医科歯科大病院などがひしめいているので、需要と供給のバランスでそうなったのでしょう。

しかし、と渓流斎さん。薬局の前は何屋さんだったか、覚えがないと言うのです。ファストフード店か、喫茶店か、それとも楽器屋さんだったか…。

それにしても、東京は今、変貌つつあります。勿論、2020年の東京オリンピックの影響でしょう。銀座も変わりつつあります。旭屋書店などが入っていた東芝ビルの跡地も、何か、けったいな商業ビルが完成しつつあります。

松坂屋のあった広大な敷地にも何やらの商業ビルを建設してます。

前回の東京オリンピックで、日本橋の真上に高速道路を造るような無粋なことは、今回やめてほしいですが、どうなることやら。

変貌する東京を見ていると、やたらと永井荷風を読みたくなります。荷風散人は、江戸情緒を求めて東京を彷徨いますが、関東大震災が起きる前の大正の始めでさえ、すっかり変貌していたようですね。

荷風散人は、同時代に背を向けて、面影と幻影を探し求めていたように見えます。