果たして「舞い戻った転校生」さんは「空飛ぶ転校生」さんなのか?

 ほぼ毎日、《渓流斎日乗》なるものを書き続けておりますが、今日はどうも食指が動くような題材がないので、つまらない内輪話を打ち明けます。

 皆様お気づきがどうか分かりませんが、先月4月24日から、このブログのサイトがおかしくなってしまいました。

 まず、このブログと、ツイッター、フェイスブックのSNSとの同期ができなくなってしまいました。以前は、ブログをアップすれば、自動的にツイッターとフェイスブックに同時にアップできたのに、それができなくなりました。このため、しばらく、記事を書いても、SNSのプラットフォームだけで御覧になっている方には届かなかったわけです。

 それが、5月のゴールデンウィーク後半で、偶然、手動でSNSに送信すればSNSに反映できることが分かり、今は、手動でSNSにアップすることにしております。

 でも、その弊害で、ツイッターには、ダブリで配信されたり、順番が変になったりして、熱心な読者の方から「どうなってるんですか?」との問い合わせを受けました。すみません。これは因果関係が分からないので、解決できませんでした。

 フェイスブックも変になっているかもしれませんが、以前と同じように、有難いことに、「いいね」やコメントまで頂いております。

湯島・酒肴「吟」にて

 もう一つ、このブログから広告が消えてしまったことです。これも紆余曲折、さんざんの苦労の末、本日、やっと復活できました。これもIT専門家の松長氏のお蔭です。有難う御座いました。

 2017年9月に、Gooブログから独立して自分のサイトを設置して以来、これでも「プロ精神」として毎日のように淡々と執筆してきましたので、皆様にはまた広告のクリックを御願い申し上げる次第です(笑)。(スマホでは広告が付かないようなので、是非、パソコンかタブレットで)

◇「舞い戻った転校生」さんとは?

 さて、本日未明、「舞い戻った転校生」さんという方から、今年5月11日付の記事「『記者たち 衝撃と畏怖の真実』は★★★★★」にコメントを頂きました。ここに転載しますが、以下の通りです。

 観てきました。最終日前日に駆けつけました。大感謝です。凄い映画でした。おまけに、9:52頃シャンテビル真ん前で、高校同期の映画監督に遭遇!お互いあれ~っと叫びました。時々とんでもない所で会うのです。3年前は京都駅ホームでした。閑話休題、

 私はこのコメントを読み、大変感動しました。このブログも、皆様に少しはお役に立てたかな、と思ったからです。

 でも、「閑話休題、」と何か途中で切れているのも気になりました。そしたら、急に、この「舞い戻った転校生」さんは、かつてのGooブログで展開していた頃に、よくコメントをお寄せくださった「空飛ぶ転校生」さんではないだろうか、と思ったのです。

 このブログの「《渓流斎日乗》について」に書きました通り、諸般の事情で、2008年8月から2015年10月までの7年間の記事は、コメントと一緒に消滅してしまいましたが、「空飛ぶ転校生」さんは、ちょうどその頃によくコメントして下さった方でした。 よく覚えています。直接お会いしたこともなく、ハンドルネームしか存じ上げておりませんが、もし、「舞い戻った転校生」さんが、「空飛ぶ転校生」さんだとしたら、こんな嬉しいことはありません。

?「記者たち 衝撃と畏怖の真実」は★★★★★

 大変遅ればせながら、ロブ・ライナー監督作品「記者たち 衝撃と畏怖の真実」を東京・日比谷の東宝シャンテ・シネマまで観に行って来ました。(最初、間違えて、東宝シネマ日比谷に行ってしまい、案内係の人も呆れておりました。駄目ですねえ)

 封切りが今年3月29日で、もう1カ月半近くのロングランとなり、来週で、いよいよ公開終了(東京・日比谷は)ということで、慌てて観に行ったのでした。

 とても良い映画でした。満点です。「スタン・バイ・ミー」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などで知られる巨匠ロブ・ライナーが、監督、製作、そして出演(新聞社ナイト・リッダーのワシントン支局長ジョン・ウォルコット役 )まで兼ねた意欲作です。

 先日、バイス(悪徳)ディック・チェイニー副大統領を正面から取り上げた「バイス」を観て、その感想をこのブログにも書きましたが、その「バイス」も、この「記者たち」とほぼ同じ題材(「9.11」からイラク侵攻へ)を扱っていながら、「記者たち」の方が骨組みがしっかりして、人物相関図も分かりやすく、時間の経過を忘れるほどの力作でした。

 それに、CNNやNBCやFOXなど当時のテレビ・ニュースを挿入してドキュメンタリータッチに描く手法は、マイケル・ムーア監督の得意とするところで、ロブ・ライナー監督は、その手法にかなり影響を受けているというか、はっきり言って、真似をしていますが、こう言っては何なんですが、ロブ・ライナー監督の方が上品に感じました。

 今でこそ、「フェイク・ニュース」は有名になりましたが、ブッシュ息子大統領政権は、イラクに大量破壊兵器(WMD)がないにも関わらず、NYタイムズやワシントンポストやNBCといった大手メディアに、嘘の情報を垂れ流し、世論をイラク戦争への道に駆り立てます。

 そんな中、ナイト・リッダーという新聞社というより、田舎の地方新聞社31社に記事を配信している通信社だけが、地べたを這いずり回るほど地道な取材で、政府発表の嘘を見抜いて、ただ1社だけ、イラク戦争反対のキャンペーンを張ります。

 これでも、私自身もジャーナリストの端くれですから、観ていて、記者魂が燃えてきましたね。全米でも最も信頼されている高級紙ニューヨーク・タイムズは「イラクのフセイン政権は、大量破壊兵器を隠し持っている」といったスクープを連発するというのに、規模も小さく、信頼度も大手紙と比較すれば劣るナイト・リッダーは、その正反対のことを書き、9.11以降、日増しに高まる「愛国心」を持った市民らから非難されたり、記者に脅迫メールが送られたりします。加盟紙も記事掲載を拒否したりします。

 この時のナイト・リッダー社の主人公であるジョナサン・ランデー(ウディ・ハレルソン)とウォーレン・ストロベル(ジェームズ・マースデン)という2人の記者の猜疑心と孤立感と不安と焦燥と怒りが、本当に手に取るように分かり、観ていて、こちらも気持ちが高ぶってしまいました。

 特に、大手紙は、恐らく、ブッシュ大統領やチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官といった中枢と直接取材できるのに、弱小メディアであるナイト・リッダーは、それが出来ずに、末端の政府職員や、かつての情報分析官らからしか取材できないという事情もあったことでしょう。それが、逆に「政府広報紙」にも「御用新聞」にならずに済んだ要因になったことは皮肉と言えば皮肉ですが、「真実を報道したのは1社だけだった」ことは称賛すべきでしょう。

 映画は、実話に基づく話ですが、ロブ・ライナー監督は、もう一人、愛国心に燃える19歳の黒人青年が、志願してイラク戦争に従軍し、重傷を負って帰還する姿も描き、物語に厚みを持たせていました。

 2003年のイラク戦争も、もう多くの映画になるほど「歴史」になってしまったとは感慨深いですが、ベトナム戦争開戦の火ぶたとなった「トンキン湾侵攻」に賛成し、後に後悔することになる上院議員が「歴史は繰り返す」と発言していたことも印象的でした。

 ハリウッド映画(ワーナー系)でしたが、久々に骨太の映画を観ました。間に合えば、今からでも多くの人に見てもらいたいと思いました。