茨木のり子「倚りかからず」

ローマにて

公開日時: 2007年2月15日 @ 10:21

人生を「勝ち組」「負け組」で分類する人がいますが、実に嫌な言葉ですね。

会社で出世して、部長やら取締役やら社長やらになって、豪邸に住むことが幸福だと思っている人なら、そりゃそうでしょうけど、会社員なら皆さん、いつか定年でお辞めになる日が来るわけですし、辞めてしまえば、ただの人で、町内会で、いくら「元部長」だの「元重役」だのと威張ったところで、高が知れているというものです。

それに、いつか、どんな人でも、必ず「あの世」とやらにまかり越さなければならない身であり、いくら金銀小金を溜め込んでも残念ながら、あの世に持って行かれるものでもなし。

知識や教養とて同じ。いくら身に着けても所詮は人様からの借り物。詩人の茨木のり子さんは、詩「りかからず」の中で、「もはやできあいの思想や学問や宗教にはよりかからない」と高らかに宣言していますが、こちらの方が却って気持ちがいいくらいです。

X氏は言いました。

「人生、負けるが勝ちだよ」