心が折れない人

佐久間象山塾跡

県主(あがたぬし)増添劇場は、本人の辞任表明でようやく幕が下りました。失礼ながら、もうあの思い詰めているようで無神経な顔には飽き飽きしておりました。こんなことを言えば、顔が似ている一族郎党眷属が聞けば怒ることでしょうが。

それにしても、しぶとい人でした。屈辱をバネにして最高学府の頂点に立った人だけあって、育ちが違います。まず、何と言っても、最後の最後まで権力にしがみついて離さず、心が折れない人でした。日米通算4257本の世界最多安打を達成したマーリンズのイチローのように屈辱をバネにしたからでしょう。

これでも、私なんかも、屈辱だらけの人生でしたが、その屈辱のバネなんて、簡単にへし折れてしまいましたからね。おかげでまた「使い物にならん」と左遷です。トホホホですよ。

さて、最近、「古事記」「日本書紀」などを読んでいて、どうしても疑問になることが沢山出てきました。

そこで、無理を押して、とうとう吉川弘文館編集部編「日本史必携」事典を購読してしまいました。な、な、な、何と6480円もしました。2007年3月10日発行の第2刷で、10年前の初版ながら、まだ「新刊」として売られていました。これ以上の本が、ライバルの山川出版からも出てきていないということなんでしょうね、きっと。ちなみに、自称現代史研究家の私は、同じ吉川弘文館編の「近代史必携」(4700円+税)の方は、既に発売された頃に購入しております。いい事典ですが、現在、品切れのようです。

この「日本史必携」の方は、年代年表などは勿論、天皇家系図、藤原家系図、…徳川家系図などが充実しています。

日本の古典を読んでいて、分からなかったのが、年代と役職で、例えば、正一位、従一位だのと出てきますが、「兵隊でいったら、どれくらいの位やろうか」(山下清画伯)といった感じでチンプンカンプンでした。それが、この本には、色々と古代から近世までの役職がだくさん出てきました。こんなに分かってしまっていいのかしら、と思うくらい、バッチリでした(笑)。

ただ、残念なことは、この本は古代から近世までカバーされていますが、今話題沸騰の桃井さんとこの大河ドラマ「真田丸」を見ていて参考になる諸国戦国時代の大名図解が出てこないのです。もっと、群雄割拠の時代や役職などを詳述してくれる事典だとばかり思っていましたが、安土桃山時代そのものさえ、深く取り上げていません。それ以外は、ぜんぶ、いいんですけどねえ。

幸福とは何か? 第6刷

そして始まる絶景、絶景 Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur
まずは、週刊文春が火を付けた疑惑について、舛添都知事の論理の破綻した言い訳を読みましたが(顔を見たくないので、新聞で)、彼には、公職から永久に降りてもらいたい、早く辞職してもらいたいと思いました。会計秘書の責任にして、強欲で政治を私利私欲で利用している、取るに足らないつまらない人にしか見えません。

回転寿司代も家族旅行代も「会議」と称して、懐に入れてしまうなんて公私混同もいいところです。公職に就いた人は、「李下に冠を正さず」です。何でも、領収書をもらって請求すれば、通ると思っては大間違いです。そして、釈明して、食事代や旅行代は「返せばいいだろう」と開き直っていますが、都民なら、せめて3カ月ぐらい減俸してもらわなければ、怒りが収まらないでしょう。

できるなら、リコールでもしてもらいたいのですが、私は都民ではないので、これ以上は言えません(笑)。

続いて、三菱自動車のこと。不祥事が続いて株価が大幅に下がったと思いましたら、電光石火、ゴーンさんの日産・ルノー連合が買収して、傘下に入れたとか。

驚きましたね。天下の三菱を半値で買い取るとは!

この意味は、三菱自動車の燃費偽装が発覚する前は、同社の株式は864円でしたが、ゴーンさんは、三菱の株価の暴落を見据えて、この4割以上も低い468円で買い叩いたというんですからね。

さすが、グランゼコールのエコール・ポリテクニークを卒業して、パリ高等鉱業学校の工学博士号を取得した人だけあって、状況判断が適格で、利に聡いですね。

状況とは、本来なら手を差し伸べるはずだった「三菱御三家」の三菱重工と三菱商事と三菱東京UFJ銀行はいずれも、巨額の赤字を抱えていたことです。銀行は黒田さんのマイナス金利のおかげで、商事は、チリ銅鉱山など資源投資の大失敗で、重工も造船業で大赤字といった具合で「子会社」の救済にまで手が回らなかったということになります。

三菱の不正を霞ヶ関にチクったのは、日産ではないか、といった誠しやかな噂が流れ、ルノーに出資するフランス政府からも、「社長としての役職手当が多すぎるのではないか」とクレームが付いても涼しい顔をしていた、日産だけでも年収20億円もある強欲で貪欲で欲の皮が突っ張った顔が目の前にチラついてしまいました。

あ、私は、三菱車でも日産車でもオーナーではないので、これ以上言えませんが。

でも、三菱自動車が半ばオーナーであるサッカーJリーグの現在首位争いで活躍している浦和レッズが今後、どうなるのか心配です。日産は、既に、横浜F.マリノスを持っていますからね。

やっと秘境黄龍溝に辿り着く Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

ご存知の方も多いと思われますが、米「ハーバード成人発達研究所」というところが、戦前の1938年から現在に至るまで、724人の生活、健康、幸福度を75年間以上、追跡調査して、「人間の幸福とは何か」という命題を追及しております。

724人は、ボストンの最貧スラム街に住む人から、ハーバード大学出身の超エリートまで様々で、貧困層から大金持ちに躍進した人もいれば、富裕層から転落した人まで、これも様々。現在も90歳代で生存している人は60人もいるそうです。

そして、最大の命題である「幸福」について、同研究所の調査で分かった結論は、お金や富や名声や勤勉ではないんだそうです。

家族や友人、知人、地域社会の人とのつながりで、いい人間関係を築いた人ほど、健康で、幸福を感じるのだといいます。

ですから、一番良くないことは、孤独と言いますか、孤立で、こういう人は脳機能も記憶力も低下して寿命も短く、結果的に幸福度も低いそうです。

普段喧嘩していても、イザという時に頼れるパートナーがいれば、幸福度は高くなるそうです。

勿論、人間関係は複雑で厄介ですから、いい関係を築くには努力もいります。それには、メールや電話だけでつながるのではなく、直接会って、散歩したり、デートしたり、連絡を取ったりする方法が一番いいそうです。

同研究所のウォールティンガー所長は「1週間に会う人の数が多いほど、人は幸福を感じる。人とのつながりには、柔軟性が必要です。他人をコントロールすることは不可能なので、他人の考えを尊重して理解することが大切です」と語っています。

人生80年、90年時代となり、男は特に定年退職すると、めっきり老け込んでしまいます。しかし、幸福者ほど、退職後、頑張って、遊び仲間をつくった人なんだそうですよ、佐藤さん、鈴木さん、高橋さん(最大公倍数)。

あと、年を取れば取るほど、幸福度が増すのは、人生、残り時間が少なくなり、優先順位を決めて、これまで、仕事や義務感や義理でやっていたことから解放されて、好きなことができるようになるからだ、という指摘には納得してしまいました(笑)。

年を取るのも悪いことばかりではないなあ、と思える瞬間でした。

パナマ文書より舛添知事の方が問題なのでは? thirdedition

艶やかですね  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

日本関係の「パナマ文書」が、チラホラと公表されつつあります。

ネット上でも大いに話題になって、色んな人の名前が挙がっていましたが、ガサネタも多かったようです。

でも、今回は、「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)に加盟して、直接第一次資料に接触できる朝日新聞と共同通信が報じているので、ネット情報とは違い、間違いないでしょう。ICIJは、日本時間の5月10日午前3時に、内容を公表するようですから、興味ある方は要チェックです。

今回、日本関係で俎上にあがった会社は、丸紅と伊藤忠。何か、ロッキード事件のルートを思い起こさせますね(笑)。ま、若い人にはこの話は通じないでしょうが。

あと、ネット上で話題になっていた日本を代表する報道機関のNHKと世界一の広告代理店の電通は、全く関係がなかったようです。

以前から噂されていた1964年の東京五輪をセコムした飯田会長はアウト。他に、UCC上島珈琲の上島会長の名前も取り沙汰されています。

 これも艶やか  Copyright Par Duc Matsuocha gouverneur

で、今日、一番書きたかったのは、「パナマ文書」ではなく、「文春文書」の方でした。「舛添知事 『公用車』で毎週末『温泉地 別荘』通い」という告白スクープ記事のことです。調査報道です。よく調べ上げたと思います。

今週号の他の記事は、ほとんどマンネリ化して面白みに欠けましたが、この記事1本だけでも、買って読む価値はありました。

週刊誌が出る前から、舛添知事は、海外出張の度に、超高級ホテルのスイート・ルームに宿泊して(一泊15万円)、航空機もファーストクラス(チケット代225万円)。都民の血税を使って優雅な大名旅行をして、何か調子に乗っているのか、勘違いしているのか、ふざけた公人だなあ、と思ってましたら、豈はからんや、でしたね。

記事を読むと、全くせこい男です。哀れにさえ思えます。

何しろ、東京都の年間予算は約13兆円で、スウェーデンの国家予算並みらしいですね。これじゃあ、舛添さんも国王気取りになるのも無理もないのかもしれません。

文春の調べによると、舛添知事は湯河原にある別荘に年間49回、公用車を使って往復していたらしく、経費は400万円。年間49回ということは、年間52週しかないので、ほぼ毎週末、別荘に通っているということになります。

この別荘は、300坪の広大な敷地に和風の数寄屋造りと堂々たる洋館の二棟が屹立しているらしいですね。もちろん温泉付き。不動産屋さんの話では、土地建物で約2億円だそうです。

せこいことに、この別荘は、個人ではなく、MIPE、これじゃ分からんですね(笑)、つまりは「舛添政治経済研究所」の所有になっているそうです。ちなみに、このMIPEは、舛添さんの妻が代表取締役で、本人も役員に名前を連ねているとか。

なーんてこたあない。節税対策じゃないですか。これじゃ、タックスヘイブンの「パナマ文書」と何処に違いがありますか?
税金逃れ、という点では同じではないでしょうか。

しかも、この人は参院議員時代の4年間に自宅を「事務所」として利用したとして、少なくとも2000万円以上の家賃をMIPEに払っていたという疑惑というか前科があります。これは、国会議員ですから、国民の税金である政党助成金が家賃として還流されたらしいので、国民としてはいい迷惑です。

関東地方の大地震は、30年以内に起こる確率が70%と言われています。もしものとき、東京都の危機管理の最高責任者が都内から100キロも離れている神奈川県にいては、何の指揮もできないでしょう。災害に遭ってしまってからは、道路も閉鎖されるなど、身動き取れないのがオチです。

それなのに、文春でスクープされても、舛添知事は「ルールに従ってやっている。全く問題はない」と居直るだけ。厚顔無恥もいいところです。自分の懐の金のことになると、せっせと領収書をこまめに集めて申請するのに、他人の金である税金は使い放題、いや使い易いということなのでしょう。

そもそも、「テレビに出てるから」とか「有名だから」とか「東大出身だから」といった単純な理由で、人格や本性を分かりもしないのに、彼を選んだ都民も国民も悪いということですよ。

しかし、相手は、SPを従えている絶大なる権力者。無名の渓流斎如きが何を書こうが、所詮、犬の遠吠えですよ。