公開日時: 2008年5月4日
タイトルに魅かれて阿川弘之著「大人の見識」(新潮新書)を読み始めたのですが、結局、何が大人の見識なのか分からず仕舞いで読了してしまいました。
昨日の映画「フィクサー」に続いて、どうもしっくり来ない作品に遭ってしまいました。どんな作品にでも、大抵は、何か、面白いことや教訓をつかむことができて、その作品を選んだ自分の「鑑識眼」については大いに自信を持っていたのですが、ちょっと自信をなくしてしまいました。残り少ない人生なのですから、あまり時間を無駄にしたくないものです。
「大人の見識」の最初のところで、日本人の国民性について、「何かあるとわっと騒ぎ立ち、しばらくするときれいさっぱり忘れてしまう。熱しやすく、冷めやすい。」と書かれていて、「うーん、なるほど、その通りだなあ」と読みすすめていったのですが、著者の根幹なる見識がなかなか出てきません。東條の悪口を言ったり、海軍や英国のユーモアを褒めたり、共産主義の悪を盛んに強調したりしますが、「で、結局、今の時代に相応しい大人の見識とは何か」については、一つも答えてくれていないのです。
本人はもちろん、答えているつもりなのでしょうが、読者に伝わってこないんですね。これは、著者が原稿用紙に字を埋めたのではなく、「聞き書き」だったからなのかもしれません。
「あまり時間を無駄にしたくない」と書いておきながら、こんな駄文を読んでくださっている皆さんの時間を無駄にしているのかもしれませんね(苦笑)。