格差社会の申し子

上海

公開日時: 2006年12月6日 @ 09:22

最近、新聞紙上でも格差社会の申し子のような人々がたくさん登場するようになりました。

例えば、5日付の朝日新聞朝刊。一面に連載されている連載企画「分裂にっぽん 政府の役割」の中で、同世代の単身世帯の生活保護基準(月約13万円)より低い賃金しかもらっていない京都市の保育園の職員(24)が登場しています。非常勤採用で時給840円。朝8時半から夕方5時まで働き、手取りが月10万円前後。アパートの家賃が4万円。食費は1日700円から千円で、卵やモヤシなど安い食材で自炊する生活。

同紙生活面の連載企画「漂う雇用 派遣法20年の現実」では、時給1100円で自動車部品工場に派遣社員として働く42歳の男性が登場しています。妻(39)と小学生の息子の3人家族。大学卒業後、東京でIT関係の会社に勤め、妻と合わせ収入が1000万円の時もありました。海外旅行や高級レストランで食事をしてバブル全盛期を楽しみました。それが、8年前に故郷にUターンし、年収550万円の仕事も見つけ、マンションを購入し、新生活も順調にいってましたが、3年前に人間関係に悩んで再就職先を退職。新たに始めた損害保険の代理店もうまくいかず、結局、派遣社員の道に進んだといいいます。恐らく年収は230万円程度ではないでしょうか。

以前、紹介した内橋克人さんの「悪夢のサイクル」に書いてあった通りの現実です。

重要な話なので、再録します。

・日本の一世帯当たりの年間所得の中央値は476万円で、その半分の238万円以下の所得で生活する貧困層が6・5世帯に1世帯もある。

・極端なリストラが進んだこの10年で460万人の正社員が失われ、代わって663万人ものパートやアルバイトが増加。正社員の平均年収が454万円なので、派遣社員(平均年収204万円)ならその半分、パート(同111万円)ならその4分の1の賃金で労働力が確保できるため、非正社員化に拍車がかかった