「超バカの壁」

公開日時: 2006年2月26日 @ 22:19

目下、ベストセラートップを行く養老孟司の「超バカの壁」を読了しました。「バカの壁」「死の壁」も読んだので、随分期待して読みました。

養老氏は1937年生まれですから、終戦時は8歳。彼は言います。「小学校2年生の時に空から焼夷弾が落ちてきて逃げ回った世代。だから私には戦争責任はない」。来年70歳になる人が言うぐらいですから、国民の7割以上が戦後生まれになった現在、ほとんどの日本人に戦争責任はないことになります。

彼は、戦後民主主義教育を受けた第1世代に当たるのでしょう。戦後、初めて教科書に向かった時、最初に行ったことが、戦前の「悪しき教育」に墨を塗ることだったそうです。
彼は、「読者にとって気に入らないことは、どんどん墨を塗っても構わない」といいます。

そこで、私は気に入らなかったことを記します。56ページにあります。

「恋愛というのは病気です。もしくはテロみたいなものだと言っていいでしょう。その最中は本当に一生懸命です。他のことは一切構わず、自分の見方でしか見ていない。しかも自分がそういう状況になっていること自体に反省がない」

恋愛をテロみたいなもの、というのは如何なものか。さっちゃんは怒るだろうなあと思いました。

私がこの本で一番収穫があったのは次の一節です。102ページから103ページにかけてです。

「人間がよく陥るのは、自分が正しくないといられないという過ちです。要するに自分が負い目を感じていたくない。自分が潔白でありたいというのが、結構日本人に根強い感覚です。/初めから人間は罪を背負っているもである、気がついていなくても何らかの罪を背負っている、ということを意識していない。腹に一物もないということは、いいことだと思っている人が多い。そういう後ろめたさとずっと暮らしていく、付き合っていくというのが大人なのです」

このことは私に、当てはまりました。これからは、腹に一物を持って、後ろめたさを隠して、嫌味に生きていこうかと思いました。