3月29日付朝日新聞朝刊の「声」(読者投稿)欄で、東京にお住まいの91歳の女性が「老いた庶民の苦労 忘れないで」と題して投稿されておりました。それによると、ある若い経済学者が「高齢者は老害化する前に集団自決みたいなことをすればいい」と(ユーチューブなどで)発言したというのです。この「高齢者は集団自決を」といった問題発言は、同日同紙の鴻巣友希子氏による「文芸時評」の中でも取り上げられていました。
私は、この問題発言のことを不覚にもこの記事で初めて知ったのですが、やはり、その「若い経済学者」とは誰なのか、気になりました。調べてみたら、東大を優秀な成績で卒業し、現在、米国の大学の助教授を務め、テレビのバラエティー番組などにも引っ張りだこの有名人だということが分かりました。
彼は38歳ということなので、両親は60代後半か?そして、祖父母さんも御健在なら80代後半か90代ぐらいでしょうか。そんな自分の肉親に対しても、彼は「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」と言い放つことが出来るのかなあ?と真っ先に思ってしまいました。
ただ、彼の発言の背景や趣旨については、よく分かっていません。純粋に、新自由経済主義的な経済効率原理で述べていたのかもしれませんし、確信的で学問的信念での発言だったのかもしれません。
しかし、私自身は「いかがなものか」と叱ってやりたくなります。ただ、「そういうお前は、今さら何を言っているんだ」と言われそうですね。何しろ、彼の一連の発言ついては、既に米紙「ニューヨーク・タイムズ」(2月12日付)が「このうえないほど過激」と報じ、ネットでも大きな話題になっていたからです。もう、今から1カ月以上も前じゃありませんか。今さら、何を言う!と言われても仕方ありませんね(苦笑)。
はい、情報伝達に1か月も掛かるなんて、私は江戸時代か鎌倉時代に生きているもので、と開き直るしかありません。日本の新聞は読みますけど、ネットニュースはあまり見ませんからね。
彼の発言について、既に多くの識者の方々もコメントされておりますから、私のような浅学菲才の出る幕はありませんが、それでも、一言、言いたくなります。
若い経済学者さんは、国立の東京大学を出たということは、今や高齢者になった人々が払った血税で豊かな教育を受けさせてもらったということになりませんかねえ? それに、若いと言っても、あっという間に自分自身も高齢者になりますよ。その時、自分の子どもか孫のような世代から、いや、自分の子どもや孫から直接「頼むから早く死んでくれ」と言われたら、どういう気持ちになるか、想像できませんかねえ?
彼には、ボブ・ディランの名曲「ライク・ア・ローリングストーン」を聴いてもらいたいものです。
ディランは、How dose it feel? Like a complete unknown? と繰り返し唄っています。貴方は、今は有名人ということで注目されていますけど、落ちぶれて、無名になって、誰も気にも留めてくれなくなったら、どういう気持ちになりますかねえ?