いつの間にか、日経新聞金曜日夕刊の映画評で、★のマークが消えてしまいました。会員向けのネット記事には★があるようですが、読者というより、圧力団体、業界から相当な反感があったので取りやめたのではないかと想像してしまいます。
私は日経の★の数で、観る映画を選んだりしていたのですが、単なる評論家の個人的感想で、その★の数ほど感動するかと言えば、必ずしもそうでもないので、新聞紙面でも洒落として続ければいいと思うんですけれど…。
私にとって現実生活は重過ぎる面が少しあるので、映画はやっぱり気休めであり、気分転換でもあります。
「燃えよ剣」は、司馬遼太郎の原作を読んでいるので内容も知っているし、原作にはない、あっと驚く物語展開があるわけないと思われたので、最初は正直、気乗りしませんでしたが、この映画にはウチの会社も出資して協力しているようでしたので、観ることにしました。
主役の土方歳三役の岡田准一は、ハンサムな土方と相通じるところもあり、最期はどうなるのか分かっていながら、やはり、少し映画の世界に引き込まれました。
私も、歴史上の人物としての土方歳三のファンでしたから、函館の最期の地を訪れて、お参りしたこともあります。新選組局長近藤勇(鈴木亮平も顔が似ていてハマり役でした)が斬首された板橋宿も何回か行ったことがありますが、近藤と土方の最後の別れとなった、新選組の最後の本陣となった千葉県流山市にはまだ行ったことがありません。いつか行ってみたいと思っています。
あら探しをしたらキリがないので控えますが、国内ではもう江戸時代の情緒が残る景色はほとんど残っていないというのに、ロケハンさんたちの努力で、見応えのあるロケシーンが出てきたと思います。京都の池田屋はオープンセットで完全に再現したらしいですし、合戦シーンは3000人のエキストラを動員したといいますから、結構、製作費が掛かったことでしょう。
あら探しを控えると言っておきながら、近藤勇と別れた土方歳三は、なおも転戦し、宇都宮城と北海道の松前城の二つも城を攻略して落としたというのに、映画では宇都宮城の話すら出てきませんでした。城好きの私としては残念でしたね。
土方歳三は、単なる剣豪だったわけではなく、西洋軍法を知り、逸早く取り入れて近代戦で城を落とした指揮官として見直されるべきですが、映画では、フランス人の軍事顧問ジュール・ブリュネを登場させるなどしてその活躍ぶりを少し垣間見せてくれました。
新選組はこれまで何度も映像化され、土方歳三役も渡哲也、長塚京三、山本耕史ら多くの俳優が演じてきましたが、この岡田准一さんが一番のハマり役のような気がしました。