「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」の答え=ハラリ著「サピエンス全史」

 高齢者になったというのに、浅学菲才なため、今でも勉強に追われています。

 私は、学者でもないのに、今、並行して10冊以上も本を読んでいるのです。こんなに勉強している凡夫は、世間広しと言えども、他にいないのではないかと思うほどです(笑)。別に自慢したいから、とか、認めてもらいたいから、こんなことを書くのではありません。電車に乗ると、スマホでゲームをしている人が多く、何か勿体なあと思うだけです。

 動機は単純です。「もっと知りたい」という欲求です。一番知りたいことは、「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という命題です。そうです、まさにフランスの後期印象派の画家ゴーギャンがこの命題をテーマにした作品を描きました。

 私もこの命題を知りたいがために、宗教書を読んだり、歴史や哲学書等を読んだりしているのです。

 そしたら、あっさりと答えが見つかってしまったのです。ちょっと古い本ですが、1976年生まれのユヴァル・ノア・ハラリ氏の世界的ベストセラー「サピエンス全史」上下巻(河出書房新社、計4180円)です。「えっ?まだ読んでいなかったの?」と詰問されそうですが、初版が6年前の2016年9月30日です。当時、私は病院から退院して療養生活を送っていた頃で、読書しても頭に入らない時期でした。それ以降に読んでも良かったのですが、何やらかんやら他に優先的に読む本が次々に現れて(今でも)なかなか触手が伸びませんでした。

  今回、天から「Yさんもお読みになったことだし、『サピエンス全史』は必読書ですよ」との声が聞こえてきたのです(笑)。私は本によく書き込みをするので、購入することにしたのですが、今でも書店に売っていて、奥付を見たら、2021年12月30日発行で、何と93刷でした!この本は「全世界で1600万部の売り上げ突破」と帯の宣伝文句にありましたが、この数字を信じれば、ハラリ氏は超が付く大金持ちになったわけですね。どうでも良い話ですが、俗人にとっては受ける話です(笑)。

東京・両国「大江戸博物館」内カフェ「パニーニ・セット」800円

 いつもながら、前置きが長くなりましたが、「我々はどこから来たのか 我々は何者か」でした。答えは、我々はホモ(ヒト)属サピエンス(賢い)という生物で、現代まで唯一生き延びたヒト=人類種だということです。今から135億年前にビッグバンにより宇宙が生成し、45億年前に地球が形成されます。=物理学。38億年前に有機体が出現し、生物が生まれます。=生物学。600万年前までは、ヒトとチンパンジーは同じ祖先で、ここから初めて分化します。

 アフリカでホモ(ヒト)属が進化したのは250万年前。中東と欧州でネアンデルタール人が進化したのが50万年前。我々の祖先であるホモ・サピエンスが東アフリカで進化したのが20万年前で、他のホモ属が滅亡してサピエンスだけが唯一残ったのが、1万3000年前(それまで、共存していたか、襲撃して絶滅に追い込んだかのどちらか)でした。1万2000年前に農業革命が起き、5000年前にエジプトで最初の王国が生まれ、ここから歴史学が始まるわけです。

 ハラリ氏は、はっきりとは書いてはいませんが、これらの事実から読み解くと、我々とは猿から進化したものに過ぎず、しかも、我々の直接の祖先が誕生したのは、地球45億歳から見れば、20万年前というつい最近です。しかも、文明らしい農業が生まれたのが1万2000年前で、人類の歴史なんぞたったの5000年しか過ぎない。

 それなのに、ハラリ氏は「ホモ・サピエンスがこれから1000年後に生き残っているかどうか怪しい」と記述しているのです。これが「我々はどこへ行くのか」の回答になるでしょう。人類も1000年以内に地球上の他の生物(恐竜やニホンオオカミなど)と同様に絶滅する可能性があるというわけです。

 ロシアによるウクライナ侵略と、核兵器使用の威嚇という現在の状況から見ても、「1000年以内に絶滅」というのも、全く絵空事の数字ではないことが分かります。何しろ、ハラリ氏は「私たちは子供を、戦争を好むようにも平和を愛するようにも育てられる」(23ページ)と書いているのです。この本が出版された6年後に起きる「プーチンの戦争」を予言しているかのように読んでしまいました。

東京・銀座のロシア料理「マトリキッチン」 おすすめランチ1100円 店主曰く「嫌がらせはなく、むしろ同情してお客さんが増えた」とか。

 仏教思想に弥勒菩薩信仰があります。釈迦入滅後、56億7000万年後に、弥勒菩薩が兜率天(とそつてん)から下界に降りてきて如来となり、衆生を救済するという思想です。(その間は、地蔵菩薩が衆生を救済、地獄に堕ちた人までも救う)

 逆に、56億7000万年前ともなると、まだ地球さえ誕生していません。地球が出来たのは45億年前、生物が誕生したのでさえ38億年前ですから。となると、この56億7000万年後という仏教思想は実に壮大で深遠ではありませんか。

 ただし、これはあくまでもホモ・サピエンスが考え出した思想です。フィクションかもしれません。人類滅亡を少しでも先延ばしするためにも、まずは手始めに、今、最も身近なロシアによる戦争を止めなければなりません。

ピアノ買っちゃいました=気晴らしのためですが、何か?

  暗い個人的な話ではありますが、昨年は、長年親しかった友人に先立たれてしまったり、理由も分からず没交渉になった友人もいたりして、心に穴が開いてしまいました。正直、何か悪いことしたのかなあ、と自分自身を責めてばかり。心が不安定でずっと落ち込んでおりました。

 少年だったら非行に走れることでしょうが、気の弱い小市民としては、ひたすら、この難局を耐えるか、馬鹿なことをするしかありません(笑)。

 馬鹿なことというのは、今はコロナで旅行もできないし、友人たちと酒盛りも出来ないので、たった一人で、上野の洋食「黒船亭」とか銀座の仏料理「ポール・ボキューズ」とか、目の玉が飛び出そうな高級料理店に行って散財する程度の話ではありますが。

 でも、このまま、ずっと、暗く沈んだ生活を送っていくわけにはいきません。

 そこで、思い切って、電子ピアノ(ヤマハ Pー45)を買ってしまいました。

 ネット通販を見ていたら、急に欲しくなってしまったのです。しかも、天下のヤマハの88鍵なのに3万9700円と実に安い!私が使っている「TUMI」のバックパックが4万円もしましたから、「えっ?バッグよりピアノの方が安いの!?」と思わず、クリックしてしまいました。

 そのピアノは、写真で見ただけなので、大きさも重さも分かりませんでした。安いので、膝にも載せても弾けるおもちゃのようなシンセサイザーかと思っていました。

 そしたら、送られてきて吃驚。幅132.6センチ、高さ15.4センチ、奥行き29.5センチ、重さ11.5キロ。私の書斎の机は結構大きいので、楽勝かと思ったら、とても収まり切れません。箱の大きさだけでも部屋に置けば寝ていられません。

 仕方がないので、専用スタンド(Lー85)も買いました。これが8770円。ついでに、夜間に心置きなく弾けるように、ヤマハの専用ヘッドホン(HPHー50B)も買いました。これが2980円。付属のペダルがとてもチャチで使いにくいので、ハーフペダル機能に対応した専用ペダル(FC3A)も奮発しました。これが3645円。

 これらを合算すると、結局、5万5095円。…あれっ? ネット通販を事細かく見ると、これらのセット料金で5万円以下のものもありました。なーんだ。最初からセットで買えば、安くついたんだあ、とガッカリです。

ジョンとヨーコ(1979年8月、上野・洋食「黒船亭」) ※お店から特別の許可を得て撮影しております

 自宅にピアノがあるのは、20年ぶりぐらいです。最初は、学生の頃、実家に住んでいた時、私はお坊ちゃまですから、両親にお願いして買ってもらいました。ヤマハの「電気ピアノ」でしたが、確か、30万円ぐらいでした。今の価格なら50万円以上の感覚です。学生の身分ではとても買えません。

 ピアノは、幼児ではなく、学生時代から始めた上、独学でしたから全く上達しません。35歳を過ぎてから、先生について習いました。それまで主にビートルズの曲でしたが、今度はクラシックです。ソナチネから始め、モーツァルトの「トルコ行進曲」とかバッハの「インヴェンション第1番」など弾けるようになりましたが、ショパンやリストやドビュッシーともなると、#と♭があまりにも多くて(笑)、全くお手上げ。先生のところには2~3年通ったでしょうか、途中で挫折してしまいました。先生も家庭内の愚痴が多く、あまり情熱がなかったので、少し醒めてしまいました。

 となると、私の家には鬼が棲んでいますから、いつの間にか、ピアノはなくなり、何冊もあった楽譜も消えてなくなってしまいました。

 あれから20年。ついに念願のピアノを再び手に入れたのです!

 しかし、年を取ったせいか、指が動かん!! 

 それでも、今は、楽譜がないので、ジョン・レノンの「イマジン」とか、サイモンとガーファンクルの「明日に架ける橋」とか、バッハの「インヴェンション」とかを一生懸命に思い出しながら弾いて遊んでおります(笑)。

 3万9700円の電子ピアノですが、デモ曲が入っていたり、「グランドピアノ」だけでなく、「ハープシコード」や「ビブラフォン」「オルガン」など音色も変えられたり、どういうわけかスマホのiPhoneに接続して、何か出来たりするようなのです。

 年を重ねると、もうロックはキツイので、これからは、何かジャズ風の曲を勝手に作って、遊ぼうかと思ってます。

 これで少しは気が晴れるのではないかと思っています。

【追記】2022.3.5

「明日に架ける橋」はもう少しで思い出せそうです(笑)。このピアノは、ポール・サイモンが弾いているかと思っていたら、ラリー・ネクテルという天才ミュージシャンだったことが分かったことを2016年11月25日付渓流斎ブログ「レッキング・クルーのいい仕事」に書いております。併せてお読みください。

 会ったことがない私の祖父髙田正喜は昭和19年9月に40歳の若さで病死しましたが、音楽教師でした。朝から晩までベートーヴェンのソナタなど毎日のように弾きまくっていて、祖母が「ご飯ですよ」と呼び掛けても、「うるさい」と言って聞かなかったそうです。

 ピアノは私ではなく、祖父が弾いているような気がします。

ウクライナ Ukraine  意外な人物

 ロシアによるウクライナ侵略で、目下、2000人以上のウクライナ市民が犠牲になっている、とウクライナ当局が3月2日に発表しています。国際社会は、国際法違反のこの蛮行を黙って見過ごすわけにはいきません。単なる殺戮です。

 日本にとって、ウクライナは遠い異国の地ですが、意外と馴染み深い人がいらっしゃったりします。

 まず、昭和のスポーツ史に名を残す大相撲の横綱大鵬は、白系ロシア人の血を引く、と聞いたことがありましたが、大鵬の父親はウクライナ第2の都市ハリコフの出身だといいます。(ハリコフ市の州の政庁舎など中心部が爆撃され、多数の死傷者を出しているという情報も)

 個人的には、ウクライナといえば、ビートルズの「バック・イン・ザ USSR」という曲です。1968年に発表された「ホワイトアルバム」の最初に収録されたノリが良いロックで、この中で、「ウクライナの女の子には、マジ、悩殺されるよ。the Ukraine girls really knock me out.」とポールは唄っています。特に、ウクライナは美男美女が多いので、英国人でも一目置いていたのでしょう(笑)。

銀座・ベトナム料理「ニャーヴェトナム・プルミエ銀座 」バインミーランチ(バインミーサンドウィッチと海鮮フォー)1150円

 歴史的には、9世紀後半から栄えたキエフ公国がルーツになります。10世紀にウラジーミル大公がギリシャ正教を国教にしたことから、いわゆるロシア正教の総本山となりますが、13世紀から始まるモンゴル族の侵攻で壊滅します。その代わりに、辺境の小国に過ぎなかったモスクワ公国が台頭し、ウクライナに代わりロシア正教の総本山となり、宗教的国家的盟主となるわけです。

 もともと兄弟みたいな国でしたが、ソ連時代は、モスクワのクレムリン政権は、ウクライナを「豊かな穀倉地帯」として搾取しました。特にスターリンは、ウクライナ人を強制移住させて、後に「ホロドモール」と呼ばれる人工的に発生させた飢饉によって1932~33年、400万人以上を死亡させたと言われます。

 この「ウクライナ大飢饉」を映像化したのが、「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(ポーランドのアグニェシカ・ホランド監督作品)という映画で、私も一昨年の夏に観て、渓流斎ブログ2020年8月15日付「『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は★★★★★」で感想を書いております。

 「兄弟国」と言いながら、ロシア人はウクラナ人を見下しているのでしょうか? そうでなければ、今回の侵略もそうですが、こんな酷いことを出来ないはずです。

有名人に多いウクライナ系ユダヤ人

 また、19世紀から20世紀にかけて、「ポグロム」(破壊させる、という意味)と呼ばれた虐殺により、ウクライナに住む何万人とも言われるユダヤ人が殺害されました。

 となると、多くのユダヤ人がディアスポラ(移民)を余儀なくされます。米国では、100万人近いウクライナ系ユダヤ人が住んでいると言われます。作曲家・指揮者のレナード・バースンスタイン、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、俳優のダスティン・ホフマン、カーク・ダグラス、マイケル・ダグラス親子、それに、意外にもシルベスター・スタローン(母の旧姓はラビノヴィッチ)や「ウエストサイド物語」「理由なき反抗」のナタリー・ウッド(本名ナタリア・ザカレンコ)もウクライナ系ユダヤ人だといいます。知らなかった。

 「へー」と思って、調べてみると色々出てきます(笑)。ウクライナ系ユダヤ人の中には、ヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフ、ピアニストのレオ・シロタとウラジーミル・ホロヴィッツ、作曲家のセルゲイ・プロコフィエフとクラシック音楽界の巨匠を輩出したほか、何と、メキシコで暗殺された革命家レフ・トロツキーもウクライナ系ユダヤ人だったというんですからね。ユダヤ人だったことは知っていましたが、ウクライナ系だったとは!

 何よりも、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ユダヤ系ウクライナ人だといいます。

 日本では、ウクライナ系の有名人として、現在、モデル・タレントとしてテレビで活躍中の滝沢カレンの父親がウクライナ人(生まれる前に既に離婚)だという情報もあります。

 日本に住むウクライナ人は2020年12月現在、1876人(うち女性1404人)で、北方領土に住む全人口の4割程度がウクライナ人だと言われています。ソ連時代、ロシア人によって、ウクライナ人が強制移民させられたのではないか、と勘繰ってしまいますが、単なる個人的妄想で、公式データではありません。

銀座・蕎麦「笑笑庵」新ワカメ蕎麦980円

 本日、久しぶりに文春砲を購入しましたが、この中のトップ記事「プーチン『殺戮の履歴書』」を読みたかったからでした。1953年生まれのプーチンが、KGBに入ったのも、リヒャルト・ゾルゲに憧れていたからだったとは!…。彼の公式自叙伝では、父親は工場労働者で、20平方メートルのトイレもバスも共有だったネズミが出る狭いアパートで苦労して育った「立身出世」の人に描かれています。しかし、プーチンさん自身は認めていない非公式評伝では、父親は工場技師で、副業として秘密警察の工作員をやっていたので、普通の家庭には普及していなかったテレビを持つなどかなり裕福で、郊外に別荘まで持っていたといいます。

 自分の履歴書を嘘でかためて塗り替える有名人は古今東西、数多おりますが、プーチンさんもその一人ではないか、と疑わざるを得ません。

 ※ウクライナの歴史は、3月1日付読売新聞国際面の三浦清美早大教授の記事、「加藤哲郎ネチズンカレッジ」などを、ウクライナ系ユダヤ人に関しては、週刊文春に掲載された町山智浩氏の「言霊USA」などを参照しました。

【追記】2022.3.4

 反戦歌「風に吹かれて」を唄ったボブ・ディランもウクライナ系ユダヤ人でした。

ジョン・レノンが愛した洋食店に行って参りました=東京・上野の老舗「黒船亭」

 ロシアが2月24日にウクライナに侵略して、5日経ちます。民間人にもかなりの犠牲者が出たようですが、停戦交渉も「画に描いた餅」のように現実性がなく、膠着状態のようです。

 こんな蛮行は、冷戦時代にもなく、戦後初めてではないかと思っていたら、冷静に振り返ってみれば、ソ連時代の1956年に「ハンガリー動乱」と1968年に「プラハの春」がありました。いずれも、戦車で首都を制圧し、ブタペストでは数千人、プラハでは約400人の市民の死者を出しています。前者は、ソ連のフルシチョフ首相、後者はブレジネフ第一書記が最高責任者でしたが、プーチン大統領も彼らの顰に倣ったのでしょうか。

 ただ、信じられないような未確認情報が飛び交っています。「プーチン大統領は、パーキンソン病を患っており、正常な判断ができない」(英「サン」紙など)のだと。プーチン大統領は、ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した際、彼の左手が痙攣しているようで、椅子の後部を左手で必死に抑えているビデオが流れ、確かに不自然さを誰でも感じてしまう映像でした。

 ロシアによるウクライナ侵略について、世界の多くの識者が「狂気の沙汰」と批判していますが、もし、そのまま文字通り、プーチン大統領が正常な判断が出来ない状態だとしたら、そんな人間が核のボタンを握っていることになり、夜も眠れないほど恐ろしくなりますね。

上野・洋食「黒船亭」ビーフシチュー・セット グラスワイン クロズリーデ・ピノ・ノワール950円

 さて、昨日の渓流斎ブログの「昭和の香りがする名店を紹介=森まゆみ著『昭和・東京・食べある記』」の中で、「上野の『黒船亭』には、いつか行くしかない」と書きましたが、昨晩、会社の帰りに途中下車して行って参りました。

 思い立ったが吉日。「このブログを書くため」にですから、御苦労さまのことです。どうせ、誰一人、褒めてくれないでしょうけどねえ(苦笑)。

上野・洋食「黒船亭」1979年8月 ジョン&ヨーコ ※お店の人に許可を得て撮影しております

 何としてでも行きたかったのは、偏に、尊崇するジョン・レノン様が行かれた店だったからでした。並ぶのが嫌なので、ネットで予約しましたが、結構空いていて、何と、私が予約して確保して頂いた席の壁に、ジョンとヨーコが訪問した時の記念写真が飾ってあったのです。

 撮影日は「1979年8月」とありましたから、ジョンが暗殺される1年4カ月前のことでした。老けて見えますが、当時38歳です。

 天下のジョン・レノンなんだから、カラーで撮ってくれよお、と突っ込みたくなりましたが、こんなに当たり前にカラー写真が普及したのは、せめて、80年代以降だったことでしょう。私の学生時代は1970年代でしたから、白黒写真が多いです。

上野・洋食「黒船亭」ビーフシチュー・セット5220円

 何を注文しようかと思いましたが、電車の中で考えていた通り、ビーフシチューにしました。コース料理もありましたが、それほど空腹でもなかったので、サラダとパンとコーヒーの付いたセットにしました。

 このセットで5220円ですから、あのプーチンさんの全盛期のように、正常な判断が出来る状態でしたら、こういう高級料理店に足を踏み入れることはありませんでした(笑)。

 ついでに、仏産クロズリーデ・ピノ・ノワールのグラスワインを頼んだら、驚くほどドデカイ、ワイングラスを持ってきてくれ、「どんだけ注いでくれるんかいなあ」と愉しみにしていたら、全体の8分の1程度、ちょこっと、注いでくれただけでした。これで950円。

 締めて、6170円でした。

上野・洋食「黒船亭」

 ビーフシチューは、シチューが少しだけで、ほとんどビーフでした。4~5時間もグツグツ煮込むようです。味付けは抜群。大抵しょっぱくなるんですが、塩加減を抑えている感じでした。こんな高くてうまいもん、ジョンとヨーコは毎日喰っていたんだろうなあ、と羨ましくなりました。

 「ビーフは4~5時間煮込む」というのは、実は、隣りのテーブルの老夫婦も同じビーフシチューを注文していて、彼らの会話が耳に入ってきたのでした。お二人とも85歳は超えているような感じで、旦那さんの方はかなり衰弱していて奥さんには我が儘放題に振舞っていました。でも、何となく、この近くに住み、不動産からの莫大な不労所得がありそうな富裕層で、通い慣れた常連客といった感じでした。

 何故なら、店の奥から、若手のシェフがわざわざ二人のテーブルの側に出てきて、「いつも有難う御座います」と最敬礼して会話しておりましたから。