会社の同僚の太田君が、11月1日付で急に地方支局に異例の転勤をすることになりました。彼の送別会どうしようか? 誰も言い出さないので、私が老骨に鞭を打って個別に聴いてみたら、呆れるほど多くの奴らが我が儘で嫌になってしまいました。
まず、阪本君、「皆忙しいから、夜はやめてランチにしたら?」というのです。続いて、谷川君、「僕は鈴木君が出るなら出ませんよ」。さらに岩下君は「僕は最初から出ません。コロナは収束したかもしれませんが、インフルエンザが流行っているし…」と出たくない理由を5個ぐらい並べます。本心は太田君とはウマが合わないので最初から送別会に出たくないことがミエミエです。
うーん、困った、困った。出来るだけ、多くの人が参加する送別会にしたいので、最大公約数狙いしかありません。となると、鈴木君を除く人に声を掛けて、夜ではなくランチにするしかありません。
それで、やっと、主賓の太田君と小生以外では、谷川君と森本君と加納君が参加してくれることになりました。「ランチにしたら」と言った阪本君は、急に「谷川君から出るのなら、僕は出ない」と言い出したのです。何か、怪しい。阪本君は主賓の太田君とはかなり親しそうだったので、万難を排してでも参加すると思ったからです。結局、全部で5人になりました。
私は、いつのまにか幹事になってしまったので、本日、会食会場となる築地のレストランに下見に行って来ました。昼間からビールも飲めますし、送別会にはピッタリでした。
よし! パソコンで、簡単に送別会の日時、場所などを書いた「招待状」をつくって、参加者に配りました。そしたら、何と、谷川君がドタキャンするというのです。理由は、奥さんがコロナワクチンを打つことになり、飼っている犬の面倒をみなくてはならないので、その日は有給を取ることにしたというのです。それでは、日程を変更するよ、と提案すると、それでも「出ない」というのです。なあんだ、最初から出る気がなかったのかあ。おい、裏切者! 話が違うじゃないか! 君が言うから、鈴木君には声を掛けなかったし。酷い人間だなあ、彼に対する不信感が募りました…。
そこで、「谷川君が出るなら出ない」と言っていた阪本君に「谷川君が不参加になったから、参加しませんか?」と声を掛けたら、「やっぱり出ない」との返事だったのです。えっ? おい、阪本君、君が、夜ではなくランチにしろと提案したんじゃなかったっけ? それなのに、万難を排してでも太田君の送別会に参加しないとはドウユコト? 仲が良さそうに見えたけどウワベだけだったのか? 本性は冷酷人間だったんですね。
一番可哀想なのは主賓の太田君です。「もういいですよ。やめましょうか?」とまで言うのです。親睦会なので強制するわけにいきませんし、第一、そんな意志がない人に無理に参加してもらっても困ります。もしかして、誰も送別会のことを言い出さなかったのは、最初から参加する意志がなかったということだったのか?…
今の若いサラリーマンは、先輩からの誘いでも飲み会は拒否するという話をよく聞きますけど、そういう時代なのでしょうか。でも、若くはない爺さんになっても、チームワークが乱れようが関係ない。「我が道を行く」という風潮になったということなのでしょう。これは、コロナ前、3年前だったら、とても考えられないことでしたけどね。送別会なら15人ぐらい集まりました。
まあ、世知辛い世の中になったということなんでしょう。「健康のために酒を断っている」とか、そういう人が多くなりました。短い命ですから、せいぜい頑張って、どうかお幸せになってくださいな。