サウジ記者殺害疑惑はかなり複雑で分かりにくい

スペインアルハンブラ宮殿

いまだ真相が分からず、捜査が現在進行中の事件を茲で扱うのは、多少、気が引けますが、ここ最近、毎日のように報道されているサウジアラビア人記者カショギ氏の殺害疑惑事件は、複雑過ぎて、分からないことが多過ぎます。

事件があったのは10月2日のこと。場所は、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館。カショギ氏は結婚に必要な書類手続きのため、同総領事館に入りましたが、その前に、婚約者を外で待たせ、自分にもしものことがあった場合に備えて、その婚約者に自分の携帯電話を預けます。しかし、同氏は行方不明となり、トルコ政府が公表したことから、欧米メディアで大騒ぎとなりました。「事故だった」とも、「尋問中に工作員が誤って殺した」とも、「いきなり注射されて身体を切断された」とも憶測記事が飛び交っています。恐らく、カショギ氏は殺害されたことでしょうが、今のところ、サウジ側は否定しております。

何故?

10月18日付の読売新聞で、やっとカショギ氏の人となりが分かったのですが、彼は、あの9.11の首謀者と目されていたビンラディンに複数回インタビューしたことがある在米の敏腕ジャーナリストで、最近はサウジのムハンマド皇太子を批判する記事を書いたことから、当局から目を付けられていたといいます。

不敬罪のようなサウジの法律に抵触したのかもしれませんが、気に入らない者は治外法権の場所で密かに抹殺するとしたら、まるでスパイ映画の世界です。現実の世界では、原油価格が変動したり、中東が不安定になったりしていますから、一人のジャーナリストの殺害だけでは済まず、影響力が大きいので、これだけ欧米メディアは騒いでいるのです。

◇◇◇

10月18日付の朝日新聞がAP通信の報道を引用してましたが、米国とサウジとの関係は、一般人の想像を遥かに超えて、驚くほど濃密だったんですね。まず、昨年5月に米国はサウジに対して、約1100億ドル(約12兆3000億円)もの武器売却契約を結んでいたのです。12兆円ですよ!ちなみに、12兆円というのは、スウェーデンの国家予算並みです。

トランプ氏も個人的に、資金繰りに困っていた1991年に、所有していたクルーザーをサウジの王室の王子に2000万ドル(約22億円)で売却し(何と桁違い!)、2001年には、サウジ政府が「トランプ・ワールド・タワー」の45階部分を、施設使用料を含め、1000万ドル(約11億円)で購入したといわれています。半端じゃない関係です。

トランプ大統領が16日のFOXビジネスニュースのインタビューで、サウジに対する制裁について「我が国を傷つけるだけだ。(制裁すれば)サウジは、ロシアや中国から質の悪い兵器を買うだろう」と反対表明したのは、大統領自身の個人的な、こうしたサウジとの濃密関係が背景にあったからなのでしょう。もっとも、本人は「フェイクニュースだ」と否定しておりますが。

遠い昔、日本の池田勇人首相は、フランスのドゴール大統領から「トランジスタ(ラジオの)商人」と揶揄されましたが、現在、世界一の軍事力を持つ覇権国の大統領に対して、「○○商人」とは、誰も怖くて揶揄したりはしないでしょう。総領事館にも行きたくないでしょう。

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国際問題については、イスラム・シーア派のイランと敵対する米国が、イスラム・スンニー派のサウジと手を組むことは自然の成り行きなのかもしれません。トルコがサウジとの関係が悪化したりすると、そのパワーバランスが崩れ、中東情勢は一層不安定になります。イエメンの内戦も、サウジとイランとの代理戦争だと言われています。昨年、サウジなどから国交断絶されたカタールはイランへの依存を強め、サウジと対立しつつあるトルコもイランに接近するのではないかとも言われてます。

イランは、米国がこの世に存在する前の遥か大昔に、ペルシア帝国と呼ばれる覇権大国でしたからね。

何と言っても、パレスチナ問題が70年も続き、最近では、米国に続き、オーストラリアが、在イスラエル大使館のエルサレム移転を検討すると発表し、問題を深刻化させています。豪州には、ロシアから追放されたユダヤ系の人が多く移民したといわれてますから、政権へのロビー活動も盛んなのでしょう。

シリア内戦には、ロシアと中国も武器輸出で絡んでいるといいます。

トルコ⇒サウジアラビア⇒米国⇒イラン⇒イエメン⇒カタール⇒豪州⇒イスラエル⇒シリア⇒ロシア⇒中国⇒米国と関係各国の思惑が入り乱れて、この先どうなるのか予想がつきませんが、最悪の事態だけは避けてもらいたいものです。

このサウジ記者殺害疑惑について、ほとんどの日本人は興味ないでしょうから、このブログのアクセスも少ないことでしょう。

知らなかったフランス地方行政区改革

村上華岳の名作「夜桜」にも描かれた円山公園の枝垂れ桜 par Kyoraku-sensei

京都にお住まいの京洛先生から、村上華岳の名作「夜桜」にも描かれた円山公園の枝垂れ桜の写真を贈ってくださいましたので、アップいたします。

いつも有難う御座います。

大した魂消たです。

村上華岳の名作「夜桜」にも描かれた円山公園の枝垂れ桜 par Kyoraku-sensei

ところで、これでも私(わたくし、と安倍首相風に)渓流斎は、「フランスの専門家」と誰も言ってくれないので、ただ単に自称しているだけなのですが、つい、2年近く前に三途の川を渡りかけて全くの不勉強だったため、フランスに関して、世の中がすっかり変わっていたことを全く知りませんでした。そのことを、最近になって初めて分かったのです。

人間、やはり、ボヤボヤしていたら、置いていかれますね。(確かに、ボヤボヤしていたことはまぎれもない事実でした)

一体何のことを言っているのかと言いますと、フランスの地方圏の行政区が、2016年1月1日を境に、従来の「22」(海外地域圏は5)から、「18」(海外を含む)に統廃合されていたのです。

日本人なら、パリとかリヨンとかカンヌ程度の地名を知っていれば、もしくは知らなくても、何不自由もなく暮らせて困らないのですが、当のフランス人にとっては、明治維新後の「廃藩置県」にも相当するような革命的なことだったはずです。

そんなことさえ知らなかったんですからね。ボヤボヤしていて、日々のニュースを追っていなかったせいでした。

村上華岳の名作「夜桜」にも描かれた円山公園の枝垂れ桜 par Kyoraku-sensei

どう変わったのかと言いますと、例えば、アルフォンス・ドーデの小説「最後の授業」で有名なアルザス地方とロレーヌ地方は、隣のシャンパーニュ=アルデンヌ地方と統合して「グラン・テスト地域圏」(首府ストラスブール)になっていたのです。

知らなかったなあ…。

よく分かりませんが、あのシャンペンで有名なシャンパーニュもアルザスもロレーヌも少なくとも行政区の名前から消え去ってしまったわけです。

統合された代わりの名前の「グラン・テスト」とは、「偉大なる東」という意味です。何か、胡散臭い名前です(笑)。左派社会党政権でこんな名称を付けるものなんですかねえ?

とにかく、不勉強のため、今の時点で何でこうなったのか経緯もよく分かっておりません。

ただ言えることは、私が昔から使っていたフランス語の辞書や地図がすっかり使い物にならなくなってしまっていたということでした。

ゴリオ爺さん、嗚呼、偉大なるバルザック

伊太利亜フィレンツェ

世界的なベストセラーとなったトマ・ピケティの「21世紀の資本」の中で、オノレ・ド・バルザックの小説「ゴリオ爺さん」が、盛んに引用されていました。

単なる小説と馬鹿にする勿れ。

舞台は、バルザック本人がちょうど20歳の誕生日を迎えた1819年のパリです。 マダム・ヴォケーが営む賄い付き下宿で当時の最先端の様々な風俗が活写されます。1834年9月から翌35年1月にかけて執筆されました。時にバルザック35歳。

ちなみに、1819年はフランスでは、皇帝ナポレオンの失脚を経た王政復古(ルイ18世)の時代で、七月革命(1830年)も、二月革命(1848年)もまだ先の話。日本は文政2年。

何とも、古典の名作と言われるだけに、そんじょそこらの小説とは桁が違い違い過ぎます。フィクションとはいえ、恐ろしいほどの取材力で、当時実際にあった流行りのレストランや洋品店、下宿代、パン一斤の値段、銀食器の値段…など微に入り細に入り書き留められ、登場人物の心理描写といったら、あまりにもリアル。

伊太利亜フィレンツェ

なるほど、200年後の経済学者が惚れ込んで引用するはずです。

実は、私も、この小説をフィクションとしてではなく、経済書として読み始めております。

実は、と再び書きますが、無謀にも、いきなり、身の程知らずにも、最初は、原書から挑戦してみました。

しかしながら、とてもとても恥ずかしいことに、サッパリ理解できない。まるで外国語のようです。あ、そうでした、外国語でした(笑)。

1ページ読むのに1週間もかかり、それでも、薄ぼんやりとしか、意味がこのウスノロの頭の中に入ってきません。

遂に、諦めて、アンチョコを買うことにしました。アンチョコなんて、懐かしい言葉ですね。今でも使うのかしら?

伊太利亜フィレンツェ

それは、平岡篤頼早大教授訳の文庫版です。奥付を見ると、1972年4月30日、初版発行です。そして、2015年1月30日で41刷も売れておりますから、日本人も捨てたもんじゃないですね。

初版は、もう今から45年も昔なので、翻訳が少し古い感じがしますが、あの難解なフランス語をよくぞここまで日本語に置き換えたものぞと、感服しました。

正直言いますと、日本語で読んでも分かりにくい難解な部分もありますから、これを端から原書で読むなんて無謀だったんですね。

いずれにせよ、1日50杯もコーヒーを飲みながら、量産に次ぐ量産のライティング・マシーンと化しながらも、最期は力尽きて、借金まみれで僅か51年で生涯を終えてしまうこの大作家の作品を遅ればせながら、まるで同時代人になったつもりで、経済書として読んでいる今日この頃です。

本を読みながら、パリのラスパイユ通りに佇むバルザック像を思い出します。200年間近く、世界中の読者から未だに愛読される理由が、今更ながら分かったような気がします。

バルザックは、ヤバイ!

シャンフォールの予言

Venetia

小島てるです。

学生時代にフランス文学を齧った人でも、流石にシャンフォール(1741~1794年)なる作家を知らないでしょう。

御存知の方は、余程の通です(笑)。

何しろ、シャンフォールは、フランス中部クレルモン=フェランに庶子として産まれたためなのか、正確な生年月日も分からず、死因も諸説あります。パリに出て、ジャーナリストとして活躍します。時代が時代ですから、仏革命に参加し、革命後の混乱の中で、追い詰められて、自殺を図り、その傷が元で亡くなります。どうでもいいかもしれませんが、自殺にはピストルと刃物を使ったという二説あり、享年も53と54があります。

シャンフォールは筆名で、本名はセバスティアン=ロシュ・ニコラ説が有力です。absurdit?(馬鹿らしさ)という単語を「不条理」という意味で使った最初の仏文学者だということで後世に名を残しています。あたしなんか、「不条理」は、アルベール・カミュが流行らせた言葉だと思ってました(苦笑)。最近の世の中は、コメント師が指摘されるまでもなく、不条理で溢れていますね。

彼の作品は、彼の死後、「警句」として纏められたものが多く、その中にこんなものがあります。

朝にヒキガエルを飲み込みなさい。そうすれば、残りの1日はそれ以上不愉快なことに遭遇しないだろう。

果たして、これは何を意味するのか、私は、さっぱり分かりませんでした。

それが、人生経験が豊富となり、「人間観察官」(無給)としての面目躍如を発揮することができるようになると、この警句の意味がよく分かるようになったのですね(笑)。

かつていた友人の地方公共団体の職場に、仕事をサボる不埒な男が異動できたそうです。まさに、「月給泥棒の確信犯」です。

しかも、そいつは無類の女好きで、女と見たら手当たり次第で、職場の他の部署の人間だろうが、用もないのに声を掛けて、20分でも、30分でも立ち話をして遊んでいるというのです。

それで、そいつが女性にモテるタイプかと言えば、その正反対で、顔といい、体型といい、まさに醜悪なヒキガエルだというのです。

そう、もう一度、シャンフォールの警句を思い出してみましょう。

朝にヒキガエルを飲み込みなさい。そうすれば、残りの1日はそれ以上不愉快なことに遭遇しないだろう。

シャンフォールは凄い!まさに200年後を予言していたのですね!

フランス人気質

開日時: 2008年4月16日 @ 18:05

日本弁護士会などが、例の上映中止騒ぎで話題になったドキュメンタリー映画「靖国」の試写会を23日に行う、というので申し込んでみました。定員は200人。当たるかどうか分かりませんが、今年は何でも挑戦する年と決めているので、トライしてみました。

まあ、こんなブログをやっていなければ、申し込んだりしなかったのかもしれませんね。私もいっぱしのブロガーになったということでしょうか(笑)。

昨晩は、蒲田耕二氏の「聴かせてよ 愛の歌を 日本が愛したシャンソン100」を読んでいたら止まらなくなって、夜更かししてしまいました。今朝は5時半起きだったので、眠いです。

蒲田氏は、よっぽどフランス嫌い(?)らしく「この国(フランス)は、非難や攻撃を受ければ受けるほど依怙地になる。自分のおびえをごまかすために、なおさら居丈高になる。アホな国ですね。国家が依怙地であるように、フランス人は個人のレベルでも依怙地である。フランスへ旅行したことのある方は、土地の人間に一方的にまくし立てられて閉口した経験をお持ちではありませんか。…自己主張を押し通すことだけが正しい人間の道だと、彼らは思い込んでいる。負けるが勝ち式の考え方は、まずしない」

ね、すごいでしょう?でも私もある程度、同意してしまうんですよね。私自身の経験ですが、フランス人とは何人かと知り合いになりましたが、決して親密になることはないんですよね。決して、自分の説は曲げないことも、その通り。群れたり、つるんだりしない。

とはいえ、蒲田氏がこんな文章を書くのも根底にはフランスに対する奥深い愛情があるからです。

フランスかぶれの人は天邪鬼が多いのです。私もですが(笑)。

 

明日は、早朝から夜更けまで仕事でいないので、お休みします。毎日チェックして戴いている方々にはお詫び申し上げます。

現代フランス新聞事情

池田町 「スピナーズ・ファーム」

 

「新聞通信調査会報」1月号で、東洋大学名誉教授の広瀬英彦氏が、フランスの新聞界の最新事情を伝えています。

 

どこの国でも若者の活字離れ、新聞離れが広がっており、フランスもその例外ではないようです。

 

●まず朝刊高級紙の「フィガロ」(1826年創刊のフランス最古の新聞)は、1960年代後半が最盛期で50万部あったのが、最近では32万7000部まで落ち込んだ。

 

●夕刊高級紙の「ルモンド」。かつては一面に写真を使わない硬派の紙面作りで知られていたが、2002年から大胆なカラー化と写真の多用、より大きな活字で軟派路線に変更。しかし、2001年に40万部を超えていた部数も昨年は32万4000部にまで下降。

 

●代表的夕刊大衆紙「フランス・ソワール」(1944年創刊)は、1960年代から70年代にかけて100万部を超えていたが、創業者のピエール・ラザレフが72年に亡くなると、部数が下降線をたどり、2000年に11万5000部、2002年には6万7500部、昨年はついに4万5000部にまで激減。

 

ちなみに、昨年の日本の読売新聞は1016万部、朝日新聞が826万部、毎日新聞が393万部となっています。

フランス暴動 

公開日時: 2005年11月7日 @ 21:49

パリ郊外の街でアフリカ系の若者(モーリタリアとチュニジア)が警官に追われて発電所で感電死した事件がきっかけで、フランス全土に暴動が広がっているニュースには心痛めています。

事件は10月27日に起き、11日経った今では、フランスの国内の274都市に暴動が拡大し、4700台の車が放火されたそうです。学校や保育所、介護施設にも放火され、395人が逮捕されました。(ロイター、AP、AFP)

サルコジ内務大臣が、暴徒をSCUM(クズ)呼ばわりしたことが火に油を注いだようです。暴動はフランスだけでなく、ベルギーやオーストリアにも広がっています。

若者たちが石や火炎瓶を投げる光景は1960年代には、日常茶飯事見かけたものです。矛盾した社会の体制を変えようと、若者たちは「甘い」革命を夢見たようです。今でも彼らはフランス語で「ソワソン ユイッター」(68年世代)と言われています。

しかし、今回の暴動は、事態はもっと深刻で根が深いようです。60年代の白人インテリとは違い、アフリカ系、イスラム系の移民の若者が今回の中心です。

どこのメディアも、この暴動の背景は、高い失業率と差別があると指摘しています。フランスには西ヨーロッパ最大の500万人のイスラム系の人が住んでいます。

一方の、我が、日本国では、働く意欲を失ったニートと呼ばれる若者が増えています。恐らく、日本の歴史上初めて出現した若者群でしょう。

いずれにせよ、政治が解決してくれそうな問題にはみえません。

群れで行動する象は、一頭でも集団から脱落すると、その象が回復するまで辛抱強く待っています。

人間は象の知恵を借りるべきかもしれません。

森の国、日本

日本は森林王国です。
国土の何と67%が森林です。

森の国と言われているドイツでさえ、40%もないのです。

フランスは23%。

イギリスは12%しかありません。

日本の何十倍もの広大な面積を持つ中国は、驚くべきことに10%しか森林がなく、砂漠化が進んでいるそうです。

それで、最近の中国の動向の背景が分かりました。

最後は、エネルギー問題に行き着くのです。

12億国民をどうやって食べさせていくか。統治者ならずと考え込んでしまいます。