重力とは空間の曲がりが引き起こす現象=Newton別冊「相対性理論」

 ほぼ毎日のようにブログを書き続けているのですが、それほど反応はありませんし、一体、どんな方がお読みになっているのか想像すらできません。まるで「暖簾に腕押し」です。でも、FacebookなどのSNSに投稿すると、信じられないくらいの速さと量とコメントで反応がありました。

 私自身、Facebookはやめたはずでした。しかし、9月1日に書いた「100年前の関東大震災直後に起きた不都合な真実」は、地味な記事とはいえ、我ながら重要だと思ったので、なるべく多くの人に読んで頂きたいという願いで投稿してしまいました。ただ、何となく、多くの意思のある方がお読みになって頂いていることを確認できましたので、Facebookへの投稿は、これで味を占めることなく(笑)、また、控えることに致します。出来ましたら、直接ブログにアクセスして頂きますれば、主宰者として恐悦至極に存じまする。

 さて、残りの人生、「理系人間」に転向したことを以前、このブログに書きました。私はゴリゴリの文系人間で、正確には、理系人間にはなれませんので、今後はなるべく、理科系の学問も勉強して、理数系の思考に頭を切り替えることを目指すということです。

 ということで、Newton別冊「相対性理論」(ニュートンプレス)を読了しました。実に、面白かった、と言わせてください。「お前に相対性理論が分かるのか?」という声が聞こえそうですが、「はい。ある程度分かりました。人間として生まれて、この理論に触れることが出来て最高の幸せです」と答えておきます。

 正直、私がこの本によって相対性理論が「理解」できたのは、本来ならあるべき複雑な数理式が極力、最低限しか採用されていなかったからではないか、と後から思いました。つまり、ゴリゴリの文系人間でも分かるように易しく書かれていると言っても良いでしょう。

浮間舟渡

 前回、この本を取り上げた時、時間が伸びちぢみする話(例えば、東京スカイツリーの地上階と高さ450メートルの展望階では、時間の進み方が約5京分の1ほど違う)などを書きましたが、この本の後半では、空間が歪んだり、曲がったりすることが主に紹介されていました。こんな感じですー。

 ・質量が空間を曲げ、空間の曲がりが重力を引き起こす。つまり、重力とは空間の曲がりが引き起こす現象なのだ。(70ページ)

 ・「質量」とは、物体の「動かしにくさ」を表す量です。一方の「重さ」とは物体に掛かる「重力の大きさ」を表す量です。(104ページ)

 ・天体が時空をゆがめ、物質をとらえ、光を曲げるブラックホールは、1916年の一般相対性理論で証明されていたが、実際に、ブラックホールの画像をとらえたのは、その100年後の2019年4月だった。(楕円銀河「M87」の中心に存在する超巨大ブラックホール)

 ・アインシュタインは一般相対性理論を構築後、電磁気力と重力を統一する「統一場理論」を目指したが、未完に終わった。現在でもまた完成されておらず、世界中の理論物理学者が、量子論と一般相対性理論の融合という夢の実現に邁進している。(目下、最有力な理論として、素粒子を「点」ではなく、「ひも(弦)」だという「超ひも理論」が期待されている)

 ・一般相対性理論は、重力を受けた物体は、最も歳を取る道筋を通ると主張する。それが放物線だ。

 ・ゼロ以上光速(秒速30万キロ)未満の速度でしか進めない粒子を「タージオン」(地球や銀河なども)、常に光速でしか進めない粒子を「ルクシオン」、常に光速より速く進む粒子を「タキオン」と呼ぶが、もし、超光速タキオンを使って通信を行うことが出来れば、理論的には、過去への通信が可能になる。

 ・光速の60%という猛スピードで進むことが出来る宇宙船が開発され、地球を旅立つとして、地球で10年経ったのに、宇宙船内では8年しか経っていないという理論が成り立つ。

・・・まあ、こんな感じの理論を私はこの本で学びました。

 嫌な人間関係や、思い通りにならない人生にウジウジしているより、「理系の学問は何と潔いものなのか!」と悟る方が健康的(メンタルヘルス)に良いかもしれませんぜよ。

光の速度は不変なので時空がゆがむ=Newton 別冊「相対性理論」

 今、Newton 別冊「相対性理論」(ニュートンプレス、2023年2月5日発行)を読んでいます。私は、典型的な文系人間のズブの素人なのに、実に大胆不敵です。

 しかし、実は、あることがあってから、私はすっかり「理系」志望になりました。文系の学問なんて実に幼稚に見えます。歴史や政治思想なんて、勝者の論理じゃないですか。何はともあれ、お家大事、周囲を洞ヶ峠から眺めて、忍びを使って、勝ち馬に乗ることしか考えない人間。インパール作戦では、10万人の兵卒を白骨街道に置き去りにして指揮官の将軍は飛行機で逃げ帰った人間。心理学なんて学問なんですか? 人間は、気まぐれでコロコロと自分の意見を変えます。朝は、「左」だと言っていた人間が、夕方には「右」だと言い張ります。自己保身のためなら、気に喰わない人間を踏み台にして、内通、変節、寝返り、裏切りなんて平気の平チャラです。所詮、人間は、生物学的にそのように出来ているわけですね。

 人間には物語が必要だ?ー要らないでしょう。新聞のお悩み相談コーナーを読んでごらんなさい。強欲あり、嫉妬あり、羨望あり、怠惰あり、卑怯あり、無関心あり、差別あり。人間は、毎日毎時、いかに醜い争いをしているのか3分間で分かりますよ。21世紀になっても戦争はなくなりません。ウクライナだけではありません。パレスチナ、シリア、スーダン、アフガン…と紛争、内戦が続き、明日の生活もままならない難民が溢れています。人間は所詮、他者を支配して楽をして過ごしたい無責任な生物なのです。弱肉強食のジャングルでの仁義なき戦いの世界です。人生に意味も目的もありません。それでお仕舞い。

 えっ? それを言っちゃあ、おしめえよ、ですか?ま、確かに、ここまで言ってしまっては身も蓋もありませんね。ただ、私も「あること」があってから、随分、醒めました。達観して冷血人間になりました。でもー。

 出来る限り、勇気と夢と希望を持ってください。人間にとって最も大切なことは慈愛であり、思いやりである、と思ってください。恵まれない他者には親切にしてください。ボランティア奉仕と寄付と布施に励んで、陰徳を積んでください。

 というのが私の本心、としておいてください。

◇物理学、万歳

 その一方で、自然科学は宇宙の真理を教えてくれます。人間なんていなくても構いません。地球46億年、宇宙138億年の歴史から見て、人間は小数点以下のページにやっと登場するに過ぎません。すっかりひねくれてしまった私としては、それが実に爽快なのです。宇宙に終わりがありますが、その前に、我々が住む天の川銀河の終末があります。いや、その前に太陽系の崩壊、消滅があります。そうなれば、人間も、その記憶も、文化遺産も何もかもなくなります。

 このように理系の学問は随分、悲観的絶望的な危険思想なのに、どういうわけか生きる勇気と希望が湧いてきます。人間が考え出した神や如来や宗教を超えた絶対真理を追究するからなのでしょう。泣こうが喚こうが人間を超えた学問とも言えます。

 ですから、「光の速度は不変なので、時間と空間が相対的に変化する。時間が遅れたり、空間がねじれたり、縮んだりして見える」(アインシュタイン特殊相対性理論)と言われても、門外漢でもすんなりと理解できるのです。いや、人間を超えた真理なので、泣こうが喚こうが、そう理解するしかないのです。

築地「わのふ」

 でも、科学は、それほど乱暴な話ではありません。発表された当初は仮説だったとしても、ちゃんと科学的実験で証明されていきます。例えば、2020年、東大、理化学研究所、島津製作所などが光格子時計という最新技術を使って、東京スカイツリーの地上階と450メートルの展望階とで時間の進み方を測定したところ、約5京分の1、展望階の方が地上階より時間が速く進んでいたことが証明されたというのです。

 えっ?本当ですか? 典型的な文系人間のズブの素人の私なのに、このNewton 別冊「相対性理論」は実に面白く読めます。

 

 

最先端の物理学とは宇宙論?=ミチオ・カク著、斉藤隆央訳「神の方程式ー『万物の理論』を求めて」

 ミチオ・カク著、斉藤隆央訳「神の方程式ー『万物の理論』を求めて」(NHK出版)を読んでいます。まだ途中で、3分の2ぐらい進んでいます。

 でも、登山でいうところの「難所」があり、途中で引き返したくなるほど読むのが難儀してしまう箇所もありました。特に量子論に入った頃から難しくなりました。ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマン博士ですら「量子力学を理解している人は誰もいないと言っていいと思う」と発言するぐらいですから、まして文科系の素人をや、です。それに、学生時代は量子論なんて全く習いませんでしたからね。

 この本は2022年4月30日初版ですから、出版されて1年以上経ってますが、日本ではあまり大きな話題になりませんでしたね。「神の方程式」ですから、新興宗教の聖典と勘違いされたのでしょうか? でも、この本は、理論物理学の一般向けの好著だと思います。難しい数式は本文では避けて、註釈の中に登場させています。また、訳者の斉藤氏の翻訳がこなれていて読みやすいお蔭で、文科系の素人でも理解しようと頑張れば出来るからです。

 この本は、このブログで以前ご紹介したニュートン別冊「学びなおし 中学・高校物理」(ニュートンプレス)を読了した際にも取り上げました。繰り返しになりますが、現代の最先端の物理学は、マクロな世界を記述するアインシュタインの一般相対性理論と、ミクロな世界を記述するシュレーディンガーやハイゼンベルクらの量子力学(量子論)を融合した「究極の理論」を構築しようとしていて、未だにその統一された「万物の理論」は出来ていません。本書はそれまでに至る過程というか、偉大な科学者の業績と歴史を辿り、今後の展望を探っています。つまり、この1冊で、最先端の物理学が分かるわけです。先のブログでご紹介した通り、著者のミチオ・カク(賀来道雄)氏(76)は、日系3世の米国人で、ニューヨーク市立大学教授です。米国では、テレビの多くの科学番組やニュースの解説者として登場し、大変な有名人のようですが、不勉強な私は存じ上げませんでした。

 私は文科系の人間ですが、最先端の物理学の礎を築いたニュートンとアインシュタインの二人の科学者について、著者の見方が面白かったです。カク氏によると、ニュートンは、孤独を好み寡黙で、人間嫌いと言っていいほど。生涯の友はおらず、日常会話も満足に出来なかった、とまで言ってしまっております。一方のアインシュタインは、社交的で、人間的で気取らず、周囲の人間はその高潔さに圧倒されるものの、誰からも愛される性格だったといいます。文科系の人間は、理論よりも、こういった人間臭い話の方が好きです(笑)。

 カク氏は大学の先生ですから、説明の仕方も分かりやすいです。例えば、こんな感じです。

 アインシュタインは見事にこう見抜いた。光の速度は不変だから、光速を不変にするために、時間と空間が歪むのに違いない!

 アインシュタインは、万有引力が実は錯覚であるという見事な知見を得た。物体が動くのは、重力や遠心力で引っ張られるからではなく、周囲の空間の湾曲によって押されるからである。もう一度言おう。重力が引っ張るのではなく空間が押すのだ。

 このように、「時空は重い質量によって歪み、重力による力の錯覚をもたらす」という一般相対性理論を一般向けに易しく解説してくれます。

 さて、究極の万物の理論が構築されると何が解明されるのか? 著者は、それについても明確に答えています。著者によると、究極の理論とは、自然界の四つの力(重力、電磁力、強い核力、弱い核力)が一つの理論にまとまる考えだといいます。疑問が解明する可能性があるものの中にはー。

●ビッグバンの前に何が起きていたのか? そもそも何故ビッグバンが起きたのか?

●ブラックホールを抜けた向こう側に何があるのか?

●タイムトラベルは可能なのか?

●いくつもの並行宇宙からなるマルチバース(多宇宙)は存在するのか?

 等々ですが、あれっ?です。最先端の物理学の究極の理論というのは、宇宙論のことではありませんか!(つづく)

【追記】2023年8月24日

 ニュートンとアインシュタインという2人の天才に関して、もう一つ、人間的な側面を追加しておきます。

 ・人間嫌いで奥ゆかしいニュートンは、自分の著作の出版を考えていませんでしたが、ニュートンの業績に感嘆して、その著作の印刷費用を支払うことを申し出たのは、「ハレー彗星」で名を残した天文学者のエドモンド・ハレーだった。その著作とは、科学史に残る重要な最高傑作の一つとなる「プリンシピア 自然哲学の数学的原理」(1687年)だ。

 ・アインシュタインは、ロングスリーパーで、毎日10時間寝ていたといわれる。

 

物理学に苦手意識がなくなったことが収穫です=ニュートン別冊「学びなおし 中学・高校物理」

 むふふふ…。ニュートン別冊「学びなおし 中学・高校物理」(ニュートンプレス)を読了しました。広げたら縦27.5センチ、横42.0センチというデカイ本を小さく折り畳んで、満員電車の中で一生懸命読んでいた老師がいたとしたら、それは私です。今どき、電車の中で勉強している人間は皆無です。。。と思いきや、本日は、司法試験らしき勉強をしている若い人を一人だけ見つけましたが、彼は座ると直ぐ寝入ってしまいました(笑)。

 「学びなおし 中学・高校物理」は、看板に偽りあり、ですね。「ドップラー効果」「慣性の法則」「ボイル・シャルルの法則」といった実に懐かしい用語が出てきましたが、「キルヒホッフの法則」も「波動関数」も、それ以外はほとんど習っていないことばかりです。「学びなおし」にならず、お初に学習させて頂きましたが、お蔭様で、物理学に対する謂れも知れぬ恐怖心はなくなりました。「全て理解できた」などとおこがましいことを言うつもりはありませんが、少なくとも、物理学に対する苦手意識がなくなり、むしろ、非常に好きになりました。

 いやはや、人類が確立した学問の中で、物理学ほど面白い学問はありません、と図々しく言っても過言ではありません(笑)。

Ginza

 この本では、

・重力は距離の二乗に反比例する。

・重力の正体は時空のゆがみである。

・自然界は波(電磁波、電子の波、音波など)に支配されている。

・自然という書物は、数という言語で書かれている。(ガリレオ)

 などといった物理学のキーワードが登場し、文科系の人間でも大いに深く考えさせられました。

 結局、自然科学は、実験で得た仮説を、最終的には数式に当てはめることによって初めて万物に応用が出来る学問だと思いました。アインシュタインが自らの相対性理論らしき理論を、黒板いっぱいに数式を書いて説明講義している写真を見たことがありますが、素人にはさっぱり分かりませんでしたけど(笑)。

 しかも、物理学は象牙の塔には閉じ籠りません。ニュートンの万有引力の法則は、蒸気機関の発明に応用され、産業革命の土台になりました。ファラデーとマクスウェルによる電気と磁気の解明によって、都市に街灯が巡らされ、発電機が発明され、ラジオやテレビの通信にまで応用されました。アインシュタインの相対性理論は、核力の存在を明らかにし、残念ながら本人は関与しなくても原子爆弾の開発につながり、シュレーディンガーやハイゼンベルクらの量子力学は、レーザーを始め、インターネットからスーパーコンピューターの開発に至るハイテク革命にまで応用されました。(実は、この辺りは、ミチオ・カク著、斉藤隆央訳「神の方程式」(NHK出版)からの部分引用です。)

Ginza

 さて、現代の最先端の物理学はどうなっているのでしょうか? 同書によると、現在の物理学者たちは、マクロな世界を記述する一般相対性理論と、ミクロな世界を記述する量子論を融合した「究極の理論」を構築しようと努力しているといいます。

 それは、仮に「量子重力理論」と呼ばれているそうですが、先に引用した「神の方程式」の日系3世の米国人ミチオ・カク(賀来道雄)ニューヨーク市立大学教授(76)もその一人です。彼は、「粒子と波の二面性」を持つ素粒子は点状の粒子とは考えず、長さを持つ「ひも」として考える「超ひも理論」の提唱者です。と、言われても、中学・高校で習ったことはなく、これまた初めて聞く理論です。

 人間、何歳になっても、勉強し続けなくてはいけませんね。時代についていけなくなってしまいます。

情報デトックスと宇宙論

 スマホが普及してから、「情報デトックス」なる新語が生まれました。FacebookやInstagramやTwitterなどSNSを数分置きにチェックしなければならないほど依存中毒になった御同輩に対して、「少し休んでみましょう」といった軽い提案から始まりました。デトックスとは「毒抜き」といった意味で使われます。酷い症状の人には、アプリを削除するか、スマホ画面をカラーから白黒にして興味をなくさせる方向に持って行ったりする「対処療法」を勧めたりしてます。

 私はスッパリではありませんが、中毒になったSNS(のチェック)はやめました。Twitterは、電車が事故で遅れた時に、迷惑を受けた乗客が一斉に情報発信してくれて、鉄道会社の「公式見解」より早いのでアプリまで削除してませんが、まず敢えて見たりしません。

 やっているのはこのブログだけですが、もしかして、世間の皆様には一番ご迷惑をお掛けしているかもしれませんね(笑)。「毎日欠かさず《渓流斎日乗》を読まずにはいられない」という人が世界にもし一人でもいらっしゃれば、主宰者としては大変嬉しゅう御座いますが、自分で言うのも何なんですが、このブログは、デトックスの対象になるサイトなのかもしれません。つまり、ネットやテレビなんかに溢れている「いらない、必要もない情報」であり、生死に関わるような緊急の要件が書かれているわけでもないからです。

 そのため、少しは遠慮して書く頻度を緩くしようかと思ったのですが、このブログの主宰者は職業病に罹っているため、即刻、断筆するまでには至っておりません。ということで、読者の皆様方には「情報デトックス」の対象にならないよう、程々のお付き合いをお願い申し上げる次第で御座います。 

東銀座「うち山」

 本日書きたかったのは、やはり、宇宙論です。先日の続きで、一生忘れないように、頭の海馬にしっかり納めておきたい数字を列挙しておきます。<参照文献は、高水裕一著「面白くて眠れなくなる宇宙」(PHP研究所)と渡辺潤一著「眠れなくなるほど面白い宇宙の話」(日本文芸社)>

 ・上空400キロ⇒国際宇宙ステーション

 ・上空4万キロ⇒静止衛星の周回軌道

 ・上空38万キロ⇒月までの距離

 ・上空1.5億キロ⇒太陽までの距離

 ・1光年⇒9兆4600億キロ

 ・10万光年⇒天の川銀河の直径(天の川銀河は、約2000億個の恒星などで出来ており、太陽系は、その中心から2万8000光年の距離にある) ※全宇宙には、他にアンドロメダ銀河など1000億個以上の銀河がある!

 ・太陽系は秒速約240キロのスピードで天の川銀河の中を移動し、2億5000万年かけて1周する。

 ・1000万年光年⇒銀河団(100個から1000個の銀河の群れ)

 ・1億光年以上⇒超銀河団(銀河群や銀河団の集団。天の川銀河は、おとめ座超銀河団の一員で毎秒300キロの速さで動いている)

 ・宇宙は「無」から生まれ、1点が膨張(インフレーション)し、138億年前にビッグバンが起きて出来た。

 ・現在の宇宙論の基礎になっているのがアインシュタインの相対性理論。ここから、相転移による多重発生によって、無限に宇宙が生まれるというマルチバース(多重宇宙)理論も生まれた。

  以上ですが、マルチバース理論によると、母宇宙は子宇宙を生み、子宇宙から孫宇宙が生まれ…宇宙は膨張していきます。ということは、未解明の異次元空間の存在があるということで、もしかしたら、人類以外の知的生物も広い宇宙の中にいるかもしれません。

 ただし、25億年後は、地球の気温が100度以上に達し、地球上の全生物が絶滅すると考えられています。それまでに、UFOや宇宙人が見つかるのが先か? 地球が壊れる前に人類が地球以外に棲める星を探し出すことが出来るのかが先か?ー少なくとも、もう、地球上で戦争をしたり、環境破壊をしたりしている暇はないのは確かです。

 そんな暇があったら、私自身も含めて、アインシュタインの相対性理論の入門書ぐらい読むべきだと思いました。人類にとって、絶対に「いらない、必要もない情報」ではないからです。

宇宙論はアインシュタインの「相対性理論」が基礎だった

 渡部潤一・国立天文台副台長監修「図解 眠れなくなるほど面白い宇宙の話」(日本文芸社、2022年4月10日第14刷)を読了しました。確かに、眠れなくなるほど面白い! この本は薄くて(128ページ)、初心者向けに分かりやすく書いてくださっているところが良いです。

 今まで私は、誰が天下国家を取っただの、戦争で虐殺があっただの、人間どもの歴史ばかり気に掛けて勉強してきましたが、今年2月24日、ロシア軍によるウクライナ侵攻で少し醒めてきてしまいました。「歴史に学べ」と言われても、「どうせ人間どもの所業なんて、所詮…」といった気持ちなのです。

ムスカリ

 それより、小学生の頃に憧れていた宇宙や天文学の勉強をした方が遥かに健康的なような気がしてきました。何しろ、宇宙論の学問の進化は、私の子どもの頃(1960年代)とは別次元のようで、幾何学級数的に大飛躍、発展して、まるで様変わりです。天体望遠鏡も電磁波や赤外線等が使われるなど技術革新が進み、かつて分からなかったことや仮説が、次々と「証明」されたりしているのです。

 現代の宇宙論は、あのアインシュタインの相対性理論が基礎になっていることをこの本で知りました。相対性理論とは、物理学で原子爆弾等の製作の理論的支柱になったとばかり思っていたのですが、もっと、もっと壮大な理論で、宇宙生成の解明に役立ち、ブラックホールの存在の予言までしていたというのです。

 私は、「世紀の大天才」といえば、モーツァルトやベートーヴェン、もしくはレオナルド・ダビンチあたりだと思っていたのですが、人類でたった一人選べと言われれば、今はアインシュタインを選びますね。全く理解不能ではありますが(笑)。(正直、好き嫌いで言えば、モーツァルトの音楽の方が好きですが)

 この本によるとー。

 ①138億年前に「無」からビッグバンとインフレーション(「相転移」現象により莫大なエネルギーが放出)によって宇宙が誕生した。(何故、「無」からそんなことが起きたのか、さっぱり分からないようです)

②宇宙はダークエネルギーによって膨張し、60億年前から膨張は加速している(ビッグリップ説)。

③マルチバース(多重宇宙)理論によると、インフレーションによって最初に出来た宇宙(母宇宙)の中に、アインシュタインの「相対性理論」から導き出されるワームホールwormhole(異次元空間)が出来て、その中に子宇宙が出来、またその中に孫宇宙が出来…と宇宙の多重発生が起き、宇宙は無限に存在していく。(キリがないじゃない!これなら何処かに地球外生物が生息していそうなものですが)

④全宇宙に1000億個以上の銀河がある。地球がある太陽系は、距離10万光年の天の川銀河のほんの片隅にある。天の川銀河とは、太陽のような恒星が約2000億以上個集まって出来ている。(ほらね。銀河なるものが1000億個以上もあるんですよ!)

⑤銀河が数十個集まると「銀河群」、さらに100個から1000個の銀河が密集すると「銀河団」と呼ばれ、天の川銀河も含まれる「おとめ座超銀河団」は重力によって、毎秒300キロの速さで動いている。結果的に、太陽系も秒速200キロで移動している。(地球が自転、公転していても、人間は分からないのに)

⑥天の川銀河とアンドロメダ銀河は「ご近所さん」で、同じ局部銀河群を構成しているが、40億年後に両銀河は衝突して20億年かけて合体する。(そう言われても、もう地球の生物は絶滅しているのでは?)

⑦約46憶年前に太陽系と地球が出来たが、太陽の寿命は100億歳と考えられ、あと50億年で終末期に入る。太陽は「赤色巨星化」して膨れて表面積が広くなり、光熱量も増大。25億年後には地球の気温は100度以上に達し、地球上の全生物は絶滅してしまうと考えられる。(ほらほら、人類の歴史も消滅か?)

⑧太陽の30倍以上という超新星が、寿命が尽きて爆発した後に残った星の芯のようなものがブラックホール。自分自身の重力でどんどん収縮して、大きさが無限小の「点」になったもので、そこでは全ての物理法則が成り立たず、光も外に逃げ出すことができない。(アインシュタインが相対性理論で予言)

⑨宇宙は、銀河が長い糸状につながった骨組みのような「銀河フィラメント」とボイドvoidと呼ばれる「超空洞」が入り組んだ大規模な構造になっている。このような構造をつくったものがダークマター(暗黒物質)と言われる。これは質量を持ち、周囲に重力を及ぼすが目に見えない謎の物質。ダークマターは、重力で動き回っている銀河を引っ張って、飛び出さないような働きもしている。(そう言われても、見当がつかない。)

⑩宇宙全体の謎を解く方程式が、「アインシュタイン方程式」で、それは以下の式で表されます。

 G μν+ Λg μν=kT μν      ※ Λg μνとは斥力を表す宇宙項

 以上、 E=m c² に比べると少し手こずる方程式かもしれませんが、皆さんとってはお茶の子さいさいですね。 

タルムードに少し触れて

 何となく、季節の変わり目のせいか、ここ数日、気分爽快とはいかず、ペンが重くなっています。

 以前なら、朝起きるとその日に書きたいことが湧き出る泉の如く、止めどもなく、何本も、何本もテーマが浮かんできたのですが、最近はどうも、不調です。

 特に、以下の文章を読んだのが、低迷の決定打となりました。

ゴシップは殺人よりも危険である。殺人は一人しか殺さないが、ゴシップは必ず三人の人間を殺す。ゴシップを言いふらす人自身。それを反対せずに聞いている人。その話題になっている人。

 ゴシップを「ブログ」に置き換えるとゾっとしてしまいます。私は弱い人間ですから、殺すことはありませんが、人を傷つけているのではないか、と思うと書く気力が失せてしまったのです。

先ほどの格言(教義)こそは、ユダヤ民族に伝わるタルムードで、ユダヤ民族に伝わる口伝律法を納めたものです。 法律に例えると、「旧約聖書(トーラー)」が六法全書にとするなら、「タルムード」は判例集に当たります。

タルムードには「労働」「婚姻」「商法」「死生観」 など多岐に渡って教義が記されています。

 以前、このブログの今年2月2日に取り上げた市川裕著「ユダヤ人とユダヤ教」(岩波新書)の中で初めてタルムードの存在を知り、興味を持っていたところ、たまたま、電脳空間に「ユダヤ民族に伝わるタルムード(talmud)には何が書かれているか?」 というサイトが見つかりました。

 このサイトには「ぜひともタルムードの完全な日本語訳が出版されることで、『悪魔の経典タルムード』というイメージや、『ユダヤ人は選民思想によって非ユダヤ人をゴイム(豚)として扱い、世界支配を企んでいる』と言った、ユダヤ陰謀論の誤った認識が覆されることを祈る」と書かれているように、至極真面目に、正攻法でユダヤ思想を取り上げていると思います。

サグラダファミリア教会

 そして、このサイトのリンクには「多様な業界で活躍した著名なユダヤ人」というサイトがあり、これを拝見すると、ユダヤ系の人たちがこれほど、幅広い分野で活躍していたとは驚きでした。

 イエス・キリスト、アインシュタイン、マルクスといった大天才たち(誤解を恐れずに言えば、イエスは生前、教団をつくる意思はなかったという説があります。宗教を超えて生身のイエスは、大天才だったことは疑う余地はなかったと思います)がユダヤ人だったということはよく知られており、クラシックからポップスに至るまで芸能関係者が多く、私自身もかなり知っているつもりでしたが、俳優のハリソン・フォードやスターバックスの中興の祖ハワード・シュルツ、心理学者のアドラー、映画監督のオリバー・ストーン、フェイスブックのザッカーバーグらもユダヤ人だったとは知りませんでした。

 もちろん、私自身も、巷間出回っているユダヤの陰謀説には与していません。ハリウッドのスターになったり、ウォール街の金融街で優遇されるかもしれませんが、それらは陰謀でもなく、白日の下で晒されている誰もが知っている話でしょう。別にヒトは、映画界のスターになることもないし、ジョージ・ソルスやウォーレン・バフェットにならなくても生きていけます。

 それより、何故、ユダヤ人には頭脳明晰な人が多いのかといった方に私は、興味があります。(このサイトには「ノーベル賞受賞者の22%がユダヤ人」とも書かれています。)

 要因として、「ユダヤ人は教育熱心だから」といったことが書かれていますが、それだけではないはずです。「中国のユダヤ人」と言われているのが、「客家(はっか)」で、孫文や鄧小平、李登輝、リー・クアン・ユーらも客家と言われてますが、彼らも大変教育熱心な華僑として知られています。

あ、あまり書き過ぎると、タルムードの戒律に触れてしまいそうなので、この辺でやめておきます。

市川裕著「ユダヤ人とユダヤ教」を読んで

 長年、「ユダヤ問題」については関心を持っていましたが、不勉強でなかなかその核心については、よく分かっておりませんでした。

 ユダヤ民族は、ローマ帝国や新バビロニア王国による支配と捕囚によって、世界中に離散してからは差別と迫害と虐殺(19世紀末のロシアにおけるポグロム=破壊とナチスによるホロコーストなど)の歴史が続き、第2次大戦後になって今度はシオニズムによってパレスチナに国家を建設して、核兵器を装備していることが公然の秘密の軍事大国となり、かつてそこに居た人々が難民になるという歴史的事実もあります。

バルセロナ・グエル邸

それにしても、ユダヤ人は神に選ばれた「選民」として、作家、思想家、哲学者、物理学者、音楽家、演奏家、俳優、金融資本家…と何と多くの優秀な「人類」を輩出しているのかという疑問が長年あり、ますます関心が深まっていました。いわゆる「ユダヤの陰謀」めいた本も読みましたが、眉唾ものもあり、どこか本質をついていないと感じておりました。

 そこで、出版されたばかりの市川裕著「ユダヤ人とユダヤ教」(岩波新書・2019年1月22日初版)を購入して読んでみました。

新書なので、入門書かと思っていたら、著者は東京大学の定年をあと2年後に控えた「ユダヤ学」のオーソリティーでした。最初の歴史的アプローチこそ、ついて行けたのですが、中盤からのユダヤの信仰や思想・哲学になると、初めて聞く専門用語ばかりで、読み進むのに難渋してしまいました。

バルセロナ・グエル邸

まず最初に、一番驚いたのは、「ユダヤ教は『宗教』ではない。人々の精神と生活、そして人生を根本から支える神の教えに従った生き方だ」といった著者の記述です。えっ? ユダヤ教は宗教じゃなかったの?という素朴な疑問です。読み進めていくと、私がユダヤ教の司祭か牧師に当たるものと誤解していた「ラビ」とは、聖職者ではなく、神の教えに関して専門知識を持つ律法学者だというのです。

つまり、ユダヤ教とは、厳密な意味で宗教ではなく、戒律を重んじ、それを厳格に実践する精神と生活様式だったのです。6日目の安息日は、必ず休み、普段はシナゴーグでの礼拝や律法の朗読とタルムード(聖典)の学習など毎日決まりきった行動を厳格に実行しなければならないのです。とても骨の折れる信仰実践です。

 戒律といえば、私自身は、「モーセの十戒」ぐらいしか知りませんでしたが、とにかく、色んな種類の独自の律法があるのです。その代表的なものが、「モーセの五書」(旧約聖書の「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」)とも呼ばれる文字によって伝えられた「成文トーラー」と、西暦200年頃に編纂された口伝律法集「ミシュナ」(ヘブライ語で「繰り返し語られた法規範」全6巻63篇)と呼ばれる「口伝トーラー」です。

口伝トーラーは、 ヘブライ語で「道」「歩み」を意味するユダヤ啓示法の法規範である「ハラハー」と、法規範以外の神学や倫理、人物伝や聖書註解を扱う「アガダー」に分類されます。ラビたちは、ヘブライ語を民族の言葉として選び、神の言葉の学習を中心に据えます。ラビ・ユダヤ教に従うユダヤ人は、主なる神である唯一神を信じ、神の教えに従った行動をすることが求められます。具体的に何をすべきかに関しては、ラビたちの教えに従うことが義務付けられます。従って、ナザレのイエスをメシアと信じて従うのは異端だといいます(65ページ)。

バルセロナ・グエル邸バルセロナ・グエル邸

 このほか、神秘主義のカバラー思想などもありますが、難しい話はこの辺にして、この本で、勉強になったことは、イスラム教が支配する中世になって、ユダヤ人の9割が、当時欧州などより先進国だったイスラム世界に住み、法学をはじめ、哲学、科学、医学、言語学、数学、天文学などを吸収し、旺盛な商業活動も行っていたということです。それが、1492年のいわゆるレコンキスタで、イスラム世界が欧州から駆逐されると、ユダヤ人も追放、放浪が始まったということです。中世ヘブライ語で、スペインを「スファラド」、その出身者を「スファラディ」と呼び、スペインで長くイスラム文化の影響を受けたスファラディ系ユダヤ人の社会では、哲学的合理主義と中庸の徳が推奨され、生き延びることを優先して、キリスト教への改宗も行われたといいます。(スペインからオランダに移住したスピノザ一族など)

 もう一つ、ライン地方を中心とする中欧を「アシュケナズ」、その出身者を「アシュケナジ」と呼び、アシュケナジ系ユダヤ人社会では、敬虔さを重視する宗教思想が尊ばれ、迫害に対して、果敢に殉教する道が選ばれたといいます。

 ユダヤ人というのは、ハラハーに基づき、「ユダヤ人の母親から生まれた子、もしくはユダヤ教への改宗者」と定義されていますが、内実は、複雑で、エチオピア系ユダヤ人などいろんな民族が含まれ、色んな考えの人がいて、イスラエルを国家と認めないユダヤ人や、厳格な原理主義のユダヤ教に反対するユダヤ人さえもいるというので、聊か驚きました。


 ヴィルナ(現在のヴィリニュス)が「リトアニアのエルサレム」と呼ばれた街で、18世紀には正統派ユダヤ教の拠点だったことも初めて知りました。 とにかく、ユダヤ民族は教育と学習に熱心で「書物の民」と呼ばれ、成人の結婚が奨励されることから、歴史に残る多くの優秀な人材を輩出してきたことが分かりました。

 この本の不満を言えば、ユダヤ教の思想・哲学を伝えた偉人は出てきましたが、一般の人でもよく知るユダヤ人として出てくるのは、スピノザとマルクスとハイネ、それに、フロイトとアインシュタインぐらいだったので、もっと多く登場してもよかったのではないかと思いました。そして、何故、あそこまでユダヤ人だけが差別され、迫害されてきたのか、ご存知だと思われるので、もう少し詳しく説明されてもよかったのではないかと思いました。でも、大変勉強になりました。