「エントロピーが増大する」とはどういうことなのか?=ブライアン・グリーン著「時間の終わりまで」を再読してやっと分かりました

 以前、予告しました通り、ブライアン・グリーン著、青木薫訳「時間の終わりまで」(ブルーバックス)を読了した後、今は再読しております。

 一回目は、著者特有の韜晦的な書き方によって、正直、よく分からない部分が多かったのですが、再読すると、意味がよく分かるようになりました。えっ?韜晦(とうかい)的の意味が分からない? 衒学的の正反対です。えっ? 衒学的も分からない? 韜晦的とは、自分の才能を包み隠すこと。衒学的とはその逆で、自分の知識を自慢したり見せびらかしたりすることです。

 著者のグリーン氏は、自分の知識を包み隠すような書き方で、はっきりした結論は書かないように一回目に読んだとき思ったのですが、二回目に読んだ時は、実は印象が少し変わりました。例えば、109ページに「ビッグバンから、10億分の1の10億分の1のさらに10億分の1秒後には、斥力的重力は空間の小領域を大きく引き伸ばし、…広がった。…それと同じくインフラトン場もまた、いずれ『破裂』し、場の粒子たちは霧になる。」と書いた後、「その粒子たちが正確に何だったのかは分かっていない」とはっきりと、分からないことは分からないと明言しておりました。

王子神社

 宇宙の生成から終焉において、熱力学第二法則の「エントロピーは増大する」というキーワードが最も重要で、本書の後半にかけても何度も出てきましたが、この意味を深く理解することがなかったので、1回目に読了したとき、どうも痒い所に手が届かなかった読後感がありました。が、再読してみたら、前半で、はっきりとエントロピーとは何かについてかなり詳述されていたことが分かりました。一回目は一体、自分自身何を読んでいたのかしら?

 「エントロピー」とはざっくばらんに「無秩序状態」と翻訳して良いと思いますが、本書の70ページでは、実に分かりやすく、エントロピーとは何なのか説明してくれています。一回目で読んだはずなのに、覚えていなかったとは本当に情けないですね。メンタルの不調のせいにしておきます(笑)。

 著者はこのように書いています。(少しだけ差し替えています)

 エントロピーは時間とともに増大する圧倒的な傾向がある。きれいにアイロンのかかったシャツが皺になるように「特別な配置は平凡な配置に近づく傾向がある」とか、整理されたガレージが、道具類や収納箱や遊び道具がごちゃ混ぜに詰め込まれた物置になるなど「秩序は無秩序になる傾向がある」といったことだ。

 なるほど。エントロピーが増大する、とはガレージが散らかったり、シャツが皺になったりすることでしたか。こりゃあ、分かりやすい。

王子神社

 また、著者のグリーン氏によると、宇宙が生成されるきっかけとなったビッグバンは、高度に秩序立った極めてエントロピーが低い出発点だったといいます。つまり、最初は極めて秩序が整った状態だったということです。それが、熱力学第二法則により、エントロピーが増大すると、宇宙に存在するもの全ては、衰え、劣化し、朽ちるという、抗いがたい傾向を持ってしまうのだといいます。ということは、これで、宇宙に終焉があるという結論が導き出されるわけです。

 その前に、地球の生命体の一つである人類の消滅が先にあります。人類だけが持つ「考える」という行為そのものも、(思考することによって)無益な環境エントロピーを増大させてしまうせいで自滅するともいいいます。あまり、自分勝手に苦しんだり悩んだりしたら、エントロピーが増大するということなのかもしれません。

 ところで、18世紀のニュートンの時代まで人類はモノが引き寄せられる「重力」しか分かっていませんでしたが、20世紀になって、その逆のモノが引き離される「斥力」が発見されました。同じようにエントロピーが増大する、とだけ考えられていたのに、エントロピーは減少することも分かってきました。エントロピーの減少とは、カメラを逆回しにしたようなSFのような世界ですから、専門外の私からはうまく説明できませんが、この本にはそういった話も多く出てきます。

 いずれにせよ、私自身は「エントロピーが増大する」とはどういう意味なのか? 再読してやっと分かったという、実に情けない恥さらしなお話を御紹介しました。

生きよ、生き延びよ=ブライアン・グリーン著、青木薫訳「時間の終わりまで」を読了しました。

 ブライアン・グリーン著、青木薫訳「時間の終わりまで」(ブルーバックス)をやっと読了しました。素晴らしい名著でした。うーん、でも、どう解釈したらいいのでしょうか?

 人類も宇宙もいずれ消滅、死滅するので絶望的、虚無的になって残りの人生を生きていくしかないのか? それとも、宇宙の死は数十億年後のそのまた数十億年後という先の先の話だから、価値観を反転して、偶然の確率で生まれてきたこの世の生を謳歌して、学問、芸術の創作に励むべきなのか?

 結論を先に言えば、著者のグリーン氏は、後者を薦めていると言って良いでしょう。

 でも、著者はそのままズバリ、平易に語ってくれるわけではありません。「永遠というものはない」と比喩的な言葉を使ったりします。人類の死については、こんな書き方をします。

 恒星であれブラックホールであれ、惑星であれ人間であれ、原子であれ分子であれ、物体はすべて、いずれ必ず崩壊する。…人はみな死ぬということと、人類という種はいずれ絶滅するということ、そして少なくともこの宇宙においては、生命と心はほぼ確実に死に絶えるということは、長い目で見て、物理法則からごく自然に引き出される予測なのである。宇宙の歴史の中で唯一目新しいのは、我々がそれに気づいていることだ。

 うーん、そこまで言われてしまっては、何をしても無駄なことで、虚無的になるしかありませんよね。

 しかし、著者のグリーン氏は、最後の最後に微かながらも光を照らしてくれます。

 冷え切った不毛の宇宙に向かって突き進んでいけば、神の計画(大いなるデザイン)などというものはないのだと認めざるを得なくなる。粒子に目的が与えられているのではない。…ある特定の粒子集団が、考え、感じ、内省する力を獲得し、そうして作り出した主観的な世界の中で、目的を創造できることになったということなのだ。…我々が目を向けるべき唯一の方向は内面に向かう方向である。…それは創造的な表現の核心に向かう旅であり、心に響く物語のふるさとを訪ねる旅でもある。

 うーん、難しい言葉ですが、エントロピーが増大し、宇宙も立ち行かなくなって終焉することは、特定粒子集団が編み出した理論物理学が説くところで変えようもありません。それを知ってしまったということは、人類にとって悲劇なのか、喜劇なのか? まあ、とにかく、「生きろ」「生き延びよ」という励ましの言葉として私は受け止めることにします。

東京・上野の博物館巡り=ランチは「蓮玉庵」で

 先週の土曜日は、駆け足で上野の二つの博物館を「はしご」しました。

 最初に訪れたのは東京国立博物館です。 

上野・東京国立博物館「中尊寺金色堂」特別展

 特別展「中尊寺金色堂」を是非とも観たかったからです。藤原清衡(1056~1128年)によって建立された中尊寺は、東北地方現存最古の建造物で、今年で建立から900年の節目を迎えました。

 土曜日でしたので、少し列が出来ていて、入場するまで15分ほど待たされました。

上野・東京国立博物館「中尊寺金色堂」特別展

 現地の平泉(岩手県)にある中尊寺金色堂には、私もこれまで3度ほど訪れたことがありますが、特別展では、ご本尊の阿弥陀如来座像と脇侍としての勢至菩薩立像と観音菩薩立像、それに地蔵菩薩立像、増長天立像、持国天立像といずれも「国宝」を間近に、しかも360度の角度から御尊顔を拝することが出来ました。

上野・東京国立博物館「中尊寺金色堂」特別展

 平泉では、仏像は、確か、ガラスケースの奥に納められ、遠くからしか拝することが出来ませんから、足を運んだ甲斐がありました。

 ただ、本館の狭い特別5室での数少ない展示でしたので、観覧料一般1600円は少し高い気がしましたけど。

上野・東京国立科学博物館

 次は上野駅に少し戻って、国立科学博物館に行って参りました。

 実は、昨年、同博物館が収蔵品の収集・保存などで資金が足りなくなって、クラウドファンディングを募集していました。私も「博物館がなくなっては困る」という危機感からわずかながら寄付をしましたら、「入場招待券」が1枚送られてきたのです。有効期限が3月31日までとなっていたので、慌てて出かけたのです。(しかし、よく見たら、来年2025年3月31日が有効期限でした=笑)

上野・東京国立科学博物館

 入場入り口で、その招待券をお見せすると、係の人(恐らく70代ぐらいの男性)が、「じゃあ、(半券を)切りますね」と言って、切ろうとしながらも、「でも、オタクさんは65歳過ぎていますね。65歳以上は無料ですから、この券は他の人にお譲りになったらどうですか?」と仰るのです。

 えっ? なに~~~~

 この私が、見かけだけで、65歳以上に見えるのかえ!!!

上野・東京国立科学博物館「偉大な科学者たち」

うーーん、バレたらしょうがねえ~(「与話情浮名横櫛」)

 しかし、落ち込むほど、相当なショックです。自分自身はまだ若いつもりなのですが、世間様はそれを許してくれない。嗚呼~

上野・東京国立科学博物館

 しかし、国立科学博物館が資金難に陥った理由がこれで分かりましたよ。常設展は、65歳以上と18歳未満は、入館料が無料(一般・大学生は630円)なのです。無料だと赤字になるに決まっています。せめて、子どもも65歳以上も300円ぐらい取ってもいいじゃないですかねえ。日本人だけではなく、全人類の「宝」が展示されているわけですから。

 ということで、ここは丸々、一日、いても飽きない博物館です。大人も子どもも楽しめます。地下3階まで展示室があり、細かく全てを観ていったら、一日では無理でしょう。

 また、何度でも足を運びたいと思いました。

 もう午後1時を過ぎていましたので、ランチをどうしようかと探しました。最初は、以前Gさんと一緒に行った「藪そば」にしようかと思いましたが、場所がウロ覚えです。確か、アメ横辺りにあったと思いますが、アメ横はいつでも週末は地獄のような人だかりですから、出来たら避けたいのです。

 そうだ、久しぶりに「蓮玉庵」にするか。ということで行ってみました。

 そしたら、随分古びた建物になってしまい、営業しているかどうかも分からないほどです。勇気を出して暖簾をくぐりました。

上野「蓮玉庵」特別ランチ(午後2時まで)のかき揚げ蕎麦1000円とお酒800円

 入ると、ほぼ満員で、手前の席だけ空いていて、お店の人は、そこに案内してくれました。

 何しろ、安政6年(1859年)創業の老舗の中の老舗です。森鴎外先生も足繁く通っていたといいます。

 ちょっと高いというイメージでしたが、何と、土曜日なのに特別ランチメニューをやってくれていたので、その1000円のかき揚げ蕎麦と熱燗1本(800円)を頼みました。特別ランチは、午後2時まででしたので、ギリギリセーフでした(笑)。

宇宙が終わってもまた再生するのだろうか?

 ジェフリー・ロバーツ著、松島芳彦訳「スターリンの図書室」(白水社、2023年7月28日初版、4950円)が一部の識者の間で大変な話題になっているそうです。ちょっと高い本なので、小生は読んでおりませんが(苦笑)、書評を読むと驚くことばかりです。

 あの何千万人も粛清・殺戮した血も涙もない独裁者が「本の虫」と言われるほどかなりの読書家で、蔵書も2万五千冊以上あったというのです。別荘を図書室を備えた博物館にする予定が、「スターリン批判」で頓挫しましたが、蔵書には、トルストイ、ドストエフスキー、マルクス、レーニンは当然のことながら、政敵のトロツキーの本まであり、ヒトラーの「我が闘争」まで読んでいたといいます。特にマキャベリの「君主論」には相当な書き込みがあり、指針にしていた跡が伺えるそうです。

 こんな書評を読みながら、ウクライナに侵攻したプーチン大統領の蔵書を覗いてみたい誘惑に駆られました。国際社会にとっては迷惑な話なのですが、プーチンさんの並外れた自信とブレない恐ろしい正義感は、読書量に比例すると思われるからです。しかしながら、その全く正反対で、彼はほとんど本なんか読まず、勘で、しかも感情的に指図しているのかもしれませんが。

北八ヶ岳

 さて、Newton別冊「宇宙の終わり」(ニュートンプレス)を読了しました。途中で何度も、「独裁者だったら、この本を発禁書にするのではないか」と思いました。この本は、大衆がパニックを引き起こす危険書だと言えないことはないからです。この本では、我々の地球も銀河も宇宙も「永遠」ではなく、いつか(10の100乗年後に)消滅、崩壊し、終わりを迎える「宇宙の歴史」が淡々と語られているからです。人に死があるのと同じように、宇宙にも終わりがあるというのですから、生物は勿論のこと、ピラミッドも哲学も宗教も国家も何もかもが消滅します。この本を読んで、虚無的になるか、パニックを引き起こす人が出てもおかしくありません。

ーーなんて、ちょっと誇張して書いてしまいましたが、この本を読めば、最先端の科学が、宇宙の始まりと終わりを明らかにしてくれます。宇宙の終わりは、想像もつかないくらい先の話ですから、人はパニックにならず、他人事としてとらえることでしょうね。

 まだ学説の段階とはいえ、最新の宇宙論が展開されます。まず、宇宙の始まりについてー。宇宙は「無」から生じたというのが定説になりつつあるようです。物理学者が理論的に扱える大きさには限界があり、それは約10のマイナス33乗センチメートルです。物理学で扱う時間にも限界があり、それは、この10のマイナス33乗センチを、真空中で光が通過する時間で、10のマイナス43秒となります(光速約30万キロ)。この10のマイナス43秒間は、物理学者がどうしても乗り越えられない謎の部分で、「プランク時代」と呼ばれています。10のマイナス36秒後に、急激な膨張の「インフレーション」が始まり、10のマイナス27秒後には、物質をつくる素粒子が爆発的に生まれる「ビッグバン」が始まり、宇宙が誕生します。中略で、それから37万年後に原子が誕生し、「宇宙の晴れ上がり」状態となり、数億年後に最初の星が輝き始め、12億年後、現在のような銀河が生まれ、92億年後、太陽系が誕生します。そして、今、宇宙誕生から138億年の年月が経っています。

 これが「宇宙の始まり」です。文字で読むより、図解で見た方が分かりやすのですが、このブログでは出来ませんので、大まかなことを頭にインプットして頂くだけで結構です。さて、今度は「宇宙の終わり」です。

 20億年後、太陽は1.2倍の明るさとなり、地球は灼熱の大地になります。この本ではハッキリ書かれていませんが、この時点で、人類を含む生物は死滅することでしょう。でも、生物絶滅はもっともっと早い段階で訪れることでしょう。盛者必滅です。生物がいなくなった45億年後、地球のある天の川銀河とお隣のアンドロメダ銀河が大衝突を起こし、60億年後、太陽が膨張を開始し、水星と金星を飲み込むほど巨大化し、80億年後に太陽が地球を飲み込みます。

 話は飛んで、10兆年後に、長寿命の星が燃え尽き、宇宙は輝きを失い、10の20乗年後、銀河から天体が飛び去り、巨大なブラックホールだけが残り、10の34乗年後、陽子の崩壊でブラックホール以外の天体は消滅し、10の100乗年後、ブラックホールすら消滅します。東大大学院の横山順一教授によると、この時点で何の変化も起きず、時間がたっても何も変わらないことから、事実上、時間の終わりでもあるといいます。

 はい、これが宇宙の終焉です。宇宙の終わりは、ビッグクランチと呼ばれます。10の100乗年後ですから、あまり御心配しないように。なぜなら、宇宙の終わりとは「無」に帰するということです。その無からまた新たに宇宙が生まれるのではないかという説があるからです。無数の宇宙の存在を考える理論を「マルチバース宇宙論」と呼ばれています。何か、仏教の輪廻転生みたいだなあ。宇宙とは死んでも死なないゾンビみたいなものなのかなあ? 

 私が生きている間、宇宙の神秘がどれくらい明かされるのか?ー それが楽しみで私は今、生きているようなものです。宇宙論と比べれば、他の学問は皆、お子様ランチみたいなもんです。あ、こんなこと言ったら、怒られますね。渓流斎ブログも炎上しますね。

 宇宙の果てまで逃げろ~。

 

宇宙の始まりと終わりの諸説が分かります=Newton別冊「宇宙の終わり 誕生から終焉までのビッグストーリー」

 相変わらず、理系の勉強をしています。「相対性理論」を読み終えたので、今読んでいるのは、Newton別冊「宇宙の終わり 誕生から終焉までのビッグストーリー」(ニュートンプレス)です。この本は購入するつもりはなかったのですが、書店でやたらと「宇宙の終わり」関係の本が平積みになっていて、「えっ?宇宙に終わりがあるの?? こりゃ、大変だあ。どれか1冊ぐらい買わないとまずいかな」と衝動買いしてしまいました。

 そして、読み始めたら、これがめっちゃ面白い(まだ前半ですが)。「宇宙論」に関しては、これまで他に何冊か読んでいたので、基礎知識は習得済みです。ビッグクランチだのインフレーション(経済用語にあらず!)だのダークマターなぞと言われても、全然、怖くありません(笑)。

 でも、これらの専門用語を知ったのも、つい最近のことです。私の子どもの頃も、学生時代も一切、習ったことはありません。「宇宙=138億年」は、今や常識になっておりますが、この説が定着したのは21世紀になってから、しかもつい最近です。それぐらい、日進月歩の勢いで、宇宙論は進んでいます。

この本では宇宙のはじまりと終わりのことが詳細されています。宇宙は「無」から始まったのか? それとも、もともと何かがあって始まったのか? 一方、宇宙の終わりとは、宇宙が崩壊、消滅して、また「無」になるのか? それとも、また新たに生まれ変わるのか?ー壮大な物語が展開されます。

浮間舟渡

 1964年、宇宙のどの方向にアンテナを向けても、同じ強さの同じような謎の電波が観測されました。発見したのは天文学者のアーノ・ペンジアス(1933~)とロバート・ウィルソン(1936~)の両博士です。この謎の電波は「宇宙背景放射」と呼ばれるようになりました。昔のアナログ・テレビは、番組が終了すると、ザーと「砂嵐」のような画面が表示されましたが、この砂嵐の1%は、アンテナが受信した宇宙背景放射によるものだといいます。結構、我々は、宇宙背景放射と身近に接していたわけです。

 この宇宙背景放射を精密に分析すると、宇宙の成り立ちと構成要素が分かるといいます。2009年に欧州宇宙機関が打ち上げた衛星「プランク」が観測した宇宙背景放射と外部データを組み合わせて分析して2018年に発表された「宇宙の組成」によると、既知の物質(原子など)はたったの5%で、正体不明の物質「ダークマター」が26%、正体不明のエネルギー「ダークエネルギー」が69%で構成されていることが分かったといいます。つまり、宇宙の95%は何で出来ているのかさっぱり分からないということになるのです。これでは、絶対的に、科学的に証明できる宇宙の始まりも終わりも断言することが出来ないはずです。

 また、この分析の結果、宇宙の年齢は、137.87± 0.20億歳だということが分かりました。なあんだ。「宇宙=138億歳」というのが定説になったのは、2018年だったのですか。ついつい、最近ではありませんか!(それまでは、「宇宙=137億歳」説だったようです)

 宇宙138億年の歴史は、地球46億年の歴史よりも、チンパンジーから分岐した猿人類700万年や現生人類ホモ・サピエンス30万年の歴史と比べるとあまりにも長く、壮大です。

 私も「遅れて来た青年」ではありますが、今から勉強してもまだまだ十分間に合うと思いました。だって、まだ95%もの宇宙の成分が何なのか、実体が分かっていないのですから。

45年ぶりのプラネタリウム=割と身近にありました

 相変わらず、永田美絵著「星空図鑑」(成美堂出版)を読んでおりますが、巻末に「全国プラネタリウムリスト」が載っておりました。筆者の永田さんの本職が、東京のコスモプラネタリウム渋谷の解説員であることも関係しているのでしょう。

 そしたら、小生の拙宅近くにあるプラネタリウムも掲載されていました。「へ~、そんなに本に載るほど有名なんだ」と思いましたが、30年以上住んでいて、一度も行ったことがありませんでした。その施設は、1988年に出来たらしく、名誉館長は、あの宇宙飛行士の若田光一さんです。もしかしたら、全国的にも有名なプラネタリウムかもしれません。

 そこで、昨日初めて行って来ました。小雨が降っていたので、自転車は諦め、暗渠の道を歩いて行ったら22分掛かりましたが、近いと言えば近いでしょう。プラネタリウムに足を運んだのは、恐らく、45年ぶりぐらいです。今はもうありませんが、渋谷駅前の東急文化会館にあった五島プラネタリウムです。(調べたら、2001年に閉館していたんですね。)学生時代、当時付き合っていた彼女と行ったと思いますが、星座のことは全く覚えていません(笑)。暗闇ですから、当時のアヴェックの逢引き所でした(いずれも死語)。

 さて、自宅近くのプラネタリウムですが、市営なので入場料が520円(50分間)という安さでした。まあ、私自身、たっぷり、市税を払ってますから、堂々と入場しましたよ。でも、お子ちゃまだらけで、始まる前は走り回ったり、騒いだり。始まると、急に私の空いた前の席に座って、リクライニングの椅子を倒して、狭苦しくなり、上映中も、母親と大きな声でしゃべる始末。ま、この子にしてこの親で、その母親も、事前に「スマホの電源を消すか、マナーモードにせよ」と告知されても、無視して上映中に明々と照らして、他人から見れば、それほど可愛くない息子の写真を撮ったり…。まあ民度のあまり高くない野蛮な所にしょうがなく住んでいるので仕方がないか、てな感じでした。

 とはいえ、内容はかなり充実して、楽しくてしょうがありませんでした。「星空図鑑」で勉強したばかりの「夏の大三角」ベガ、アルタイル、デネブだけでなく、「春の大三角」のアルクトゥルス、スピカ、デネボラは7月なら西の空にまだ辛うじて見えるらしいことも教えてもらいました。春の大三角のスピカは、おとめ座の女神デメテルが手に持つ麦の「穂先」という意味でしたが、スピカと同じ語源から、靴のスパイクや登山用のスピックが発生したことも解説してくれました。ん-む、お子ちゃまには分かるかなあ?

 とにかく、拙宅のベランダから見えるほぼ同じ景色から見える夜空の星座を解説してくれたので、大変重宝しました。実は、梅雨空の曇りがちで、街中の光が反射していることもあり、ほとんど星は見えないのですが、青天で明かりを消した状態で見える本来の星座の姿を「再現」してくれたので、感動してしまいました。これなら、毎月のように訪れたいと思ったぐらいでした。

 プラネタリウムは、単なる星という点に過ぎないものを結んで、星座という平面にしてくれて、大熊やさそりや射手や蟹などの図柄を見事に再現してくれるので、本とは違い、瞬時に理解することができます。

 お蔭さまで、夜空の星を見るという楽しみがまた一つ増えました。

古い教科書は全て書き換えられるはず=田近英一監修、小林直樹著「文系のためのめっちゃやさしい地球46億年」

 先日来、このブログで何度も、小生が人類学や進化論にはまってしまったことを取り上げさせて頂いております。人類学や進化論が行き着く先は、生物学であり、生命論であり、地球物理学であり、宇宙論となります。まさに、「我々は何処から来て 何処へ行くのか」というアポリアに答えてくれます。

 今読んでいる田近英一東大大学院教授監修、小林直樹著「文系のためのめっちゃやさしい地球46億年」(ニュートンプレス、2022年6月20日初版、1650円)は確かにめっちゃ面白くて、読了してしまうのが勿体ないぐらいなのです。書かれていることは、理系の人にとっては基本中の基本で常識なのかもしれませんが、私のような文系人間にとっては初めて知る専門用語ばかりです。しかも、私は年配の人間ですので、私が学生時代に習った地球史なんて全く役に立ちません。教科書も新しく書き換えられていることでしょう。何と言っても、21世紀になって人類の化石のゲノムが解読されるようになって古生人類学が飛躍的に進歩したわけですから、20世紀に学生時代を送った今は40歳代以上の方の多くも知らないことばかりだと思われ、この本を読めば吃驚することでしょう。

 大変失礼ながら聞いたことがない出版社ですから、何処でこの本を見つけたかと言いますと、久しぶりに浦和にある須原屋書店に行き、地下にある人類学・進化論のコーナーで発見したのです。やはり、アナログの店舗に行けば、セレンディピティ、つまり思わぬ好運に恵まれるものです(笑)。須原屋は、江戸時代、最大手の版元だった浅草の須原屋茂兵衛(蔦屋重三郎のライバルだった)の流れを汲み、明治9(1876)年に浦和宿に貸店舗として創業されました。ということは創業147年という老舗です。出版不況でつぶれてほしくないので、足を運んだわけでした。

移転した銀座「天国」で初ランチ。天婦羅定食ランチ1600円

 さて、「地球46億年」ですが、何が面白いかって言ったら…、いやあ、皆さんも是非とも手に取ってくださいな(笑)。大きな活字で、ヘタウマのイラストが入り、ちょっとお子ちゃま向けの書き方なので、人前で読むのは恥ずかしいかもしれませんけど、恐らく、知らないこと(人)ばかり出て来ると思いますよ。シアノバクテリア、ストロマトライト、スタンリー・ミラー、アノマロカリス、ダンクルオステウス、超大陸パンゲア、アルフレッド・ウェゲナー、P/T境界大量絶滅イベント(2億5200万年前、生物の90%以上が大量絶滅)…等々ですが、これら全て御存知でしたら、この本を読む必要はありませんが(笑)。

 でも私のような文系人間にとってはほとんどが初耳です。しかも、私の学生時代は「氷河期」と習ったのに、今では「全球凍結」なんてシャレた言い方になっています。ちなみに、全球凍結は、過去に少なくとも3回あったらしく、最初が約23億年前のマクガニン氷河期、次が約7億年前のスターチアン氷河時代、今のところ最後が約6億年前のマリノアン氷河時代です。ということは、あと何億年?かしたら、地球はまた氷河期、いや全球凍結になるのでしょうね、きっと。勿論、そうなれば人類も確実に滅亡します、残念ながら。

 まさに、レヴィ=ストロース言うところの「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう」(「悲しき熱帯」)です。

 現在、地球温暖化が叫ばれ、温暖効果ガスとして二酸化炭素(の排出)が悪玉の親分のように毎日取り上げられていますが、逆に、全球凍結になれば、回復するにはこの二酸化炭素が何よりも必要なことがこの本で初めて知りました。また、38億年前に生命が誕生し、27億年前に出現した二酸化炭素と太陽光で光合成を始めたシアノバクテリアのお蔭で、酸素が生まれ、その酸素をエネルギーとして多種多様な微生物(まだバクテリアの段階ですが)が生まれたという話には、ロマンを感じましたね。色々な偶然が重なって、生物が進化していく過程は、必然ではなく、まさに奇跡と言って良いでしょう。

銀座

 このような地球46億年の歴史は、聖徳太子が教科書から消えて厩戸皇子となったとか、鎌倉幕府成立が1192年ではなく、1185年に教科書が書き換えられたというレベルなんかの話ではありません。私の学生時代の教科書が全く通用しないぐらい全面的に書き換えられたと言って良いでしょう。

 そんな新しい知識がこの本には分かりやすく網羅されているわけですから、こうして開かれた新知識に接しないなんて勿体ないですよ!何歳になっても勉強しなきゃ(笑)。

 そうそう、忘れるところでしたが、何で地球46億年で、宇宙誕生138億年なのか、その関連性が分からず疑問に思っていたら、138億の3分の1=46億という数式から出されたらしいですね。これも、この本で初めて知り、ちょっとスッキリしました。

つづく

「国難突破」でゴルフ三昧

東久留米市・浄牧院

「国難突破」でゴルフ三昧

一流選手も嫌々参加

泣く子と地頭には勝てぬ

長いものには巻かれろ

東久留米市・浄牧院

「ナチスの手口を学んだらどうか」と副総理

今度は「北朝鮮のおかげ」と本音がポロリ

「501」買っちゃいました

金持ち喧嘩せず

世の中、金持ちしか発言できず

今日は帝国、明日はオークラ

今日は吉兆、明日は次郎

御安心を

長くとも人生せいぜい100年ちよつと

紀元前2500年のクフ王は大ピラミッドを残すも

人類の文明、せめて1万年

恐竜時代は6500万年前

アンモナイトは3億年前

小さい小さい

地球誕生46億年

宇宙誕生137億年

宇宙の歴史から見るとあまりにも小さい霊長類よ

お前たちは一体これから何処に行くというのか?