小学校何年生か忘れてしまいましたが、国語の教科書に、今でも忘れられないエッセイが載っていました。
「今でも忘れられない」と書いておきながら、その作品のタイトルも作者の名前さえ忘れてしまっているのですが(笑)
話は単純です。
作者が、ある地方都市に旅かなんかに出て、ふっと駅近くの食堂に入り、メニューをながめながら、何を食べようか思案してしまいます。
「カツ丼にしようかなあ、親子丼にしようかなあ」
作者は注文に来た女の子に聞くとはなしに聞きます。
その少女は、純朴そのものの女の子で、赤い頬に飛びっきりの笑顔を浮かべて、
「カツ丼も親子丼も、どちらも美味しいですよ」と言うのです。
作者は、その清々しい明るい対応に、その日は一日中気分がよかった。という何ということはない。別にオチもない、何でもない話なのですが、私はこの話が妙に心に印象として残り、何十年経っても忘れられないのです。作者が、結局、何を食べたことまでは覚えていません。とにかく、注文を取りにきたお嬢さんが、満面に笑みを浮かべながら「どっちも美味しいですよ」と言ったことだけが、何か、一期一会の奇跡のようで、情景さえ浮かんできてしまうのです。
何で、こんなことを書いたのかと言いますと、つい先日、温泉近い駅で昼食をしようと入ったお店で、同じような体験をしたからです。
私は、ラーメンにしようか、蕎麦にしようか迷ってしまいました。
すると、お店の女性が「中華もお蕎麦もどちらも美味しいですよ」と言うではありませんか!
何か、デジャビュのような体験でした。
恐らく、私と同世代でしょうが、教科書で、このようなエッセイを覚えている方は、作者名と作品を教えてください。その他何でもコメントしてくださいね。