日本も韓国も消滅か?=そんなことないでしょうが人口減に拍車掛かる

 昨年2023年の日本(人口1億2570万人)の出生数(速報値=在留外国人も含む)が前年比5.1%減の75万8631人だったと厚生労働省が発表した数字は実に衝撃的でした。8年連続で減少し、過去最少です。一方、死亡者数は159万503人で、前年から8470人増え、過去最多だったといいますから、人口減に一層の拍車が掛かったわけです。何しろ、生まれてきた赤ちゃんの倍以上の人が亡くなっているわけですから減る一方です。

 このまま少子化が進めば、日本人はいなくなってしまうのではないかというSFの世界が待っているかもしれません。

東京・新富町

 これは日本だけの問題かと思いましたら、お隣りの韓国(人口5174万人)ではもっと大変な状況でした。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す「合計特殊出生率」が、8年連続で前年を下回り、昨年の韓国は過去最低の0.72だったというのです。低水準といわれる日本の1.26(2022年)より低いのです。生まれた韓国の子どもの数も、前年比7.7%減の約23万人で過去最少です。8年間でほぼ半減し、少子化は「日本以上」に見えます。

 韓国の少子化の背景には、ソウルに人口が一極集中して、地価と住宅価格が高騰し若者が住宅を購入出来ず、結婚に踏み切れない状況があるようです。結婚しても韓国はかなり苛烈な受験競争と超狭き門の大企業就職と格差拡大問題があり、高額の教育費が掛かるので子どもを2人も3人も持つ余裕がないという遠因があるようです。

 日本もそして韓国も、結婚新生活支援事業や育児休暇、子ども手当、教育費無償化など少子化対策を推進していますが、それでも歯止めが効きません。となると、結婚したくても出来ない非正規雇用といった経済的理由や、将来に対する不安など心理的理由が大きいと思います。

 林官房長官も記者会見で「少子化の進行は危機的状況」と述べ、少子化対策も発表していましたが、口先だけで、「笛吹けども踊らず」の印象です。だって、当事者である企業が賃金を引き上げ、非正規労働者の社員化を進めない限り、改善しないことが分かりきっているからです。「内部留保」に邁進する企業は、相変わらず、低賃金に抑え、非正規雇用の比率を挙げることで利益と業績を上げているわけですから、イエスマンで這い上がってきたサラリーマン経営者が、そんな「打ち出の小槌」を手離すわけありません。

 「内部留保税」や「非正規雇用割合税」なるものを徴収すれば、そんな悪循環が改善するでしょうけど、そんな法案を提出する政治家は一人もいないでしょうし、財界も大反対のキャンペーンを張ることでしょう。フリードマンや竹中平蔵らの新自由主義思想の根が深いからです。

 かくして、少子化に拍車が掛かり、人口減が幾何学級数的に進み、…この先はあまり想像したくないですね。

集団主義と個人主義の日仏異文化論=東京外語仏友会にオンライン参加

イチハツ 一初 Copyright par Keiryusai

 昨日は、大学の同窓会「仏友会」にオンラインZOOMで参加しました。仏友会というのは、「仏教を愛する会」というのではなく、東京外国語大学でフランス語を専攻した卒業生の親睦会です。正式には東京外語仏友会なのですが、戦前の昭和初期に作られたようです。

 私の学生時代は外国語学部だけでしたが、現在は3学部制になっていて、言語文化学部と国際社会学部の中にフランス語専攻があるようです。私の学生時代のフランス語科は60人でしたが、現在でも仏語専攻は60人ぐらいのようです。(半数の30人は必ず留学するそうです)

 東京外大のHPによると、大学の起源は幕末の1857年に開校された「蕃書調所」(西洋の書籍を解読して海外事情を調査)にまで遡ることができます。(東京・九段下に「蕃書調所跡」=竹本図書頭拝領屋敷上地=の碑がありますので、ご興味のある方は是非訪れてみてください。)

 過去の仏語出身者の中には、無政府主義者の大杉栄(1905年中退)、仏文学者でアンドレ・ジッド「狭き門」などの翻訳で知られる山内義雄(1915年卒)、無頼派作家の石川淳(1920年卒)、無頼派詩人の中原中也(1933年選科卒)、詩人でポール・ヴァレリー翻訳家の菱山修三(1909~67年)らがいます。

 私が学生時代に講義を受けた哲学のM教授(東京大学卒)は「外大フランス語の出身者というのは大杉栄とか中原中也ぐらいしかいないだろう?反逆者ばかりで主流派はいねえなあ」と言い放ったことが印象に残っています。確かにそうかもしれませんけど、主流派なんて言っても単なる体制派のことでしょう?人間生まれてきたからには「反抗精神」がなきゃつまらないじゃありませんか(笑)。

エニシダ Copyright par Keiryusai

 ということで、仏友会は変わり者の集まりと見られては困りますし、そんなこと言ったら藤倉会長から怒られますが、一癖ある個性派集団で、今でも大変優秀な人材を社会に輩出しております。上から言われたことを唯々諾々と従うことを良としない人が多いと言えるかもしれません。それなのに、仏友会は(途中戦争等で中断したこともありますが、)100年近くも続いていることは奇跡です。何故なら、同じ大学でも、英米語やロシア語専攻の出身者には同窓会がない、と聞いたことがあるからです。仏語専攻は恵まれています。個人主義ながら、結構、結束が固いのです。

 昨日の仏友会の講演会のゲスト講師は、東京外国語大学のジェローム・ルボワ准教授で、演題は「日仏文化の差異を考える」でした。非常に面白い話でしたが、時間が足りなくて、尻切れトンボのような感じだったので、もっと聴きたかったでした。まさに、今書いてきた個人主義に関する話だったからです。

 話を単純化すると、地理的に、歴史的に、文化的に、日本人は集団主義(ルボワ氏は集団性と表現していましたが)、フランス人は個人主義(同じく個人性)という大きな違いがあるというお話でした。(道理で、フランス語を専攻する日本人は個人主義になってしまうのか、もしくは、集団主義に馴染めず個人主義的傾向が強い日本人だからフランス語を専攻したのか、ということがはっきりしましたよ=笑)

 異文化論として、日本とフランスを比較すると、日本の国土は約37万平方キロメートルで、仏は約57万平方キロメートル。つまり、仏は日本の1.5倍の国土を持つ。それなのに、日本の人口は1億2800万人で、フランス(6500万人)の2倍もある。しかも、日本の国土の3分の2は人が住みにくい山地なので、仏と比べて遥かに人口密度が高い。そして、農耕時代から灌漑や農作業などで集団で「和」重んじて協働しなければならないので、地理的、歴史的、文化的に日本人は集団主義にならざるを得なくなった。一方のフランスは、早いうちから自律を求められることから、個人主義が芽生えていく。そんな話をルボワ准教授は展開していきました。

タチアオイ Copyright par Keiryusai

 ルボワ准教授は、17世紀後半にルイ14世の財務総監だったコルベールによってフランス外交の威信を高めるための外国語学校として創立された超難関校・国立東洋言語学院(INALCO=Institut national des langues et civilisations orientales)で博士号(「古代日本における皇室の女性」)を取得したということで、日本語はペラペラで、自らホワイトボードにスラスラと漢字を書きながら説明しておりました。

 日本とフランスを比較して、どちらが良くてどちらが悪いという話ではないことをルボワ准教授は強調しておりました。何しろ、個人主義のフランスには、同窓会もなければ、運動会も校内クラブ活動も、〇〇式も存在しないし、七五三もなければ、お祭りもないといいます。(ニースのカーニヴァルなどがあるが、あれは神事ではないし、日本のようなお祭りではないとか)

 「仏友会がある皆さんはうらやましい」とルボワ准教授は、しみじみと言いました。

 大変面白かったのは、講演後の質疑応答で、「仏男性と日本人女性が結婚するカップルが多いのに、日本人男性と仏女性の結婚が少ないのは何故だと思いますか」という質問でした。ルボワ准教授は「謎です」と言って、それには直接答えることはできませんでしたが、仏女性が結婚相手に最も重視するの「信頼」、二位が「気遣い」、三位が「ユーモア」。仏男性が結婚相手に最も重視するのは「見た目」(ここで会場から爆笑)、二位が「信頼」、三位「賢さ」という内訳を明らかにしてくれました。

 さらに、フランス語の la famille と日本語の「家族」というのは、別物であることを図示してくれました。日本の場合、両親と子どもがいるのが普通の家族なのですが、フランスの場合、結婚適齢期の半分は未婚で、半分の既婚者のうちその半分は離婚しているといいます。その離婚した者同士が子連れで結婚して、また、離婚したりするケースも多いので日本ほど「家族」は単純ではない、というのです。その典型的な例として、S氏が登場していましたが、このS氏とは、恐らくサルコジ元大統領のことではないか、とZOOMのチャット上で話題になりました(笑)。

【追記】

思い出しました!大学1年生の時、フランス人のデルモン先生から「何故フランス語を専攻したのですか?」と質問され、「フランス人女性と結婚するためです」と答えたことを思い出しました。

勿論、実現しませんでしたけど(笑)。

 

コロナ不況で消費税をゼロにしたらどうでしょう

 日本のテレビは「新型コロナウイルス」の話ばかりやっていて閉口してしまったので、海外のテレビを見てみました。

 そしたら、海外のテレビニュースも9割方、新型コロナの話ばかりでした。駄目じゃん。さすがに、気落ちしてしまいました。このことをあまりブログに書いても、やたらと不安を煽り立てるだけのような気がして、昨日はブログを書くのはやめにしました。

 でも、今日は書かざるを得ませんね。 世界保健機関(WHO) は日本時間の今日未明に、ついに新型コロナウイルスはパンデミックであることを認めました。WHOが発表する数字は、意図的なのか、能力的なのか、かなり少ないので、米ジョンズ・ホプキンス大学が発表している世界の感染状況の数字を一生懸命に計算して取り上げてみると、3月11日の時点で、12万6093人が感染し、4628人が亡くなっています。このうち、(1)中国の感染者は8万0929人(死者3169人、香港3人)、(2)イタリア1万2462人(827人)、(3)イラン9000人(354人)、(4)韓国7755人(60人)、(5)フランス2284人(48人)、(6)スペイン2272人(55人)、(7)ドイツ1966人(3人)、(8)米国1281人(36人)、(9)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」 696人(7人)、(10)スイス652人(4人)、(11)日本639人(15人)…となっています。(ジョンズ・ホプキンス大のサイトを見ていると、数字は時々刻々と増えています)

伊ミラノ

 今週になって、急に欧米で増えました。特にイタリアでは、1万人以上が感染し、既に827人が亡くなり、中国に次ぐ多さです。イタリアはどうしっちゃったんでしょうか。

 フランスのテレビですが、映像を見ていたら、芸術の都フィレンツェも、水の都ベネツィアのサンマルコ広場も、遺跡の都ローマのコッロセオも、あんなに観光客で溢れていたのに、今は人影もまばらです。飛行機内も空港もパラパラです。航空会社は大赤字でしょうね。

イタリアのコンテ首相は11日に、テレビを通じて、国内の薬局と食料品店以外の全店舗を閉鎖すると発表しました。イタリア人の大好きなオペラや映画も見られず、外食もできないんでしょうか。鎖国ですね。

 3月10日のフランス2の「20時のニュース」では、新型コロナウイルスは、全世界で11万6000人が感染し、約6100人が死亡しましたが、6万4000人が回復。死亡率は1~3%程度だと報じていました。数字は、米ジョンズ・ホプキンス大学の最新データとは違いますが、結構、回復者がいて、80%は軽症と、合理的なフランス人らしく、努めて冷静になるよう強調している感じがしました。

 ですから、隣国のイタリアは異様です。病床が少なく、医者や看護師が足りないようですが、何でこんな急速に拡大したんでしょうか?北イタリアは、中国人観光客や出稼ぎ労働者が多かったという話もありましたが、隣国のドイツの感染者は1966人、死亡者が3人ですから、何か他に理由がありそうです。

 とにかく、このような新型コロナウイルスの拡大による経済的損失は莫大で、まさに「コロナ・ショック」で世界同時株安、原油安、債権暴落という恐慌が押し寄せてきました。

 我が日本国政府は昨日の11日に「緊急対応策」第3弾の着手を発表し、子育て世帯に3万円を給付する案が検討されているとか。そんなんで大丈夫なんでしょうかねえ。「焼け石に水」のような感じがします。

 この分だと、夏の東京オリンピック開催は無理でしょう。夏には終息するという希望的観測がありますが、真夏の南半球のオーストラリアで感染拡大するぐらいですからね。突然変異するウイルスです。代替開催に「立候補」していたロンドンだって感染者がいるんですから無理ですよ。(英国の感染者は459人、死者8人)

 日本にも大不況が襲ってくるのはほぼ確実で、倒産する会社も出てきますし、個人消費は大幅にダウンすることでしょう。こうなったら、1年間の時限立法でいいですから、消費税を半分ではなく、一層のこと、ゼロに戻したらどうでしょうか。

 私のような単なるブロガーが何を言っても始まりませんが、政府与党の皆さんには景気回復のために真剣に検討してもらいたいです。