悪名高き経産省と業界との癒着

WST National Gallery Copyright par Duc de Matsuoqua

 岐阜の高山先生です。

 日本は「情報格差」が大きいと言われていますが、おそらく貴人の視野にも入っていないでしょう。

 一昨日から「競輪」のシステムに大障害が起こり、10月3日(金)、4日(土)の2日間、競輪が開催中止され、今日以降も開催が出来るかどうか、復旧のメドもたっていない状況です。

 スポーツ新聞各紙は、出走表が掲載できないので「お断り」を載せていますが、一般紙は勿論、テレビの低俗なワイドショウも全く取り上げていません。

 主催者の「JKA(公益財団法人)」の責任は大きいですが、この「JKA」は、競輪、オートレスを運営している経済産業省所管の団体で、霞が関の天下り組織なのです。

 JKAは「オッズデータの提供が出来なくなり、番組編成などの入力処理もできない。原因不明で、開発メーカーが今、調査している」としていますが、競輪の売り上げが、ここへきて急激に落ち込んでいます。近年は、開催地の自治体が続出しているだけに、これはその組織存在に大きな痛手になりそうです。

 恐らく、開発システムを委託した業者の手抜きがシステムダウンの原因だと思いますが、「JKA」とシステム委託業者との受発注にも、不明朗な関係や癒着があると疑われても仕方ないことでしょう。

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 福井県高浜町の森山栄治元助役が、関西電力会長以下20人へ贈与した巨額な賄賂もそうですが、経産省関連に、こういう不祥事は頻繁に起こっています。経産省と業者との腐れ縁は、こうした「原発ビジネス」に象徴されるように構造的にあるからです。

 業界は天下りを受けることで、利権を得る構造は、そう簡単に断ち切れるものではありませんね。そこに政治家も関わるわけです。今回の関電シンジケート事件では、安倍晋三首相の大のお気に入り、地元福井県選出の稲田朋美元防衛相、現自民党幹事長代行が、高浜町の森山元助役が取締役を務めていた警備会社から2013年までに計36万円の寄付金を受け取っていた事実も判明しました。

 しかも、今や「これが見えぬか!」と安倍首相の印籠を振りかざして、首相官邸で大権勢をふるっているのが、この悪名高き経産省出身の今井尚哉首相補佐官(安倍家と今井家は親戚)なのです。「選良」の国会議員よりも政治力があり、霞が関の官僚も人事での制裁を恐れて、今井補佐官のご機嫌を伺わないとどうにもこうにもならないわけです。

 これは、永田町で取材している政治部記者の間では常識ですが、大手マスコミはどこも書きませんね。渓流斎ブログも、知っていて書かないでしょう?(笑)

 「競輪の開催中止など、たいした問題じゃない」と考える人は、エスタブリッシュメントか似非エスタブリッシュメントなのです。

 こんないい加減なシステムを「公共財団法人」が採用していて、何が「カジノ誘致」ですか!競輪ファンしかこの事実を知らないというのは、いつもながら、いかに、問題ある事実や情報が、ごく一部にしか伝わっていないということの証左なのです。

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 そもそも、日本人の金持ちは、日本国内でカジノなんかやりませんよ。マネーロンダリングを兼ねてラスベガスやマカオに行くわけですから。「個人番号カード」で税務署に筒抜けの国内で誰がやりますか。

 だから、日本の賭博は、貧困層によって支えられているのです。麻雀もパチンコも、競輪も競馬も競艇も、現場に行けば、そりゃあ、1%ぐらいは貴賓席でふんぞり返っている大金持ちがいても、99%は貧民ですよ。

 つまり、日本の賭博業界は、貧困層によって支えられているわけです。一攫千金を夢見る庶民のささやかな楽しみであるわけです。だから、毎回「オケラ」になっても、彼らは死ぬまで賭博(ギャンブル)をやり続けるのです。

東日本競輪発祥の地で記念レース開催

 「競輪界の回し者」を自称する岸和田先生からメールが舞い込んできました。

 …関東にお住まいの渓流斎さん、今週末のご予定、日程は決まっているでしょうか?

もし、決まっていないのなら、野次馬気分と民情視察で埼玉県の「大宮競輪」に出向かれたら如何でしょうか。「記念競輪レース」が1月17日(金)から20日(日曜)まで4日間、同競輪場で開催されます。

全国の競輪場では、それぞれ一年に一度「記念競輪(G3)」が開かれます。このほかG2、G1とグレードの高いレースがあり、優勝賞金がその分大きくなります。そして、その年の獲得賞金上位者やG1レースの優勝者が12月暮れの「競輪グランプリ」に選ばれ、そのレースに優勝すると1億円がもらえるのです。

それに比べ、17日からの「記念競輪」は、優勝してもそう大した賞金額ではありませんが、今回出走する村上義弘、平原康多は、競輪界の最高峰、角界でいえば東西の横綱で、「競輪グランプリ」に出場する常連です。恐らく見ごたえのあるレースをすることでしょう。さらに、高齢者が支える公営競技の実態、日本社会の実相、歪みを実地体験するのも社会勉強ですよ。

 入場料は確か100円で、競輪場内では各種イベント、アトラクションがあり、無料でいろいろなものを試食させてくれます。年末恒例の炊き出しみたいな感じでしょうか(笑)。こんな福祉事業のような「気前の良い」主催者、イベントは今時ありませんよ。

 大宮駅前から無料バスも出ています。「どんな人が集まっているのか」「いやあ、凄い風景だ!ショックを受けた」などと、そのルポを渓流斎ブログでご紹介してください。…

 あちゃあ、岸和田先生には申し訳ないのですが、週末はちょっと予定が入っており、行けませんね。そこで、渓流斎ブログの愛読者の皆々様に、代わってルポを送って頂くことにします。小生と同じように原稿料が出ませんから、まず、送られてこないと思いますが…(笑)。

バルセロナ・グエル邸

【参照】(「大宮競輪」から引用)

東日本競輪発祥70周年!競輪の生みの親「倉茂氏」をたたえた記念開催!

東日本競輪発祥の地である大宮競輪では、「競輪の生みの親」である倉茂氏の功績を末永くたたえ、今後の競輪界の発展を図るため、平成14年1月の53周年記念競輪から「倉茂記念杯」と銘打って開催しています!

倉茂貞助氏の略歴

昭和2年陸軍士官学校卒業
昭和12年10月退役(陸軍騎兵大尉)
昭和23年11月自転車振興会連合会常務理事
昭和32年10月日本自転車振興会参与
昭和35年6月東京オリンピック組織委員会幹事
昭和37年8月日本自転車振興会理事
昭和44年10月日本自転車振興会参与
昭和58年11月通商産業大臣表彰 受賞
平成3年7月日本自転車振興会相談役
平成10年逝去。
倉茂氏の胸像

倉茂貞助氏の功績

昭和22年9月、倉茂貞助氏は、海老澤清文氏とともに設立した「国際スポーツ株式会社」において”報償制度併用による自転車競走”という企画を立てた。この企画を実現するためには法制化が必要であることがわかり、昭和22年10月に「自転車競技法期成連盟」を結成した。

その中で、制場に倣った”車券付き自転車競技”への方向転換がなされるとともに、倉茂氏は「自転車競技法」の原案を作成し、GHQをはじめ国会に積極的に働きかけ、自転車競技法成立の大きな原動力となった。同法が昭和23年7月に成立すると、関連諸規則の成案、実施機関の設立などの法律施行に努めた。

その後、倉茂氏は「自転車振興会連合会(現:(公財)JKA)」の設立に力を注ぎ、自ら常務理事として、小倉、住之江、大宮に始まる全国各地での競輪場の開設、選手の養成や運営体制の整備に尽力した。昭和32年10月に日本自転車振興会の参与に就任してからは、競輪に従事する競技会職員や選手に対する講演活動を行うとともに、一般の人々にもPR活動を行った。

昭和58年11月、競輪界への多年にわたる功績を高く評価され、業界初の通商産業大臣賞を受賞した。

また、倉茂氏は”賭けの研究家”としても知られ、百科事典への賭け事関連の執筆のほか、主な著書として「世界の賭け事(東洋経済新報社/1957年)」「賭:サイコロからトトカルチョまで(荒地出版社/1959年)」「わが国の賭けごと史(日本自転車振興会/1974年)」「競輪誕生の思い出<自転車競技法成立までの秘録>」(週間レース社/1979年)などがある。

以上

へえー、倉茂さんという方は初めて知りましたが、凄い人なんですね。